アカウント名:
パスワード:
まず何でそんな遠い場所の分子を観測できるのかが理解不能電波データを解析?何でピンポイントでそこから来た電波だと特定できるのだろうこの世は不思議がいっぱいです
タレコミのリンクにある国立天文台のページが解り易いでしょう。
[3] 宇宙からやってくる様々な電波の中からグリコールアルデヒドが放つ電波を見つけることは容易ではありません。あらかじめグリコールアルデヒドが放つ電波の周波数を実験室で精密に測定しておき、これと宇宙から来る電波を比較することで、グリコールアルデヒドが放つ電波を同定します。
もちっと専門的な話はこのあたりに。 Detection of the simplest sugar, glycolaldehyde, in a solar-type protostar with ALMA [arxiv.org] (PDF)
要は、「超高感度・高分解能の装置を使ったから、特定の場所からやってくる弱い電波でも細かい情報が分かるよ!」ということですが、恐ろしいことにアルマさん「ホホホ、この観測程度でまだまだ本気は出していませんよ」。(今は Cycle 0観測、この後何度か変身することで戦闘力が劇的にアップする)
>何でピンポイントでそこから来た電波だと特定できるのだろう
わかるのは基本的には「方向」です.で,光学観測などと組み合わせて,「そっちの方角でなんか電波出しそうなのはこの天体しか無いから,ここから来てるんだろう」とか結論づけられます.
ではなぜ「方向」がわかるのかというと,望遠鏡(とか双眼鏡)で遠くのものを見ているのと同じです.例えばあなたが沖合の船を望遠鏡で見ていたとしましょう.その時に「何でその見ている光が,あの船から来たってわかるの?」というのと同じ疑問なわけです.望遠鏡の場合,対象となる方向以外からの余計な光は筒でカットしています.また筒が無かったとしても,変な角度から入射した光は,レンズ系を通ってもちゃんとした焦点位置で像を結びません.だから,望遠鏡を覗いて見える景色=望遠鏡を向けている方向の景色,になるわけです.
電波の場合も同じになります.電波望遠鏡は巨大なパラボラアンテナなわけですが,パラボラの軸と平行に入射した電波だけが焦点位置に集光されます.このため,他の方向から来る電波は相対的に弱くなります.(地上から来る余計な電波はそれでも強いのですが,観測に対する時間依存性などから分離します.細かいことを言うとこういういろいろな分離が必要なのですが,それは今回は省略)
つまり,「望遠鏡を見たい対象の方向に向けるとそいつの光が見える」というのと同じように,「パラボラアンテナを見たい星の方向に向けると,そっちの方角から来る電波がよく見える」という話になります.
ついでに書いておくと,距離に関してもわからないわけではありません.近場の星なら三角測量的なことも出来ますし,既に光学的な観測(こちらも近くの星なら三角測量的なもの,ある程度遠くなると明るさ(遠いと暗い)や赤方偏位によるスペクトルシフトなど)で距離と我々に対する相対速度がわかっている場合,電波(こちらも,光のスペクトルと同じで特徴的な位置に強いシグナルがあったりする)のドップラーシフトから相対速度がわかって,これが光学的な観測から得た相対速度と一致してればまあ同じ天体なんだろうな,とか.
>何でそんな遠い場所の分子を観測できるのかが理解不能
これは,遠くの星の光が望遠鏡などで見えるのと同じになります.多量の光が出ていれば,それを集光すると像が見えます.たくさんの分子から多量の電波が出ていれば,それを集めると地球上でも受信出来る(その周波数の電波が出ていることがわかる),というだけの話です.ただ,この手の電波は非常に弱くS/N比も悪いので,強力に集光するための手段&ノイズと分離する手段が必要になります.
>電波データを解析?
我々にわかるのは,「電波望遠鏡をある方向に向けたとき,周波数○○の電波はどのぐらいの強さで飛んできているのか?」というデータです.見たい星にパラボラを向け,そこからの電波を収集します.得られたデータから地上や太陽系由来のものなどの余計なバックグラウンドを差っ引き,目的の天体から来たデータだけを抜き出します.この段階でわかるのは,「今見ている星から,どんな周波数の電波が出ているか」というスペクトルです.
次に,そのあたりに存在しそうな分子が出す電波を調べます(わざわざ調べなくても,ある程度はデータベースがある).これは地上の実験室で,様々な分子を持ってきてその発する電波を調べたり,計算を行う事で判明します.要は指紋を収集するようなものです.
そして最後に,観測で得られた電波の強度分布(どの周波数のシグナルが強いか)と,どんな分子があったらどの周波数に電波が出てくるのか,をひたすら突き合わせます.そうすると,どんな分子がいるのかが推定出来る,という事になります.
今回の報告は,ALMAっちゅう馬鹿でっかくて集光力が強くて(=弱い電波もしっかり見える),指向性が高く角度分解能の高い(=ある特定の方向の電波をよく分離出来る)電波望遠鏡を使ったらよく見えた,という感じのものになります.#省略しすぎだけど.
>電波の場合も同じになります.今回は干渉計ですので、パラボラの向いている向きは本質的ではなく、電波の位相のズレで方向を確定してると思いますが。http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/aboutalma/more/system.html [nao.ac.jp]
まあ分解能という意味ではその通りですね.ある程度の大まかな方角がパラボラの向き(ある程度のゲインが得られる範囲)で決まって,さらにより高い指向性がVLBIで得られていますので.
最初はその部分までコメントとして入れ込んでみたのですが(望遠鏡を向けている向きがパラボラの向きに対応して,望遠鏡のレンズが良ければその中でさらに映像の細部を見分けられるのが電波で言うVLBIの効果,だとかそういう言う感じで),これ読んでわかるならそもそも最初の疑問が出ないよな……,という事でばっさり省略しちゃいました.#わかりやすく説明出来れば良かったんですが,図が無いと難しかった……
干渉計として使わなければ、ALMAのアンテナ1つのビームは1分角を超えてますから、「この星の方向から来た」とはちょっと言えず、>この段階でわかるのは,「今見ている星から,どんな周波数の電波が出ているか」というスペクトルです.これも難しいかと思いますよ。
それから、VLBIと干渉計は基本的には別物というか、干渉計の一種がVLBI(超長基線干渉計)です。PDFですが以下の資料に説明があります。17ページ。http://veraserver.mtk.nao.ac.jp/VERA/honma/lecture/komaba2011-4.pdf [nao.ac.jp]そして、ALMAはVLBIではないのです。
>何でピンポイントでそこから来た電波だと特定できるのだろうわからなかったので調べてみた。まず論文プレプリントへのリンク。http://arxiv.org/abs/1208.5498 [arxiv.org]以下、間違ってたらごめんなさい、と最初に謝っておいて、私の理解した範囲では、以下。まず、この分子の出す線スペクトル、連星系のそれぞれの星のそばで集中して見つかって、それぞれの星の後退速度とよく一致してる、ってことらしい。あと、片方の星(B)に関しては、星の正面のデータでは、その星の運動を補正した残りが赤方偏移した吸収線に見える、(つまり、星よりも速い速度で我々から遠ざかる運動してる)のに、その隣のデータだと赤方偏移してなくて輝線に見えるから、これは、この星の近くに落ちていってる濃いガスを見てる、ということみたいだ。
>まず何でそんな遠い場所の分子を観測できるのかが理解不能距離だけならもっと遠いとこの分子も過去に見つかってる。http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=2011... [nationalgeographic.co.jp]>地球から120億光年離れた銀河の中に、これまで見つかっている中で最も遠くにある、>最も大量の水の雲が確認されたと天文学者が発表した。
へびつかい座ホットラインというのがあってな
胸熱
より多くのコメントがこの議論にあるかもしれませんが、JavaScriptが有効ではない環境を使用している場合、クラシックなコメントシステム(D1)に設定を変更する必要があります。
※ただしPHPを除く -- あるAdmin
すごい馬鹿なコメントかもしれないけど (スコア:0)
まず何でそんな遠い場所の分子を観測できるのかが理解不能
電波データを解析?何でピンポイントでそこから来た電波だと特定できるのだろう
この世は不思議がいっぱいです
☆新一「ペロっ…これは…グリコールアルデヒド!」 (スコア:4, おもしろおかしい)
タレコミのリンクにある国立天文台のページが解り易いでしょう。
もちっと専門的な話はこのあたりに。 Detection of the simplest sugar, glycolaldehyde, in a solar-type protostar with ALMA [arxiv.org] (PDF)
要は、「超高感度・高分解能の装置を使ったから、特定の場所からやってくる弱い電波でも細かい情報が分かるよ!」ということですが、恐ろしいことにアルマさん「ホホホ、この観測程度でまだまだ本気は出していませんよ」。(今は Cycle 0観測、この後何度か変身することで戦闘力が劇的にアップする)
Re:すごい馬鹿なコメントかもしれないけど (スコア:4, 参考になる)
>何でピンポイントでそこから来た電波だと特定できるのだろう
わかるのは基本的には「方向」です.で,光学観測などと組み合わせて,「そっちの方角でなんか電波出しそうなのはこの天体しか無いから,ここから来てるんだろう」とか結論づけられます.
ではなぜ「方向」がわかるのかというと,望遠鏡(とか双眼鏡)で遠くのものを見ているのと同じです.
例えばあなたが沖合の船を望遠鏡で見ていたとしましょう.その時に「何でその見ている光が,あの船から来たってわかるの?」というのと同じ疑問なわけです.
望遠鏡の場合,対象となる方向以外からの余計な光は筒でカットしています.また筒が無かったとしても,変な角度から入射した光は,レンズ系を通ってもちゃんとした焦点位置で像を結びません.だから,望遠鏡を覗いて見える景色=望遠鏡を向けている方向の景色,になるわけです.
電波の場合も同じになります.電波望遠鏡は巨大なパラボラアンテナなわけですが,パラボラの軸と平行に入射した電波だけが焦点位置に集光されます.このため,他の方向から来る電波は相対的に弱くなります.
(地上から来る余計な電波はそれでも強いのですが,観測に対する時間依存性などから分離します.細かいことを言うとこういういろいろな分離が必要なのですが,それは今回は省略)
つまり,「望遠鏡を見たい対象の方向に向けるとそいつの光が見える」というのと同じように,「パラボラアンテナを見たい星の方向に向けると,そっちの方角から来る電波がよく見える」という話になります.
ついでに書いておくと,距離に関してもわからないわけではありません.近場の星なら三角測量的なことも出来ますし,既に光学的な観測(こちらも近くの星なら三角測量的なもの,ある程度遠くなると明るさ(遠いと暗い)や赤方偏位によるスペクトルシフトなど)で距離と我々に対する相対速度がわかっている場合,電波(こちらも,光のスペクトルと同じで特徴的な位置に強いシグナルがあったりする)のドップラーシフトから相対速度がわかって,これが光学的な観測から得た相対速度と一致してればまあ同じ天体なんだろうな,とか.
>何でそんな遠い場所の分子を観測できるのかが理解不能
これは,遠くの星の光が望遠鏡などで見えるのと同じになります.多量の光が出ていれば,それを集光すると像が見えます.たくさんの分子から多量の電波が出ていれば,それを集めると地球上でも受信出来る(その周波数の電波が出ていることがわかる),というだけの話です.
ただ,この手の電波は非常に弱くS/N比も悪いので,強力に集光するための手段&ノイズと分離する手段が必要になります.
>電波データを解析?
我々にわかるのは,「電波望遠鏡をある方向に向けたとき,周波数○○の電波はどのぐらいの強さで飛んできているのか?」というデータです.
見たい星にパラボラを向け,そこからの電波を収集します.得られたデータから地上や太陽系由来のものなどの余計なバックグラウンドを差っ引き,目的の天体から来たデータだけを抜き出します.
この段階でわかるのは,「今見ている星から,どんな周波数の電波が出ているか」というスペクトルです.
次に,そのあたりに存在しそうな分子が出す電波を調べます(わざわざ調べなくても,ある程度はデータベースがある).これは地上の実験室で,様々な分子を持ってきてその発する電波を調べたり,計算を行う事で判明します.要は指紋を収集するようなものです.
そして最後に,観測で得られた電波の強度分布(どの周波数のシグナルが強いか)と,どんな分子があったらどの周波数に電波が出てくるのか,をひたすら突き合わせます.そうすると,どんな分子がいるのかが推定出来る,という事になります.
今回の報告は,ALMAっちゅう馬鹿でっかくて集光力が強くて(=弱い電波もしっかり見える),指向性が高く角度分解能の高い(=ある特定の方向の電波をよく分離出来る)電波望遠鏡を使ったらよく見えた,という感じのものになります.
#省略しすぎだけど.
Re:すごい馬鹿なコメントかもしれないけど (スコア:1)
>電波の場合も同じになります.
今回は干渉計ですので、パラボラの向いている向きは本質的ではなく、
電波の位相のズレで方向を確定してると思いますが。
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/aboutalma/more/system.html [nao.ac.jp]
Re:すごい馬鹿なコメントかもしれないけど (スコア:1)
まあ分解能という意味ではその通りですね.
ある程度の大まかな方角がパラボラの向き(ある程度のゲインが得られる範囲)で決まって,さらにより高い指向性がVLBIで得られていますので.
最初はその部分までコメントとして入れ込んでみたのですが(望遠鏡を向けている向きがパラボラの向きに対応して,望遠鏡のレンズが良ければその中でさらに映像の細部を見分けられるのが電波で言うVLBIの効果,だとかそういう言う感じで),これ読んでわかるならそもそも最初の疑問が出ないよな……,という事でばっさり省略しちゃいました.
#わかりやすく説明出来れば良かったんですが,図が無いと難しかった……
Re: (スコア:0)
干渉計として使わなければ、ALMAのアンテナ1つのビームは1分角を超えてますから、
「この星の方向から来た」とはちょっと言えず、
>この段階でわかるのは,「今見ている星から,どんな周波数の電波が出ているか」というスペクトルです.
これも難しいかと思いますよ。
それから、VLBIと干渉計は基本的には別物というか、
干渉計の一種がVLBI(超長基線干渉計)です。
PDFですが以下の資料に説明があります。17ページ。
http://veraserver.mtk.nao.ac.jp/VERA/honma/lecture/komaba2011-4.pdf [nao.ac.jp]
そして、ALMAはVLBIではないのです。
Re:すごい馬鹿なコメントかもしれないけど (スコア:1)
>何でピンポイントでそこから来た電波だと特定できるのだろう
わからなかったので調べてみた。
まず論文プレプリントへのリンク。
http://arxiv.org/abs/1208.5498 [arxiv.org]
以下、間違ってたらごめんなさい、と最初に謝っておいて、
私の理解した範囲では、以下。
まず、この分子の出す線スペクトル、連星系のそれぞれの星のそばで集中して見つかって、
それぞれの星の後退速度とよく一致してる、ってことらしい。
あと、片方の星(B)に関しては、星の正面のデータでは、
その星の運動を補正した残りが赤方偏移した吸収線に見える、
(つまり、星よりも速い速度で我々から遠ざかる運動してる)のに、
その隣のデータだと赤方偏移してなくて輝線に見えるから、
これは、この星の近くに落ちていってる濃いガスを見てる、ということみたいだ。
>まず何でそんな遠い場所の分子を観測できるのかが理解不能
距離だけならもっと遠いとこの分子も過去に見つかってる。
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=2011... [nationalgeographic.co.jp]
>地球から120億光年離れた銀河の中に、これまで見つかっている中で最も遠くにある、
>最も大量の水の雲が確認されたと天文学者が発表した。
Re: (スコア:0)
へびつかい座ホットラインというのがあってな
胸熱