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地球内部に大量の水は存在しない? 47

ストーリー by yosuke
下部マントルにもないはずだし 部門より

LARTH 曰く

岡山大学地球物質科学研究センターの研究成果によるとマントル遷移層(上部マントルと下部マントルの間の層、深さ400〜700km程度)に大量の水が存在する必然性はないことがわかった。

地球の始原物質である始原的な隕石に比べて地表で観察される水の量は圧倒的に少なく、残りの水がどこに存在するのか、それとも宇宙空間に散逸してしまったのかよく分かっておりません。マントル遷移帯は、オリビンの高圧相であるワズレアイトとリングウッダイトを主要な鉱物として構成され、その結晶構造中に水を貯えることが知られているので、マントル遷移帯は地球の水の貯蔵庫である可能性が指摘されてきております。
ワズレアイトとリングウッダイトに水が存在する場合の電気伝導度を高温高圧下で測定することにより、マントル遷移帯の水の量の見積もりを行いました。電気伝導度は結晶構造中に水が存在すると高くなる傾向が認められ、水を含むワズレアイトとリングウッダイトの電気伝導度は、今まで報告されたマントルで地球物理学的に観測された電気伝導度の値より高いことが分かりました。一方、無水に近いワズレアイトとリングウッダイトの電気伝導度は、観測の結果と非常に良く一致しました。 その結果、マントル遷移帯に水が存在する必然性はないことが示唆されました。
隕石に含まれる水は2%程度であるのに地球の表面にある水分は0.025%程で、残りは地中にあると考えられていたわけだが、一体どこにあるのだろうか。
なお、論文はNatureに掲載されている。
この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • つまりこういう事? (スコア:1, おもしろおかしい)

    by Anonymous Coward on 2008年01月18日 1時00分 (#1282472)
    中に誰もいませんよ
  • 水分子はヘリウムほどは分子量は小さくありませんが、窒素や酸素に比べれば
    充分小さいので大気で循環しないで宇宙空間に発散してしまう量が無視できない
    と思っていたのですが、それだけの話じゃないんでしょうか?

    それにしても「必然性」の意味がさっぱりわかりません。
    • by phason (22006) <mail@molecularscience.jp> on 2008年01月18日 9時48分 (#1282541) 日記
      >それだけの話じゃないんでしょうか?

      記事のほうだと長さの制限でいろいろ端折られているのでわかりにくいかもしれませんが,実際の議論は
      もっと複雑でいろいろな話が絡んでいます.水に関しては,地球型の生物の生存に必須であること,他の
      近隣惑星にはほとんど存在しないことから,特に興味が持たれており,そのため多くの研究が存在します.

      まず,「地球の水の起源はどこだろう?」という議論があります.例えば
      http://www.geog.or.jp/journal/back/pdf116-1/p196-210.pdf [geog.or.jp] (東京地学協会)
      で述べられているように,細かな違いなどによりいくつかのシナリオ(とその複合物)が考えられます.
      で,それらの説に対しては,H/Dの量の比や現在の水の量などで制限が付けられます.

      しかし,これらの説は形成時の話ですから,現在の水の量とは差があるはずです.
      では,初期大気からどのようにして現在のような大気になったのかというと,惑星大気の進化というものを
      考える必要があって,こちらはこちらで膨大な研究があります.例えば
      http://221.243.18.148/tenki/pdf/54_01/p005_008.pdf [221.243.18.148] (日本気象学会)
      http://www.ted.isas.ac.jp/~venus/Documents/proposal/Chap7.pdf [isas.ac.jp] (JAXA)
      などです.特に重要なのは散逸過程ですが,こちらも思った以上に膨大なイオンが散逸していることは
      分かったものの定量的な見積もり(特に過去における散逸量)に関してはまだまだです.

      つまり,水の起源(等)に関して議論したいものの,現在の水の正確な量はわからんし,昔あった水の正確な
      量もわからんし,その間に散逸した量も正確にはわからん(ただしそれぞれ幾つもの見積もりはあります)
      という状況なわけです.
      しかし,どうも大抵の機構だと地球の水は初期にはもっと多かったはずで,それがどこかにいったようだ,という
      話になり,それは多量に散逸したのか,いやいや(いくらか散逸したにしても)実は最初からもっと少なくて
      最初の水の導入量が少なかった(モデルを変更する必要がある)んだ,といろいろ言われていたところに,
      「いや,マグマとか結構水を含んでそうだし,それも考える必要があるんじゃねぇの?」という話が持ち
      上がっていたわけです.
      http://www.nature.com/nature/journal/v439/n7073/abs/nature04352.html [nature.com] (と,本文中に引用されてる論文等参照)

      こういった議論の流れの中の一つとして今回の,「いやいや,地下の水はそんなに多くはなさそうですよ?」
      という研究につながります.
      #でもまだ実際に多いのか少ないのかは謎.まあこの手の研究は一発で正解が決まるようなものでもなく,
      #幾つもの支持/不支持の論文がたまっていって,そのうちどちらかの形勢が悪くなっていって「なんとなく
      #色々な研究結果から考えると○○の方が正しそうだ」となるんで,すぐには決着はつきません.
      親コメント
      • by Anonymous Coward
        月の起源の説「原始地球に火星サイズの惑星が衝突して、飛散した物質が、集合して月になった」が有力だとすると、
        原始地球に大量に存在していたかもしれない水も、衝突の際にほとんどふっ飛んだと思えますね。

        • by Anonymous Coward
          地球から月が分裂した説は、
          海が出来る前の話、地殻さえ形成されて無い頃の話。
          冷えて固まってからそんな大衝突があったら、現在の地球はありえないよ。
    • by Anonymous Coward
      ≫それにしても「必然性」の意味がさっぱりわかりません。

      過去の学説・常識に反する主張なので『それ(過去の学説)は間違っている』とは言わず,
      婉曲に『~と考える必然性はない』と言っているだけ.
      学者の書く論文でもこういう回りくどい表現をすることはある.
      • by 335 (4199) on 2008年01月18日 3時25分 (#1282496) 日記
        >水分子はヘリウムほどは分子量は小さくありませんが、窒素や酸素に比べれば
        >充分小さいので大気で循環しないで宇宙空間に発散してしまう量が無視できない
        >と思っていたのですが、それだけの話じゃないんでしょうか?

        一旦天体に堕ちた水分子が宇宙空間に発散してしまうためには重力の減少か
        内部エネルギーの上昇が必要で、惑星の場合両方とも難しいんじゃないでしょうか?

        『~と考えることはできない』=『それ(過去の学説)は間違っている』
        『~と考える必然性はない』=『他のシナリオでも説明できるかもしれない』
        全く意味が違います。

        親コメント
        • 大昔は自転が速かったそうなので遠心力に一票
          親コメント
          • by Anonymous Coward
            なるほど
            程なく自転が止まってアラームが鳴るわけですな
            干さなきゃ
        • by tos3 (34423) on 2008年01月20日 19時04分 (#1283559)
          >一旦天体に堕ちた水分子が宇宙空間に発散してしまうためには重力の減少か
          >内部エネルギーの上昇が必要で、惑星の場合両方とも難しいんじゃないでしょうか?

          天体上の気体の分子は、マクスウェル分布に従った速度分布を持つはずです。
          つまり、遅い分子も速い分子もあるので、速度の速い一部の分子は天体の脱出速度を越え、宇宙へ散逸すると考えられます。
          なお、マクスウェル分布によれば、軽い分子では全体的に速度が速くなりますから、軽い分子ほど逃げやすいのでは
          親コメント
          • by Anonymous Coward
            >天体上の気体の分子は、マクスウェル分布に従った速度分布を持つはずです。
            >つまり、遅い分子も速い分子もあるので、速度の速い一部の分子は天体の脱出速度を越え、
            >宇宙へ散逸すると考えられます。

            こまった、あらゆる分子雲は時間Δtで質量が減るんですね?
            これって本当に正しいんですか?つまり、なにか制限しないといけないような。。

            「天体上の気体の分子は、マクスウェル分布に従った速度分布を持つはずです。
            つまり、遅い分子も速い分子もあるので、速度の速い一部の分子は光速を越え
            てしまうことが考えられます。」というのは正しくないですよね。
        • by Anonymous Coward
          水分子が脱出速度を越えるのは別に不思議ではないと思うけど。
  • by Choro-Chan (31768) on 2008年01月18日 5時48分 (#1282506)
    地表分に生物が保持する分って入っているのでしょうか?
    無視できる誤差?
    • by kicchy (4711) on 2008年01月18日 6時51分 (#1282510)
      >地表分に生物が保持する分って入っているのでしょうか?
      >無視できる誤差?

      誤差じゃないかねぇ。
      全動植物を海に叩き込んだと想像しても・・・・大して海面の変動に問題にならなさそうだし。

      まあイメージですが、桁が全然違うでしょうね。
      むしろ空気に含有されている分の方が影響しそうな気がする。
      親コメント
      • by Anonymous Coward
        全動植物で適当に10億トン(人間一人に20kg含有として70億人、1億4千万トン)と考えても誤差かな?
        • Re:素朴な疑問 (スコア:2, 参考になる)

          by kicchy (4711) on 2008年01月18日 22時34分 (#1283050)
          >全動植物で適当に10億トン(人間一人に20kg含有として70億人、1億4千万トン)と考えても誤差かな?

          Wikipediaによると [wikipedia.org]

          現在 地球表面に存在する水の総量は14億km3とされているが、
          その中で海水が断然多く約97.5%の13億5000万km3を占める。

          とあります。
          1m3 = 1t と見積もれば、1km3 = 10^9 t 。
          9桁違えば誤差かなぁと思います。
          親コメント
  • by Anonymous Coward on 2008年01月18日 0時35分 (#1282464)
    > 残りは地中にあると考えられていたわけだが、一体どこにあるのだろうか

    大昔に宇宙人が全部吸い取っていった、に一票。いま地表にある水は、当時採掘しきれなかった絞りカスが浮いてきたもの。
  • by Anonymous Coward on 2008年01月18日 1時25分 (#1282477)
    月とか火星とか水星とか、表面にすら水ないじゃない
    なんで地球だけ表面に水面があるんよ?
    • by Anonymous Coward
      火星や水星にも氷はありますね.
      • by Anonymous Coward
        月にだって北極と南極にはあるんじゃね?説はあるしな。
        アポロなんかはサハラ砂漠に降りて地球には水ありませんって言っちゃったみたいなもんだし。
        • by Anonymous Coward
          外から眺めて、「たくさん見える」と、「あるかも知れない」や「わずかに見える」じゃかなり違うだろう。
        • by Anonymous Coward
          月の石には2%も水が含まれているんですかね?
  • by Anonymous Coward on 2008年01月18日 1時25分 (#1282478)
    実際に地球内部をみずに判断できるものか
  • by Anonymous Coward on 2008年01月18日 1時31分 (#1282479)
    オリビンがどんなものか想像もつかなかったので調べてみたら、

    オリビン(Olivine) = かんらん石(橄欖石) = ペリドット(Peridot) [mineralstreet.jp] でした。

    なるほど!

  • by Anonymous Coward on 2008年01月18日 7時17分 (#1282511)
    海にある水じゃないの?そういう話じゃないの?
    • by Anonymous Coward
      > 海にある水じゃないの?そういう話じゃないの?

      俺もそう思った。海ですら少なすぎるということかな?
      • by multiplex (33585) on 2008年01月18日 9時35分 (#1282532)
        Wikipedia先生によると、地球上の水の質量は1.38×10^21kg(水総量におけるの海水の比率が97.5%として)
        一方地球の質量は6.0×10^24kg
        で、海水までぜーんぶ足しても0.025%程度ですな。

        ちなみに生物が保有する水の量は1.200立方km(0.0001%)程度 [water.go.jp]だそうです。
        親コメント
        • 誤:1.200立方km
          正:1,200立方km

          #だけなのでACで
        • by Anonymous Coward
          >地球の表面にある水分は0.025%程

          表面にある水分の話なので地球全体の質量で割るのは違うのでは?
          どこまでが地表になるのか知らないけど 地殻 [wikipedia.org]までで計算したら表面積が5.10072×10^8 km^2で地殻の厚みを多めに見て50kmとして地殻の体積は2.55x10^25 cm^3で、平均密度5.515 g/cm^3なので(地殻だけだともっと軽いかな)質量は1.41x10^26 g になる。
          一方海の水の総量は1349.9 百万km^3 (=1.3499x10^18 m^3)で面倒だから海水1m^3の質量を1000kgとして海水の総質量は1.3
          • >表面にある水分の話なので地球全体の質量で割るのは違うのでは?

            地球の元になった小天体と隕石の成分は同じはず。
            隕石には質量の2%の水がある。
            なら、地球全体でも、質量の2%の水があったはず。
            現在地表(ほとんどは海)にある水は、たったの0.025%。
            なら、残りは地球内部にあるのかな?という話です。
            だから、地球全体の質量で割るのが正しい。
            親コメント
            • by Anonymous Coward
              >地球の元になった小天体と隕石の成分は同じはず。

              あーなるほど。
              ただ、解せないのは隕石が小天体全体の組成を代表できるほど普遍的にどの隕石もどの小天体も2%の水分を含んでいるのだろうか、という点ですね。月の石も2%の水分を含んでいたんでしたっけ?
              • by Anonymous Coward
                始源的で未分化の隕石に何%含まれているかが問題です。
                月の石のような、分化を経た石がどうなっているかは全く関係ないです。
          • いやだから、本当に地殻より内部に同等の比率で水があるんか?
            って研究なんじゃないですか。

            で、そんなに無いかも知んない、って言っているんでしょ。
        • by Anonymous Coward
          地球の質量って量りを逆さにして置いたらわかるんですか?
      • by Anonymous Coward on 2008年01月18日 9時33分 (#1282531)
        そのとおり
        海や氷床を含む地球表面に存在する水の総量の見積もりは約14億km3、質量にして 1420kg [wikipedia.org]
        一方地球の質量は5.974×1024kg [wikipedia.org]
        隕石等と比較して桁違いに少ないということです。

        原始地球はドロドロの火の玉もとい溶岩の球だったという説もあるし、水の大部分が飛んでいても不思議は無いと思いますけどね。
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