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# なぜ2年前のニュースが…。
これ、元ネタの記事を読んだときにもちょっと分からなかったのですが、記事からはミトコンドリアDNA(母系祖先)をたどったように読めるのですが、OCA2遺伝子が子孫に伝わるかどうかと条件が同じなんでしょうか。
# とりあえずここにぶらさげておこう。
記事を読んだ感じだと、OCA2 の近くにあるメラニン合成を微妙に抑制するスイッチさえ遺伝すれば青い目になるんだと思います。
んで、青い目の人達のミトコンドリア DNA の該当領域を色々比較したら、バリエーションが少なくて、相当大きな共通領域があるみたいだった。
青い目の人に元々複数の遺伝系統があるなら、遺伝子のバリエーションは相当大きいはずだけどそうじゃない。単一に近い祖先を持つとしても時間が経てばそれなりに変化は大きくなるはずだけどそうでもない。なら、この遺伝子は比較的最近の単一祖先に由来すると考えられそう、っていう論理かなぁ。遺伝子変異の速度からある程度は分岐の時期も推測できそうな気はする。
# 通常、機能に決定的な部分はそこまで多くないはずなので、# 世代が進むと DNA はある程度テキトーにシャッフルされるはず…だよね?
蛇足: そのメラニン抑制遺伝子が働くためにやたらとスペシフィックなDNA 配列が欲しいためにこんな風に見えている可能性はゼロではない…?
# あとは、より詳しい人の降臨を待つ。
2年前の論文なのでわざわざコメントするのも気が引けますが,mtDNAでないことを指摘するためコメントします.
この論文においてはミトコンドリアではなく常染色体の配列を調べています.OCA2遺伝子の存在する領域で知られている1塩基変異を調べたところ,イントロンにあたる領域にあるSNPで目の色と強い相関を示すタイプの配列があったということです.(該当論文の要旨 [springerlink.com])この遺伝子はヒトの15番染色体 [nih.gov]に存在しており,この論文で見つかった強い相関を示すSNPは28.4Mくらいのところにあります.
この位置は遺伝子のイントロンにありますので,タンパク質の性質が違って直接的に目の色の原因を予測するようなものではないのですが,この付近に真の原因の変化があるか,あるいはタンパク質の量の違いによって目の色の違いがもたらされていることを示唆します.また,この遺伝子はランダムな変異が起きてアルビノになってしまう例も報告されていることから色素の生成過程と強い関連性があることは確かでしょう.
碧眼のヒトがすべてこのタイプの変異を持っていたことから共通の祖先があったことは確かだと考えられます.また,この周辺の配列は哺乳類でよく保存されているのですが,ヒト以外の動物では皆目が茶色で,ヒトのうち茶色の目の集団と変異が共通であることからも,近年ヒトで発生した変異であると考えられます.標準的なモデルで言えば,ヒトの集団のうち,この変異が支配的になったある小さな集団が起源で,その子孫が現在一定数存在して多型となっている状態です.この形質が何らかの有利な意味を持ち,この先人類に拡散して行くのか,あるいは不利になって淘汰されるか,中立であってただ確率的に進行して行くかは分かりません.
># 通常、機能に決定的な部分はそこまで多くないはずなので、># 世代が進むと DNA はある程度テキトーにシャッフルされるはず…だよね?
たった6,000年ではそれほど進みません.また,進化的な比較からもこの遺伝子を含む領域は保存性が高いようです.そう考えるとこの位置に変位が入った集団ではメラニン合成が少ないことが有利になるような何かの強い理由があったのかもしれません.それが性淘汰なのか病気に対する耐性なのか生殖能力と関係した理由なのかは分かりませんが.
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青い目をしたご先祖様は、ヨーロッパ(?)生まれのヒューマノイド (スコア:3, 興味深い)
# なぜ2年前のニュースが…。
これ、元ネタの記事を読んだときにもちょっと分からなかったのですが、記事からはミトコンドリアDNA(母系祖先)をたどったように読めるのですが、OCA2遺伝子が子孫に伝わるかどうかと条件が同じなんでしょうか。
Re:青い目をしたご先祖様は、ヨーロッパ(?)生まれのヒューマノイド (スコア:2, 参考になる)
# とりあえずここにぶらさげておこう。
記事を読んだ感じだと、OCA2 の近くにあるメラニン合成を微妙に抑制する
スイッチさえ遺伝すれば青い目になるんだと思います。
んで、青い目の人達のミトコンドリア DNA の該当領域を色々比較したら、
バリエーションが少なくて、相当大きな共通領域があるみたいだった。
青い目の人に元々複数の遺伝系統があるなら、遺伝子のバリエーションは
相当大きいはずだけどそうじゃない。単一に近い祖先を持つとしても
時間が経てばそれなりに変化は大きくなるはずだけどそうでもない。
なら、この遺伝子は比較的最近の単一祖先に由来すると考えられそう、
っていう論理かなぁ。遺伝子変異の速度からある程度は分岐の時期も推測
できそうな気はする。
# 通常、機能に決定的な部分はそこまで多くないはずなので、
# 世代が進むと DNA はある程度テキトーにシャッフルされるはず…だよね?
蛇足: そのメラニン抑制遺伝子が働くためにやたらとスペシフィックな
DNA 配列が欲しいためにこんな風に見えている可能性はゼロではない…?
# あとは、より詳しい人の降臨を待つ。
Re:青い目をしたご先祖様は、ヨーロッパ(?)生まれのヒューマノイド (スコア:5, 参考になる)
2年前の論文なのでわざわざコメントするのも気が引けますが,mtDNAでないことを
指摘するためコメントします.
この論文においてはミトコンドリアではなく常染色体の配列を調べています.
OCA2遺伝子の存在する領域で知られている1塩基変異を調べたところ,イントロンに
あたる領域にあるSNPで目の色と強い相関を示すタイプの配列があったということです.
(該当論文の要旨 [springerlink.com])
この遺伝子はヒトの15番染色体 [nih.gov]に存在しており,この論文で
見つかった強い相関を示すSNPは28.4Mくらいのところにあります.
この位置は遺伝子のイントロンにありますので,タンパク質の性質が違って直接的に
目の色の原因を予測するようなものではないのですが,この付近に真の原因の変化が
あるか,あるいはタンパク質の量の違いによって目の色の違いがもたらされている
ことを示唆します.
また,この遺伝子はランダムな変異が起きてアルビノになってしまう例も報告されて
いることから色素の生成過程と強い関連性があることは確かでしょう.
碧眼のヒトがすべてこのタイプの変異を持っていたことから共通の祖先があったことは
確かだと考えられます.
また,この周辺の配列は哺乳類でよく保存されているのですが,ヒト以外の動物では
皆目が茶色で,ヒトのうち茶色の目の集団と変異が共通であることからも,近年ヒトで
発生した変異であると考えられます.
標準的なモデルで言えば,ヒトの集団のうち,この変異が支配的になったある小さな
集団が起源で,その子孫が現在一定数存在して多型となっている状態です.
この形質が何らかの有利な意味を持ち,この先人類に拡散して行くのか,あるいは不利に
なって淘汰されるか,中立であってただ確率的に進行して行くかは分かりません.
># 通常、機能に決定的な部分はそこまで多くないはずなので、
># 世代が進むと DNA はある程度テキトーにシャッフルされるはず…だよね?
たった6,000年ではそれほど進みません.また,進化的な比較からもこの遺伝子を含む
領域は保存性が高いようです.
そう考えるとこの位置に変位が入った集団ではメラニン合成が少ないことが有利になるような
何かの強い理由があったのかもしれません.それが性淘汰なのか病気に対する耐性なのか
生殖能力と関係した理由なのかは分かりませんが.
kaho
Re: (スコア:0)
シャッフルされずに
ミトコンドリアは、女系で引き継
Y染色体は、男系で引き継
じゃなかったっけ?