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282709 story

秋田県田沢湖で絶滅したと見られていたクニマス、山梨県西湖で生きていた 102

ストーリー by reo
どっこい生きてる 部門より

KAMUI および、ある Anonymous Coward 曰く、

秋田県の田沢湖の固有種で 1940 年に絶滅したとされるクニマスが山梨県の西湖で発見された (asahi.com の記事より) 。

田沢湖では、戦時中の 1940 年に水力発電や農業用水として利用する目的で玉川温泉から湧出する強酸性 (pH1.1) の水を導入した結果、酸性化によって魚類がほぼ絶滅するという被害を出した。この際にクニマスも絶滅したのだが、1930 年に本栖湖や西湖など複数の湖に受精卵を送った記録があったため、1990 年代には懸賞金をかけて探索が行われたものの、発見には至らなかった。

京都大学の中坊徹次教授が、タレントで魚類学者でもあるさかなクン氏 (東京海洋大学客員准教授) にクニマスのイラストを依頼した際、さかなクンが参考にするため近縁種のヒメマスを西湖から取り寄せたところ、ヒメマスとは違う魚が送られてきたのだという。これを中坊教授らの研究チームが遺伝子解析などで調べたところクニマスと判明した。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • すごいですね。これ、平成版・釣りキチ三平で取り上げられていたやつですよね。

    マンガのほうでは、他の湖沼に放流していたクニマスが細々と生き延びている(かもしれない)のを、例によって三平くんが釣りにチャレンジするという内容でした。あとがきで、作者(矢口高雄)が「あくまでフィクションで、こうなったらいいなという自分の希望にすぎない」という感じのことを書いていましたが、まさかフィクションとほぼ同じような形(魚キチ?が発見)で実現するとは。

    作中、「食味も重要」と言って試食しそうな流れでしたが、今回はどうなのかな。

    • by nyagy (17036) on 2010年12月16日 14時03分 (#1874828)

      一見美談のようですが、要するに人為的な外部からの放流が過去にあったということですよね。

      そういう話って、普段は生態系への影響とか、遺伝子かく乱とかで問題視されると思うのですが、今回に限ってはそのような指摘が誰からもされないのは何故でしょうか。

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      • 平成版・釣りキチ三平の作中では普通に言及されてましたけどね。放流した本人(故人)が外来魚の問題を例に挙げて、「当時は義憤に駆られたとはいえ、安易に放流したのはよくなかった」と後悔しています。

        (この手の問題は絶対的な善悪が存在するのではなく、「人間社会の価値観に照らしてどうなのか」が抜けてしまうとアウトだと思ってます)

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      • by Anonymous Coward on 2010年12月16日 17時31分 (#1875007)
        あくまで、「言われていること」でソースとか知らんが

        田沢湖は昔とても綺麗な湖で、魚も多く生息して漁業も行われてた
        それが、水力発電のためのダム建設で玉川の水が流れ込む事が確定
        玉川には近くの玉川温泉から強酸性の水が流れ込んでいて
        引き込まれたらおそらく魚は全滅だろうと言われていた

        で、その中でも貴重、且つ美味のクニマスに関しては
        他の湖でもいいから、何とか生息してもらえないかと
        1935年に西湖、本栖湖、琵琶湖に卵を送って放流した
        …と言われているらしい

        ちなみに、1940年にダム完成後、案の定魚は全滅
        現在は中和処理が行われているので、ある程度は綺麗になって
        若干ではあるが魚も生息している

        尚、秋田県の水産試験場から田沢湖の漁業組合にあてられた文書として
        上記3つの湖に計40万個の卵を放流したっぽい文章が残っている
         #はっきり「放流した」とは書いてないみたい
         #「クニマスの卵の分譲に関する件」「西湖・10万、本栖湖・10万」
          という記載があるんだってさ(NHK秋田の報道より)
        秋田県でも現在当時の記録について精査してるところらしい

        むりやり美談っぽくした可能性もなくはないので
        これを信じるか信じないか、又、信じたとして問題視するかどうかは
        各々でご判断下さい
        親コメント
      • >普段は生態系への影響とか

        クニマスだろ、少ないだろそれは?
        どっちかっつーと、細々と生きている程度だからね。

        >遺伝子かく乱とか

        クニマスだろ、少ないだろそれは?
        どっちかっつーと、細々と生きている程度だからね。

        >要するに人為的な外部からの放流

        放流が問題ではなくて、放流の結果、生態系への影響とか遺伝子かく乱とかが発生する種の放流が問題なんですよね。

        >今回に限って

        ではないよ。
        いくつかの切滅危惧種については、保持のために他にうつすといったことはしている。
        そして、生物の種が保存されていたという結果になるわけな。

        ブルーギルとかが絶滅してしまっていたら、どこかで放流されていて、
        ほそぼそと活きていたら、それは種の保存としての有効性を見られるだろうね。

        ま、状況を考えろってことな。

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      • >人為的な外部からの放流が過去にあったということですよね

        全く,そのとおりです。単なる増殖のためなら,現在の生物多様性保全の考えからすれば安易だったでしょう。

        >今回に限ってはそのような指摘が誰からもされないのは何故でしょうか。

        そんなことはありません。

        朝日新聞では第一報(12月15日)で,クニマス研究者・杉山秀樹・秋田県立大客員教授が,
        「田沢湖のクニマスが絶滅したのは事実。いわば国内産外来種」
        http://www.asahi.com/eco/TKY201012140539.html [asahi.com]
        とコメントしていて,私も同意します。
        --
        Iguchi Y
        親コメント
      • 放流の経緯からして、考えられる可能性を検討し実地調査の結果を踏まえ議論を尽くした上で、いくらかの悪影響はあり得るが十分に限定的だと結論づけるに足る根拠が得られたため、絶滅を避けるにはやむなし、と判断しての放流だったに違いないからじゃないでしょうか?

        # と、当時の政府に対する心にも無い過大な信頼感を表明してみたり。
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  • 隔世の感 (スコア:4, 興味深い)

    by Anonymous Coward on 2010年12月16日 18時16分 (#1875031)
    私が学生だった15年ほど前、フィールドワーク系では種の同定と言えば形態分類や生態の比較がメインでした。
    当時は遺伝子分析はまだまだマイナーな手法で、どちらかと言えば懐疑的な目で見る研究者・学生が多かったように記憶しています。
    今回クニマスの同定作業を行った中坊先生も当時は懐疑派で、同じ階に研究室を並べる遺伝子分析系の教授としょっちゅう衝突しておられました。(これでもだいぶオブラートに包んだ表現と思って下さい(^_^;))
    もちろん、私が卒業する頃には中坊先生も自説を撤回し、遺伝子分析を積極的に取り入れられるようになっていました。
    今でこそDNA分析は生物学に無くてはならないツールとなりましたが、当時を思い出すとバイオテクノロジーがいかに急速に普及したかを強烈に実感します。
  • by Anonymous Coward on 2010年12月16日 12時43分 (#1874762)
    県内最大手(読売や朝日などの全国紙よりも購読シェアが上)の地元紙秋田魁新報 [sakigake.jp]では一面トップ、TV欄裏面でも面積をさいてこの報道が大きめに取り扱われていました(ネット版での扱いは小さいですが [sakigake.jp])。

    矢口高雄氏やさかなクン氏のコメントもささやかながら紹介されていました。
  • 田沢湖から西湖への人為的移入という「遺伝子攪乱」が結果的に「種の保存」に結びついた今回の事例を,自然保護や生態学に明るい方々はどう評価されるんだろうと素朴な疑問がわいています。

    中国産朱鷺でも日本の自然に戻ればそれで良いと考えるような一部の「自然再生派」立場からすれば,
    絶滅したはずの魚の生存が確認できるは良いことなのであろうけど,
    国内移入種を問題視して,支流単位での遺伝子多様性を主張する「多様性維持派」からみれば,
    手放しに喜べない気がします。

    ダブルスタンダードにならないように自然保護を考えるのは難しいですね。

    • ラッキーだっただけでは?
      親コメント
    • by Anonymous Coward on 2010年12月16日 18時26分 (#1875039)

      田沢湖から西湖への人為的移入という「遺伝子攪乱」が結果的に「種の保存」に結びついた今回の事例を,自然保護や生態学に明るい方々はどう評価されるんだろうと素朴な疑問がわいています。

      これを「遺伝子撹乱」と呼ぶのは、まずは違和感があります。

      導入されたクニマス(地元名クロマス)は近縁種と交雑したわけでも、食物連鎖の階級を壊していたわけでもないようです。
      おそらく、ヒメマスの居た食物連鎖の座に横滑りで収まったのでしょう。
      その意味ではヒメマスの食い扶持を奪ったのでしょうが、ヒメマスの全滅まで追いやるほどではなかったよう。

      導入されたが、遺伝子的には孤立した集団としてあり、食物連鎖を崩していなかったということで
      例えばブラックバス(食物連鎖に突如現れた頂点)による食いつくしとか、
      タイワンザルがニホンザルと交雑するとかいう問題とは別問題だと思います。

      まあ、「放ってみたら思ったより無害だった」という結果論ですが。

      親コメント
      • 私はホタルの移入問題を研究しています。

        長野県辰野町では,県外から観光用に移入したゲンジボタルで地元のゲンジボタルが絶滅してしまいました。 http://www.ab.auone-net.jp/~biology/Tatsuno.htm [auone-net.jp]

        今回のクニマスが西湖へ移入された理由は,はっきりしません。 単なる増殖のためなら,現在の生物多様性保全の考えからすれば安易だったでしょう。

        朝日新聞の第一報(12月15日)で,クニマス研究者・杉山秀樹・秋田県立大客員教授が, 「田沢湖のクニマスが絶滅したのは事実。いわば国内産外来種」 http://www.asahi.com/eco/TKY201012140539.html [asahi.com] とコメントしてるのに私は同意します。

        ただし,種の絶滅を避けるためなら,ベストと言えなくても,次善の策だったと思います。 最近も,静岡ー山梨間の中部横断道建設に際して,希少なアカハライモリとモリアオガエルを移住させた例があります。 http://www.ktr.mlit.go.jp/koufu/news/h22announce/h220917.pdf [mlit.go.jp] 道路を作らないのがベストでしょうが,作ることが前提で絶滅する恐れがある生物は,このような措置もあります。

        また,数十年前には,生物移入ということは,ごく普通のことだったという論文があります。

        「なぜ移入種は排除されなければならないのか? 」 瀬戸口明久(大阪市立大学准教授) http://homepage3.nifty.com/stg/pap_0202.html [nifty.com]

        この考えからすれば,他地域へのクニマスの放流は,もっと多く場所であったのではないでしょうか。 今回,偶然残っていたものが偶然発見されただけ,ということかもしれません。
        --
        Iguchi Y
        親コメント
      • by Anonymous Coward on 2010年12月17日 0時41分 (#1875207)
        どっちが先か知らぬがヒメマス自体も阿寒(かケミチップ)からの持出しなわけで...。
        クニマス持出し昭和10年、田沢の発電所開発決定は12年なので、
        種の絶滅心配してという美談より、単に十和田ヒメマスみたいに
        漁業資源化めざしてたほうがしっくりくる。
        意図的に生態系を作りかえようとしてた。
        親コメント
  • 辰子姫伝説 (スコア:2, 参考になる)

    by Anonymous Coward on 2010年12月16日 12時53分 (#1874779)

    地元には辰子姫伝説 [akita.jp]という民話があって、龍に変身してしまった娘を悲しんだ母親が、持っていた松明を田沢湖に投げ捨てたところ、
    その松明が魚になって泳ぎ出したということです。この魚がのちにクニマスとよばれるようになりました。

  • 送った人は (スコア:2, 興味深い)

    by sunnydaysundey (32697) on 2010年12月16日 15時40分 (#1874927)
    さかなクンに送った人も、これ狙ってたんじゃないの?って、ちょっとだけ思った。

    テレビニュースで見たとき、地元の漁師の人が
    この魚をヒメマスに似てるけど色とかが違うのでクロマスと呼んでると
    答えている場面があって、
    「こいつはもしかして別モンなんじゃねーの?」
    と前から思ってたんじゃないかと。

    で、さかなクンにヒメマスを依頼された時に
    「面白いからこいつ送ってみよう」
    なんて思ったりしたんじゃねーの?って。
    ヒメマスに比べてたまにしか捕れないと言ってる魚を、
    わざわざ選んで送ってきたってのが、狙ってるっぽい気がしてしょうがない。

    まあ単なる空想ですけど。
  • 名前が微妙なので、
    2chでお祭りになってしまっています。
    今後は、別名で呼んだ方が良いのではないだろうか?
    キノシリマス・・・・・・
    なぜか、もっと変だ。
  • さかなクン△ (スコア:2, おもしろおかしい)

    by Anonymous Coward on 2010年12月16日 19時52分 (#1875072)

    世界で唯一フグの毒に抗体を持つ人間(WTO登録在り)
    現在発見されている魚類の1割を発見した人物
    魚類検定1級保持(2009年で唯一の合格者)
    「人類で最も多く魚を食べた人間」としてギネスに登録

    だぞ
    並の人間じゃない…

  • by TarZ (28055) on 2010年12月16日 21時13分 (#1875104) 日記

    いくつか見つけたのでメモ。

    田沢湖環境協会 Youtube Kunimasu Campaign Poster Xed [youtube.com]
    (赤い×)

    海外ニュース(いくつかありますが、とりあえず有名どころ)
    The Daily Telegraph (UK) Japanese salmon declared extinct 70 years ago found swimming in lake [telegraph.co.uk]

    フィクションが現実になった矢口高雄氏のコメント [sampei33.jp]

  • このクニマスについて,移入種じゃないか,という意見があるので,ホタルの移入問題を研究してる私もコメントを書いてみました。

    長野県辰野町では,県外から観光用に移入したゲンジボタルで地元のゲンジボタルが絶滅してしまいました。
    http://www.ab.auone-net.jp/~biology/Tatsuno.htm [auone-net.jp]
    これは辰野はもちろん,近隣地域にもゲンジボタルが当時生息していたにもかかわらず,それらを採集して増やすのは大変だから(辰野町誌の記述)という安易な理由で県外から移入した結果,こうなってしまったのです。

    今回のクニマスが西湖へ移入された理由は,はっきりしません。。
    単なる増殖のためなら,現在の生物多様性保全の考えからすれば安易だったでしょう。

    朝日新聞の第一報(12月15日)で,クニマス研究者・杉山秀樹・秋田県立大客員教授が,
    「田沢湖のクニマスが絶滅したのは事実。いわば国内産外来種」。
    http://www.asahi.com/eco/TKY201012140539.html [asahi.com]
    とコメントしてるのに私は同意します。

    ただし,種の絶滅を避けるためなら,ベストと言えなくても,次善の策だったと思います。

    最近も,静岡ー山梨間の中部横断道建設に際して,希少なアカハライモリとモリアオガエルを移住させた例があります。
    http://www.ktr.mlit.go.jp/koufu/news/h22announce/h220917.pdf [mlit.go.jp]
    道路を作らないのがベストでしょうが,作ることが前提で絶滅する恐れがある生物は,このような措置もあります。

    また,数十年前には,生物移入ということは,ごく普通のことだったという論文があります。

    「なぜ移入種は排除されなければならないのか? 」
    瀬戸口明久(大阪市立大学准教授)
    http://homepage3.nifty.com/stg/pap_0202.html [nifty.com]

    この考えからすれば,他地域へのクニマスの放流は,もっと多く場所であったのではないでしょうか。
    今回,偶然残っていたものが偶然発見されただけ,ということかもしれません。
    --
    Iguchi Y
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身近な人の偉大さは半減する -- あるアレゲ人

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