
IHI、インフルエンザワクチン製造子会社共同設立へ 4
ストーリー by hylom
プラントから製品までワンストップで 部門より
プラントから製品までワンストップで 部門より
route127 曰く、
IHIのプレスリリースによれば、インフルエンザワクチンの製造子会社を4月に設立するらしい。秋田のバイオベンチャー、UMNファーマとの共同設立とのこと。IHIは医療原料プラントへ注力するらしいのでその一環なのだろうか。
2008年6月の読売の記事で解説されているが、元々米国PCS社で用いられていた蛾の細胞を用いた季節性インフルエンザワクチン製造技術の供与を受け、それを新型インフルエンザワクチンの製造に応用するものらしい。。従来の鶏卵を用いたワクチンの製造には6か月を要していたのに対し、細胞培養による製造では所要時間を2か月に短縮することができるとのこと。
日本脳炎ワクチンなどでも細胞培養によるものがあるようだが詳細はわからなかった。
大丈夫か? (スコア:4, 参考になる)
日本脳炎ワクチンはアフリカミドリザル腎臓由来株化細胞 [takedamed.com]、いっぽうこのインフルエンザの蛾 [exblog.jp]の細胞は炭酸ガスも要らずに室温でも育つ [takara-bio.co.jp]というのがらくちん。
実験室と違って、製品として出す時は、量もさることながら、GMP [e-gov.go.jp]という企画基準を手続きとして文書化するのが大変。そういう意味で、プラントメーカーが書類仕事を担ってくれるのはありがたいともいえる。幹細胞では川崎重工業 [khi.co.jp][pdf1 [khi.co.jp], pdf2 [jst.go.jp]]とか。
日本でもカイコ [affrc.go.jp]をつかったバキュロウイルスによる蛋白生産とかやっていたんだけど、GMPの手続き面で、今回の蛾の系 [nosan.co.jp]に遅れをとっていると思う。
導出元のProtein Sciences Corporationも山あり谷あり [webry.info]だなぁ。
要はリコンビナントタンパク質 (スコア:2, 参考になる)
#それでもまぁ、ワクチンの分類的には、百日咳ワクチンや鶏卵培養による日本のインフルエンザワクチンと同じ、成分ワクチン(コンポーネントワクチン)に含まれるのが、またややこしいのだけど。
鶏卵培養にしても、Vero細胞やMDCK細胞などの哺乳動物細胞を用いた方法にしても、どちらも基本的には生きたウイルスそのものを細胞(もしくはふ化鶏卵)に感染させて、生きたウイルスを作る、というのが前提になります。
今回のワクチンは、蛾の細胞というか、要はSF+細胞(ヨトウガ由来)を用いたタンパク質発現系で、リコンビナントのヘマグルチニン(HA、H)を大量に作らせてワクチンとするもののようです。なので、VeroやMDCK、あるいは鶏卵でのウイルス培養とは異なり、一旦、生きたウイルスそのものを作る、という過程がありません。ここが大きな違いですね。今回のようなタイプは成分ワクチンの中でも特に「リコンビナントワクチン」とも呼ばれ、B型肝炎ウイルスに対するHBsワクチンが、これに該当します。
ちなみにSF+細胞を使って作らせてる理由ですが、タンパク質の大量発現系として最もよく使われる、大腸菌での発現系では、作ったタンパク質への糖鎖の結合(糖鎖修飾)が行われないからです。ヘマグルチニンは糖タンパク質であり、結合した糖鎖部分まで含めた立体構造が、(ヒト体内で作られる)抗体と結合するかどうかを決める際に重要になります。大腸菌を初めとする原核細胞ではこれが行われないため、糖鎖修飾が可能な、真核細胞でのタンパク発現系を用いる必要があります。そうなると、よく使われるのが酵母とか、今回用いられてるSF+などの昆虫細胞になる、というわけです。
大量に余りそうな輸入ワクチンも細胞培養 (スコア:1, 参考になる)
しかしどの国もワクチンが余ってしまい、結局ぼろ儲けしたのは製薬企業だけだろって批判が。
コメントつかねぇーーーーーーーw (スコア:0)