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>身近な水の挙動について、まだこんなに理解が進んでいないということに驚いた。
水-エタノール混合溶液が微視的には混ざっておらず,水とエタノールそれぞれの独立したクラスター構造の混合物になってるのが明らかとなったのがごく最近(Ramanで1998年,J. Phys. Chem. B, 102, 4054–4057(1998),中性子散乱で2002年,Nature, 416, 829-832(2002))だったり,水が凍ることを実際に計算(単純なMD計算)で再現できたのが21世紀になってからだったり(Nature, 416, 409-413 (2002))と,水の物性の研究はなんだか大変だそうで.#凍結のシミュレーションをやった大峯先生は,この計算に6年かけたとか言ってましたっけ.
異方性がほどほどに高いから等方的な取り扱いが出来ず,さらにはプロトンがひょいひょいと分子間で移動するため分子自体がどんどん変わる,双極子も大きいから相互作用も強い(でもかっちり止まるほど強すぎはしない),と面倒臭いとか.
水-エタノール混合溶液が微視的には混ざっておらず,水とエタノールそれぞれの独立したクラスター構造の混合物になってるのが明らかとなったのがごく最近
うわ。身近な酒…じゃなくて水-エタノール混合溶液についてもそんなに理解が進んでいないとは、のん気に水割りを飲んでいる場合じゃありませんね。
それにしても、素粒子物理だの宇宙の大規模構造だので未解明な部分があるのはなんとなく分かりますが、ありふれた物質の挙動でまだこんなに解っていないところがあるというのは、門外漢からすると意外です。学ぶべきことがまだまだ残っているってのは素晴らしい。
他にも「身近だけどよくわかってない」例を挙げると,
・摩擦の起源ある程度は予想が付いているけど,微視的にはまだわからないことだらけ.定量的に再現しようとするといろいろおかしな事も出る.でもとりあえず日頃はそういう細かいところには目を瞑って,わかりきったことのように説明する.
・ガラスガラス転移が熱力学的な意味での転移なのかどうかすらはっきりわかっていない.統計屋は熱力学的な転移だと信じているけど.どこかの総理の発言ではないが,そもそもガラスと言うものがなんだかよくわからない.「ガラス」をうまく理学の言葉で定義できない.「液体の構造で緩和時間が長いから固体に見える」という説明が良くされるが,実は違うと信じられている(……が,完全な証明はない).単なる凍結とは違う,と言うことを説明するためにいろいろな理論が出されたが,定量的に扱うとどれもどこかで現実と食い違う.
・乱流水流などに棒きれを突っ込んだ際に乱流が多数出来るが,これをどうやったら理論的に記述できるのかさっぱりわかっていない.乱流に関するモデル・定式化は沢山あるが,やっぱりどれも様々なところで破綻する.
・非平衡系の熱力学熱力学の諸法則のほとんどは,平衡系でしか厳密には成立せず,非平衡系ではどこまで成立するのかさっぱりわからない.そして現実の宇宙では,本当の意味で平衡に達したことはない.……え?それって使えるの?(でも何故か現実と良く合う)エントロピーも実は平衡系でしか定義されていない(非平衡系に拡張しようという人はいる).つまり一度も平衡に達したことのない現実世界ではエントロピーなんて定義できたためしが(略)定義された事がないのに増え続けると信じられているエントロピー.何それ怖い.
結論:当分飯の種は尽きない(そういう問題ではない)
phason 氏の指摘された摩擦に関連して、
・物体の表面が微視的にどうなっているのか
という事も、厳密な解明ができていなかったのではないでしょうか。で、そこから、
・物が切れる時、何が起こっているのか
という疑問が沸き起こる訳ですが、これもいまいち分かってない筈。ま、どちらも、経験則が先行しすぎたが故の疑問のように思えます。ちょっと変ったところで、
・コンクリート(やモルタル)が何故固まるのか
が近年(前世紀中期~後期ぐらい)に解明されたのだけど、じゃあ、なんでそういう反応が起きるのか、は、未解明だったような。どんどん変な方向に進んでいくと、
・昆虫はなぜ飛べるのか
筋肉量や羽根の形状などから算出できる浮力よりも、昆虫の体重の方が大きい、というケースがあるのだそうで。これは、新たな知見を得ることで、解明しうる疑問だと思えます。で、このあいだギガジンにも載ってたけど、人類の究極最終問題といえそうなのが、コレ。
・ねこのノド鳴らしは、どうやって鳴っているのか
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犯人はmoriwaka -- Anonymous Coward
難しいらしいですよ (スコア:2, 興味深い)
>身近な水の挙動について、まだこんなに理解が進んでいないということに驚いた。
水-エタノール混合溶液が微視的には混ざっておらず,水とエタノールそれぞれの独立したクラスター構造の混合物になってるのが明らかとなったのがごく最近(Ramanで1998年,J. Phys. Chem. B, 102, 4054–4057(1998),中性子散乱で2002年,Nature, 416, 829-832(2002))だったり,水が凍ることを実際に計算(単純なMD計算)で再現できたのが21世紀になってからだったり(Nature, 416, 409-413 (2002))と,水の物性の研究はなんだか大変だそうで.
#凍結のシミュレーションをやった大峯先生は,この計算に6年かけたとか言ってましたっけ.
異方性がほどほどに高いから等方的な取り扱いが出来ず,さらにはプロトンがひょいひょいと分子間で移動するため分子自体がどんどん変わる,双極子も大きいから相互作用も強い(でもかっちり止まるほど強すぎはしない),と面倒臭いとか.
Re:難しいらしいですよ (スコア:2)
うわ。身近な酒…じゃなくて水-エタノール混合溶液についてもそんなに理解が進んでいないとは、のん気に水割りを飲んでいる場合じゃありませんね。
それにしても、素粒子物理だの宇宙の大規模構造だので未解明な部分があるのはなんとなく分かりますが、ありふれた物質の挙動でまだこんなに解っていないところがあるというのは、門外漢からすると意外です。学ぶべきことがまだまだ残っているってのは素晴らしい。
Re:難しいらしいですよ (スコア:3, 興味深い)
他にも「身近だけどよくわかってない」例を挙げると,
・摩擦の起源
ある程度は予想が付いているけど,微視的にはまだわからないことだらけ.定量的に再現しようとするといろいろおかしな事も出る.でもとりあえず日頃はそういう細かいところには目を瞑って,わかりきったことのように説明する.
・ガラス
ガラス転移が熱力学的な意味での転移なのかどうかすらはっきりわかっていない.統計屋は熱力学的な転移だと信じているけど.
どこかの総理の発言ではないが,そもそもガラスと言うものがなんだかよくわからない.「ガラス」をうまく理学の言葉で定義できない.
「液体の構造で緩和時間が長いから固体に見える」という説明が良くされるが,実は違うと信じられている(……が,完全な証明はない).
単なる凍結とは違う,と言うことを説明するためにいろいろな理論が出されたが,定量的に扱うとどれもどこかで現実と食い違う.
・乱流
水流などに棒きれを突っ込んだ際に乱流が多数出来るが,これをどうやったら理論的に記述できるのかさっぱりわかっていない.乱流に関するモデル・定式化は沢山あるが,やっぱりどれも様々なところで破綻する.
・非平衡系の熱力学
熱力学の諸法則のほとんどは,平衡系でしか厳密には成立せず,非平衡系ではどこまで成立するのかさっぱりわからない.そして現実の宇宙では,本当の意味で平衡に達したことはない.……え?それって使えるの?(でも何故か現実と良く合う)
エントロピーも実は平衡系でしか定義されていない(非平衡系に拡張しようという人はいる).つまり一度も平衡に達したことのない現実世界ではエントロピーなんて定義できたためしが(略)
定義された事がないのに増え続けると信じられているエントロピー.何それ怖い.
結論:当分飯の種は尽きない(そういう問題ではない)
蛇の足と書いて蛇足 (スコア:1)
phason 氏の指摘された摩擦に関連して、
・物体の表面が微視的にどうなっているのか
という事も、厳密な解明ができていなかったのではないでしょうか。
で、そこから、
・物が切れる時、何が起こっているのか
という疑問が沸き起こる訳ですが、これもいまいち分かってない筈。
ま、どちらも、経験則が先行しすぎたが故の疑問のように思えます。
ちょっと変ったところで、
・コンクリート(やモルタル)が何故固まるのか
が近年(前世紀中期~後期ぐらい)に解明されたのだけど、
じゃあ、なんでそういう反応が起きるのか、は、未解明だったような。
どんどん変な方向に進んでいくと、
・昆虫はなぜ飛べるのか
筋肉量や羽根の形状などから算出できる浮力よりも、
昆虫の体重の方が大きい、というケースがあるのだそうで。
これは、新たな知見を得ることで、解明しうる疑問だと思えます。
で、このあいだギガジンにも載ってたけど、
人類の究極最終問題といえそうなのが、コレ。
・ねこのノド鳴らしは、どうやって鳴っているのか
Re: (スコア:0)
あれはノドが鳴っているのではなく、
ノドの外側の空間に断続的に歪曲が生じる事により空気の振動が起こっています。
ちなみに、この空間歪曲は猫自身が引き起こす時間跳躍を原因とするものであり…