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サイエンス

全地球凍結はシアノバクテリアによって引き起こされた? 4

ストーリー by yosuke
温室効果の逆の側面 部門より
Astrobiology Magazineの記事によると、スノーボール・アース仮説(全地球凍結仮説)の提唱者であるCaltechのJoseph Kirschvinkらは、酸素を放出するシアノバクテリアの出現によって原生代前期の全地球凍結が始まったとする説を擁護する証拠を発表した。論文は米科学アカデミー紀要電子版に掲載されている。
スノーボール・アース仮説は、原生代前期の終わりの地層に見られる、縞状鉄鉱床や氷河堆積物、キャップ・カーボネイトの堆積の組み合わせを説明する説の一つである。海が氷で覆われて酸素と遮断されれば、海水中に鉄が大量に溶け込む。氷が融ければ、海水は酸素を含むようになり、鉄は酸化鉄となって沈殿する。これによって、地球史上の初期以外に鉄鉱石の沈殿が見られること、それが氷河堆積物と縞を成していること、その氷河堆積物が熱帯にあるストロマトライトが作る炭酸塩に覆われていることの説明がつく。ただし、全地球凍結の開始や終了の機構はまだ解明されていない。そのため、現在の地質学で議論を呼んでいる説である。
全地球凍結の開始を説明する説として、酸素発生型の光合成機能を得たシアノバクテリアが出現し、そこから放出される酸素によってメタンが二酸化炭素と水に分解されて温室効果が減り、気温が下がって全地球凍結に陥ったというものがある。これまでは、酸素発生型の光合成は早ければ37億年前には始まったとされているため、この説は弱いものと見られていた。しかし、著者らによると、カナダのヒューロニアン累層群に見られる全地球凍結に先立つ氷河期(29億年前)の岩石には、酸素が必要となる地質学的な特徴は見られなかったとのこと。これに対し、南アフリカのトランスバール累層群には、豊富なマンガンなど酸素が存在した証拠が見られる。これより、この時期に短期間のうちに酸素が放出されはじめたことがわかるとのこと。
スノーボール・アース仮説は、カンブリア大爆発についても、全地球凍結によって空いたニッチを埋めるためのものだったと説明することが可能な、興味深い説である。今回の論文がこの説を強化するものとなることを期待したい。
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  • 雪玉地球 (スコア:2, 参考になる)

    by hado (21151) on 2005年08月08日 22時32分 (#779121)
    雪玉地球(スノーボールアース)説は先日温暖化関係の記事でも見かけました。
    説得力があったので本流の説かと思っていたのですがそうでもないんでしょうか。

    確かグールドさん [wikipedia.org]が進化論に対して提唱した"デシメイション"(悲運多数死)にも関係していた記憶があります。

    あと極域の氷の話はこちら [chironoworks.com]にも温暖化と絡めて楽しくまとまっていて一読をおすすめします。(本件とは直接な関連はないです)

    #それにしてもこの話題コメント少ないですね
    #私的にはストライクなんですけど
    #かといって楽しい自説を展開できるわけでもなく
  • この話、 (スコア:1, 参考になる)

    by Anonymous Coward on 2005年08月08日 9時06分 (#778795)
    NHKの『地球大進化』でしたっけ? でやってましたね。
  • by Anonymous Coward on 2005年08月10日 7時15分 (#779840)
    恐竜大絶滅の直後に哺乳類の大拡散分化が起きたように、
    雪玉地球が融けて居住域が一気に拡大した時に、「光からエネルギーを得る」なんていう変な生物
    (それまでは火山ガスや鉱物等からエネルギーを得る生物しか居なかった)
    も登場した、つまり

         雪玉地球の終わり→シアノバクテリア登場

    の方が私的には説得力あるんですけどね。

    #事実は科学より奇なり。
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ナニゲにアレゲなのは、ナニゲなアレゲ -- アレゲ研究家

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