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15カ所を一致させたら同一人物、になってたわけだろ?それが、被告人を「有罪にするために」ネガティブな結果を無視しようとか馬鹿げてるわ。
「疑わしきは被告人の利益に」はどこ行ったん。
いや、判決文を読むと、実は15か所で一致しています。ただ、そのうち1か所で別のSTR型が検出されているので、「別人のDNAが混在してるんじゃないの?」というのが高裁の判断。
現場に残されていたのが生殖細胞なので、当然減数分裂を経ています。なので、交叉 [wikipedia.org]で変異しても別に不思議ではないのです。最高裁は、「混在はない」という判断をしたわけです。(鑑定した専門家は、もともと混在を否定し、突然変異だと推定していたようです)
なお、平成15年からのDNA鑑定は元々9座位(一致は1,100万人に1人)でチェックしていたようです。平成18年から15座位(一致は4.7兆人に1人)に拡張されています。
2 科学技術の活用 - 警察庁 [npa.go.jp]
実際のところSTR変異は不等交叉じゃなくて同一鎖内でのミスペアリングが主な原因だろうという考えが支配的みたいだけどね。というのもSTRの増加又は減少が、1世代間ではほぼ必ず1リピートずつ起きるという統計的知見があるので。(不等交叉だと別の鎖と交叉するので、一気に複数リピートの変化が起きる可能性が高いからということ)
実際、変異があったと見られるD19S433も15.2から14.2の変異だったということで、1リピートの減少になってる。ちなみに1リピートは4塩基だね。https://strbase.nist.gov/str_D19S433.htm [nist.gov]
変異に関する確率については、二審で出した参考文献には座位毎に0.2%程度ってなってたみたいだね。全部の座位の中で1つでも変異が見られる可能性ってのは、当然ながら調べる座位を増やせば増やすほど高くなるよ。https://strbase.nist.gov/pub_pres/ISFG_%20Y-STRupdate.pdf [nist.gov]↑の8ページの表を見てごらんよ。15座位調べたら4%の確率で変異が見られるんだよ。
そもそも鑑定人は最初に(地裁段階で)出した鑑定書中で突然変異だと判断してる。DNAの専門家でもない私がググっただけで分かるような事を専門家が知らないはずないやんね。当業者でSTRに変異が起きやすいことは周知のことなんだよ(っていうか今見てみたら使ったらしいサーモフィッシャーのキットのマニュアルにすら変異に関する言及あるし)。
高裁ではそれにどうにかしてイチャモン付けたかったんだろうね。でもさすがに、DNAが一致しなかったので別人だっていう主張は無理筋過ぎた。14部位での一致ってのは、1座位に10種類の型が存在するって単純に計算すれば100兆分の1になるからね。日本人での頻度高い種類だけに限ると、上で書かれたように15部位一致で4.7兆分の1らしいけど。14部位だと6700億分の1かな。
そこはさすがに否定は無理なので、高裁は別人のDNAがコンタミしたって主張したみたい。当該の座位のみで検出されるようなコンタミがあったんじゃないかって。でも実際は即座に鑑定人からそれは有り得ないって証人尋問で反論されてる。データのピークのバランスから1人分のDNAに由来するものなのは明らかだって。それを何の科学的根拠も示さず、高裁はコンタミした試料の量次第でそういうこともあり得るかも。みたいな断定すらしない調子で否定してる。ひどすぎやろ。
あと各所で指摘されてるけど、STR型の鑑定は都合2回、別の手法(アメロゲニン型)での鑑定も2回行われてるね。変異が見られたのはSTR型鑑定のうちの1回で、他は全部一致してる。
はっきり言って、この裁判の経緯は高裁の暴走なんだよ。裁判官がDNA鑑定の知識に薄いままに根拠なく鑑定書と専門家の陳述を無視したっていう。
当時の高裁の裁判長はその筋では有名な方だったらしく、こんな記事まである。
http://sakurafinancialnews.jp/?p=1820 [sakurafinancialnews.jp]
最高裁の結論が出た今言うと結果論だろうけど、この人が自分の信条に囚われて歪んだ判断を下したと言わざるを得ない。仕事に対する情熱はあったみたいだし悪気は無かったとは思うんだけど。
なおこの裁判以外にも去年冬に同裁判官の高裁判決がひっくり返ってるらしいhttps://law-news.idest.club/2017/12/28/kokuzei-saishin/ [idest.club]
裁判官だって人間だよねってことか医者も教師も警察官もそうだってことを我々一般人は忘れるべきではないね
高裁が、というか、被告でしょ。それを言ってるのは高裁もそれを採用しちゃったけど。高裁の判断自体は「証拠が怪しいっぽいので疑わしきは罰せず」やろ。
んで最高裁に「論拠もはっきりしてないような意見に惑わされて専門家による合理的な説明を無視するな」って怒られると。
# 監視カメラの映像記憶とかなくて体液が唯一の物証だったのかね?
>高裁が、というか、被告でしょ。それを言ってるのは高裁もそれを採用しちゃったけど。被告っていうか弁護士かね。判決文しか見れないからどうしても主語が裁判官に引っ張られるんだよね。まあいずれにせよ高裁裁判長の判断が暴走レベルで誤りだったことは撤回しないよ。
># 監視カメラの映像記憶とかなくて体液が唯一の物証だったのかね?・被害者が手淫してるところ見てる・監視カメラに犯行状況が映ってる
被告はカメラに映った帽子と眼鏡は持ってないって主張してたっぽいからおそらく顔隠してたんじゃないかな。高裁では被害者証言には犯人識別情報の供述がなく証拠請求もないので証拠としないって言ってるし。
べつにおかしくはない鑑定家は精液は犯人のものか?という問いに答えるが、裁判官は精液は他の人物のものか?という問いに答えるはじめから問いが違うのだ
適当にググったら法医学分野ではとっくに既知だという資料あったから補足で出しとくよ。https://www.thermofisher.com/content/dam/LifeTech/Documents/PDFs/Y-STR... [thermofisher.com]
Applied BiosystemはDNA分析キットの大手企業。今はThermofisherに吸収されたのかな。Thermofisherは今回の裁判で使ったキットを発売してる企業だね。ともかく、31ページと32ページのスライド見たらわかるけど、父子鑑定と精液サンプルの分析をする際には突然変異を考慮することが必要、ってそうはっきり書いてある。キットが出た10年以上前から知れてる話で、新規事実でもなんでもない。
上で書いたように計算上数%は出てくる話なんで、おそらくこれまで裁判上で提出されたDNA鑑定でも何度もあったケースだと思うよ。
> STR型が検出されているので 文字列型ですか
筋力です。
サンプルが複数細胞分あれば個数的に一致「も」取れるはずだよなぁ…と思ってたが普通に一致は取れててエラってる遺伝子が一個有ったってだけか。そこまでいくと最高裁の判断は妥当、どころか高裁の判断が本気で意味不明な感じだな…
被告人のDNAとそうでないDNAが混在して検出されたんだから被告人は有罪でいいだろ
そんなわけない。混在が発生した箇所にも依るけど、資料の取り違えがあれば当然ながら証拠能力を喪失する。
高裁はそれで証拠能力なしと判断したが、最高裁は採取時点から鑑定実施までの経過で混入が発生したと推定できる箇所が無かった=証拠能力があると判断したという話。
不一致があった鑑定結果で同一人物と判断できるか、ではなく、不一致があった鑑定結果において同一人物と判断できた場合、その鑑定結果を証拠として採用するのが妥当かどうか、というのが最高裁判決の趣旨。
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日々是ハック也 -- あるハードコアバイナリアン
前提をぶっ壊してるじゃん (スコア:-1)
15カ所を一致させたら同一人物、になってたわけだろ?
それが、被告人を「有罪にするために」ネガティブな結果を無視しようとか馬鹿げてるわ。
「疑わしきは被告人の利益に」はどこ行ったん。
Re:前提をぶっ壊してるじゃん (スコア:5, 参考になる)
いや、判決文を読むと、実は15か所で一致しています。
ただ、そのうち1か所で別のSTR型が検出されているので、「別人のDNAが混在してるんじゃないの?」というのが高裁の判断。
現場に残されていたのが生殖細胞なので、当然減数分裂を経ています。
なので、交叉 [wikipedia.org]で変異しても別に不思議ではないのです。
最高裁は、「混在はない」という判断をしたわけです。
(鑑定した専門家は、もともと混在を否定し、突然変異だと推定していたようです)
なお、平成15年からのDNA鑑定は元々9座位(一致は1,100万人に1人)でチェックしていたようです。
平成18年から15座位(一致は4.7兆人に1人)に拡張されています。
2 科学技術の活用 - 警察庁 [npa.go.jp]
Re:前提をぶっ壊してるじゃん (スコア:2)
実際のところSTR変異は不等交叉じゃなくて同一鎖内でのミスペアリングが
主な原因だろうという考えが支配的みたいだけどね。
というのもSTRの増加又は減少が、1世代間ではほぼ必ず1リピートずつ起きる
という統計的知見があるので。(不等交叉だと別の鎖と交叉するので、
一気に複数リピートの変化が起きる可能性が高いからということ)
実際、変異があったと見られるD19S433も15.2から14.2の変異だったということで、
1リピートの減少になってる。ちなみに1リピートは4塩基だね。
https://strbase.nist.gov/str_D19S433.htm [nist.gov]
変異に関する確率については、二審で出した参考文献には座位毎に0.2%程度って
なってたみたいだね。全部の座位の中で1つでも変異が見られる可能性ってのは、
当然ながら調べる座位を増やせば増やすほど高くなるよ。
https://strbase.nist.gov/pub_pres/ISFG_%20Y-STRupdate.pdf [nist.gov]
↑の8ページの表を見てごらんよ。15座位調べたら4%の確率で変異が見られるんだよ。
Re:前提をぶっ壊してるじゃん (スコア:2)
そもそも鑑定人は最初に(地裁段階で)出した鑑定書中で突然変異だと判断してる。
DNAの専門家でもない私がググっただけで分かるような事を専門家が知らないはずないやんね。
当業者でSTRに変異が起きやすいことは周知のことなんだよ(っていうか今見てみたら
使ったらしいサーモフィッシャーのキットのマニュアルにすら変異に関する言及あるし)。
高裁ではそれにどうにかしてイチャモン付けたかったんだろうね。
でもさすがに、DNAが一致しなかったので別人だっていう主張は無理筋過ぎた。
14部位での一致ってのは、1座位に10種類の型が存在するって単純に計算すれば
100兆分の1になるからね。日本人での頻度高い種類だけに限ると、上で書かれた
ように15部位一致で4.7兆分の1らしいけど。14部位だと6700億分の1かな。
そこはさすがに否定は無理なので、高裁は別人のDNAがコンタミしたって主張したみたい。
当該の座位のみで検出されるようなコンタミがあったんじゃないかって。
でも実際は即座に鑑定人からそれは有り得ないって証人尋問で反論されてる。
データのピークのバランスから1人分のDNAに由来するものなのは明らかだって。
それを何の科学的根拠も示さず、高裁はコンタミした試料の量次第でそういうことも
あり得るかも。みたいな断定すらしない調子で否定してる。ひどすぎやろ。
あと各所で指摘されてるけど、STR型の鑑定は都合2回、別の手法(アメロゲニン型)
での鑑定も2回行われてるね。変異が見られたのはSTR型鑑定のうちの1回で、他は全部一致してる。
Re:前提をぶっ壊してるじゃん (スコア:3, 参考になる)
はっきり言って、この裁判の経緯は高裁の暴走なんだよ。
裁判官がDNA鑑定の知識に薄いままに根拠なく鑑定書と専門家の陳述を無視したっていう。
当時の高裁の裁判長はその筋では有名な方だったらしく、こんな記事まである。
http://sakurafinancialnews.jp/?p=1820 [sakurafinancialnews.jp]
最高裁の結論が出た今言うと結果論だろうけど、この人が自分の信条に囚われて
歪んだ判断を下したと言わざるを得ない。仕事に対する情熱はあったみたいだし
悪気は無かったとは思うんだけど。
なおこの裁判以外にも去年冬に同裁判官の高裁判決がひっくり返ってるらしい
https://law-news.idest.club/2017/12/28/kokuzei-saishin/ [idest.club]
Re: (スコア:0)
裁判官だって人間だよねってことか
医者も教師も警察官もそうだってことを我々一般人は忘れるべきではないね
Re: (スコア:0)
高裁が、というか、被告でしょ。それを言ってるのは高裁もそれを採用しちゃったけど。
高裁の判断自体は「証拠が怪しいっぽいので疑わしきは罰せず」やろ。
んで最高裁に「論拠もはっきりしてないような意見に惑わされて専門家による合理的な説明を無視するな」って怒られると。
# 監視カメラの映像記憶とかなくて体液が唯一の物証だったのかね?
Re:前提をぶっ壊してるじゃん (スコア:1)
>高裁が、というか、被告でしょ。それを言ってるのは高裁もそれを採用しちゃったけど。
被告っていうか弁護士かね。
判決文しか見れないからどうしても主語が裁判官に引っ張られるんだよね。
まあいずれにせよ高裁裁判長の判断が暴走レベルで誤りだったことは撤回しないよ。
># 監視カメラの映像記憶とかなくて体液が唯一の物証だったのかね?
・被害者が手淫してるところ見てる
・監視カメラに犯行状況が映ってる
被告はカメラに映った帽子と眼鏡は持ってないって主張してたっぽいから
おそらく顔隠してたんじゃないかな。高裁では被害者証言には犯人識別情報
の供述がなく証拠請求もないので証拠としないって言ってるし。
Re: (スコア:0)
べつにおかしくはない
鑑定家は精液は犯人のものか?という問いに答えるが、
裁判官は精液は他の人物のものか?という問いに答える
はじめから問いが違うのだ
Re:前提をぶっ壊してるじゃん (スコア:1)
適当にググったら法医学分野ではとっくに既知だという資料あったから補足で出しとくよ。
https://www.thermofisher.com/content/dam/LifeTech/Documents/PDFs/Y-STR... [thermofisher.com]
Applied BiosystemはDNA分析キットの大手企業。今はThermofisherに吸収されたのかな。
Thermofisherは今回の裁判で使ったキットを発売してる企業だね。
ともかく、31ページと32ページのスライド見たらわかるけど、
父子鑑定と精液サンプルの分析をする際には突然変異を考慮することが必要、って
そうはっきり書いてある。
キットが出た10年以上前から知れてる話で、新規事実でもなんでもない。
上で書いたように計算上数%は出てくる話なんで、おそらくこれまで裁判上で提出された
DNA鑑定でも何度もあったケースだと思うよ。
Re: (スコア:0)
> STR型が検出されているので
文字列型ですか
Re: (スコア:0)
筋力です。
Re: (スコア:0)
サンプルが複数細胞分あれば個数的に一致「も」取れるはずだよなぁ…と思ってたが普通に一致は取れててエラってる遺伝子が一個有ったってだけか。
そこまでいくと最高裁の判断は妥当、どころか高裁の判断が本気で意味不明な感じだな…
Re: (スコア:0)
被告人のDNAとそうでないDNAが
混在して検出されたんだから
被告人は有罪でいいだろ
Re: (スコア:0)
そんなわけない。
混在が発生した箇所にも依るけど、資料の取り違えがあれば当然ながら証拠能力を喪失する。
高裁はそれで証拠能力なしと判断したが、最高裁は採取時点から鑑定実施までの経過で
混入が発生したと推定できる箇所が無かった=証拠能力があると判断したという話。
不一致があった鑑定結果で同一人物と判断できるか、ではなく、不一致があった鑑定結果において
同一人物と判断できた場合、その鑑定結果を証拠として採用するのが妥当かどうか、というのが
最高裁判決の趣旨。