デラウェア大学、クリーンな水素製造法を開発 32
ストーリー by reo
エクストリーム・カーボンニュートラル 部門より
エクストリーム・カーボンニュートラル 部門より
eggy 曰く、
デラウェア大学の大学院生 Erik Koepf 氏が、二酸化炭素などの有害物質の排出を伴わない水素製造法を開発したとのこと (デラウェア大学のニュース記事、geek.com の記事、本家 /. 記事より) 。
Koepf 氏が開発した太陽光反応器で水素を製造するのに必要なものは、太陽光と酸化亜鉛、水だけ。この太陽光反応器は円筒状の構造をしており、3000℉ (およそ 1650℃) まで温度をあげることができるのだそうだ。15 個のホッパーを通過して振るい落とされた酸化亜鉛粉末は、内部がセラミック製の装置内で亜鉛蒸気に転化し、水と反応して水素が発生するのだという。
5 日よりチューリッヒにある Swiss Federal Institute of Technology にて 6 週間の試験を行うことになっている。水素を燃料に走る車は二酸化炭素を放出しないといわれているが、そもそも水素を製造する段階で大量の二酸化炭素が排出されているのが現状だ。だが、この水素製造法なら温室効果ガスを排出しない燃料を実現するできる。ぜひ試験を成功させて欲しい。
太陽熱から水素って結構よくある話だよなあ (スコア:3)
日本でも研究してるよな。こっちは鉄化合物で水を分解(還元か?)
http://www.47news.jp/CN/201108/CN2011082101000454.html [47news.jp]
太陽光を使うのとしては、触媒タイプの研究もずっとやってるよね。
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2001/pr20011206_1/pr20011... [aist.go.jp]
Re:太陽熱から水素って結構よくある話だよなあ (スコア:2)
参考 (スコア:2)
これ(水素製造プロセス) [comtecquest.com]あたりが参考になるかと。
たしかに大量の二酸化炭素ができますな。
Re:参考 (スコア:1)
2000年代前半の水素製造プロセスの研究では
発生したCO2を大気へ放出せず
地中なり海底なりに閉じ込めるという発想が
主流だったと思うのですが、今どうなってるんでしょう。
技術的な困難が大きいんですかね?
Re:参考 (スコア:1)
技術的困難もありますが、埋めるにふさわしい場所の確保という問題がまずあるようですね。封じ込められないと危険ですから。(二酸化炭素は窒息性のガス。海底から巨大な泡としてたちのぼったら船舶に被害。)
ちなみに韓国では埋められる海底地層を発見したというニュースが流れています。
東海に二酸化炭素50億トン貯留できる海底層を発見=韓国 [joins.com]
Re:参考 (スコア:1)
水素製造プロセスではありませんが、改質工程でCO2が発生するという意味では似ているオイルサンドからの石油抽出プロセスにおいては、もうすぐ大規模実証試験を始めようというところのようです。
オイルサンドのCO2を貯留、カナダ [nationalgeographic.co.jp]
アミン溶液を用いる化学吸収法については、商業機段階であり課題はコスト低減に移っていると思います。(もちろん、吸収液もプロセスも改善は続けられていますが。)
Re:参考 (スコア:1)
石油天然ガス田で、採収し終わった跡の貯留層にCO2押し込めば一石二鳥じゃね?
陸域だと大地震などで漏れる可能性も捨てきれないが、新潟沖の海底油田なら安全じゃね!?
…と一瞬盛り上がりましたが、ロンドン条約(廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約) [wikipedia.org]でいう「海洋」の解釈で「海底下であっても『海は海』」という理屈を推進派が覆せず、ポシャってしまいました。
その後復活した話は聞きませんが、背に腹は代えられない時が来ると思います。
ガス田から出る天然ガスは10-20%のCO2を含んでおり、商品として売る前段階でCO2を除去する必要があります。
つまりCO2除去技術は既に商用レベルで確立されているわけです。
陸域の油層跡にCO2を押し込む実験も行われてます。
ここ [rite.or.jp]とか。
ところがたまたま中越地震が起きて「地震を誘発する」という声が上がりビミョーな空気に。
最近ではシェールガスの採取に伴う地震の発生が世間に知られてきたので、陸域での実施はもっと難しくなりそうです。
CO2を地中に押し込むために新たにボーリングの必要がないガス田の再利用は良いアイデアだと思うんですけどね。
Re: (スコア:0)
そんな発想でセーフになるのなら、火力発電所とかもやればいいじゃん。
と思うんですが。
これと、石油の無機起源説とを組み合わせれば、火力発電最強って言えますね。
原子力も自然エネルギーもいらなくなっちゃう。
Re:参考 (スコア:1)
実際の所, 燃料として使うのなら, 水素単体よりも炭素なんかと反応させてメタンやメタノールにした方が保管に便利ですからね.
今のところ, 化学プロセスで使うとか, 液水液酸ロケットみたいな特殊用途で使うとかでなければ, 直で水素を使うメリットって少ないですね.
Re:参考 (スコア:1)
国語辞典でも水素製造法はわかる、かも
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B4%E7%B4%A0%E8%A3%BD%E9%80%A0%E6%B3%95 [wikipedia.org]
しつもん (スコア:1)
なんらかの還元剤で酸素奪ってあげないといけないんだと思うけど、そんな記述は無い・・
2.酸化亜鉛をただ熱しただけで金属亜鉛と酸素分子にできたとして、水に同時にぶつけても酸化亜鉛に戻るだけだよね?
ただの水より酸素分子の方がはるかに反応性高いと思う・・ 酸素分子の分離はどうやってやるのかな?
Re:しつもん (スコア:2)
>酸化亜鉛をただ熱しただけじゃ金属亜鉛にならないよね?
なりますよー.
ただ酸化亜鉛(と亜鉛も)は昇華しやすいんで,密閉系にするとかしないとどんどん飛んで行っちゃいますけど.
>酸素分子の分離はどうやってやるのかな?
クエンチが多いと思います.
加熱で出来た亜鉛蒸気+酸素蒸気を急冷することで,亜鉛を粒子として析出させちゃいます.
冷却速度が十分速ければ,酸素との再結合を防ぎつつ金属亜鉛の形での析出が可能です.
Re:しつもん (スコア:1)
水素製造法おもいだした。 (スコア:1)
するとどうだ、水は水素と酸素の化合物ではありませんか。かくして水素をつくるには、水をいちいち分けていけばいいことが判明するのです。
酸化亜鉛は触媒? (スコア:0)
消耗しない触媒だよね。
じゃないと、某詐欺と一緒だ。
Re:酸化亜鉛は触媒? (スコア:3, 参考になる)
実際に回る回数はやってみないとわかりませんけど,原理的には触媒です.
ZnOが2000Kぐらいで熱分解してZnとO2のガスになるんですよ.で,Znの粉末とか原子とかは水と反応してH2とZnOになります.ですから,ZnOの熱分解のエネルギーさえ与えてやれば反応は(原理的には)回ります.
これ自体はそれなりに有名な話で,同じような水素製造システムを作ろうって言うベンチャーとかもあったはず.
工学的には,ZnとかZnOとかの粒子をどう輸送するか,塊として固着しないようにどうするか,とかいろいろ面倒な部分はあるようですが.
Re:酸化亜鉛は触媒? (スコア:2)
The production of Zn from ZnO in a high-temperature solar decomposition quench process—I. The scientific framework for the process [sciencedirect.com]
14年前の論文ですが、金属Znはきちんと出来ているけど反応管の壁に析出していたり、ZnOで覆われた状態になっていたり。
亜鉛蒸気を作るまではそれほど困難ではなさそうですが、その後のマテリアルハンドリングがかなり難しそうです。
Re:酸化亜鉛は触媒? (スコア:1)
ちょっと不親切なタレコミ文だけど、「この文章に間違いが無い」という前提を置いて内容を解釈すると正解に辿り着けるぐらいの感じ。
Re: (スコア:0)
詳しくは見ていませんが,
酸化亜鉛=>高熱下で還元された亜鉛蒸気と酸素に=>亜鉛と水で酸化亜鉛と水素
という順序なので(酸化)亜鉛で見ると消耗しない.
高熱と亜鉛を使って水の分解をやっているということでしょう.
システムとしての有用性は太陽光熱をそのまま発電に使うよりどのくらい
効率が良いのかが問題だと思います.
Re: (スコア:0)
太陽光熱よりも効率が悪かったとしても保管しやすい水からエネルギー源を取り出すことができるので、太陽エネルギーの補助として有用ではないでしょうか。
揚水発電は火力や原子力よりも効率が悪いですけど、夜間の余剰電力で昼間の不足を補っていますよね。同様のことがいえると思います。
効率はどんくらいなんだろ? (スコア:0)
リンク先の英文記事見たけど、効率には言及してなかったような。
水を分解して水素を得るなら、太陽電池の電気で分解でも良さそうだし、それより変換効率がいいんだろうか?
Re:効率はどんくらいなんだろ? (スコア:1)
今回のこれじゃありませんけど,昔東工大の玉浦研が同じように酸化亜鉛と太陽熱で水素作ってたときのエネルギー変換効率が4-50%ぐらいだったような.研究室レベルですけど.
水の電気分解の効率がだいたい3-40%,太陽電池はそれにさらに電気への変換効率の20%程度がかかってくる(トータルで6-8%)んで,水素作るのであれば熱の直接利用の方が恐らく効率はかなり高いんじゃないかと.
#太陽電池通すなら,多分そのまま電気としてどうにかした方が良いんだと思います.
Re:効率はどんくらいなんだろ? (スコア:2)
実験室レベルとはいえ、そんなに効率が高いのですか。太陽電池+電気分解と比較して、同じ太陽光という条件での水素の収量が5倍以上ですね。意外です。
これは、酸化亜鉛は繰り返し利用(連続稼働が可能)での数値なのでしょうか。
Re:効率はどんくらいなんだろ? (スコア:4, 参考になる)
プレスリリースもあったよなあと今調べたら酸化亜鉛じゃなかったというこの事実.
http://wwwold.titech.ac.jp/tokyo-tech-in-the-news/j/archives/2003/06/1... [titech.ac.jp]
亜鉛フェライト……微妙に違う.
連続可動はどうだったか.
この数字自体は一発の実験での値だったような気がします.
ただ,ここは企業なんかと組んで連続処理が可能な研究用プラントも組んでまして,そっちでも(上記発表の確か数年前に)連続稼働で30%弱ぐらいの太陽光→水素のエネルギー変換効率は達成していた覚えがあります.
#ただし,金属酸化物は使っているものの,酸化亜鉛かどうかは覚えてません.
ですのでまあ,連続稼働だったとしても,太陽電池-電気分解の組み合わせよりは効率が高いとは思います.
まあもっとも,この水素から燃料電池的に電気を作ったりするとそこでの変換効率3-40%がかかってきてしまうので,
・電気で使うなら最初から太陽電池
・燃やして使うなら水素
とかそういう感じなのかも知れません.水素自体は保管も微妙ですしね.
#水素から別な保管しやすい化学種に変換することを考えるのなら,そこの効率次第ですかね.
Re: (スコア:0)
このくらい効率が高いと、水素を作るのに使わずに金属空気電池で電気にするのでも変換効率の高さで太陽電池と勝負できそうだが。
亜鉛フェライト空気電池と組み合わせて、太陽熱還元亜鉛フェライト空気電池ってのを開発した方が水素製造より良さそう。
Re: (スコア:0)
電池にするんだと粒子形状や担持の仕方が重要になってくるから、難しいんじゃないかなあ。
今回のだと全部一度蒸発したあげくごちゃっとした亜鉛になっちゃうわけで。
Re: (スコア:0)
車載用の大きめの電池ってことにしとけば何とかなったりするのかな?
質問 (スコア:0)
水爆を輪切りにして乾留した場合はどれくらい二酸化炭素が発生するの?
らじゃったのだ
だから作るほうはもう十分だと何度言ったら・・・ (スコア:0)
問題は安全、コンパクトかつ軽量に水素を貯蔵する方法なんだよ。
それがないから水素燃料の実用化がなかなか進まないんだ。
Re:だから作るほうはもう十分だと何度言ったら・・・ (スコア:1)
そういえば最近、貯蔵の方のニュースも見たような。
二酸化炭素とギ酸を相互変換するエネルギー効率の高い触媒を開発
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2012/pr20120319/pr20120319.html [aist.go.jp]
Re: (スコア:0)
軽量、コンパクトというところはだめなような。
水素にこだわる必要は無いと思うけど・・・。 (スコア:0)
普通に蓄電池に電力を貯めれば良いような用途が多いと思う。
水素って、「夢の高速増殖炉」とか「夢の核融合炉」とかと同じような気がする。
軽くて高密度な燃料が必要なら、金属マグネシウムに貯めたほうが扱いやすいと思うし、
洋上風力発電や海上太陽光発電の電力の運搬なら、高圧直流送電で十分だろうし、
燃料電池で燃やさなくても、普通のエンジンで燃やしても、大差ない場合がほとんどだし。
発電、貯蓄、運搬、利用、のすべての過程を通じた総合的な効率が重要なのに、一部分だけ取り出されてもねえ。