アカウント名:
パスワード:
より多くのコメントがこの議論にあるかもしれませんが、JavaScriptが有効ではない環境を使用している場合、クラシックなコメントシステム(D1)に設定を変更する必要があります。
※ただしPHPを除く -- あるAdmin
除菌はしない方向で (スコア:1, 参考になる)
Re:除菌はしない方向で (スコア:2, 参考になる)
するという菌を作ればいいんじゃないか?
あるいはCagAの生成を抑制する薬剤など。
#ピロリ菌は悪くありませんよ。
Re:除菌はしない方向で (スコア:5, 参考になる)
んん、つーかそもそもヘリコバクター・ピロリには、CagAを産生する菌株としない菌株が存在してます。現在、ピロリ保菌の検査は何種類かありますが、いずれも原則として胃粘膜でのウレアーゼ活性を(直接、間接に)指標としているものが多いのですが、保菌しているからといって必ずしも胃炎(急性胃炎、慢性胃炎)を起こすとは限らないし、胃癌の発生につながるとも限らない。で、畠山先生をはじめ、ピロリ研究者の中には、CagA陽性ピロリを診断することの方が重要なんじゃないか、と主張している人がいるわけです。
ヒトや動物の胃には、CagA陽性/CagA陰性のピロリやピロリ以外のヘリコバクター属菌が常在していると言われてます。これらはいずれもウレアーゼを産生することで胃の酸性環境下で生存してまして、このウレアーゼによって胃粘膜中の尿素からアンモニアを生成し、それによって菌周囲の酸を中和することで定着を可能にしていると考えられてます。これらの菌の「保菌者」では、これらの菌が一種の常在菌として機能しており、これらが作り出すアンモニアによる中和効果コミで胃内の環境が調整されるため、宿主側が産生する胃酸の量が多いのではないか、と。だから除菌によって胃内のpHが低下し、それが食道に逆流することで逆流性食道炎を起こし、それが食道癌のリスクを上げるのではないか……という、そういう学説です。実際、除菌治療によって胃内pHが低下することは現象としても明らかになってて、だから胃酸分泌を抑制するH1ブロッカーなんかを併用したりするわけです。
ただまぁ、ウレアーゼによって生成されるアンモニアや、それからさらに生じる活性酸素群も粘膜に対しては、そもそも炎症的に作用します。なので、本当にCagAだけが悪役なのか、というとそれは判らない部分もある。ただし炎症に関しては、CagAが炎症を惹起する活性が強いということはこれまでに明らかにされてきた(それこそ畠山先生のSHP2との関連についての研究とかが)ので、CagA陽性ピロリが「胃炎を起こしやすい強毒株」である、ということは確かです。
問題になってたのは、やはり「がんとの関係」がどうかということ。原則的に、炎症が繰り返し起こると癌が発生しやすいということは、これまでにも多くの癌で知られてた現象なわけでして。胃癌とピロリの関連についても慢性胃炎を起こすことで、いわば間接的に胃癌のリスクを高めてるのだろう、ということは容易にコンセンサスが得られるでしょう。ただし、それ以外の機構として、CagAが直接、癌遺伝子ならぬ「癌タンパク質」として働く(CagAはピロリが宿主細胞にタンパク質を注入するため)のではないか、ということがこれまでにも示唆されていました。で、アポトーシス抑制能とかは見つかったんだけど、直接の決め手になるような証拠は、これまでなかなか得られなかったというわけです。例えばv-srcなどのような強力なウイルス癌遺伝子とかだと、正常細胞に導入すると、明らかに正常とは異なる、癌細胞特有の性状を示すようになるんですが、CagAではそういう現象が見られたという報告はなかったかと(というか、そういう現象を起こせない以上は「癌遺伝子/癌タンパク質」とは呼べなかったわけです)。
で、新聞記事のサマリを読んだところ、CagAを発現するTgマウスを使って実験してるので、ある意味「細菌がCagAを注入する」というのとは異なる状態での実験を行ってるようです。これは実験デザイン上(胃内に定着したピロリが長期間に亘ってCagAタンパク質を注入しつづける状況を再現するためには)仕方のないことなんだけど、ある意味トリッキーな実験でもある(マウスの系統によっては、もともとリンパ腫を起こしやすかったりするのもいたりする)。PNASに通ってるので、そのあたりは大丈夫だとは思いますし、その実験で「癌タンパク質である」と呼ぶことは確かに可能だとは思うけど……正直言うと、もう一押し、in vitroでtransformation(細胞癌化/形質転換)に成功してたら、もっとはっきり物が言えるんだけど…というところかな。
Re:除菌はしない方向で (スコア:2, 興味深い)
(説明しない医療機関が多いと思います)
せっかく胃癌のリスクが減っても、心筋梗塞などのリスクが増えては元も子もない。
ピロリ菌による発癌を抑制しつつ、体重も維持できれば、理想的です。
ピロリ菌がいるのに、代々絶対に胃癌にならず、適正体重で長生きしている家系のピロリ菌をいただけないだろうか。
Re: (スコア:0)
Re: (スコア:0)
具体的に要約すると
ウホッ!いいピロリ菌!やらないか
って感じですか