細かな説明:液体Aと液体Bがあるとき,液体A同士が固まっていたり,液体B同士が固まっていた方がエネルギー(自由エネルギーではなく,Eの方のエネルギー.体積変化を無視するならエンタルピーと同じようなものです)的に安定,というときがあります.例えば水と油ですね.水分子同士が集合していれば,水素結合の形成により低エネルギー状態になる,という. この水と油を無理矢理混合すると,水素結合があちこちで切れるためにエネルギーは高くなります.一方,混合によりエントロピーは増加します.ここで改めて自由エネルギーの式 G = H - TS = U + PV - TS をみてみます.水と油が別々に存在していると,Uは小さく,Sも小さい.水と油が無理矢理混ざると,Uが大きく,Sも大きい. 温度がうんと高ければ,U+PVに比べ-TSの項が圧倒的に大きくなりますから, G ∼ -TS です.自然はGが小さくなる方向に進みますから,Sが大きい,つまり水と油の混ざった方向を目指します. 一方,温度が低くてTSがU+PVに比べ無視できる,とすると, G ∼ U + PV となり,Uの小さい方向,つまり水と油が分離した方向へ向かいます.
エネルギー収支的には (スコア:0)
Re: (スコア:0)
>エネルギー収支ゼロ
ちょっとこの部分は何が言いたいのか良くわからんのですが、どういう事?
Re: (スコア:0)
元ACとは別人だけど、たぶんエネルギー保存の法則 [wikipedia.org]を読んでみると多少は想像つくかも。
結局熱(≒エネルギー)は消えてなくなるわけじゃなし、どっかに捨てないといけないので、形を変えて動きやすくなったとしても停滞すりゃ変わらんでしょうという意味だと思う。
Re:エネルギー収支的には (スコア:1, 参考になる)
直上のコメントのACです。
いえ、エネルギーの総量が変わらんのはいいのですが、その一部は蒸発エンタルピーとして吸収されているわけで、「系全体のエネルギーが変わらないから涼しくならない」と書いてしまうのは妙だな、と思ったわけですよ。
例えば沸騰してるお湯に氷ぶち込めばエネルギーの総量は変わらずとも温度は下がります。
(湿度の上昇による不快さはまた別の問題ではありますが)
Re: (スコア:0)
エントロピーが吸収されるという概念は新しいなぁ。そんなの現実にあったら物理法則が崩壊するぞ。
吸収は能動的な現象だから、エントロピーの吸収とは積極的にエントロピーを奪うってことだ。
つまり、混ざり合ったミルクティーが混ぜる前の状態に分離したりするわけだ。
あったら楽しいなぁ。
現実には単なる高熱源から低熱源への熱移動で、エントロピーは増大しただけ。
Re:エネルギー収支的には (スコア:3, 参考になる)
いやいや,元コメで書いてあるのはエンタルピーですって.
エンタルピーとエントロピーを混同してはいけません.両者は異なる物理量です.
>吸収は能動的な現象だから、エントロピーの吸収とは積極的にエントロピーを奪うってことだ。
>つまり、混ざり合ったミルクティーが混ぜる前の状態に分離したりするわけだ。
>あったら楽しいなぁ。
そんなものいくらでもありますって.
ええと,熱力の講義等でお聞きになったことはありませんでしょうか?
低エントロピーの物体に熱(エントロピー)を吸収させ,高エントロピーの物体のエントロピーを下げるというのは普通に行われていることです.また,自由エネルギーにはエントロピー項以外にエンタルピー項も含まれていることを利用し,エントロピーを下げる,というのもよくある話です.
#関連事項としては,エントロピー駆動型の相転移などもあります.面白いので是非調べてみてください.
世の中の事象は自由エネルギーが低い方向に向かいます.
(例えばGibbsの)自由エネルギーはエンタルピーからエントロピー*温度を引いたもの(G = H - TS)です.
つまり,系が自発的に進む方向は,エントロピーが増える,もしくはエンタルピーが減る方向です.ちなみにエンタルピーは内部エネルギーUと圧力*体積(PV)の和ですが,体積変化が小さい場合はまあ内部エネルギーと似たようなものと考えてもOKです.
温度が高いとエントロピー項が有利になり,系はたいていエントロピーの高くなる方向に勝手に進んでいきます.
一方,温度が低いときには,系はむしろエントロピーが下がってでもエンタルピーの低い方向に進みます.
身近な一例としては,水が低温環境下に置かれるとエントロピーの低い氷という状態に勝手に転移する,というものが挙げられます.
#無論,外界も含めたエントロピーは増大しますが,そんなことは当たり前なので今は無視.
上で書かれたミルクティーの話に関連しては,混合後に温度を上げると二相に再分離する液体の組や,冷やすと再分離する液体の組が知られています.つまり,混ざったミルクティーが勝手に分離するようなものです.塩水なんかもそうですね.温度が下がると,勝手に二相(固体の塩+液体の水)に分離します.
これらに関しては,相分離によって不利になるエントロピー項よりも,分離することでエネルギー的に得をするエンタルピー項がある温度域で大きくなり,自由エネルギー的には相分離した方が安定,という温度が存在するわけです.
細かな説明:液体Aと液体Bがあるとき,液体A同士が固まっていたり,液体B同士が固まっていた方がエネルギー(自由エネルギーではなく,Eの方のエネルギー.体積変化を無視するならエンタルピーと同じようなものです)的に安定,というときがあります.例えば水と油ですね.水分子同士が集合していれば,水素結合の形成により低エネルギー状態になる,という.
この水と油を無理矢理混合すると,水素結合があちこちで切れるためにエネルギーは高くなります.一方,混合によりエントロピーは増加します.ここで改めて自由エネルギーの式
G = H - TS = U + PV - TS
をみてみます.水と油が別々に存在していると,Uは小さく,Sも小さい.水と油が無理矢理混ざると,Uが大きく,Sも大きい.
温度がうんと高ければ,U+PVに比べ-TSの項が圧倒的に大きくなりますから,
G ∼ -TS
です.自然はGが小さくなる方向に進みますから,Sが大きい,つまり水と油の混ざった方向を目指します.
一方,温度が低くてTSがU+PVに比べ無視できる,とすると,
G ∼ U + PV
となり,Uの小さい方向,つまり水と油が分離した方向へ向かいます.
Re:エネルギー収支的には (スコア:1)
だれかモデってあげてくださいw
新人。プログラマレベルをポケモンで言うと、コラッタぐらい
Re:エネルギー収支的には (スコア:1, 参考になる)
親コメ主です。
>エントロピーが吸収されるという概念は新しいなぁ
よく読んでください。どこにもエントロピーを吸収なんぞ書いてありません。
蒸発エンタルピーとして吸収
です。
エンタルピーってご存じありませんか?熱力学の基本なのですが。
また、エンタルピーとして吸収です。お間違えのないように。
まあ、エントロピー自体に対しても、「吸収」という語をもし使ったとしても必ずしも間違いとは言い切れないかと。
低温物理においての緩和過程などで、「このエントロピーをやりとりすることで」など普通に出てきますので。
>エントロピーの吸収とは積極的にエントロピーを奪うってことだ。
系によっては可能です。実際、冷凍機なんぞはエントロピー奪ってますよ?
磁気冷却でスピン系のエントロピーを下げるなんてのは普通にやることです。
Re: (スコア:0)
・潜熱(今もこういう言葉使うのかな?)になるんで、うろついてる熱の分のエネルギーは減る。
・不快さは熱だけでは決まらない。
Re:エネルギー収支的には (スコア:3, 興味深い)
潜熱・顕熱という言葉は普通に使います。
こう言えると思いますが用語に馴染みのない人には判りにくいかな?
まじめに検討してる人はいないのかなと思って打ち水効果の地表面熱収支への影響に関する観測研究 [it-hiroshima.ac.jp]というのを見つけましたが
地表面温度においては,打ち水効果による温度低下が大きかったが,気温に対する打ち水効果は 予想したものよりもかなり小さかった.打ち水効果の水平分布については,打ち水した4m四方の領域の外側には全く効果を及ぼさなかった.
あーそんなもんですかねー。(´д`;)
Re:エネルギー収支的には (スコア:2)
ついでに言えば、湿度が上がれば空気の熱の吸収率が増えるので
日が差していれば湿度が高い方が温度も上がる。
だからこそ、夕方に日が落ちるくらいにやるのだ。
Re:エネルギー収支的には (スコア:1)
水蒸気と水蒸気を含まない空気を比較した場合、水蒸気の方が比熱が大きいので、
温度上昇にはより多くの熱量が必要です。
湿度が高い空気はより多くの水蒸気を包含しているので、
湿度が低い空気と高い空気では、
湿度が高い空気の方が温度が上がり難い(日射の熱を吸収し難い)と思うのです。
答えはある。それを見つける能力が無いだけだ。
Re: (スコア:0)
赤外線吸収率が上がるんだよ。
Re:エネルギー収支的には (スコア:1)
ただ、水蒸気を多く含んだ空気の方が温度上昇に必要な熱量が大きいのも確かです。
赤外線を吸収して得られる熱量と、水蒸気を含むことで増加する熱容量と、
どちらが大きくなるのでしょうか?
そのバランスで温度が上昇しやすいかし難いかが決まる気がします。
まあ、どちらにしろ湿度が上がるとさめにくい空気になるので、
温室効果は高そうですが。
答えはある。それを見つける能力が無いだけだ。
Re: (スコア:0)
水蒸気を含むことで
→温度変化しにくくなっている
→赤外線を吸収しやすく温度が上がりやすくなっている
どちらが大きいとか、そもそも比較できるものじゃないでしょ。
どれだけ熱容量が大きくなっても上がるのは変わらず、下がらないんですから。
Re:エネルギー収支的には (スコア:1)
元々、#1805991 [srad.jp]にコメントを付けていたので、
> ついでに言えば、湿度が上がれば空気の熱の吸収率が増えるので
> 日が差していれば湿度が高い方が温度も上がる。
という記述を、湿度が低い空気と高い空気では、高い空気の方が同じ熱量を加えた場合に、
高い空気の方が温度が上がりやすいと読んでいたのです。
ただ、私の認識では湿度の高い空気の方が同じ熱量を加えた場合に温度が上がりにくいと考えていたので、
#1806215 [srad.jp]のコメントを付けました。
しかし、#1806343 [srad.jp]で加えられる熱量が同じでないと教えていただきまして、
含有水蒸気量の増加に伴って、赤外線の吸収量により加えられる熱量が増加すると知り、
当初私が考えていた「同じ熱量を加えた場合」という前提が間違っていたと分かりました。
とはいえ、もともと温度が上がりやすいか上がり難いかという話で考えていましたので、
a:「加えられる熱量の増加分」(これを「赤外線を吸収して得られる熱量」と書きました)
b:「温度上昇に必要な熱量の増加分」(これを「水蒸気を含むことで増加する熱容量」と書きました)
を比較してどちらが大きいかが気になったのです。
熱が加えられれば気温は上がることは認識してますが、
a>bの場合は湿度が高いと温度は上がりやすい と言えますし、
a<bの場合は温度が上がり難いと言えると思うのです。
ですので、aとbとどちらが大きいかが気になってるのです。
答えはある。それを見つける能力が無いだけだ。
Re: (スコア:0)
根本的に違うだろ、比熱とか関係なく、打ち水なんだから気化熱の話。
液体の水が気体に変化する際にエネルギーを消費するわけ。
周りに水蒸気が滞留しようがしまいが理論的には温度が下がる。
拡散することはポイントではない。