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脳波を計測して運動意図を読み取ろうという研究自体は割とあるのですが、普通は脳内で「こっちに動きたい」という信号が生じているのを、脳波計で拾った信号からなんとか見分けてやろうという方法を取ります。
一方でこの方法は、単に信号を計測するのではなく、脳に感覚信号を入力してその反応を計測することで、どっちに動きたいと思っているかをより高精度に推定できると主張してます。普通の方法を脳活動のパッシブ計測とするなら、脳活動のアクティブ計測とでも言えるかもしれません。
その原理ですが、例えば被験者が「右に動かしたい」と思っている間に、被験者の身体を左に動かすようなことをすると、脳は「右に動くはずなのに左に動いたぞ?」と思って大きな信号を出します(予測誤差)。この信号は、動かしたいと思っている方向と、身体が動かされた方向が食い違っているときにだけ大きく出ます。
そこで、被験者に「右に動いた」「左に動いた」という感覚をそれぞれ与えて、どちらの時に大きな予測誤差信号が出たかを脳波計で検出すれば、被験者がどちらに動きたいと思っていたかが分かるという寸法です。
「右に動いた」「左に動いた」という感覚を与える方法としては被験者の身体を揺さぶるとかでもいいんですが、この研究ではそこを上手くやっていて、GVS(前庭電気刺激:顎に電極を貼って三半規管を電気刺激することで運動感覚を生じさせる手法)を使っています。 しかも刺激の強度は被験者が実際に身体が動いているとは意識しないレベルに抑えてあるようで、これでも予測誤差信号は問題なく検出できています(これは運動予測の処理が無意識レベルで行われているせい)。このおかげで、被験者にとっては単に装置を付けられて受動的に信号を計測されているのとなんら変わらない計測手法となっているようです。
これ、脳は計測も良いけど、動いた感覚を与えるデバイスのほうが使えそうな気がします。VRゲームがまた一段といい感じになるのでは。
動いた感覚を与えるデバイスのほうが使えそうな気がします。
はい、それに関しては長らく研究されていて、そもそも今回の研究の共同研究者の安藤氏が以前からGVSをVR方面で使う研究 [jst.go.jp]もしてらっしゃる方だったりします。
GVSに関しては最近もVRゲームと組み合わせた例 [panora.tokyo]が提案されてたりします。ただ、頭部に電気を流すような技術ですので、普及するには安全性の検証がまだまだ必要かもしれません。
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人生の大半の問題はスルー力で解決する -- スルー力研究専門家
脳活動のアクティブ計測 (スコア:5, 参考になる)
脳波を計測して運動意図を読み取ろうという研究自体は割とあるのですが、普通は脳内で「こっちに動きたい」という信号が生じているのを、脳波計で拾った信号からなんとか見分けてやろうという方法を取ります。
一方でこの方法は、単に信号を計測するのではなく、脳に感覚信号を入力してその反応を計測することで、どっちに動きたいと思っているかをより高精度に推定できると主張してます。普通の方法を脳活動のパッシブ計測とするなら、脳活動のアクティブ計測とでも言えるかもしれません。
その原理ですが、例えば被験者が「右に動かしたい」と思っている間に、被験者の身体を左に動かすようなことをすると、脳は「右に動くはずなのに左に動いたぞ?」と思って大きな信号を出します(予測誤差)。この信号は、動かしたいと思っている方向と、身体が動かされた方向が食い違っているときにだけ大きく出ます。
そこで、被験者に「右に動いた」「左に動いた」という感覚をそれぞれ与えて、どちらの時に大きな予測誤差信号が出たかを脳波計で検出すれば、被験者がどちらに動きたいと思っていたかが分かるという寸法です。
「右に動いた」「左に動いた」という感覚を与える方法としては被験者の身体を揺さぶるとかでもいいんですが、この研究ではそこを上手くやっていて、GVS(前庭電気刺激:顎に電極を貼って三半規管を電気刺激することで運動感覚を生じさせる手法)を使っています。
しかも刺激の強度は被験者が実際に身体が動いているとは意識しないレベルに抑えてあるようで、これでも予測誤差信号は問題なく検出できています(これは運動予測の処理が無意識レベルで行われているせい)。このおかげで、被験者にとっては単に装置を付けられて受動的に信号を計測されているのとなんら変わらない計測手法となっているようです。
Re: (スコア:0)
これ、脳は計測も良いけど、動いた感覚を与えるデバイスのほうが使えそうな気がします。
VRゲームがまた一段といい感じになるのでは。
Re:脳活動のアクティブ計測 (スコア:1)
はい、それに関しては長らく研究されていて、そもそも今回の研究の共同研究者の安藤氏が以前からGVSをVR方面で使う研究 [jst.go.jp]もしてらっしゃる方だったりします。
GVSに関しては最近もVRゲームと組み合わせた例 [panora.tokyo]が提案されてたりします。ただ、頭部に電気を流すような技術ですので、普及するには安全性の検証がまだまだ必要かもしれません。