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サイエンス

降圧薬「バルサルタン」の臨床試験でのデータ改ざんが次々と明るみに 84

ストーリー by hylom
あまり話題になっていなかったが一部では大騒動に 部門より
あるAnonymous Coward 曰く、

ノバルティスファーマ社が「ディオバン」という商品名で発売している「バルサルタン」という降圧薬(血圧を下げる薬)について、その臨床試験データでの不正操作が明らかになった。この事件には企業と複数の大学が絡んでおり、またすでに市販されている薬ということで、かなり大がかりな騒動になっている模様。

問題となっているバルサルタンは降圧薬としての効果が確認されているが、それ以外に「脳卒中や狭心症を減らす効果」があるとうたっていた。この根拠となっていたのが、慈恵医大および京都府立医大、滋賀医大、千葉大、名古屋大の5つの大学で行われた臨床試験結果だった。これらの論文内容に対しては当初から批判が多かったのだが、今年2月に京都府立医大の研究チームが執筆した臨床試験論文3本について、「重大な問題がある」として撤回されていたことが明らかになった。

当初は「データ集計の間違い」と主張していたが、その後これを受けて京都府立医大が調査を行った結果、解析データが人為的に操作されていたことが発覚(MSN産経ニュースYahoo!ニュース)。さらに、慈恵医大の論文についても、データが人為的に操作されていることが同大学の調査で発覚した(毎日新聞)。

これらの事件で大きく問題視されているのが、ノバルティスファーマ社の社員(すでに退職)が研究や論文に直接関わっていたという点だ。この社員は大阪市立大の非常勤講師として研究に関わり、同大所属として論文を執筆していたという(毎日新聞)。

ダイヤモンドの記事によると、5大学いずれの臨床研究にも自分が製薬会社に所属してることを明らかにせずにデータ解析に関わっていたという。研究に大きく関われるポジションにいたことから、この社員が事件の鍵を握るとみられているが、自身はデータの操作を否定し、また調査にも非協力的であることから、真相解明にはまだ至っていないようだ。

ノバルティスファーマ社側は記者会見で不正への関与を否定するとともに、「本研究が医師主導のため、データを持っていない弊社としましては、調査にも限界がある」と主張している(同社の発表)。

なお、バルサルタンの降圧薬としての効果や安全性には問題はないため、すでに処方されている患者に対しては服用をやめないよう呼びかけられている。ただ、本件とは直接関係の無い副作用の情報も出ていることもあり、別の降圧薬に切り替える動きもあるようだ(共同通信QLife Pro)。

ディオバンは他の降圧薬と比べ高価というが、それでも謳われていた効果を期待して使われておち、「医師が処方する国内の医療用医薬品の中で最も売れた」医薬品となっていたそうだ。

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  • バルサルたん (スコア:3, おもしろおかしい)

    by Anonymous Coward on 2013年08月01日 8時14分 (#2432391)

    バルサルたんという名の萌キャラつくって、お詫び行脚したら?

  • 工作員 (スコア:2, 興味深い)

    by Anonymous Coward on 2013年08月01日 9時19分 (#2432427)

    一人潜り込ませてデータ改ざん。
    首尾よく新薬発売できれば、
    一生食っていける程度の金を渡して雲隠れさせて終わり。

    しかし
    >5大学いずれの臨床研究にも自分が製薬会社に所属してることを明らかにせずにデータ解析に関わっていたという。
    どうやって関わったんだろう。
    学生でもないし製薬会社社員でもないし。
    コネがあったら逆に立場はワレるだろうし。

    • Re:工作員 (スコア:2, 興味深い)

      by Anonymous Coward on 2013年08月01日 9時49分 (#2432448)

      >>5大学いずれの臨床研究にも自分が製薬会社に所属してることを明らかにせずにデータ解析に関わっていたという。
      >どうやって関わったんだろう。

      「所属してることを明らかにせず」の対象を勘違いしている。

      論文を研究雑誌や学会に提出する際に、共著者がどの機関に所属しているのか明らかにする。
      この「研究雑誌や学会」あるいはその論文を審査する査読者に対して「所属してることを明らかにせず」、なんだよ。
      「作った会社の社員が関わっている、と査読者に明らかになったら慎重な審査が加えられるかもしれない」と懼れて
      それを避けるためでしょう。 この行為自体単体のみでは不正かどうかはグレーだとおもう。分野によってはアウトかも。

      大学には、これは推測ですが、製薬会社社員であることは教授陣に「明らかにして」、それをコネとして
      非常勤講師(:これはタレこみ文記載ずみ)として入り込んだんでしょう。
      非常勤講師として採用されるのも本来は難しいけど、給料製薬会社もちの大学所属名前貸しの可能性も考えられる。
      じゃなきゃ、おっしゃる通り大学の研究室にもぐりこむのは難しい。

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  • by iwakuralain (33086) on 2013年08月01日 10時24分 (#2432467)

    製薬会社 調査は医師主導でデータがないのでこっちではよくわからん
    大学側  研究費をたくさんもらっていたけど、まさか研究員が企業の人間だったとは・・・
    研究員  そんなことはしていない

    この場合は誰がどうすればいいんだろうか。
    放置しとくとなすりあいに終始しそう。

    どちらかというと
    医師側が虚偽記載で訴訟するとか
    患者側が不当に高い薬を使わされたとか
    国が余計な医療費を負担させられたとか
    外側が動かないと進展しない気もしないでもない。

    # オプションの機能が疑われた状態で薬の機能としてはちゃんとあったので
    # 薬害のような感じではないけど何というか利害が絡んで利益が莫大になるとなるとお約束のように起こる感じ

  • by Anonymous Coward on 2013年08月01日 8時12分 (#2432389)

    http://www.huffingtonpost.jp/2013/07/31/diovan_n_3681117.html?utm_hp_r... [huffingtonpost.jp]

    不正があった疑いは消えていないが、副反応みたいなもんだし、扱いは微妙ですね。

  • by Anonymous Coward on 2013年08月01日 8時41分 (#2432403)

    それでも学術論文のほうがTVの「情報番組」よりはマシな可能性が高いと思うけど。

    • 解釈間違いは許容されるけど、データ捏造したら研究者人生は半分終わりですからねぇ。

      嘘つき放題のTV番組と比較するのは、いくらなんでも……

      --
      notice : I ignore an anonymous contribution.
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      • しかし結局は、
        元社員はデータ改竄の証拠がなく逃げ得、
        医者も会社も売り逃げ、
        患者も効果のない薬でも高価な薬飲めば効いたような気がする、
        三方一両得で終了しそうですが。

        せめて会社は知らぬ存ぜぬで済ましちゃ駄目でしょうけど、済んじゃうんだろうな。

        親コメント
        • 「このままだと普通の売れ行き、ただし薬価はどんどん下がるし売上も(競合他社薬やジェネリックなどのために)下がる」
          「効能を追加すると薬価も販売量も上がる」
          という前提があるので、

          >医者も会社も売り逃げ、

          売り逃げっちゃ売り逃げなんですけど、「余計なことしなければ」あるいは「バレなければ」確保できた売上を失いますし、
          今後別の薬を申請した時にも他社より厳しい目で見られることになります。
          もちろん、医者・病院への営業においても悪影響を及ぼします。
          言うほど楽観視はできないですよ。

          >患者も効果のない薬でも高価な薬飲めば効いたような気がする、

          根拠はありませんが。、患者は「他の薬との価格差」をそんなに気にしてないんじゃないかなぁ。
          「同じ効果を謳う、化合物として別の薬」なんて山ほどあるわけですけど、その価格を知り差を知り「あっちの方が安くて俺に合ってる」とまで調べる人は(降圧薬では)少数派のような気が。

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        • by Anonymous Coward

          損をするのは健康保険組合ですが、職員にしてみりゃ自分の金じゃないし、
          組合員にしてみりゃどうせ給料から天引きされて持っていかれる金だしどうでもいい。

          病院がはびこるわけですなぁ。

        • by Anonymous Coward
          でもさ、一錠で数千円とか数万円の薬価は科学的な裏づけや公的な承認という付加価値があるからでしょ。
          それが、「しじみ数十個ぶんのエキスが凝縮!一袋60粒入りで3980円!」のレベルの商売になることに何のメリットがあるんだろう。

          ”効いたような気がする”でOKってそういうことだよね。
      • by Anonymous Coward

        降圧剤としての効果には影響ない。

        それ以外に「脳卒中や狭心症を減らす効果」があるとうたっていた。

        と余計なことを書くから……
        (実際それで売れたというのはあるんだけどね)

        血圧下がるんだったら、脳卒中が減ってもいいよな?なんて考えだったんだろうね。

      • たとえ他局や他社の捏造であっても、捏造を指摘したり糾弾したりするのは御法度なんだろうなあ。自浄作用を発揮しようとすると消されるとか。

    • by Anonymous Coward

      データ改ざんは学術論文の存在意義自体を疑いかねないことであるのは事実ですけど、
      それでも、学術論文と情報番組を同列に語るって何じゃそりゃといいたい。

      ・・・ただ、専門外の一般人の読者の視点で見れば、そう思うのも判らないでもない。

      そもそも一般の人にとっての学術論文って、どこかのメディアがニュースとして取り上げて解説してくれないとわからないものなので(存在自体も)、つねに学術論文に対してメディアと情報のフィルターが入って劣化したものしか入手できない。実際、情報を入手しても理解も出来ないし価値もわからんので、結局「解説」というなの誰かの「判断」を鵜呑みにするしかない。つまり、最初から自分で判断できる状態ではないのだ。常に情報提供者の判断を受け入れるだけ。

      そりゃ、情報番組と一緒だ。

      情報ソースの台詞回しが「学術論文」にスイッチするだけ。

    • by Anonymous Coward

      所詮、追試されないような分野なんだから、みんなそんなもんだと思って見ていて当然でしょ。

      私の知る範囲だと、例えば素粒子物理だったら10年以上にわたって厳しい目が向けられる。
      捏造なんて誰もしないと思うし、捏造なんてしなくても本気で疑ってかかる人が山のように居る。

      • >所詮、追試されないような分野なんだから、みんなそんなもんだと思って見ていて当然でしょ。

        いやいや適当なことを仰る。
        申請までに複数の試験を行い、販売後もさらに試験を要求されて、通らなきゃアウトの世界ですよ。
        さらにそれでも疑わしい場合は改めて新しい試験をしろと言われることも。
        販売後何年も経ってから取り消し、というのも無いわけじゃない世界です。

        #担当するのが販売会社だから信用できない?でも他社の薬を否定するために何億何百億と払う競合他社なんてそうそう居ませんよ……。
        #あと医者から効果を否定する論文が上がってきたり、厚労省(の類い)が後追い研究して疑いを呈したりというケースも無いではありません。

        そりゃ物理学の世界の厳しさも全く知らないわけじゃないんでそっちよりは緩いかと思いますけど、
        例えば物理学の大発見に匹敵するような新薬が出てきたらそりゃあ他社だって黙って見ずに独自に検証やら類似化合物での研究やらで実質再試みたいなことやりますよ。

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        • by Anonymous Coward

          物理の世界だって殆どの人の気にもとめられないマイナーな雑誌のマイナーな論文だったらいいかげんなものは散見されますから,分野の問題ではないですよね.大きな問題になったヘンドリック・シェーンの捏造研究も当初は大歓迎されたわけですし.
          この問題だって2011年には文科省に不正告発の申立書が出されていたし,去年には学術雑誌にも疑義が呈されていたので,ついに逃げきれなくなったというのが正しいでしょう.

          逃げきれなくなった原因の一つが写真週刊誌のスクープ記事というのが興味深くて,どうして大手の新聞社やメディアが取り上げなかったのだろうかと勘ぐってしまいます.

  • こういうのって、どういう方法で正しさを担保すべきなのだろう。
    すべき、というか、どんな方法なら不正を防ぐことができるのだろう。
    • ざっくり言うなら、ちょっと前におけるその対策は、
      「医者の資料は企業や(たまーに現れる)査察官が確認する」「企業の資料は医者や(たまーに現れる)査察官が確認する」という形で
      企業と医者が結託していなければ、どちらかがミスや不正を見つけて正しいものに修正するだろう、という形でした。
      (もちろん人間が見るので”正しさ”の限界はありますが、そこはちょっと別の問題ということで)

      ですがそれは結局医者と企業が結託すればデータ偽造できちゃう、ということでどうするか。
      今度は、「なるべく生に近いデータを改竄できない形(正確には「改竄したらバレる形で」)残し、査察や審査はその生データと企業の提出データとを見比べる」という方向に移りつつあります。

      例えば簡単なところなら、体重や体温などの測定データを、測定機器が即ネットワークに記録しログを全部残す。
      データ修正しようとしたらその内容から作業者から日時から一通り残す。
      こうすれば、少なくとも「体温計には37.5℃って出てるけど36.5℃って書いちゃった」って類いのミスが防げますし、
      「0.5ポイントしかアップしてないけど10ポイントアップしたって報告しちゃえ」とかもどんどん難しくなりますし、
      「効いてないのに効いたと報告」「病気になったのに病気じゃないと報告」とかがどんどん難しくなります。
      (もちろん限界はありますし、厳しくしすぎるとコストとのバランスがおかしくなるので、曖昧あるいは意図的な操作が可能な範囲はどうしても残るのですが)

      あと忘れちゃいけないのは、こういう事件は結局「調査する仕組みがあり、おかしなケースを見つけることができた」という話であることです。
      こうやって不正が見つかり話が広まるということそれ自体が「不正を防ぐ」ことの一つの役目を担っています。
      よく「ウソでもいいから一発当てて売り逃げしちゃえば製薬企業の勝ち」みたいなこと言われますが、
      当てれば何十何百億儲かるというのは、当てなきゃつぎ込んだ何億何十億を丸損することでもありますし、不正が見つかれば「それまで儲かっていたもの」ですら儲けを失うので気軽にウソを付けるものでもありません。
      アメリカとかですと罰が非常に大きいせいで不正発覚一つで会社倒産なんてことも(ちょいちょいある、と書きそうになって、そこまでの知識は自分には無かった)。

      #じゃあ罰を厳しくすればいいのかと言うと、罰を与える方も完璧ではないせいで
      #「正しいつもりでもアウトになる」リスクも上がるため、
      #「正しくやるためにかかるコスト」より「不正を隠しほどほどにやるコスト」の方が低くなってはマズいんですがね。

      親コメント
      • by Anonymous Coward

        今回の不正で失われる儲けはあるの?

        今回のような不正はやった方が得とかにはならない?

  • by Anonymous Coward on 2013年08月01日 11時02分 (#2432492)

    データ解析がいいかげんで製薬会社の社員まかせだったということは、薬効ありという結果が最初から決まっていて適当に臨床実験をやったということになる
    物理学などで実験的に理論を検証するとか、新現象を発見したなどという論文ではデータ解析を疎かに出来るはずがない
    (ノイズだらけのデータから有意な結果を必死になって探し出すようなものだから)
    結局、医者と医者に研究資金を提供した製薬会社が出来レースをやっていたということになる

  • by Anonymous Coward on 2013年08月01日 11時16分 (#2432495)

    息子6歳が腎臓系の難病を煩い、治療の一環でディオバンを、毎朝、服用しています。

    まあ、今のところ、「降圧薬としての効果や安全性には問題はないため」との報道もあり、
    医師の処方に従って服用していますが・・・、本当に、こういった事態は困る!!!

    原因不明の疾患で、副作用の大きなクスリをたくさん飲んで、なんとか対処療法で、
    症状を押さえ込んでいる状態で、この不正改竄!!!

    症状が安定し、ようやく、学校に行き始めて、少し、ホッとしたところに・・・
    そりゃ!!ないだろう!!!頼むよ!!!!!!!!!!!!

    親としては、藁をもすがる気持ちでいるのに!!!

    • 4年ほど前からディオバン80mgを、3年ほど前から配合薬であるコディオ配合錠EXも併せ処方されています(一日にディオバンの最高量である160mgの処方です)。
      私の場合は降圧剤の補助と臓器保全(脳卒中や狭心症予防)が目的だそうで、処方された当時ネットで調べられるだけ調べましたが、「同種の薬剤の中では降圧作用はさほどでも無い(他と比して顕著に効くわけではない)が、臓器保全と降圧補助で考えると他を抜きん出る」旨の評価がでていたと記憶しています。臓器保全が主眼でないのなら他の同種の薬剤でも問題は無いとされていたような(今調べてもこの「データ操作」関連記事が多くちょっと見つけにくいですが)。
      現在求職活動中で二ヶ月通院していないため、処方通りの服薬はしていないのですけど、もし問題があるなら医師なり調剤薬局なり国保健保組合なりから一言あってもよさそうな気がします。
      不安でしたら(不安ですよね)主治医に相談されることをおすすめします。あとセカンドオピニオンの利用とか。
      あと信用するかどうかはありますが、ディオバンお問い合わせ窓口 [diovan.jp]とか。

      親コメント
    • >親としては、藁をもすがる気持ちでいるのに!!!

      藁をもディオバンにすがる気持ち、御心配はいかほどかと。

      私もすでに10年来ディオバン飲み続けているけど今のところ血圧は安定してて、特に副作用もなくて上々。
      ちょっと前の春先だったかこの件一報があった気がするけど、その時も主治医と話し合って薬の効用自体には問題ない(と信じてる)のでこのままいきましょうということにしてます。

      週末にまた検査に行くのでこの話題がまた出るだろうなぁ。

      親コメント
    • by Anonymous Coward
    • by Anonymous Coward

      びっくりマーク連発とかしてると一気に読む気がなくなるし信用度が下がるのでおすすめできません

    • by Anonymous Coward

      ×対処療法(たいしょりょうほう)
      ○対症療法(たいしょうりょうほう)

    • 大人の対応では?

      • by Anonymous Coward

        自分が毎日食べていたものが高濃度の放射能に汚染されていたことが分かってもさらっと流すのが大人の対応ですね

        • by Anonymous Coward

          ただちに健康に影響ないしな

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アレゲはアレゲを呼ぶ -- ある傍観者

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