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hyperthermiaに磁性ナノ粒子を用いた事とか,それで効果がかなりあったことが新しいというよりは,磁性ナノ粒子の特性をうまいこと調整する事が出来て,そうするとマイクロ波吸収に効果的だよ,と言うところが新しいと言うお話になります.
磁性ナノ粒子を使ってマイクロ波を吸収させようというのは,医療におけるhyperthermiaだとか,外来電磁波ノイズの軽減,発生する熱を用いてのナノ領域での様々なスイッチング(例としてはドラッグデリバリーでの薬剤放出が挙げられています)などに使えると言うことで多くの研究があります.ところが,実際に磁性ナノ粒子を用いてマイクロ波の吸収(熱へのエネルギー変換)を行うと,その変換効率がかなり低いことが問題の一つでした(まあ,hyperthermiaに関してはナノ粒子を沢山ぶち込めばいい,と言う見方もあるので現時点で足りないかどうかは微妙ですが).そのため,何とかしてマイクロ波の熱への変換効率を上げよう,という研究がいくつも行われています.
さて,磁性ナノ粒子にマイクロ波を当てると,その磁気双極子をマイクロ波が揺さぶることでナノ粒子にエネルギーが伝わります.このとき,完全にマイクロ波に追従出来るとエネルギー損失がないため,熱は発生しません(摩擦のないものを滑らせているようなもの).逆に,あまりにも追従できないとこれまた熱が発生しません(摩擦が強すぎてまったく動かず,熱が発生しないようなもの).ナノ粒子がエネルギーをどの程度熱に転換できるかは,粒子のサイズ(磁気モーメントの大きさと,粒子の物理的な回転のし易さを決める)と,磁気異方性の大きさ(内部で,スピンが反転することによりマイクロ波を吸収する効果に関わる)の二つが重要なパラメータになります.ここで粒子のサイズは調製条件を変えることで変化させることが出来ていました.ところが磁気異方性の大きさはほぼ物質固有の値であるためコントロールできず,それが熱へのエネルギー変換効率の低さの一因となっていました.
さて,実はこの磁気異方性,ナノ粒子の表面状態に大きく影響されることが知られています.例えば酸化物ナノ粒子だと,表面の酸素欠陥が多い・少ないといった事で異方性が大きく変わります.そこで著者らは,非常に異方性の強いCoFe2O4をコアに,異方性の非常に弱いMnFe2O4を外殻に用いてコアシェル型ナノ粒子を作成することで,磁気異方性を両者の間のほどよい値にもっていくことに成功しました.このナノ粒子を用いてマイクロ波の吸収を測定すると,これまでの系より1桁程度大きな発熱を引き起こせる事が判明しました.つまり,これまではコントロールできていなかった磁気異方性を調整してマイクロ波を吸収しやすい値に持って行くことで,熱への変換効率を非常に高くすることができた,というのが一番のキモとなります.
Hyperthermiaへの適用/実演は,まあ,ぶっちゃけてしまえば,人目を引きやすい成果を含めることで高IFの雑誌に載りやすくするためという感じです.#別にそれが悪いわけではありませんし,良くやることですが.
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皆さんもソースを読むときに、行と行の間を読むような気持ちで見てほしい -- あるハッカー
ちょっとニュアンスが違うかも (スコア:5, 参考になる)
hyperthermiaに磁性ナノ粒子を用いた事とか,それで効果がかなりあったことが新しいというよりは,磁性ナノ粒子の特性をうまいこと調整する事が出来て,そうするとマイクロ波吸収に効果的だよ,と言うところが新しいと言うお話になります.
磁性ナノ粒子を使ってマイクロ波を吸収させようというのは,医療におけるhyperthermiaだとか,外来電磁波ノイズの軽減,発生する熱を用いてのナノ領域での様々なスイッチング(例としてはドラッグデリバリーでの薬剤放出が挙げられています)などに使えると言うことで多くの研究があります.ところが,実際に磁性ナノ粒子を用いてマイクロ波の吸収(熱へのエネルギー変換)を行うと,その変換効率がかなり低いことが問題の一つでした(まあ,hyperthermiaに関してはナノ粒子を沢山ぶち込めばいい,と言う見方もあるので現時点で足りないかどうかは微妙ですが).そのため,何とかしてマイクロ波の熱への変換効率を上げよう,という研究がいくつも行われています.
さて,磁性ナノ粒子にマイクロ波を当てると,その磁気双極子をマイクロ波が揺さぶることでナノ粒子にエネルギーが伝わります.このとき,完全にマイクロ波に追従出来るとエネルギー損失がないため,熱は発生しません(摩擦のないものを滑らせているようなもの).逆に,あまりにも追従できないとこれまた熱が発生しません(摩擦が強すぎてまったく動かず,熱が発生しないようなもの).ナノ粒子がエネルギーをどの程度熱に転換できるかは,粒子のサイズ(磁気モーメントの大きさと,粒子の物理的な回転のし易さを決める)と,磁気異方性の大きさ(内部で,スピンが反転することによりマイクロ波を吸収する効果に関わる)の二つが重要なパラメータになります.
ここで粒子のサイズは調製条件を変えることで変化させることが出来ていました.ところが磁気異方性の大きさはほぼ物質固有の値であるためコントロールできず,それが熱へのエネルギー変換効率の低さの一因となっていました.
さて,実はこの磁気異方性,ナノ粒子の表面状態に大きく影響されることが知られています.例えば酸化物ナノ粒子だと,表面の酸素欠陥が多い・少ないといった事で異方性が大きく変わります.そこで著者らは,非常に異方性の強いCoFe2O4をコアに,異方性の非常に弱いMnFe2O4を外殻に用いてコアシェル型ナノ粒子を作成することで,磁気異方性を両者の間のほどよい値にもっていくことに成功しました.このナノ粒子を用いてマイクロ波の吸収を測定すると,これまでの系より1桁程度大きな発熱を引き起こせる事が判明しました.つまり,これまではコントロールできていなかった磁気異方性を調整してマイクロ波を吸収しやすい値に持って行くことで,熱への変換効率を非常に高くすることができた,というのが一番のキモとなります.
Hyperthermiaへの適用/実演は,まあ,ぶっちゃけてしまえば,人目を引きやすい成果を含めることで高IFの雑誌に載りやすくするためという感じです.
#別にそれが悪いわけではありませんし,良くやることですが.