パスワードを忘れた? アカウント作成
12873076 story
バイオテック

米FDA、遺伝子操作したネッタイシマカの放出実験による環境への重大な影響はないとの最終判断 30

ストーリー by hylom
ある意味バイオテロ 部門より
headless曰く、

米食品医薬品局(FDA)は5日、フロリダ州で計画されている遺伝子操作されたネッタイシマカの放出実験について、環境への重大な影響はないとの最終判断を示した(FDAの発表OxitecのプレスリリースThe VergeMashable)。

実験が計画されているのはフロリダキーズ諸島のキーヘイブンで、英Oxitecにより遺伝子操作されたネッタイシマカ(OX513A)のオスを放出するというもの。オスのOX513Aとメスのネッタイシマカが交尾した場合、産まれた卵は成虫になる前に死滅する。オスのOX513Aは吸血せず、2日ほどで死ぬために環境への影響は少ないと考えられている。FDAでは3月に放出実験による環境への重大な影響はないとの事前判断を示しており、数千件のパブリックコメントの内容などを考慮して最終的な判断を行ったとのこと。

ネッタイシマカはデングウイルスやジカウイルス、チクングニアウイルス、黄熱ウイルスなどを媒介する。実験は2009年と2010年にキーヘイブンでデング熱が感染拡大したことから計画されたが、現在フロリダ州では蚊が媒介したとみられるジカウイルス感染が少なくとも16件確認されるなど、ジカウイルスの感染拡大が大きな注目を集めている。

FDAの最終判断で計画は大きく前に進むことになるが、実験の実施が決定したわけではない。Oxitecは実験を開始する前に地元や州、米政府が必要とする条件を満たす必要があり、フロリダキーズ諸島で蚊の対策を行うFlorida Keys Mosquito Control Districtとともに実験を実施するかどうかを決定することになる。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by Ryo.F (3896) on 2016年08月10日 15時53分 (#3061203) 日記

    害虫駆除のために農薬を撒くと、しばらくは害虫が減るけど、その農薬に耐性を持った害虫が大量発生する。
    これを一種の進化と捉えることができる。

    一方、この害虫駆除方法に「耐性」がある進化はあり得るんだろうか?
    例えば、遺伝子操作された雄とそうでない雄を区別できるようになるとか。

    • by Anonymous Coward on 2016年08月10日 21時20分 (#3061378)

      #3061286のACです。
      本が出てきたので、雑談のタネに引用してみます。
      小山重郎『530億匹の闘い ウリミバエ根絶の歴史』(築地書館, 1994/09/16)
      P.196「不妊虫抵抗性のハエ出現か?」より。
      <>内な引用者による補足

       ”<一九八九年>四月六日付けの「沖縄タイムス」であった。一面トップ
       にこんな記事がのっている。

       「ウリミバエ根絶に難題
        不妊虫嫌う雌が出現
        県の対策事業変化なし

        ウリなどの大害虫ウリミバエを根絶するため、沖縄本島で不妊化した虫
        を大量に放ちつづけたところ、不妊の雄を嫌い、野生の雄とだけ交尾す
        る雌が出現した (中略) 不妊雄を避ける雌の出現が実験的に証明された
        のは初めてで、昆虫行動学や進化学上の貴重な発見。<中略>」
       これは、琉球大学に移った岩橋さん<岩橋統>が学生といっしょにおこなっ
       た実験で、こんどの学会で発表することになっていたものを、新聞がとり
       あげたものである。
       <中略>
       実験は次のようなものである。
       まず、人の入れるような大きい野外網室に、<根絶作業が始まって三年経
       過した>沖縄本島の野生の雄と不妊雄とを入れる。そこに沖縄本島の野生
       の雌を入れて、どちらの雄と交尾するかを調べる。
       すると、この雌は野生の雄と交尾しやすく、不妊虫の雄を避ける傾向が見
       られた。
       これだけなら、不妊雄の性的競争力の低下のためとも考えられる<家畜化
       と呼ばれる現象>。
       別の日に、こんどは不妊虫をまだ放飼していない石垣島からとってきた野
       生の雄と、不妊虫の雄を網室に入れ、ここに石垣島の野生雌を放す。そう
       すると、この雌は石垣の雄と不妊雄を区別することなく、おなじ割合で交
       尾した。
       つまり、沖縄本島の野生雌は、不妊雄を避けるのに、石垣島産の雌は避け
       ない。この結果から、岩橋さんたちは、沖縄本島で不妊虫を放しつづけた
       ために、不妊虫を避ける傾向のある雌の子孫だけが生き残って、「不妊虫
       抵抗性」を獲得したのではないかと、結論づけたわけである。
       この結論にたいして、「まだ実験例が少ない」などの異論も出された。」

      親コメント
      • by Anonymous Coward on 2016年08月11日 6時30分 (#3061503)

        不妊虫抵抗性があっても100%の不妊虫抵抗性で無ければ駆除効率が低下するだけで目的は達成可能です。
        「この雌は野生の雄と交尾しやすく、不妊虫の雄を避ける 傾向が見られた 。」
        100%じゃないなら自然の雄に対する放った不妊虫との遭遇率が下がるのと似たような効果が出るだけなので、
        放つ不妊虫の数をその分増やせば問題なく実施可能です。
        そっちよりも不妊虫を放てない場所でコミュニティが形成されてしまう可能性のほうが怖いかな…。

        まぁそもそも不妊虫抵抗性だったのか好みの不一致だったのかという問題もありますが。
        人間で例えるなら、イケメンを元に不妊化した個体をばらまいたら醜男好きな一族だけが残ったみたいな。

        親コメント
      • 1個のコメント が現在のしきい値以下です。
    • 2個のコメント が現在のしきい値以下です。
typodupeerror

コンピュータは旧約聖書の神に似ている、規則は多く、慈悲は無い -- Joseph Campbell

読み込み中...