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バイオテック

IHI、インフルエンザワクチン製造子会社共同設立へ 4

ストーリー by hylom
プラントから製品までワンストップで 部門より

route127 曰く、

IHIのプレスリリースによれば、インフルエンザワクチンの製造子会社を4月に設立するらしい。秋田のバイオベンチャー、UMNファーマとの共同設立とのこと。IHIは医療原料プラントへ注力するらしいのでその一環なのだろうか。

2008年6月の読売の記事で解説されているが、元々米国PCS社で用いられていた蛾の細胞を用いた季節性インフルエンザワクチン製造技術の供与を受け、それを新型インフルエンザワクチンの製造に応用するものらしい。。従来の鶏卵を用いたワクチンの製造には6か月を要していたのに対し、細胞培養による製造では所要時間を2か月に短縮することができるとのこと。

日本脳炎ワクチンなどでも細胞培養によるものがあるようだが詳細はわからなかった。

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    by pongchang (31613) on 2010年01月29日 6時53分 (#1710328) 日記
    今回の出資以前から受け入れはしてるんだが、IHIが出てくると死亡フラグが立ちそうで心もとない、LNG推進系とか上場問題 [msn.com]とか。
    日本脳炎ワクチンはアフリカミドリザル腎臓由来株化細胞 [takedamed.com]、いっぽうこのインフルエンザの [exblog.jp]の細胞は炭酸ガスも要らずに室温でも育つ [takara-bio.co.jp]というのがらくちん。
    実験室と違って、製品として出す時は、量もさることながら、GMP [e-gov.go.jp]という企画基準を手続きとして文書化するのが大変。そういう意味で、プラントメーカーが書類仕事を担ってくれるのはありがたいともいえる。幹細胞では川崎重工業 [khi.co.jp][pdf1 [khi.co.jp], pdf2 [jst.go.jp]]とか。
    日本でもカイコ [affrc.go.jp]をつかったバキュロウイルスによる蛋白生産とかやっていたんだけど、GMPの手続き面で、今回の蛾の系 [nosan.co.jp]に遅れをとっていると思う。
    導出元のProtein Sciences Corporationも山あり谷あり [webry.info]だなぁ。
  • 同じ「培養細胞」を使う技術ですが、Vero細胞を用いた日本脳炎ワクチンとか、MDCK細胞を用いた新型インフルエンザワクチンの作製とは、原理的にはまるっきり別物です。

    #それでもまぁ、ワクチンの分類的には、百日咳ワクチンや鶏卵培養による日本のインフルエンザワクチンと同じ、成分ワクチン(コンポーネントワクチン)に含まれるのが、またややこしいのだけど。

    鶏卵培養にしても、Vero細胞やMDCK細胞などの哺乳動物細胞を用いた方法にしても、どちらも基本的には生きたウイルスそのものを細胞(もしくはふ化鶏卵)に感染させて、生きたウイルスを作る、というのが前提になります。
    1. このとき、もし(運良く)目的とする病原ウイルスについて、ヒトに対してほとんど無害な弱毒株が存在するのであれば、そういった弱毒ウイルスを増やすことで、それをそのままワクチンとして使えます。これが「弱毒生ワクチン」(細菌の場合は生菌ワクチンとも)と呼ばれるものです。他のタイプのワクチンに比べて、最も効果的だと言われてますが、どんな病原体にでもそういう弱毒株が都合良く存在するとは限らないので、これが作れるものはかなり限定されます。結核に対するBCGワクチンとか、麻疹ワクチン、風疹ワクチン、ポリオワクチンなどがこれに当たります。
    2. そういう弱毒株が入手できない場合、病原体であるウイルスそのものを増やし、それを不活化処理(熱処理したり、ホルマリンや有機溶剤などの薬剤で処理したり)することで、ワクチンを作ります。これが「不活化ワクチン」(細菌の場合は死菌ワクチンとも)です。日本脳炎ワクチンや、狂犬病ワクチンなどがこれに該当します。ただ、不活化ワクチンの中には副作用(副反応)が出てくるものも存在します。過去に日本で使われていた、百日咳に対する不活化ワクチンがまさにその事例で副作用として死亡例が出たため、接種が中止されることになりました。
    3. 百日咳の不活化ワクチンに変わるものとして、不活化処理したウイルスの成分の中から、副反応を起こすものを取り除き、ワクチンとして働く成分だけを精製したものが作られました。このような、病原ウイルスから特定の成分だけを取り出して使うもののことを「成分ワクチン」と呼びます。現在の百日咳ワクチンがこの代表です。また日本で作られているインフルエンザの鶏卵培養ワクチン(HAワクチン)も、SV(sub-virion)ワクチンと呼ばれる成分ワクチンです(海外産のものには、全粒子を用いた不活化ワクチンが多いです:このため効果は高いが副反応が強く出ると言われる)。
    4. あとこの他には、ジフテリアや破傷風などのように、感染する細菌そのものより、それらが体内で産生する毒素の方が大きな問題になるものについては、不活化処理して無毒化した毒素をワクチンにするものがあり、これらは「トキソイド」と呼ばれます。

    今回のワクチンは、蛾の細胞というか、要はSF+細胞(ヨトウガ由来)を用いたタンパク質発現系で、リコンビナントのヘマグルチニン(HA、H)を大量に作らせてワクチンとするもののようです。なので、VeroやMDCK、あるいは鶏卵でのウイルス培養とは異なり、一旦、生きたウイルスそのものを作る、という過程がありません。ここが大きな違いですね。今回のようなタイプは成分ワクチンの中でも特に「リコンビナントワクチン」とも呼ばれ、B型肝炎ウイルスに対するHBsワクチンが、これに該当します。

    ちなみにSF+細胞を使って作らせてる理由ですが、タンパク質の大量発現系として最もよく使われる、大腸菌での発現系では、作ったタンパク質への糖鎖の結合(糖鎖修飾)が行われないからです。ヘマグルチニンは糖タンパク質であり、結合した糖鎖部分まで含めた立体構造が、(ヒト体内で作られる)抗体と結合するかどうかを決める際に重要になります。大腸菌を初めとする原核細胞ではこれが行われないため、糖鎖修飾が可能な、真核細胞でのタンパク発現系を用いる必要があります。そうなると、よく使われるのが酵母とか、今回用いられてるSF+などの昆虫細胞になる、というわけです。

  • by Anonymous Coward on 2010年01月29日 2時02分 (#1710300)
    輸入するノバルティス社の新型インフルエンザワクチンも、犬の肝臓を使った細胞培養で生産しているそうです。欧米では数年前から細胞培養は認可されていて、新型インフルエンザワクチンをイチ早く大量生産できて、各国から注文殺到だったと。
    しかしどの国もワクチンが余ってしまい、結局ぼろ儲けしたのは製薬企業だけだろって批判が。
  • by Anonymous Coward on 2010年01月29日 0時38分 (#1710265)
    編集者乙ww
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未知のハックに一心不乱に取り組んだ結果、私は自然の法則を変えてしまった -- あるハッカー

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