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私は悩みをリストアップし始めたが、そのあまりの長さにいやけがさし、何も考えないことにした。-- Robert C. Pike
ES細胞って (スコア:0)
ES細胞の応用研究がよくでてくるけど、「ES細胞ってもの」が生物の進化の過程でどうでてきたのか、
とか「ES細胞っていうもの」がどんな生物に入っているのかという基礎的事項がgoogleじゃわからん。
教えてください
Re:ES細胞って (スコア:2, 参考になる)
>胚性幹細胞(はいせいかんさいぼう、Embryonic Stem cells: ES細胞)とは、
>動物の発生初期段階である胚盤胞期の胚の一部に属する内部細胞塊より作られる幹細胞細胞株のこと
>「ES細胞っていうもの」がどんな生物に入っているのか
ES細胞は、受精卵がちょっと時間がたったもので、みんなこんな感じの細胞から細胞分裂を繰り返して、生き物らしい形(鳥とか魚とか人とか)になってます。
もともと生き物の細胞一つ一つに、その体を構成するタンパク質(骨とかホルモンとかのタンパク質じゃないものを”作り出す”タンパク質もふくめて)
の設計図である遺伝子がすべて詰まってます。
しかし、一度組織に分化して専門の仕事(骨を作り出すとかホルモンを分泌させるとか)を始めた細胞は、
何回細胞分裂を繰り返しても他の仕事をする細胞になれません。
ところが、人とかの生き物は一つの受精卵が細胞分裂して、さまざまな組織(脳とか肝臓とか)に分化します。
受精卵は将来どの仕事を専門にする細胞にもなれます。 -ここがすごい
es細胞はその受精卵に近い”何でもなれる細胞”のまま、培養できることがすごい感じです。
生物の進化の過程でというのは、ちょっと良く分かりません
Re:ES細胞って (スコア:1, 参考になる)
> しかし、一度組織に分化して専門の仕事(骨を作り出すとかホルモンを分泌させるとか)を始めた細胞は、
> 何回細胞分裂を繰り返しても他の仕事をする細胞になれません。
> 生物の進化の過程でというのは、ちょっと良く分かりません
親コメントのように,多機能化・複雑化した生物では,一度分化した細胞は,基本的に他の機能を持つ細胞に変化できません.
しかし,分化できない細胞だけでは子孫を残すことが出来ないため,受精卵は幹細胞でなければなりません.
逆に,簡素な構造を保った生物では,細胞の役割に差が無いか,差があっても自由に変化することが出来ます.
例えば,進化の始まりである単細胞生物は,全ての生命活動を1つの細胞が行います.
つまり,幹細胞がいつ生まれたかと言う問いの答えは,自由に分化出来ない細胞の誕生と同時ということになります.
Re: (スコア:0)
Re:ES細胞って (スコア:5, 参考になる)
答えとしてはYesともNoとも言いがたい。というのは、分化は一段階とは限らない、というより、通常は多段階なのです。
このあたりの研究は、血球系の幹細胞なんかが一ばん進んでますが、大元になる幹細胞(造血幹細胞 [wikipedia.org])が存在し、それがそれぞれ特定の(場合によっては、いくつかの)細胞に分化しうる、分化しきってない細胞(前駆細胞)になり、最終的に分化した細胞になる、という筋道が存在している、と理解していただければよいかと。
実のところ、我々の体組織の各所には似たような幹細胞が存在しており、ケガをしたときとか、あるいは体細胞の寿命が尽きて欠落したときには、その幹細胞から適宜(細胞間ニッチに応じて)、必要な細胞が分裂、分化してきて補われている、というのを繰り返してます。こういう幹細胞のことを「体性幹細胞」と呼びます。体性幹細胞は、元は受精卵(あるいはES細胞)から分化して出来た細胞ですが、特定の細胞に分化しうる、分化多能性を持った細胞です。一方、前駆細胞は通例、これらの幹細胞から分化して出来た細胞群で、ある特定の細胞のみに分化するものを指しますが、中には複数の細胞への分化能を保持しているものもある。
じゃあこの二つの違いは何なのかというと、そもそも「幹細胞」には、こういった分化多能性の他に、もう一つ「自己複製能」という重要な特徴があります。分化しきった細胞には「寿命」が存在、すなわち分裂できる回数に制限があるのですが、幹細胞にはそういう制限がなく、何度でも分裂を繰り返し、「自分のクローン = 自分とまったく同等な子孫」を残しつづけることが可能です。これに対して、前駆細胞については自己複製能を持たなくても該当する(というか、実験上では自己複製能の証明実験に成功してなければ「幹細胞」と名乗ることがまだ許されない、という感じ)。正直、現在までに見つかっている前駆細胞と幹細胞については違いが明確にされてないケースもあるのだけど、少なくとも原則としては、「幹細胞」というのは「分化多能性」と「自己複製能」を持っていることがその要件とされる、ということですね。
このように、体性幹細胞が我々の体に存在しており、恒常的に機能しているということについては、ほぼ疑いはなくなってるのだけど、これらの幹細胞の実態については不明な部分がまだまだ多いのが現状です。なにせその組織中における細胞数は、分化した細胞に比べて圧倒的に少ないし、他の分化した細胞や前駆細胞と見分ける方法がまだ確立していないので(いくつかの表面分子が見分けるため候補として提唱されてはいるけど、現状ではまだまだ)。
基本的に幹細胞→前駆細胞→(分化した)各体細胞への道筋は、一方通行だと考えられていて、少なくとも「普通の状態では」不可逆的だと考えられています。いわば「セントラルドグマ(中心定理)」的なものとして。しかし、これが人工的にではあっても可逆性になりうるということを示したのが、実は山中先生のiPS細胞の発見だったわけで。この発見は、ある意味、この「セントラルドグマ」に対して疑問を投げかけるものとしても興味深かったりする。
もちろん、起きる可能性があるとしても極めて限定的な環境下だけだろうけど、ひょっとしたら何らかのストレスなどが引き金になって、分化した細胞が未分化に戻るような現象というのが生体内でも起きているかもしれない。けど、実際に「その瞬間」を捉えることは難しいだろうし、「これがその瞬間だ!」と立証しようにも、現時点ではあまりにその周辺情報が少なすぎて不可能、という状況ですね。
Re: (スコア:0)
>半幹細胞
造血幹細胞や神経幹細胞とかいろいろあります。
その名の通り、それぞれ白血球や赤血球といった血液の細胞、ニューロンやグリア細胞といった神経の細胞に分化します。
でも、分化することができる細胞の種類は限られています。
>いったん分化したら、ほかのあらゆる種類に分化できないのか
基本的にはできないと思います。
>また、それはなぜなのでしょうか?
まだまだわからないことだらけです。
この辺がうまく制御できるようになると、再生医療に役立ちますね。