火星に到着したESAの火星探査機、周回機の軌道投入は成功する一方、着陸機は地上に激突か 31
半々 部門より
欧州宇宙機関 (ESA)とロシアが共同で進めている火星探査計画「ExoMars 2016」が、日本時間19日夜に周回機の火星周回軌道投入を果たした。一方着陸を予定していた着陸機からの信号はなく、地上に激突したとみられている(月探査情報ステーションの記事[1]、 [2]、 アストロアーツの記事、 マイナビニュースの記事)。
ExoMars 2016は火星周回機「Trace Gas Orbiter」(TGO: 微量ガス探査周回機)と大気圏突入・降下・着陸実証モジュール(EDM)「Schiaparelli」で構成される。TGOはメタンや水蒸気、窒素酸化物、アセチレンといった微量のガスに重点を置いた観測、Schiaparelliは2020年の次期ミッションに向けた着陸技術の実証を目的としている。TGOは19日に無事周回軌道投入が行われ、2003年のMars Expressに続くESAの火星周回機となった。
一方のSchiaparelliはパラシュートと逆噴射による着陸が予定されていたが、データからはパラシュートとシェルの投棄が予定よりも早く行われ、また逆噴射も僅か数秒間しか行われなかったことが判明している。NASAのMars Reconnaissance Orbiter (MRO)が撮影した着陸地点付近の映像では、地上に黒い大きなシミが出来ており、燃料を残したまま地表に激突した着陸機が爆発した後ではないかとみられている。2003年にMars Expressから分離したBeagle 2も失われており、ESAは2回の着陸試行で2回とも失敗したことになる。
ESAではSchiaparelliの母艦であるTGOが受信したデータの分析を進め、降下時にどのような問題が発生したのかを調査しているとのこと。また、今回MROが撮影した映像は1ピクセルあたり6メートルの解像度だが、来週にはMROに搭載されている最高解像度のカメラ HiRISEでの撮影が行われ、さらに詳細な着陸地点付近の様子が確認できるとのことだ(ESAの記事[1]、[2])。