アカウント名:
パスワード:
地上に比べて発電量が稼げる、(送電方式にもよるが)天候に左右されにくい、などの利点は良いのですが、ほとんど論じられていない欠点が一つ。
ロケットや衛星のリサイクル技術に目処がついていません。
太陽電池は大部分の構成材料がリサイクルできるのが利点の一つ(=半永久的に利用可能)ですが、現状の打ち上げ技術ではそれが損なわれてしまいます。個人的には普及するにしても、軌道エレベーターかせめてCNTフライホイールロケット [so-net.ne.jp]が出来てからじゃないかと考えてます。
>ほとんど論じられていない欠点が一つ。
一応論じられてはいますよ。10年ぐらい前(確かそのぐらい)のSSPSの検討開始時にすでに、打ち上げコスト、寿命、廃棄までを考えたトータルでの経済性および環境負荷の検討の必要が挙げられていて、その後もちまちまと現状技術での推定やら技術の発展を想定した推定などがやられています。が、結局の所、問題のほとんど全てが打ち上げコストで、こいつが数十分の一だの百分の一だのにならないとコスト的にも資源的にも(まあ、両者は荒い近似的には一致してくるんですが)割に合わないけど、将来もしかしたら凄く打ち上げコストが安くなる、もしくは通常の発電コストが凄く高くなるかもしれないから研究しとこうね、って感じだったはず。
コスト的には、経済状況なんかで、どう転ぶか分からないから、将来はロケット打ち上げ費用も含めて元が取れるようになるかもしれない、なんて超楽観的な予想を立てて言い逃げすることもできるでしょう。
でも、経済的な収支ではなく、エネルギーの収支は、どうでしょうか?
ロケットを打ち上げるのに必要なエネルギーをそのまま火力発電にでもまわしたほうが、エネルギー的には得をするような気もします。計算したわけじゃないけど。こちらは、将来の技術革新があるとしても、それでも物理的な制約の範囲内だから、超楽観的な予想をするにしても限界があります。
>ロケットを打ち上げるのに必要なエネルギーをそのまま火力発電にでもまわしたほうが、>エネルギー的には得をするような気もします。
では概算で。H-IIAを使うとして、燃料の量が250 tぐらい。固体も使ってますけど、まあ全部液酸/液水の組み合わせとしても熱量自体はそう大きく変わらないんで、酸素/水素 計250 t(1:2のモル比で、222 tと28 tぐらい)が燃焼したとすると熱量は4*10^13 Jぐらい。一方、発電量は、SPS2000の頃の検討で「まあ10g/Wぐらいじゃないとまずかろうし、そのぐらいは頑張れば出来そう」とされているんで、この値を採用。またSPS2000での想定は静止軌道ではなく、ちょっと低めの軌道(高度1000 kmとかそのぐらい)。H-IIAの打ち上げ能力が、太陽同期軌道で4 tぐらいなんでこの値を採用すると、一度の打ち上げで上がる部分の発電量はおおよそ4*10^5 W相当ぐらい。打ち上げにかかったエネルギーをこいつで割ると、発電量と打ち上げに要したエネルギーが同一になる時間は10^8 s = 3年ぐらい。計算が適当だし、送電ロスもあるんで、まあ係数かけて2-3倍かかるとして6-10年(まあ実際には火力発電所の効率も半分ぐらいなんで、それが軽減する方向に行くけど)。一応このぐらいの高度でも20年ぐらい持つ太陽電池は作れそうと言うことになってるから、10年ぐらい運用すれば運用して元を取って、残りの10年ぐらいは利子が付いてくるって感じか。
驚異の高利率、とまでは行かんけど、現実的な数字ではある。
より多くのコメントがこの議論にあるかもしれませんが、JavaScriptが有効ではない環境を使用している場合、クラシックなコメントシステム(D1)に設定を変更する必要があります。
弘法筆を選ばず、アレゲはキーボードを選ぶ -- アレゲ研究家
宇宙特有の課題 (スコア:3, すばらしい洞察)
地上に比べて発電量が稼げる、(送電方式にもよるが)天候に左右されにくい、などの利点は良いのですが、ほとんど論じられていない欠点が一つ。
ロケットや衛星のリサイクル技術に目処がついていません。
太陽電池は大部分の構成材料がリサイクルできるのが利点の一つ(=半永久的に利用可能)ですが、現状の打ち上げ技術ではそれが損なわれてしまいます。
個人的には普及するにしても、軌道エレベーターかせめてCNTフライホイールロケット [so-net.ne.jp]が出来てからじゃないかと考えてます。
Re: (スコア:2, 参考になる)
>ほとんど論じられていない欠点が一つ。
一応論じられてはいますよ。
10年ぐらい前(確かそのぐらい)のSSPSの検討開始時にすでに、打ち上げコスト、寿命、廃棄までを考えたトータルでの経済性および環境負荷の検討の必要が挙げられていて、その後もちまちまと現状技術での推定やら技術の発展を想定した推定などがやられています。
が、結局の所、問題のほとんど全てが打ち上げコストで、こいつが数十分の一だの百分の一だのにならないとコスト的にも資源的にも(まあ、両者は荒い近似的には一致してくるんですが)割に合わないけど、将来もしかしたら凄く打ち上げコストが安くなる、もしくは通常の発電コストが凄く高くなるかもしれないから研究しとこうね、って感じだったはず。
Re:宇宙特有の課題 (スコア:0)
コスト的には、経済状況なんかで、どう転ぶか分からないから、将来はロケット
打ち上げ費用も含めて元が取れるようになるかもしれない、なんて超楽観的な
予想を立てて言い逃げすることもできるでしょう。
でも、経済的な収支ではなく、エネルギーの収支は、どうでしょうか?
ロケットを打ち上げるのに必要なエネルギーをそのまま火力発電にでもまわしたほうが、
エネルギー的には得をするような気もします。計算したわけじゃないけど。
こちらは、将来の技術革新があるとしても、それでも物理的な制約の範囲内だから、
超楽観的な予想をするにしても限界があります。
Re:宇宙特有の課題 (スコア:2, 参考になる)
>ロケットを打ち上げるのに必要なエネルギーをそのまま火力発電にでもまわしたほうが、
>エネルギー的には得をするような気もします。
では概算で。
H-IIAを使うとして、燃料の量が250 tぐらい。固体も使ってますけど、まあ全部液酸/液水の組み合わせとしても熱量自体はそう大きく変わらないんで、酸素/水素 計250 t(1:2のモル比で、222 tと28 tぐらい)が燃焼したとすると熱量は4*10^13 Jぐらい。
一方、発電量は、SPS2000の頃の検討で「まあ10g/Wぐらいじゃないとまずかろうし、そのぐらいは頑張れば出来そう」とされているんで、この値を採用。またSPS2000での想定は静止軌道ではなく、ちょっと低めの軌道(高度1000 kmとかそのぐらい)。
H-IIAの打ち上げ能力が、太陽同期軌道で4 tぐらいなんでこの値を採用すると、一度の打ち上げで上がる部分の発電量はおおよそ4*10^5 W相当ぐらい。
打ち上げにかかったエネルギーをこいつで割ると、発電量と打ち上げに要したエネルギーが同一になる時間は10^8 s = 3年ぐらい。計算が適当だし、送電ロスもあるんで、まあ係数かけて2-3倍かかるとして6-10年(まあ実際には火力発電所の効率も半分ぐらいなんで、それが軽減する方向に行くけど)。一応このぐらいの高度でも20年ぐらい持つ太陽電池は作れそうと言うことになってるから、10年ぐらい運用すれば運用して元を取って、残りの10年ぐらいは利子が付いてくるって感じか。
驚異の高利率、とまでは行かんけど、現実的な数字ではある。