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ウシが出すメタンや二酸化炭素を抑制しようという研究は,今に始まったことではありません。 家畜栄養学の分野では,ここ20年くらいの研究テーマであり,多くの実験が行われました。 実際に効率的な方法も多く考案され,特許も取られています(例:特開2006-063002,特開2010-200730など)。
そもそも,ウシがメタンを出すのは,消化の仕組みが独特だからです。 ウシは草食動物ですが,牧草の主成分は細胞壁の繊維(セルロース)であって,これは簡単に消化できません。 そのため,ウシは胃に微生物を飼っており,その発酵作用によって繊維を分解しています。 ウシには4つの胃がありますが,主に第1胃が発酵タンクとなっています。 この発酵の過程で,メタンや二酸化炭素が大量に発生し,ゲップとなって放出されます。 なお,ヒツジも同じ構造の胃を持っていることから,飼料の消化試験に使われます(体が小さく扱いやすい)。
メタン生成を抑制するとしても,第1胃内の微生物を殺さず,栄養成分が保証され,肉や乳など生産物に悪影響がないようにする必要があります。 もっとも簡単な方法は,飼料に添加物(植物抽出液や各種アミノ酸等)を加えることです。 今回の報告が,従来の手法と比べて安全で効率的かどうかは,私には判断できません。 ただ,いまだ多くの研究が継続する中で,これは単に一つの報告であるように思えます。
なお,2008年ころに帯広畜産大学の高橋潤一教授をはじめとする研究チームが,効率的なメタン抑制法を開発したとの記事が出ています(参考1 [kagakunavi.jp],参考2 [japanfs.org])。 価格面から日本では売れず,海外でなら活用できるかも,というのは泣かせる話です。
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ナニゲにアレゲなのは、ナニゲなアレゲ -- アレゲ研究家
古典的な問題 (スコア:5, 参考になる)
ウシが出すメタンや二酸化炭素を抑制しようという研究は,今に始まったことではありません。 家畜栄養学の分野では,ここ20年くらいの研究テーマであり,多くの実験が行われました。 実際に効率的な方法も多く考案され,特許も取られています(例:特開2006-063002,特開2010-200730など)。
そもそも,ウシがメタンを出すのは,消化の仕組みが独特だからです。 ウシは草食動物ですが,牧草の主成分は細胞壁の繊維(セルロース)であって,これは簡単に消化できません。 そのため,ウシは胃に微生物を飼っており,その発酵作用によって繊維を分解しています。 ウシには4つの胃がありますが,主に第1胃が発酵タンクとなっています。 この発酵の過程で,メタンや二酸化炭素が大量に発生し,ゲップとなって放出されます。 なお,ヒツジも同じ構造の胃を持っていることから,飼料の消化試験に使われます(体が小さく扱いやすい)。
メタン生成を抑制するとしても,第1胃内の微生物を殺さず,栄養成分が保証され,肉や乳など生産物に悪影響がないようにする必要があります。 もっとも簡単な方法は,飼料に添加物(植物抽出液や各種アミノ酸等)を加えることです。 今回の報告が,従来の手法と比べて安全で効率的かどうかは,私には判断できません。 ただ,いまだ多くの研究が継続する中で,これは単に一つの報告であるように思えます。
なお,2008年ころに帯広畜産大学の高橋潤一教授をはじめとする研究チームが,効率的なメタン抑制法を開発したとの記事が出ています(参考1 [kagakunavi.jp],参考2 [japanfs.org])。 価格面から日本では売れず,海外でなら活用できるかも,というのは泣かせる話です。