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いつも思うんですけど、こういった場合の観測or 測定ってどうやっているのでしょうか。電子ひとつの検出とか。あっちの電子とこっちの電子は区別が付かないと思うんですけど。教えてえらい人。
>こういった場合の観測or 測定ってどうやっているのでしょうか。
まず,量子ドットは非常に小さいため,内部でのクーロン反発が非常に強く効きます.このためたとえば電子が1個入るときと2個入るときの電位に結構な差があり,大雑把には入る電子の量がコントロールできます.
これとは別に,量子ドットの近傍に,別のポイントコンタクト(電子が流れにくい細線のように働く接合)を作っておきます.これは直接は量子ドットとは接続されておらず,「空間的には近くにある」という導電路になります.で,このポイントコンタクトに一定電圧をかけ,流れる電流をモニタしておきます.
量子ドットに電子が一個余分に入ると,クーロン反発が働くためポイントコンタクトを電子が通るのが少し難しくなります.そのため,電流値が低下します.2個入るともっと電流値が低下します.逆に量子ドットから電子が出ていくと,電流値はまた元に戻ります.量子ドットに適当に電子を入れた後,これを使ってある量子ドットに電子が何個入ったか(それとも入っていないのか)かを判別できます.
今回の例ですと,電子源となる量子ドットと,受け側となる量子ドットの両方の近傍にこう言ったポイントコンタクトを作っておいて電流を測定します.それぞれのポテンシャルをうまいことコントロールして,まず最初に電子源側に電子を一個入れます.#2個入っていたら1個になるまでやり直し.
でまあ,ポイントコンタクトの電流をモニタしながらうまいことマイクロ波励起をしてやると,電子源側のポイントコンタクトの電流が増えて(電流が増えて元の値に戻る=電子が出ていく),受け側の量子ドット横のポイントコンタクトの電流が一段下がる(=こちらの量子ドットに電子が一個入った)のが見えたよ,と.左がいなくなって右に入ったんだから移動したよね,ということになります.#当然,全然別の場所からは電子が飛んでこないようにセットします.
なるほど、大雑把イメージ的に言えば3極管(FET?)のような仕掛けなのですね。不確定性原理などが問題になる領域ではないと思いますが、あるいは相殺する(排除する)ようなテクニックがあるのでしょうか。(プローブ電流で対象の電子が吹き飛ばされないのが不思議)
量子論的対象を、マクロ的な電流でプローブするというのになんとなくいつも不可思議な感じがしてならないのです。
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犯人は巨人ファンでA型で眼鏡をかけている -- あるハッカー
観測問題 (スコア:0)
いつも思うんですけど、こういった場合の観測or 測定ってどうやっているのでしょうか。
電子ひとつの検出とか。
あっちの電子とこっちの電子は区別が付かないと思うんですけど。
教えてえらい人。
Re:観測問題 (スコア:4, 参考になる)
>こういった場合の観測or 測定ってどうやっているのでしょうか。
まず,量子ドットは非常に小さいため,内部でのクーロン反発が非常に強く効きます.このためたとえば電子が1個入るときと2個入るときの電位に結構な差があり,大雑把には入る電子の量がコントロールできます.
これとは別に,量子ドットの近傍に,別のポイントコンタクト(電子が流れにくい細線のように働く接合)を作っておきます.これは直接は量子ドットとは接続されておらず,「空間的には近くにある」という導電路になります.で,このポイントコンタクトに一定電圧をかけ,流れる電流をモニタしておきます.
量子ドットに電子が一個余分に入ると,クーロン反発が働くためポイントコンタクトを電子が通るのが少し難しくなります.そのため,電流値が低下します.2個入るともっと電流値が低下します.
逆に量子ドットから電子が出ていくと,電流値はまた元に戻ります.量子ドットに適当に電子を入れた後,これを使ってある量子ドットに電子が何個入ったか(それとも入っていないのか)かを判別できます.
今回の例ですと,電子源となる量子ドットと,受け側となる量子ドットの両方の近傍にこう言ったポイントコンタクトを作っておいて電流を測定します.
それぞれのポテンシャルをうまいことコントロールして,まず最初に電子源側に電子を一個入れます.
#2個入っていたら1個になるまでやり直し.
でまあ,ポイントコンタクトの電流をモニタしながらうまいことマイクロ波励起をしてやると,電子源側のポイントコンタクトの電流が増えて(電流が増えて元の値に戻る=電子が出ていく),受け側の量子ドット横のポイントコンタクトの電流が一段下がる(=こちらの量子ドットに電子が一個入った)のが見えたよ,と.左がいなくなって右に入ったんだから移動したよね,ということになります.
#当然,全然別の場所からは電子が飛んでこないようにセットします.
Re: (スコア:0)
なるほど、大雑把イメージ的に言えば3極管(FET?)のような仕掛けなのですね。
不確定性原理などが問題になる領域ではないと思いますが、
あるいは相殺する(排除する)ようなテクニックがあるのでしょうか。
(プローブ電流で対象の電子が吹き飛ばされないのが不思議)
量子論的対象を、マクロ的な電流でプローブするというのになんとなくいつも
不可思議な感じがしてならないのです。