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バイオテック

クラゲ遺伝子結合ウイルスで癌細胞が光る 16

ストーリー by mhatta
イシャはどこだ 部門より

LARTH曰く、"MSN毎日の記事によると、岡山大病院の藤原俊義助教授らのグループが、オワンクラゲの発光遺伝子を組み込んだウイルスを開発したとのこと。このウイルスを手術前に注射すると、リンパ節に転移したがん細胞を光らせることができる。人に応用できれば、手術の際に切除範囲を小さく抑え、患者の負担軽減につながることが期待できるそうだ。1日付の米医学誌「ネイチャー・メディシン(電子版)」で発表された。

藤原俊義助教授らは先日、中皮腫を破壊するウイルスを発表したばかりであり、さらなる隠し球があるのではないかとタレコミ人は期待している。"

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  • by phpoobar (26216) on 2006年10月05日 10時15分 (#1031999) ホームページ 日記
    「センチネルリンパ節生検」っていって、術前に色素などを注入して、がん細胞周囲のリンパ節に転移がないかどうかを知る、というのは乳がんでやっている施設はたくさんあります。ググればいくらでも出てきますが、

     乳がんのセンチネルリンパ節生検 [yomiuri.co.jp] とか センチネルリンパ節生検の理論 [aichi.jp]

     Nature Medicineに載るってことは、それなりに新しい何かがあるんでしょうね。時間があったら読んでみるか。
    --
    --- Dead Poet Social Club
  • 「オワンクラゲの発光遺伝子」ってGFPのこと?…Aequorea victoriaのgreen fluorescence protein遺伝子を組み込んだ「だけ」ですね.レポーター遺伝子や標識用に組み込むとしたらこれしかないというくらいの遺伝子で,ウイルスじゃない「ちゃんとした」生物に入れてたらなんでニュースになるかわからんネタですね.ウイルスに入れるとするとどれくらい難易度が上がるのかは私もわからんけど.
    • このグループが以前に開発した「癌細胞だけを死滅させるウイルス」に組み込んで付加価値をつけた、というのがポイントでしょう。
      だからガン細胞だけを光らせることができたわけで。
      親コメント
    • by y_tambe (8218) on 2006年10月05日 18時07分 (#1032348) ホームページ 日記
      どこにぶらさげるか迷ったけど、ここに。

      今回のポイントは、別にウイルスにGFPを組み込んだことなんかじゃありません。そんなもん、これまでにいくらでも作られてるし。
      #実際、うちでもEGFP組み込んだレトロウイルスベクター使ったりしてますし。

      今回ののポイントは二つあって、その一つは、癌細胞だけで増殖するようにデザインしたGFPを発現するウイルスを作製した、ということ。
      具体的に言うと、遺伝子治療用に使うアデノウイルスベクター(ウイルス増殖に必要なE1遺伝子を欠損している)に、hTERT (human telomerase reverse transcriptase)プロモーターを付けたアデノウイルスE1遺伝子を組み込み、さらにマーカーとしてEGFP遺伝子を導入した、ウイルスを作製してます。

      アデノウイルスベクターは、遺伝子導入に用いられるもう一つの代表的なウイルスベクターである、レトロウイルスベクターと比べて、(1)分裂していない細胞にも導入可能、(2)遺伝子の発現効率が高い、(3)宿主ゲノムに侵入しないので変異を起こしにくい、という特徴があります。一方で、(4)すべての細胞に確実に入るわけではない、(5)遺伝子発現が一過性である、という短所もあります。ただ、今回のケースに限っては、診断時にだけ光ってくれて、その後はなくなってしまう方が都合がいいので、(5)の短所はむしろ望ましい特徴だとも言えます。

      hTERTプロモーターは癌細胞で特異的に遺伝子発現するよう調節するプロモーターなので、このウイルスを投与すると、全身の細胞にウイルス粒子は一旦入りこみうるんだけど、癌細胞以外ではその中で増えることができません。癌細胞の中でのみ増殖してGFPにより蛍光を発する、という、そういう仕組みです。今回は動物モデルマウスでリンパ腫だけ見てますけど、hTERTプロモーターが活性化する癌細胞ならば、どれにでも応用が効くはずです。またhTERTプロモーター以外にも、癌細胞特異的なプロモーターを応用することもできそうですね。

      それから、もう一つの重要なポイントなんですが、それはin vivo分子イメージングと言って、生きた動物の体内でGFPが光るのを検出してるというところです。新聞記事でも華麗にスルーされてますが、実はこの分野が最近非常に注目されてます。そもそもGFPは青色光で励起して初めて緑の蛍光を出すので、「体の内側にあるGFPにどう光を当てて、それをどう観察するか」というのがいちばんのネックだったわけです。普通に考えれば、切り開いて組織に直接当てなきゃ光らないわけですから。

      これが、最近、例えばこういう [amershambiosciences.com]小動物用の観察装置が開発され、各社から販売されるようになり、生きたままの状態での観察が可能になったわけでして。この分野の進展が背景にあって初めて、今回の研究が可能になったと言えます。

      今後はこの手の装置で、ヒトにも使える臨床用のものが開発され、用いられるようになっていくでしょう。また装置の精度が上がっていけば、そのうちもしかしたら、本当に微小ながん組織でも感知することが可能になるかもしれません。

      それから、今回のものはGFPを使ってますが、確かGFPは動物体内で非特異蛍光が出やすく、「本来光ってないところが光って見える」という問題が、割と大きかったと記憶してます。今回の成果を元にして、より特異性の高い、別の蛍光色素を使ったアプローチもありうるでしょうね。
      親コメント
      • あぁ、アデノウイルス+癌特異的プロモーターでやってたんですか。#1032009は完全に記事に騙されてました。

        # 恥ずかしいのでACで。

    • 結局主旨がなんなのかわからない散文ですね。

      > ウイルスじゃない「ちゃんとした」生物に入れてたら
      > なんでニュースになるかわからんネタ

      今回はウイルスなんで、それを念頭に入れた評価をしてほしいと思ったら、

      > ウイルスに入れるとするとどれくらい難易度が
      > 上がるのかは私もわからんけど.

      なにげに、具体的に明示はしてないけど「ニュースにする価値ない、よりはちょっと上」くらいだと言ってるみたい。
  • by bg (31226) on 2006年10月05日 10時22分 (#1032004)

     実験で、直腸がんを発症させたマウス7匹の腫瘍に新ウイルスを注射すると、計13カ所ある数ミリ大のリンパ節転移のうち12カ所を特定できた。

    取りこぼしがあったら意味がないんじゃないかな。
    実用的にはまだまだってことですね。

    なんだか実用性は二の次でとりあえず思いついたら発表しとけってスタンスなんでしょーか。
    --
    ――――――――――― バグは金也("Y"enBug)
    • 研究って、実用化に先立つものだから、実用段階には到達していなくても発表することに意義があるんじゃないですかね。

      実用段階になってからの発表しか意味がないとすれば、研究者たちはどうやって情報交換をすればいいのかと思います。論文誌ってのはとどのつまり研究者の内輪受け同人誌であって、そこでの情報交換からいずれ実用可能なものが出てくるわけで。13のうち12を同定できたという定量的な実験は、とても意味のあることだと思いますよ。
      --
      屍体メモ [windy.cx]
      親コメント
      • by bg (31226) on 2006年10月05日 11時17分 (#1032041)
        そうですよね、最後の一文は余分な一言だったか。
        なんだかいろんなものを矢継ぎ早に発表してるイメージを持ったので、研究結果を精査せず発表してるんじゃないかなと。
        そういう先入観がありました。いけないですね。

        技術を実際に使用する側としては、やっぱり13/13でないと不安なわけで。1つでも残っていれば転移の可能性は大きいわけだし。
        12/13に満足せず、13/13にできるよう更なる研究を続けてほしいです。

        # 研究者と現場ではこういった意識の乖離が良くあるので…
        --
        ――――――――――― バグは金也("Y"enBug)
        親コメント
        • 確かに、13/13でないと怖いってのはありますね。
          ただ、手術をしなきゃならないレベルになった場合を考えると、ある程度計画性はあるにしても見つかった部分を取っていく方法に比べ、見逃しそうな部分すらも見つけやすくなり、より少ない回数で全て取れるのであれば、手術される方の負担がぐっと減って存命率や資金面でも非常に有益ではないかと思います。
          その意味ではこの研究の成果は非常に大きなものではないかと思いますし、それであれば現時点での公開でも十分にも思えます。

          勿論仰るように1回で全部取れるに越したことは無いんですが。
          親コメント
    • by adeu (2937) on 2006年10月05日 11時04分 (#1032034)
      13ヶ所のうち12ヶ所でも充分実用性は高いのではと感じました。
      熟練した医師なら光らせずにただ見ただけで全部見つけられるのかもしれませんが、
      経験が少なくてもそれと識別できるのは意義が大きいのではないかと。
      テレビで見た限りではガン細胞を死滅させるこのウイルス本来の
      機能が損なわれていないので腫瘍部を大きくさせない効果が
      あるんじゃなかったかな。目視で転移部を高い精度で簡単に確認できる
      という利点と、仮に取りこぼしても大きくならないなら実用性は高いと思います。
      それに研究成果を評価するときに実用性がすべてではないと思いますし。
      親コメント
  • 「うおっまぶしっ」
    「すげぇ、この爺さん、体中光ってやがる」
    「分からぬか、もうタクアンは帰って来ん。今いるわしは、癌のシバヅケ和尚でしかない」

    #わけわかんねぇこと言ってんじゃねぇ!
    --
    openDoe-Ming Ver.0.72.9beta
  • by Anonymous Coward on 2006年10月07日 21時33分 (#1033780)
    もう取り上げられてるし。
    サイエンスZEROって、新ネタに飛びつくの早いな。
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アレゲはアレゲを呼ぶ -- ある傍観者

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