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日本

世界一の電子顕微鏡の一歩となる高性能電子源が開発 21

ストーリー by reo
JST 先生のキャッチーなフレーズをご堪能ください 部門より

jonykatz 曰く

物質・材料研究機構の材料信頼性萌芽ラボのチームが、ランタンホウ化物 (LaB6) を材料にした電界放射型の電子源開発に成功したとのことである (科学技術振興機構のリリースより) 。

今回の成果では、電子源としては化学的安定性、高硬度、融点などの面でタングステンより優れているが、倍以上硬いために適当な加工法がなかったランタンホウ化物を、化学気相堆積法を用いて単結晶ナノワイヤを作り出すことに成功した。さらに、熱電子放射よりもはるかに高輝度で細く絞った電子ビームを放射できる電界放射方式を採用できる電子源とすることに成功したとのことである。

今回の開発により電子源性能を飛躍的に向上させ、電子顕微鏡等の性能を世界一とすることが可能になるということである。

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  • by nue_nue (30719) on 2010年09月10日 14時08分 (#1823174)
    ひょっとして熱電子方式で無いって、フィラメントいらずってこと?
    だとするとうれしい。

    三十年も前に大学でおんぼろ透過電顕でバイオの研究やっていた。
    さあ、サンプル切片作って(ガラスナイフで!!!)ウランで染めて、
    オイルポンプで空気を抜いて、っと。あっ!リークした!パッチーン!!!

    フィラメント切れました。先生に怒られました。僕は悪くないのに。
    --
    鵺の啼く夜は恐ろしい
    • フィラメント要らずなのは,電界放射型の電子源を使うTEM(FETEM)全般がそうです.今回のものに限った話ではありませんね.
      #世の中的にも,かなりFEへの移行が進んでいると思います.

      FEのガンはフィラメントほど完全に駄目になることは少なく丈夫っちゃあ丈夫ですが,真空度が悪いととたんに不安定になります.リークすると結構頑張って鏡体焼き出さないと駄目です.また表面が変にやられるともうガン交換です.
      前述の通りフィラメントほど切れやすくはないのですが,駄目になったときの交換費用はFEの方がかなり高かったはず.
      #フィラメントで工賃込み数十万,FEで2-3百万ぐらいでしたっけ?

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    • ターゲット(フィラメント)を加熱して電子を取り出す従来の熱電子方式では寿命とか電子ビームの集束とかの点で今イチだったので、高電圧をターゲットにかけて放電させようってのが電界放射方式なんでしょ?

      また、タングステンより高性能なフィラメントになり得る材料としてLaB6が有望視されていたんだけど、タングステンより随分硬いので、機械的な方法(切る削る延ばす曲げるetc.)ではナノワイヤに加工できなかったのが問題だったと。

      このたびChemical Vapor Deposition法(と表面の電界蒸発)でLaB6の清浄なナノワイヤ(フィラメント)を作ることに成功したので、もっと性能の良い電子顕微鏡が作れるようになるぞ!

      ……という話にしか見えないのですが。
      # 材料屋崩れなのでID。

      親コメント
      • あー、世の中はもう電界放射式主流の時代なんですね。

        就職してからはとんと透過電顕はご無沙汰で、使っても
        たまにSEMを横から見る程度で。

        でも真空が落ちると悲しい事になるのは(当然ながら)
        変わらないのですね。

        実感としては周期的に不具合がおきるのですよね。おそらく
        ガスケットやら何やらが劣化してきて、修理が一巡すると
        しばらく安定するっていう感じなのではないかと思ってい
        ました。
        --
        鵺の啼く夜は恐ろしい
        親コメント
        • by Anonymous Coward
          TEMだけでなく,SEMもかなりFEだと思いますよ。
          学生の時使ってたけど,トラブルは一度もなかったな~。
          装置が比較的新しかったからだろうか。
          真空を破らないように,とか試料を鏡筒内に落とさないようにね,とかさんざん脅かされたけど。
          • by Anonymous Coward

            ボロっちい真空ポンプだとすぐ白煙吐きますよ。
            タブレット作るぐらいなら大丈夫だけど、長時間真空を維持するとなるとヤバい。
            手際よく撮影すれば問題ないけど途中で何かあってその場を離れるとエラいことに。
            残念ながら白煙をはかないポンプを見たことがない。
            お金のあるところにはあるらしいという噂は聞くけど。

            • by Anonymous Coward

              >ボロっちい真空ポンプだとすぐ白煙吐きますよ。

              そんなに壊れるかなあ?
              うちにロータリーでアルカテルとかアルバックとかアネルバとかエドワーズ取り混ぜ18台ぐらい、ターボでファイファーとか三菱(今は島津か)とかエドワーズで6台ぐらい、24時間365日、5年ぐらいはその構成で回してるけど、壊れたのって1台ぐらいだと思う。
              ロータリーなんかは1台15-20万ぐらいでそんなに高いものでもないし、まあターボも普通のもの。
              メンテったってロータリーは半年に一度オイル変えるぐらいだし。ああ、ターボは時々メンテ出すけど。
              #後は何だ?ロータリーにフォアライントラップとかはつけてるけどそのぐらいだし。

    • by Anonymous Coward on 2010年09月10日 14時19分 (#1823180)
      今でも高性能・高真空の電子顕微鏡ではリークがあれば,フィラメントが切れなくても(無くても)イオンポンプやらクライオポンプやらが落ちてバッチーンです
      #真空系の扱いが面倒で,休暇明けの立ち上げの時に何度泣かされたことか.......
      親コメント
    • 硼化ランタンの電子源って、すごく昔に聞いた話なのに・・と思ったら「ナノワイヤ」が新しいのか。
      そういえば昔に見た写真は硼化ランタンの結晶だったな。
      高真空が必要だから電子発生部を電子顕微鏡全体と別に、そこだけ高真空にして薄膜ごしに電子を通過させるとか聞いたが、今はどうなんだろ?

      --
      the.ACount
      親コメント
  • by Anonymous Coward on 2010年09月10日 13時21分 (#1823143)
    ニュートリノ顕微鏡の出番ではないか?
    • by Anonymous Coward

      望遠鏡なら聞いた事あるが

  • by Anonymous Coward on 2010年09月10日 13時32分 (#1823153)

    超高精細なCRTに応用できそうですね

    • by Anonymous Coward

      CRTの電子源なんぞはそもそもそこまで単色性や細いビーム径が必要とされていないので、無駄にオーバースペック(つまり無意味)です。
      #このレベルの光源に対しては、途中の光学系での崩れの方が桁違いに大きいので。

      • by pps (31526) on 2010年09月10日 22時36分 (#1823452)

        半導体露光装置の電子線源に使えないかな?
        i線の次は電子線といわれて久しいけど、あまり高速化できないのでマスク作成に使われる程度ですよね。
        「輝度は10倍以上(中略)エネルギーの広がりは3分の2以下」との事なのでマスクレスで高速なステッパが登場するかも。

        親コメント
        • by Anonymous Coward

          電子線露光はスループットが低すぎるのが問題。多少改善してもとてもとても。
          それと今回のこれ、高分解能電顕の光源としてはいいけど、電子線露光などではそこまで(高分解能のSTEMだと、例えば単原子以下程度のビーム径まで)絞れる必要がない。そういう用途ならこの手法を使わずとももっと高輝度な線源はすでにある。

  • by Anonymous Coward on 2010年09月10日 13時55分 (#1823167)
    要らないから、最終結果を出してくれ。

    #タッツ、デバッグ中に寝るな!
    • by Anonymous Coward

      萌芽ラボ・・・だと? なんだかワクワクするな。
      タレ人乙。こういう新技術のニュースをこれからも頼むぜ。
      #オフトピなのでで駄スレ再利用

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アレゲはアレゲを呼ぶ -- ある傍観者

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