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150303 story

2009年のノーベル物理学賞は光ファイバーへの貢献とCCDの発明に 33

ストーリー by yosuke
写真入りのこのニュースもあっという間に世界を駆け巡る 部門より

2009年のノーベル物理学賞は、チャールズ・カオ(グラスファイバーによる光の伝送に関する革新的な業績)とウィラード・ボイル、ジョージ・スミス(CCDの発明)に贈られる(プレスリリース一般向け解説科学的背景)。

ガラスを使って光を伝送する試みは、20世紀初頭には既に始まっていた。しかし、1960年代当時の光ファイバーの性能は、20mの伝送で光が1%に減ってしまうレベルのものだった。
カオは、Standard Telecommunication Laboratoriesに在籍中、長距離のグラスファイバー中を伝達する光についての計算を行ない、純粋なガラスであれば100km以上離れていても光の損失を低減できるという結果を1966年1月に発表した。
カオの研究とそれに刺激を受けた他の研究者により光ファイバーの研究開発は前進し、4年後には実用に耐える長さ1kmの光ファイバーが作られ、1988年にはアメリカとヨーロッパを結ぶ海底ケーブルが敷設されるまでになった。

ボイルとスミスは、ベル研究所に在籍中の1969年9月、磁気バブルメモリに関するブレインストーミング中にCCDのアイデアを思いついた。基本設計が固まった一週間後には最初のプロトタイプが作られ、1970年にはCCDのデモンストレーションが行なわれた。
その後、1972年にフェアチャイルド社によって後に製品となる100×100ピクセルのCCDが作られ、1975年にはボイルとスミスの手によって実用的な解像度を持つデジタルビデオカメラが作られた。

両技術とも、現代社会では重要なものであり、多くの人が普段から普通に接しているものである。今回のニュースを機に、これらの技術を使えることの素晴らしさをあらためて実感するのもいいのでは。

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  • by pongchang (31613) on 2009年10月07日 7時06分 (#1649837) 日記
    光でくくるとCCDも光ファイバーも入るが、西澤先生の入る余地が3名という枠から漏れたのは残念、収集性光ファイバーの要素を半導体レーザーやフォトダイオードなどで補強していた。
    昭和末期のコーニングとの特許戦争 [nifty.com]に続いて、第二の敗戦。
    光ファイバーだけであるいはCCDだけで物理学賞を出すとすると、今度は寿命の壁が待つ。光以外の領域にも物理学賞は関心を持たないといけない。
  • CCDのあのバケツリレーって、磁気バブルメモリからの発想だったんですね。納得してしまった。

    これはイメージセンサに使える!とピピピッときて、実際にさっさと作ってしまうところがすごい。
    最初期の試作品からエリアセンサだったのでしょうか。それとも最初はさすがにラインセンサだったのかな。

    • >最初期の試作品からエリアセンサだったのでしょうか。それとも最初はさすがにラインセンサだったのかな。

      最初は1bitでしょ?
      ま、スキャナ等でラインセンサは現役だと思うが‥

      親コメント
      • なんか誤解がすごく広まってますけど、CCDそのものは光学センサではないですよ。
        「バケツリレー的に電荷を移動することができる」素子です。
        CCD光学センサは、ラインなりエリアなりに並んだフォトダイオードが受光した信号を、
        外部に取り出すために「CCD」素子が使われているわけです。

        機能としてはただの遅延線で、シンプルな構造がイメージセンサの信号取り出し用にすごく便利だったということで、
        この世界ですごく流行っちゃっただけですね。

        ですから、
        > 最初は1bitでしょ?
        CCDそのものは「電荷」というアナログ量を伝送する素子なので、「bit」って単位で計れるものではありません。
        1bitの意味が「1次元」のつもりだとしたら、上述の通り、原理的に1次元のCCDなんてものは存在しません。

        #撮像素子を指して「CMOS」と呼ぶのかなり意味不明ですが、
        #受光信号の伝送方式の比較としては、「CCD素子」か「CMOS素子」かはまあ対応がつきますね。

        親コメント
      • by Anonymous Coward
        1pixel?
  • この3人より先に貰ってもおかしくないと思われる、
    西澤潤一博士が同時受賞でない理由を知りたい。
    • ひとえに,最初の業績が英文のジャーナルに投稿されなかった不運でしょう.
      フラーレンのときも,同様の不幸で日本人が受賞を逃したと言われています.
      "Publish or perish"という有名なことわざもあります.

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      • by Anonymous Coward on 2009年10月07日 19時24分 (#1650332)
        第一回?のビタミンもそうでしたけど
        日本人の功績を無視した選考結果が散見されます
        ノーベル賞を神聖視するかのような見方は、日本でこそ改められるべきなのでしょう

        これで西沢潤一の数々の発明や却下された特許申請が
        「たいしたことなかったのでは?」なんてことにならないことを願う

        それにつけても西沢はどこかで絶大な評価を受け、
        少なくとも日本人は偉人として知るべきだと思うのだが
        日本に浸透してなさ過ぎる
        現代社会・生活への影響では野口英世より偉大なのではないかなぁ

        ま、世界を徹底的に変えたとも言える
        高柳健次郎(世界初テレビ)や嶋正利(世界初CPU)さえ知らないのだから
        日本人にとって、もしくは高柳さえ全く知らない世界にとって
        一般常識としての技術史ってなんなんだろうと考えてしまう
        エジソンやルミエール(映画)に比べ前述の日本人三者が劣っているとは思えないのだけれど
        ライト兄弟なんて飛行機を有人化しただけで世界中が知ってるのに(正直、マジでたいしたことなくね?笑)

        これで、やっぱり英語で論文を書こうという研究者が増えるのだろうな
        日本の税金で教育を受け、研究をし、
        多くの日本人にわからない文章で日本以外に貢献する研究者がこうして増えてゆくのですね
        そして、日本人は自分たちより他の社会の競争力を高める(相対的に日本をさらに貧困化する)
        研究に税金を投入し続けるのです
        親コメント
        • by nim (10479) on 2009年10月07日 19時32分 (#1650335)

          >現代社会・生活への影響では野口英世より偉大なのではないかなぁ

          直接的な成果の「現代社会・生活への影響」でいうなら、野口英世よりも
          偉大な科学者はいくらでもいると思います。

          野口英世は、むしろ「修身の教科書」的な文脈での影響が大きいだけでしょう。

          親コメント
        • プログラム内臓式の世界初コンピューターが世界初CPUじゃないのか?
          (CPUって中央処理装置だろ?)
          ライト兄弟が飛行機を有人化したなんてウソ書いちゃイカンよ。
          それ以前にもリリエンタールが飛んでる。(それで死んでるけど)

          --
          the.ACount
          親コメント
        • by Anonymous Coward

          > 嶋正利(世界初CPU)

          まだこんなことをいう阿呆やプラスモデする阿呆がいるんだなあ。
          http://en.wikipedia.org/wiki/Central_Air_Data_Computer [wikipedia.org]

          • by Anonymous Coward
            Wikipediaを参照するなら、以下を見てみればいい。
            http://en.wikipedia.org/wiki/Masatoshi_Shima [wikipedia.org]
            http://en.wikipedia.org/wiki/Intel_4004 [wikipedia.org]
          • by Anonymous Coward
            ご紹介のWikipediaには

            前略

            David A. Patterson argues that the F-14 CADC should not be considered a microprocessor in the modern sense and instead a "microprogrammed special purpose computer, using a variable number of custom chips."[2] Russell Fish, noted Motorola designer, said that "Is the CADC designed in 1968 by Ray Holt and Steve Geller a microprocessor? The answer is 'YES'. Their PDU and PMU chips are probably the world's first math coprocessors.

            後略

            とあります。なにをCPUとするかにおいてどちらが最初か議論が
            • by Anonymous Coward
              > とあります。なにをCPUとするかにおいてどちらが最初か議論が分かれるみたいですよ。

              そりゃそうでしょう。

              > 現在、一般的にCPUとみなされているもの、特に幅広い応用が可能な、即ち汎用性のあるもの --今のように世界全体を変えてしまったような -- としては嶋のかかわったi4004が初めてだったという解釈でいいのではとおもいますけど。

              もちろんそういう議論はあるでしょうし、あなたの言い分も認めないわけではありませんが、「世界全体を変えてしまったような」などという恣意的な基準は、8080以来のインテルマンセーな私でも拒否せざるを得ません。

              それはともかく、今の時点で

              > 嶋正利(世界初CPU)

              こう断言する奴は阿呆だと、こちらは断言できますね(笑)
        • by Anonymous Coward
          とりあえず、あなたの意見を英語に翻訳して本家に投稿してみてはいかがでしょうか。
  • by Anonymous Coward on 2009年10月07日 7時58分 (#1649850)

    >磁気バブルメモリに関するブレインストリーミング中に
    もしかして: ブレインストーミング

  • でも,そういえばキルビーも物理学賞でしたっけ。

    あらためて創立以来の物理学賞受賞者を見ると,
    工学分野へのシフトはむしろ原点回帰だったりするのかな。

    • by Anonymous Coward
      だから西澤博士は無理って嫌になるほど聞きましたが、あれなんだったんだでしょうね
      • by Anonymous Coward
        それ言い出したら小柴さんなんかは「ノーベルマネジメント賞」ですよね
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コンピュータは旧約聖書の神に似ている、規則は多く、慈悲は無い -- Joseph Campbell

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