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テクノロジー

宇宙エレベータが直面する「揺れ」の問題 81

ストーリー by mhatta
とらぬ狸のなんとやらのような気が… 部門より

pinbou 曰く、

本家/.の記事より。これまでは構造物の強度が建設に当たって解決すべき主要な問題とされてきた宇宙エレベータだが、そういった問題には新素材の登場などで光明が見えてきた一方、最近では本当に重大なのは「揺れ」の問題ではないかとされているようだ(NewScientistの記事)。月や太陽の重力、太陽風などが構造物を揺らし、それによってエレベータの軌道が揺れ動くことで、衛星やスペースデブリに構造物がぶつかってエレベータが破損する可能性が高いと懸念されている。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by YuiTad (29703) on 2008年03月30日 5時44分 (#1321727) 日記
     New Science の記事読んで、要約むずかしいのでタレコミさぼった自分が言うのは図々しいけど、本家もそれ受けたこっち版も問題のたてかたが筋違い。

     断わっとくけど、以下長いよ。読み飛ばしできないよ。

     まず、宇宙エレヴェーターは原理的には非のうちどころがないもの。
     だからと言って工学的に可能、実用になるとはゆかないのは言わない約束。
     静止軌道から上方と下方にテザー(ケーブル)をゆっくりと展開してやれば、下方では重力が、上方では遠心力が卓越し、最終的には下端を地表に固定できる。
     地上から積みあげるのは不可能だし、テザーの材質も柔軟な、つまりエラスティックな紐やロープでなくちゃいけない。
     この時、上端をさらに伸ばすか、上端にさらに重しをつけてやれば、地表部のテザーには上向きのテンションがかかる。そこでこの重み以下の荷物ならテザーごしに持ち上げてやれる。
     持ち上げに必要なエネルギーは、下向きにおろしてやる荷物の減速で発生するエネルギーを回生ブレーキで再利用してやれば、原理的にはゼロにできる。
     しかし、地球の静止軌道から36000kmも吊り下げられる素材は、先端にテーパーかけて荷重を減らしてやっても、知られる限りでは存在しない。
     発案初期には、ダイヤモンドが何万kmの継ぎ目なしの糸にできたらとか、鉄などのホイスカー結晶ならどうか(現実にはミリ単位)とか言われ、現在はナノチューブ(これも長いの作れる保証ゼロ)を使えばとか、「あったらいいな」「できたらいいな」なんて議論がされてる。
     だが、それ以上の難問があると言っているのが、今回、振動の問題を提起したチェコ天文学協会のLubos Perek。
     月や太陽からの摂動や「太陽風」(原文ママ)により、宇宙エレヴェーターは揺らされ、振動をおこしてしまう。
     クラークの『楽園の泉』では、火星植民政府が、この振動を逆に利用して、火星では絶対に避けられないはずの衛星フォボスとの衝突を回避する策に出る。
     クラークのこのアイデアを使えば、月や太陽などの自然に生じた振動を消したり、軌道上の人工物を回避できるはずというのが、今までの研究者の主張。
     しかし、地上の根本に力を加えてやるだけでは問題は解決しないよというのが、Perekの主張。
     その根拠についてはNew Scientistの記事でもあやふやなので、ここからは推測。
     地上に固定されたこの長大テザーは根元に振動をあたえてやっても、上橋は動くことがない。先端に重しをつけて紐を手からぶらさげ、その手を左右に細かく動かしてやればよい。先端は、紐全体(具体的には重心)を動かしてやらない限り、びくとも動かない。
     ならばどうすると、Perekは考えたのだろうと、ここまでが推測。
     Perekによれば、根本的な解決のためには、テザーの各所にスラスター(ロケット)をつけてやらねばならない。
     デブリ避けるのも、こうしたスラスターで接近探知したら噴かすって手しかないでしょというわけ。
     でも、そんなのつけたら重くなる上にメンテや推進剤補給が偉い手間で、長大構造を維持することさえできなくなる。
     だから駄目じゃんってわけ。
     ここまでまとめればわかる通り、Perekの論自体、かなりに隙があり、元記事でもその見解に賛同のコメントをよせているのは、やはり安定性が致命的という、ニューメキシコ採鉱学工学大学のAnders Jorgensenひとり。しかも、Jorgensenによれば、地球磁場により、Perekがちゃんとした解析やってない自然振動は、完全にとまでゆかないが減衰するという。
     それでも解消しない振動にはロケットの代りに、テザーそのものに電流を流してやり、地球磁場と相互作用させてやる策もあると、Jorgensenは語っている。
     宇宙エレヴェーターほどの規模ではないが、シャトルから長大なケーブルを真下に展開してやる実験は「テザー衛星」(Tethered Satellite)の呼称ですでに行われていて、テザーに誘導電流流してやって、電離層を横切らせ発電しちまえという構想も進められたことがある。
     このあたり、日本語版Wikipediaの「軌道エレベータ」の項目では、「テザー推進」と「テザー衛星」ってのがごっちゃになっていて混乱を招く。
     また、記事ではNASAの概念研究レポートのまとめ役だったBradley Edwardsもコメントしていて、月や太陽からの影響はたいしたことないし、テザーにスラスター固定してやると荷物の上げ下げが大変だよと釘さしている。
     とまあ、正しい要約がむつかしいってのはここまで読めば、読んでくれたらわかるだろうが、実は、さらにコメントつける形でのPerekへの反論がどっとよせられてて、今現在、総計30(モデレートによる本文削除含む)。
     そっちまでは読み込めてないので元記事にあたってね。くれぐれも本家の筋違いの紹介じゃなく元記事にね。
     なお、Perekの論文は、
    Acta Astronautica (DOI: 10.1016/j.actaastro.2008.01.020)
      に掲載。
     アブストラクトは、
    Space Elevator: Stability Lubos Perek [sciencedirect.com]
     にあり。原典にあたれるひとのつっこみ求む。

    --
     YuiTad
    • by digoh (17917) on 2008年03月30日 11時57分 (#1321824) 日記
      読み飛ばしできないとの事だが、「はゆかない」の時点で我慢できなくなったので、要約を試みてみる。
      自分の理解用の意訳の意訳なので、信頼性は言うまでもない。

      ・軌道エレベータは、基本は静止軌道から”糸”を垂らし、その糸に張力がかかる形で固定される。
      ・ということは両端が固定された糸、つまり「弦」なわけで、振動が起こることは避けられない。
      ・これを固定端(要は地上)から調節できれば、自然の影響で起こる振動を打ち消したりデブリを避けたりに利用できる
      ・でもそれは難しいらしい、というのがコメント元が主張する今回の話。
      ・Perekによれば、地上でちょこちょこやってもダメ、やるなら”糸”の各部にロケットつけないとね、とのこと(コメント元の推測)

      あとはウンチクと元記事や本家/.コメントの意訳なので省いた。
      つまり、問題は
      >エレベータの軌道が揺れ動くことで、衛星やスペースデブリに構造物がぶつかってエレベータが破損する可能性が高い(タレコミ)
      ではなく
      「軌道の振動をコントロールできないこと」かな。
      パワーと耐久性を無視すれば弦の端に適当な力をかけることで振動はコントロールできるはずだけど、軌道エレベータの規模だと難しいよね、ってことか。
      親コメント
      • by YuiTad (29703) on 2008年03月31日 5時17分 (#1322233) 日記
         >ということは両端が固定された糸、つまり「弦」なわけで、振動が起こることは避けられない。
         宇宙エレヴェーターは基本的に、上はじは開放端。
         この場合も、エレヴェーター全体(の重心)を動かさない限り、上端は静止している。
         地上からの振動=横波不可だけでは、上端をぶんまわしてやるのは
        不可能。
         地上側から振動(横波)を伝えてやり、フォボスや大型人工天体を回避することは可能だが、デブリの場合は軽すぎ軌道が不安定に変動、いつ探知できるかわからず、地上部からの振動モード制御で回避はむずかしい。
         エレヴェーター全体を動かすには上端からブースター噴かしてやる手もある。この場合、エレヴェーターは一種の振り子運動をおこなうが、タイムラグの問題でデブリ回避にはやはり使えんだろう。
         ならば、エレヴェータの要所にロケットつけて一時的に曲げ、回避してやるしかないというのがPesekの主張。
         ニューメキシコ工大の研究者の主張は重要。
         電離層(低軌道テザー衛星)、ヴァン・アレン帯との相互作用で、エレヴェーター全体(あるいは局所)を動かしてやれるのだ(ただし、あくまで原理的には)。
         この場合、なにより魅力的なのは、推進剤がいらないこと。
         これは読み飛ばせる「蘊蓄」ではない。
         ちなみに、太陽や月からの力は、振り子運動と振動の両方をひきおこす。
         宇宙エレヴェーターの振り子運動は地球からだと制御むずかしいわりに、正のフィードバックおおこしたりするので、まずは使えない。つまり、
         >パワーと耐久性を無視すれば弦の端に適当な力をかける
         わけだが、その為には、Pesekが言う設定だと、余分な推進剤が必要になる。
         ただし、地球・月のラグランジュ点と月面を結ぶタイプの宇宙エレヴェーターだと、アンカーと月面でテザーを延び縮みさせてやればコントロール可能で、しかも既存素材で建造可能。
         両端が開放端の、現に空飛んでるテザー衛星の場合は、この延び縮みに加え、全体を回転させてやれば、推進剤なしで、軌道要素の一部を変更でき、すでに予備的な実験がおこなわれている。

        --
         YuiTad
        親コメント
        • 原典にあたれない(英語を読んでられない)私がコメントを続けるのもおこがましいのですが。

          てっきり、糸の部分がデブリにぶつかるぶつからないの話だと思ってたら端っこのステーション部分の話だったんですね、
          > 地上側から振動(横波)を伝えてやり、フォボスや大型人工天体を回避することは可能だが、デブリの場合は軽すぎ軌道が不安定に変動、いつ探知できるかわからず、地上部からの振動モード制御で回避はむずかしい。
          のあたりの話によると。
          でもこの問題については静止衛星は全て同じ問題をかかえていませんかね?(糸ついてないから地上から制御という議論はそもそも無意味ですが)

          >>ということは両端が固定された糸、つまり「弦」なわけで、振動が起こることは避けられない。
          > 宇宙エレヴェーターは基本的に、上はじは開放端。
          これは”充分重たい重りが先端に付いてたら固定端とみなせる”とか勝手に考えていたので、補足感謝です。

          > これは読み飛ばせる「蘊蓄」ではない。
          その部分がウンチクだとは言いませんが(省いた部分がすべてウンチクだとは書いてませんよね)、
          「タレコミは主題がズレてる」というタイトル=主題においては蛇足だったので省きました。
          コメントが長すぎると理解を阻害するので、話したい内容を適当に分け、別々にコメントすることをお薦めします。
          (たとえ自分の文にコメントつけることになっても)

          > ちなみに、太陽や月からの力は、振り子運動と振動の両方をひきおこす。
          ここから下とか。
          親コメント
    • たとえ、Perekさんの主張が正しいとしても、
      ケーブルの各所にスラスター付けなくても、スラスターを上下させて必要なところで、水平噴射させればいいんじゃない?
      そうすれば、そんなに重くならないし。
      親コメント
  • by znc (2768) on 2008年03月30日 1時43分 (#1321674)
    やっぱり光学バリアシステムが実用化されないと巨大な宇宙建造物は作ること出来ないんじゃないだろうか・・・・

    # 大真面目なのでID
    --
    『今日の屈辱に耐え明日の為に生きるのが男だ』
    宇宙戦艦 ヤマト 艦長 沖田十三氏談
    2006/06/23 JPN 1 - 4 BRA
  • こんなの [space-elevator.jp]が日本科学未来館 [jst.go.jp]でやってたんだねぇ。
    The LiftPort Space Elevator [liftport.com]も2031年へカウントダウン中。
  • by SteppingWind (2654) on 2008年03月30日 19時03分 (#1322071)

    軌道エレベータを単体としてではなく, 運輸システムとして見た場合には揺れが起きることも推進剤が必要なことも当然なんですよね. なぜなら軌道エレベータは決して静止しているわけではなく, 地軸を中心として回転運動しているという根本的なことに起因するからです.

    ここで軌道エレベータをゴンドラが移動する状況を考えてみます. これを地上, あるいはエレベータ上から見れば, ゴンドラが重力に逆らってあるいは重力に引かれて上下するだけに見えます. ところが実際にはゴンドラは円周方向に軸から離れるに従い加速, 軸に近づくに従い減速されます. この加速/減速はゴンドラの移動速度によって, いわゆるコリオリの力として現れ, 軌道エレベータを円周方向に引っ張ることになります. 軌道エレベータが十分に大きければ, この力は無視できるかもしれませんが, そうでない場合にはゴンドラの上下に伴いエレベータが円周方向に波打つことになります. 逆に, これを利用して能動的にエレベータを揺らし, デブリ等の衝突を回避できるかもしれません.

    さて次になんらかのペイロードを軌道エレベータを使って持っていくことを考えてみます. よく, 軌道エレベータでは下りのエネルギを回生して上りに使うので効率が良いと言われます. 確かにそれは間違いないのですが, ここに一つ大きな見落としがあって, 近い将来ではほとんどの場合地球の物資を静止衛星軌道に持っていくのに使われるということです. 端的には軌道エレベータ自身を軌道エレベータの建設に使うというやつですね. ところがこの場合, どうしても下りが軽くなるのでバランスが崩れてしまいます. すると, この差, ペイロードの質量に地表から静止衛星軌道までの重力ポテンシャルの差と軌道速度(約3km/s)を掛けた分だけ軌道エレベータが引きずられて高度が落ち, 速度も遅くなって落っこちてきちゃうことになります. 「楽園の泉」や「星々にかける橋」ではアンカレジに小惑星を置いて小さいことは気にしないことにしていますが, そうじゃない場合には補償のための推進が必要になります. とはいえ, この場合にはエンジンや推進剤タンクの質量は勘定に入れずにすむため, 効率は通常のロケットよりも格段に良いですし, 時間をかけて良い場合には太陽発電や外部からの電力供給による電気推進が使えるので, さらに効率はよくなりますけど.

    どうも軌道エレベータの話って日本の道路と同じで作ることしか考えてなくて, 使われ方や日々の運用・メンテナンスなんかのリアリティに乏しいんですよね.

  • by maia (16220) on 2008年03月30日 1時22分 (#1321666) 日記
    たしか3001年までには、赤道上に直径数km、高さ3万6千kmの摩天楼を建設するはずでしたね。
  • by Anonymous Coward on 2008年03月30日 1時39分 (#1321672)
    揺れが無くても、デブリはぶつかるときはぶつかってしまうのでは?
    むしろその揺れを使ってデブリを躱す方が建設的かつ現実的な気がするのですが。
    • by Elbereth (17793) on 2008年03月31日 0時17分 (#1322184)
      デブリが怖いなら、いっそ軌道エレベーターの周囲にとりもちをつけて
      ハエ取り紙みたいにしてデブリを回収するようにすればいいのにと
      思った。
      もしくはデブリを事前に集めてきれいにしてしまえばいいのに。
      親コメント
    • by Anonymous Coward
      ゆれの周期ってのは、構造体が出来上がったときに物理の法則で決まってしまうからなぁ。
      いつもタイミングよくかわすというわけには行かないよなぁ。
    • by Anonymous Coward
      最初からわざと揺らしておいて(中央に錘のついた紐の上下両端を持って、左右に振って回転させるイメージ)
      その軌道内のデブリだけは綺麗に掃除しておくってのはダメですかね。

      #計算できる範囲内ならなんとかなる気が・・・
  • 宇宙エレベータが捩れるとか折れるとか(はないか)するのかと思ったら、衝突なのね。
    人柱を使えば大丈夫なんじゃない?3000万人ぐらいで肩車して。
  • by Anonymous Coward on 2008年03月30日 4時16分 (#1321718)
    デブリ以外にも鳥や気象現象や風化でダメージ受けまくりそうな気がするんですけど
    そういう点は誰か考慮してるんでしょうか。もし静止軌道までの距離x2もの長さのリボンが
    切れたときのことを考えると物凄く怖いんですが。地上に甚大な被害をもたらしたりしないんですか?
    • 足元(大気圏内)が切れてもさほど問題はないだろうな。だけど何にしてもCNTなんかじゃダメだろう。

      CNTみたいに閉じた分子だと「横」には十分な強度では接着できないのでテーパー構造を作れない。テーパー構造を作れないということはすなわち重量がほとんど無駄になる。それは中央部に応力が集中することと同義。中央部はもっとも切れてはいけない部分だがそこが最も切れ易い。

      これは材質の限界がどうこうというような話であるから「編んでどうこう」などという摩擦力レベルではてんで話にならない。なのでCNTなんかで作るとするなら全長に渡って全ての繊維(CNTのだ!)をファンデルワールス力あたりで貼り付けておくくらい。
      # 編んだりなんかしたら応力は増えるし他の「糸」を傷つけやすくなって余計に悪い。

      でもグラファイトの劈開が完全なのを考えたらそれで足りるかどうか怪しいもんだ。それに揺れるとなるとバラバラになる事は明らかで、バラバラになったら切れた繊維は周囲の繊維を切ったり傷つけたりしながら落下するしかない。結果は連鎖的崩壊だ。切れるのは中央付近だろうからあとは全体が地球に巻き付きつつ落下して、赤道に「線」が引かれる。

      反対側は反対側でお星さまになるか戻ってきて落ちるか。落ちるとしたらこっちの方がエネルギーが大きい分だけ厄介かも。

      というわけで、CNTみたいなのじゃ無理だなー。
      親コメント
      • おっしゃるとおり、CNTでテーパーなんて土台、無理な話で、
        ましてや、装甲施すなんて、もっと馬鹿馬鹿しい話で、
        いわんや、リニアモーターなんて(ryな話で。

        結局、CNT使うなら、男らしくテーパー無し、ゴミに当たったら切れること前提で、
        細いのを何百本も並べて(×束ねて)、ゴンドラが摩擦力でよじ登っていく、
        もしくは、輪っか状にして宇宙側と地球側にプーリーを設置してグルグル回すしか、
        手はないと確信しているのですが。
        電源はもちろん、摩擦力式なら、地上局からゴンドラに向けてマイクロ波で送信、
        プーリー式なら、地上側のプーリーのモーターに供給ね。

        そのエレベータをリスクヘッジのため、何セットか用意するしかないですよ。
        親コメント
      • by Anonymous Coward
        凄く乱暴にまとめると「惑星はなぜ丸いのか」って議論だよねこれ。

        丸い惑星のありかたの対極にある…つまり神の意思に反した…究極の姿なんだよね、宇宙エレベーターって。なにあの無理くりな細長さは?と。

        その構造の無理さをミクロレベルで語ってくれたら、上記のようになる、と。
        • by Anonymous Coward on 2008年03月30日 10時17分 (#1321770)
          ほおって置けば風化してしまうあなたの体は、新陳代謝を繰り返すことで
          丸い地球の一部になってしまう事に必死に逆らっています。

          「神の意思」を安易に推し量ってはいけません。
          親コメント
      • by Anonymous Coward
        繊維状のものではテーパー構造は作れない、とのことですが・・・

        繊維を静止軌道から垂らしたとします。繊維には自身の重量によるテンションが発生し
        この力は高度が上になるほど強くなり、どこかの高度までくると繊維の強度がテンションに
        まけて切れてしまうことになります。

        これを防止するためには、繊維が切れてしまう高度に来る手前のテンションが小さい段階で
        2本目の繊維を登場させて力を分散させればよいのです。

        ということで、2本目の繊維を1本目が限界になる高度のすこし下まで静止軌道から垂らします。

        1本目と2本目の結合方法は、接着でも編みこみでも構いませんが、ご指摘の通
        • CNTはそれ自体では軌道エレベータ構造になれるくらいの強度はあり得るらしい。だから1本目はOK。
          でも繊維同士の接着強度が低いので、その2本目以降が十分な強度では1本目にくっつかないという問題なのです。

          CNTは炭素原子の「腕」を全部使ってるから化学的結合を作れないけど、軌道エレベータで必要とされているのはCNT自身が示しているようにその化学的レベルの結合強度なのだから。

          もっとも、欠陥がないように作ればポリエチレンだってそれに近い引っ張り強度が出るから、結合の余地がある分そっちの方が有望だろうね。逆にCNTだとその欠陥が出にくい。接着しにくいという問題の性質自体に因ってね。そういう意味ではCNTにナトリウムあたりを入れて「腕」を増やすという手もある。
          # だけど欠陥が出易くなるというジレンマ。

          なのでCNTみたいな作りにくい材料よりポリエチレンの欠陥をなくす方が有望な気もする。あるいは逆に思い切り交差結合させるとか。

          >落ちてはこない
          それもそうか。しかし墓場軌道の廃棄衛星を蹴散らすだろうなぁ...。
          親コメント
          • CNT の一部をダイヤモンド結合にして分岐すれば良いのでは?
            --
            the.ACount
            親コメント
    • by khwarizmi (23623) on 2008年03月30日 5時47分 (#1321728)

      あまり関係ない愚痴なんですが,10年以上前から鋼鉄よりもはるかに強い繊維は腐るほど存在するわけですが,未だに世にある長大橋は鋼鉄のワイヤーで支えられています.(キャットウォークならポリマーでの施工例があるんだが)

      なんつーか,軌道エレベータ,スカイフックだとか景気の良いことを言う前に,長大橋のひとつやふたつその手の繊維で作ってくれよと思ったり.

      親コメント
      • んじゃ、まずはジブラルタル橋を…。
        #設計者の名前で呼ぶのを禁じておけば、起動エレベータも作ってくれるでしょ。
        親コメント
      • by Anonymous Coward
        強度以外に耐久性、耐熱性、耐摩耗性などの様々な障害を耐えうる総合的な「強さ」で鋼鉄がいま一番なのでは?

        # 単に製造コストを天秤にかけたら「こっちがのが安い!」で決まっていたり。
        • by nim (10479) on 2008年03月30日 14時43分 (#1321944)
          そのものズバリ、コストでしょう。
          実験室で鋼鉄よりも強いワイヤができたとしても、
          工業化するにはさらに時間がかかります。
          だけど、たとえば高機能樹脂は少しづつスチールの
          守備範囲を浸食し、ようやく自動車のボディに使われる
          かも、というところまで来ています。

          20年後には、樹脂製の吊り橋ケーブルも普通になっているかも
          しれません。
          親コメント
      • by Anonymous Coward
        PS3が売れずにDSやWiiが売れる理由とほぼ同じです
    • 糸状CNTの並列軌道エレベータ、という前提でお話させて頂きますけれども、
      静止軌道の外側、遠心力側のテンションを少し高めておいて、
      地上端を地面に結び付けておけば、デブリが多い、静止軌道より地球側の部分が切れた場合、
      外宇宙に向かって飛んでいくから問題なし。

      静止軌道より外側が切れた場合は地球に落下してきますが、糸状のCNTなら
      飛行機から長い糸を落としたのと同じで、被害が出るような落ち方はしないんじゃないですか。

      気になるなら、静止軌道上でバンドで他のCNTと一緒に留めておいて、落下しないようにしておいて、
      後からゆっくり巻き取って回収、みたいな感じかな。
      静止軌道上で巻き取った後、静止軌道の外側に伸ばしていけば、カウンターウエイトとして
      有効活用もできますね。
      親コメント
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アレゲはアレゲ以上のなにものでもなさげ -- アレゲ研究家

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