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ここで言う「明るい」っていうのはちょっと気をつけなくちゃいけなくて, 実際に目で見る明るさはそれほどでもないってことが多々あります.
というのも, このような発光現象だと, 多くの場合エネルギの大部分が電磁波についてはX線やガンマ線の形で放出され, 可視光領域ではごくごくわずかな明るさににしかならないからです. さらにX線やガンマ線は地球の大気で遮蔽されてしまい, 地上では二次的な宇宙線やそれに伴うチェレンコフ光 [u-tokyo.ac.jp]という形でしか検出できません. そのためこれらを観測するためには大気圏外の天文衛星 [sed.co.jp]が必要になるわけです.
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人生unstable -- あるハッカー
最も明るい天体? (スコア:1)
Re:最も明るい天体? (スコア:4, 参考になる)
ここで言う「明るい」っていうのはちょっと気をつけなくちゃいけなくて, 実際に目で見る明るさはそれほどでもないってことが多々あります.
というのも, このような発光現象だと, 多くの場合エネルギの大部分が電磁波についてはX線やガンマ線の形で放出され, 可視光領域ではごくごくわずかな明るさににしかならないからです. さらにX線やガンマ線は地球の大気で遮蔽されてしまい, 地上では二次的な宇宙線やそれに伴うチェレンコフ光 [u-tokyo.ac.jp]という形でしか検出できません. そのためこれらを観測するためには大気圏外の天文衛星 [sed.co.jp]が必要になるわけです.
Re:最も明るい天体? (スコア:5, 参考になる)
> 実際に目で見る明るさはそれほどでもないってことが多々あります.
>このような発光現象だと, 多くの場合エネルギの大部分が電磁波については
>X線やガンマ線の形で放出され, 可視光領域ではごくごくわずかな明るさに
>にしかならないからです.
この場合は違います。
ニュースソースそのものに、後述するNASAのものを含め、誤解を招く表現がありますが、ガンマ線バーストと、ここで言う「明るさ」とは別物です。
ガンマ線バースト自体は、今回のような強烈なタイプでは秒以下しか持続せず、また、ガンマ線は大気にさえぎられるため、地上の望遠鏡では観測できない。このため、その正体をさぐることは長く難しかった。
しかし、1997年、バースト直後にその源の空域で、可視光付近の波長の残光(アフターグロー)の存在が判明。これを受けて、衛星観測と地上ならびに宇宙配置の望遠鏡の自動連携体制が構築された。
今回の観測は、その新体制の最新の成果。
つまり、報道で言う光度5~6の輝きは、われわれの目で見る波長でのこと。
75億光年彼方のピンポイントの発光が、しばらくの間、肉眼で観測できたということが驚きだったのだ。
ちなみに、75億光年彼方と特定できたのは、この光が光速の96.4%というとんでもない比率で赤方偏移していたため。
だから、
>いままで観測されたもっとも明るい2005年の超新星よりさらに250万倍も明るい
というのは、ガンマ線の強度から算定されたエネルギーではなく観測された可視光での話。
アフターグローの光度は、爆発の規模をそのまま反映しているとは限らない。中性子星もブラックホールも、両極から極軸に向けて強烈なジェットを噴出している。
アフターグローが、爆発によって全球に対しては非対称に放出されたジェットにより、二次的に発生した輝きだとしたら、それはきわめて細い光のビームとなるはず。
今までに観測された同様の強烈バーストでも低い可視レヴェルでは、ずっと低い光度しか観測されたいない。
ということは、今回の輝きは、爆発源から宇宙へと放射された光の細いビームの真正面にわれわれの銀河が存在していたために観測できたのかもしれない。
なお、もしも爆発源が近傍にあれば、たかだか超新星レヴェル(!)であっても、近くの恒星系の地球のような惑星には深刻な被害が生じうる。
上記のビーム効果を計算に入れても、今回のような強烈バーストの場合、かなりに広い領域の恒星系に属するすべての惑星上の生命にとって、その結果は致命的だったはずだ。
それが、どのような災厄をもたらしうるかについては、ちょっと古い知見にもとづくものだが、SF『ディアスポラ』においてグレッグ・イーガンが考察を行なっている。
可視光ではなく、ガンマ線バースト強度から算出される爆発強度については、もっと詳しい解析がNASAなどにより明らかにされると思う。
以上、下記データを参考に。
NASA - Naked-eye Gamma Ray Burst 03.21.2008
http://science.nasa.gov/headlines/y2008/21mar_nakedeye.htm?list192734 [nasa.gov]
ショート・ガンマ線バーストの起源【2005年10月26日 国立天文台 アストロ・トピックス(158)】
http://www.astroarts.co.jp/news/2005/10/26short-grb_nao158/index-j.shtml [astroarts.co.jp]
ガンマ線バーストの衛星・地上連携観測【2003年3月27日 美星天文台など】
http://www.astroarts.co.jp/news/2003/03/27grb021004/index-j.shtml [astroarts.co.jp]
ガンマ線バーストは極超新星が起源?【2003年6月18日 Subaru News】
http://www.astroarts.co.jp/news/2003/06/18grb/index-j.shtml [astroarts.co.jp]
グレッグ・イーガン『ディアスポラ』、山岸真訳、ハヤカワ文庫、2005。
Egan,Greg,"Diaspora",1995.
↑上に引用した「アストロアーツ」あたりでの詳しい解説が期待される。
YuiTad
Re: (スコア:0)
Re: (スコア:0)
おそらく大質量星の超新星爆発だと思われるこの手のGRBと比べるなんて無意味です。