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EU

学術論文出版社による反競争的行為の調査をEU競争総局に求める訴状が提出される 38

ストーリー by hylom
寡占を突破できる何かが必要 部門より
headless曰く、

Elsevierなどの学術論文出版社が反競争的なビジネスを行っているとして、研究者や欧州大学協会(EUA)が相次いでEU競争総局に調査を求める訴状を提出した(TorrentFreakJonathan Tennant氏とBjörn Brembs氏の訴状EUAの訴状PDF)。

10月26日に提出されたJonathan Tennant氏とBjörn Brembs氏による訴状ではElsevierの親会社RELXが対象となっている一方、10月30日に提出されたEUAの訴状ではRELXに加えTaylor & FrancisやWiley-Blackwell、Springer Nature、SAGEも対象となっているが、訴えの趣旨は同様だ。

2件の訴状が指摘している問題点としては、学術論文出版市場が寡占状態にあること、公的な補助金を受けることも多い学術論文で出版社が多額の利益を上げていること、購読契約にNDAが含まれるため価格の透明性がないこと、手数料を取ってオープンアクセスにした論文も購読料に含めていることなどが挙げられる。

作者に原稿料を払う一般的な出版社とは異なり、学術論文出版社は大学や研究者が無償で提供した論文を扱うため、大きな利益を上げることが可能となる。出版社は編集者に給与を支払うが、編集作業で重要な位置を占めるピアレビューは研究者がボランティアベースで行う。論文となる研究が公的な補助金を受けていることや、ピアレビューを行う研究者が公的機関から給与の支払いを受けていることも多い。

一方EUAによれば、欧州の大学は学術論文を購読するため、控えめに見積もっても年に数億ユーロを支払っているという。このような状況について、EUAでは酪農家が乳製品メーカーに無料で牛乳を提供し、高価な紙パック入りの牛乳を購入するようなものだと述べている。

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  • 無償どころか (スコア:4, 参考になる)

    by Anonymous Coward on 2018年11月13日 19時03分 (#3514845)

    > 大学や研究者が無償で提供した論文を扱う

    いやいや、殆どの論文誌は著者から投稿料もしくは別刷り料(事実上投稿料)を取っています。
    無償で提供しているのは主に査読です。

    • by Anonymous Coward on 2018年11月13日 19時13分 (#3514854)

      > いやいや、殆どの論文誌は著者から投稿料もしくは別刷り料(事実上投稿料)を取っています。

      それって、余計に(出版社のやり口が)ひどいんじゃ…

      親コメント
    • by Anonymous Coward on 2018年11月14日 17時38分 (#3515407)

      いやいや。ほとんどってどの業界?
      少なくとも生態学近辺に限って言えば、掲載料page chargeをとるところの方が少ないですよ。
      それに別刷りは欲しい人だけが購入するもので、普通の人は貧乏だからそんなもの買わず、PDFだけ保存しておきます。

      オープンアクセスジャーナルと呼ばれるものが掲載料必須で、そのうちの多くというか大多数がはげたかジャーナル(predatory journal)と呼ばれるろくでなし雑誌ですよ。インパクトファクターもない、査読もきちんとなされない、内容は引用に値しない論文ばかりのっているジャーナルね。

      親コメント
      • by Anonymous Coward

        なんか、ものすごく偏ってるな。

        掲載料page chargeをとるところの方が少ない

        掲載料の話は出てないですね。元コメントが言っているのは投稿料。
        投稿するだけでお金を取られます。レビュープロセスが発生するので当然といえば当然だけど、レビューアーは無報酬の一方、投稿された論文を著者から預かってレビューアーに転送するだけの簡単なお仕事をしている出版社の懐に入ることが問題。

        普通の人は貧乏だからそんなもの買わず、PDFだけ保存

        例えば、PDFファイルを保存している人がA大学 (当該コンテンツのライセンスあり) からB大学 (当該コンテンツのライセンスなし) に移動した時に、B大学で当該PDFを閲覧するのは

    • by Anonymous Coward

      金をとらないと、ふざけたものが増えるという面もないわけではない
      載ったら返金とか所属研究者の掲載実績に応じて無償提供とかなればいいんだけど

      話は変わるが、日本の選挙の供託金はもう無くしてもいいと思う

      • by Anonymous Coward

        > 話は変わるが、日本の選挙の供託金はもう無くしてもいいと思う

        オフトピに反応するけど、供託金無くすと記念立候補が山ほど増えるけど OK ですか?
        街宣車で自社製品を宣伝しまくるために立候補するというアイディアも聞いたな。
        国政選挙なら NHK 全国放送で宣伝できるぞ。

        選挙期間になったら数多の街宣車が走りまわる未来とか勘弁して欲しい。
        今でも十二分に邪魔なので。

        日本の選挙の街宣車や街頭演説(テレビ演説も)はもう無くしてもいいと思う

        • by Anonymous Coward
          つまり無くすべきは街宣車と政見放送であって
          供託金は別に無くしていいと意見が一致しましたね
          • by Anonymous Coward

            街宣車は潰していいと思うけど、政見放送を廃止すると、
            広告類を緩和しなければ「名前(とポスター)だけで全候補者政策不明」となる。
            広告類を緩和すると「有権者にリーチ出来るメディアを活用した有権者以外政策不明」となるぞ。
            緩和対象がネットの自サイトのみとかなら良いんだが、そうでないと広告業界に都合の良い奴しか周知されない結果に終わる。

    • by Anonymous Coward

      なんだこの意味不明なマイナスモデ

    • by Anonymous Coward

      >大学や研究者が無償で提供した論文を扱う
      >編集作業で重要な位置を占めるピアレビューは研究者がボランティアベースで行う。

      論文ネタは無償で提供するにしても、レビューで研究者がお金もらえるようになれば少し嬉しい。

  • by hakikuma (47737) on 2018年11月13日 18時41分 (#3514832)
    もう少しRELAXして考えたら。
    • by Anonymous Coward

      一瞬、誤字なのだと思ってしまったら、本当にそういう名前なのですね

      • by Anonymous Coward

        なんか見たことあるアニクロムだと思ったら
        LERXの日本人的な勘違いだった

  • by Anonymous Coward on 2018年11月13日 19時38分 (#3514869)

    研究の補助金の要件に、成果は無料で読める媒体に発表すること、って条件をつけるだけでよいのでは?

    • by Anonymous Coward on 2018年11月13日 21時25分 (#3514948)

      残念ながら、それは望ましい解決策ではない。
      というのも、そのような条件が最近はあるので、オープンアクセスのオプションがあって査読料にいくらか足すと
      オープンアクセスになります。
      そうするとその雑誌は更に評価があがり、原稿を集め、寡占がより進みます。

      親コメント
      • by Anonymous Coward

        論文のコンペをしているようなものなので、その雑誌は、コンペの場としては有力になるけど、雑誌はいらなくなるのでは。

    • by Anonymous Coward on 2018年11月13日 19時48分 (#3514879)

      EUなら、EU競争総局なら反競争的なビジネスに鉄槌を下してくれる
      この調子でEU域内にはびこる反競争的なビジネスを徹底的に潰し、公平で公正な社会を作って欲しい

      TPP加盟国は少し離れたところから見守っている位がちょうどいいかな?

      親コメント
      • by Anonymous Coward

        日本でも率先してやるべきでしょ。

      • by Anonymous Coward

        ただの非関税障壁だろ

    • by Anonymous Coward on 2018年11月13日 19時57分 (#3514888)

      arXivとか大学のリポジトリがそれに相当するけど、雑誌によっては著者版を置くことを禁じている雑誌もあるからなぁ。

      親コメント
      • by Anonymous Coward

        「そういう規則を設けた論文誌は補助金を受けた研究を一切掲載できなくなる」というのが圧力が生じる。
        研究者が金欠にあえいでいるというのなら、補助金のためにそういう論文誌をある程度切り捨てる事が期待できる。

        そこまでいければ論文誌が方向転換するか、
        研究者からより搾り取る(より絞れる研究者だけを相手にする)方向を加速するかは論文誌次第。
        ・・・でも、疑似科学的な詐欺を働いてる偽研究者程金持ってそうなんだよね・・・
        そういう事するのは一定以上の「権威ある論文誌」だろうから、
        「権威ある論文誌」がこぞって疑似科学的な詐欺を働いてる偽研究者から金をもらう構造になったりすると地獄だなぁ・・・

        • by Anonymous Coward

          論文誌がムーとかTOCANAになっちゃう...いや、ムーやTOCANAのほうが誠実か

    • by Anonymous Coward

      米国NIHグラントはすでにそうなってるよ

  • by Rene (46593) on 2018年11月13日 20時07分 (#3514894) 日記

    日本の大学で論文誌を購読するカネがないってのは聞いたことがあって、大学もだいぶ貧乏になったんだなあと思っていたけど、
    そもそも購読料が高すぎたというわけか。

  • CERNが開発した全世界規模の論文共有システムが稼働してるというのに
    • by Anonymous Coward

      名の知れた論文誌への掲載で学者が評価されてるからでは?
      各研究分野ごとに一斉に arxiv.org に移行すれば済む話のような気がするけど、慣性があるのでなかなか難しいんじゃないかしら。
      訴訟と移行とどっちが本当に難しいのかはよく分かりませんが。

      • by Anonymous Coward on 2018年11月13日 21時32分 (#3514951)

        1、arxiv.orgの分野にはない分野があります。
        化学はいつまでたっても閉鎖的で作られる気配がありません。
        なお、閉鎖性はどこでも同じでアメリカでも閉鎖的です。
        2、一流の論文誌に掲載されることは評価されるので、そこで評価するのはアンフェアだよねというコンセンサスが必要です。

        掲載→評価→原稿の集客力、科学者としてのキャリアアップ
        というスパイラルなので、これを止めなければ問題の解決はないでしょう。

        大学の人は、良い科学者を集めるのは良いのですが、”それ読めないじゃん”、みたいなことになると本末転倒なのですが、
        見直される気配はあまりないですね。

        親コメント
    • by Anonymous Coward

      査読システムの有無とか
      (…と、その際に英文がへたくそだからなおせときちんと怒られているか、とか)
      あとは単純に論文誌のランクがカテゴリとして機能している(読まれるためにハイレベルなとこを目指す)とか

      # 分野による、を言い出すときりがないので当てはまらない研究者の方もどうか怒らずに…

  • by Anonymous Coward on 2018年11月13日 20時54分 (#3514924)

    まずはNature締め出しだな

  • by Anonymous Coward on 2018年11月13日 23時00分 (#3514995)

    なぜ学会は Elseviorに学術誌の運営を丸投げするのか?
    そこが本当の問題だと思うが・・・

    • by Anonymous Coward on 2018年11月14日 0時22分 (#3515010)

      学会は学術誌の運営をするためのものではないから、そもそも「丸投げ」という言葉がそぐわない。
      「学会は、学術誌の運営もするべきだ」というなら、まだ議論のしようがある。

      親コメント
  • by Anonymous Coward on 2018年11月14日 1時36分 (#3515034)

    医師が名門と呼ぶ学術誌ですら医師に賄賂渡して
    「インタビュー」と称して都合のいい見解集めてまわってます
    英国の学術専門誌でした

  • > 手数料を取ってオープンアクセスにした論文も購読料に含めていること

    オープンアクセスになってる論文だろうと手数は変わらないはずなのに、それで購読料に含めるなとするのならオープンアクセスにすることに対する負の動機づけがされてしまうのでは?

  • by Anonymous Coward on 2018年11月14日 10時12分 (#3515163)

    「大きな利益を上げることが可能となる」と印象操作したいようですが
    自分がサービスを提供する側ならやりたい?

    ・売上がたかだか数億ドル
    ・紙の論文からインターネットへの移行期であり投資と償却が必要
    ・無料の学術論文プラットフォーム、さらには論文ですらないホームページ、wikiと競合しておりいつまで事業を続けられるかわからない

    アカデミックなニーズをよく知ってるはずの
    当人たちがベンチャーを立ち上げて競争をしかけない理由はなんでしょうか

    アカデミックなポストで収入を得ている著者、査読者は無償で
    出版社だけが金を取るのは紙の論文の時代から行われていることなので
    なんでミルクに喩えるのかもわからない

    • by Anonymous Coward

      その、ベンチャーで作った論文誌の評価を上げるのに時間がかかりそうだからかなぁ?
      ある程度伝統と実績が必要だよね、もちろん内容も大切だけど。
      あとは、新思潮なり白樺なり、作者たちが作った同人誌だってとうの昔に消えているし、
      書く側と売る側のニーズというか能力というかは違うと思うよ。

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UNIXはシンプルである。必要なのはそのシンプルさを理解する素質だけである -- Dennis Ritchie

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