パスワードを忘れた? アカウント作成
2820619 story
地球

「ちきゅう」が海底科学掘削の世界最深記録を更新 31

ストーリー by headless
最深 部門より
NOBAX 曰く、

海洋研究開発機構(JAMSTEC)の地球深部探査船「ちきゅう」のドリルが25日、海面下7,740メートルに到達し、海底科学掘削の世界最深記録を更新したそうです(「東北地方太平洋沖地震調査掘削」 Daily ReportMSN産経ニュースの記事毎日jpの記事)。

水深6,883.5メートルの海底までドリルを下ろし、その下856.5メートルまで掘削。海面からの深さが合計7,740メートルとなり、1978年マリアナ海溝のチャレンジャー海淵で米国の探査船が達成した7,049.5メートルを上回りました。この調査掘削は東北地方太平洋沖地震の発生メカニズムを解明することが目的です。

穴を掘っているときに船が流されないのかと思うのですが、JAMSTECの施設公開のときに聞いた話では、船をスカーリングの如くに操って定位置に保つそうです。深さも凄いけど、コントロールも大変そうですね。7,740メートルというと、東京駅から新宿駅まで歩く距離にほぼ匹敵します。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by tori_sanpo (39645) on 2012年04月29日 19時04分 (#2144804) 日記
    深度だけが注目されてますが、
    今回の最大の目的は、海底で滑りたてで熱を持ったままの断層面を直接観察することですよね。
    どんな結果が出るのか楽しみです。
    • by SteppingWind (2654) on 2012年04月29日 20時37分 (#2144845)

      そういう意味で, まさにこのタイミングで「ちきゅう」が存在したというのはSN1987A [wikipedia.org]に対するカミオカンデ [wikipedia.org]に匹敵する巡り合わせですね.

      # 「ちきゅう」という名前は「わだつみ」に匹敵するのかも

      親コメント
      • Re:目的 (スコア:4, 参考になる)

        by Anonymous Coward on 2012年04月29日 21時32分 (#2144874)

        > 巡り合わせですね.

        http://nng.nikkeibp.co.jp/nng/article/20120413/305612/index4.shtml [nikkeibp.co.jp]
        | ――震源断層まで掘削して調査しようと考え付いたのはいつ頃でした?
        | 結構早かったと思うよ。3月11日の地震から1週間後くらいにはすでに考えていた。実は数年前にRapid Response Drilling(地震発生直後の科学
        | 掘削調査)に関する国際研究会議があって、JAMSTECのあるリーダーが、
        | もしこういう地震が日本で起きてしまったら「ちきゅう」は絶対に科学のために動く、と言っていた
        | のを思い出してね。その本人は覚えていないらしいけど、ワタシはよく覚えていた(笑)。これは何かをしなければならないと思って。それで、
        | 3月30日には科学提案を書き上げました。

        親コメント
    • by Anonymous Coward

      目頭が熱くなって観測不能

  • 海面からの距離で記録されるのなら、
    チャレンジャー海淵の最深部にドリルを下ろすだけで記録作れるのではないか?と思ってしまった

    # それ掘削記録って言わないと思う

    --
    Copyright (c) 2001-2014 Parsley, All rights reserved.
    • 昔のエロい人が言っていた:「記録…それはいつも儚い [wikipedia.org]」

      親コメント
    • by Anonymous Coward

      チャレンジャー海淵の最深部 [wikipedia.org]に遠足気分で降りていけるのならそうですね。

      海面から掘削しない方法が実用化できたら、別なカテゴリで世界記録ができるからいいんじゃないでしょうか。

      # そもそも世界記録樹立のために掘っているんでしたっけかね?

      • by SteppingWind (2654) on 2012年04月29日 16時36分 (#2144753)

        「ちきゅう」の最終目標としてモホール計画 [kanazawa-u.ac.jp]というモホロビチッチ不連続面までボーリングするというのがあります.

        ここで, 地殻の厚さが大陸など地上部よりも海洋底の方がはるかに薄い(地上部で20~30km, 海洋底で6~7km)というのがあって海洋底をボーリングした方が楽なのですが, そのためには「ちきゅう」の様な深海でもボーリングできる機器が必要になるわけです. 海洋底は水深3000~6000mぐらいなので, 今回の7000m近くでのボーリングってのは, おそらく想定の限度に近いのだと思います.

        親コメント
  • by Anonymous Coward on 2012年04月29日 19時25分 (#2144814)

    歩こうが走ろうが東京駅から新宿駅までの距離は変わらない

    • by muimi (23332) on 2012年05月01日 12時55分 (#2145490)
      いつも誰も指摘しませんが

      > 穴を掘っているときに船が流されないのかと思うのですが、JAMSTECの施設公開のときに聞いた話では、船をスカーリングの如くに操って定位置に保つそうです。深さも凄いけど、コントロールも大変そうですね。



      > 7,740メートルというと、東京駅から新宿駅まで歩く距離にほぼ匹敵します。

      は文脈が変わってるから段落変えるべきだと思うのです……

      # 作家志望を騙って齢36(いやなれるものならなりたい
      親コメント
    • by Anonymous Coward

      徒歩というのは直線距離で、と言いたかったのか?
      直線距離と山手線での距離では違いがありますね。

  • by Anonymous Coward on 2012年04月29日 17時01分 (#2144759)

    深さ 50m で海面下 8,000m に到達するのと、深さ 4000m で海面下 8,000 に到達するのと、深さ 7,000m で海面下 8,000m に到達するのではどれが最も容易そうでしょうか?
    メキシコ湾で海底油田を掘る方法の一つしか見たことないので難しさがわかりません。

    考えられる困難さとしては海流でしょうかね。
    船は GPS でどうにか一定位置を保つとしてもドリルパイプ?を使うなら、かなり流されることが予想されるので、どうたわむのかとか海底までおろすには途中はどうしてんだろうとか、その技術たるや想像もできません。

    さらには力を海面上から力を伝達するのでしょうか?それとも降りて行ってそこで固定してゴリゴリ掘るのでしょうか?

    もう何が何だか想像できない世界なので、どうやっているのかとか、困難さとか、この辺解説していただけると助かります。

    • by unchikun (14429) on 2012年04月30日 7時48分 (#2144998)

      ボーリングは旋盤と基本は同じ。

       第一に、ドリルビットで削った岩石の粉を逐次地面(海底面)まで押し出さないと
ビットはすぐに掘り屑に埋まって回らなくなってしまう。
      
 そこで、掘削船から調製された泥水がドリルパイプを通じて常にビット先端に送り込まれ、掘り屑を洗い出すシステムになってます。
      
 そういう都合があるからドリル"パイプ"(日本語だと「掘り管」)な構造になってます。タダの鉄の棒じゃないんです。
       海底掘削の場合、泥水を海底面上でダダ漏れにすると重大な環境汚染を起こしかねないので掘削船と海底面まではドリルパイプより大きな鋼管(ライザーパイプ)で繋がっています。

      ここ↓
      http://www.jdc.co.jp/business/offshore/drilling.php [jdc.co.jp]
      の図にも船とBOPを繋ぐドリルパイプの両外側に細い線が描いてありますよね?

       特に説明がないけど、あれがライザー管です。

       ドリルパイプを通ってビット先端からでた泥水は、掘り屑を洗い流したあと、ドリルパイプの外側(ライザー管とドリルパイプの隙間)を通って掘削船に戻ってきます。

       泥水は比重の調整が重要で、重すぎれば地層の割れ目からどんどん染み出して逃げてしまう、
軽すぎればビットが掘った跡に潜んでいる石油や熱水といった流体が吹き出してくる。当然放っておくと掘削船まで危険な流体がやって来る。
       
なので常にモニタし、最適な比重に調製する必要があります。
       
原料となる水や粘土類にも限りがあるので、船上で掘り屑を回収してリサイクルします。
       
掘り屑は掘削している岩盤の状況を知る重要な資料なので逐次分析。。
      
…和歌山沖などでメタハイを調査したときは海底面下のごく浅い層を掘ったのと、たくさん掘る都合から、ライザー管は使ってなかった気がする。

       つぎに、ドリルビット。
       
旋盤と同じで地層に力任せに押し当てても痛むのが早くなるだけだし、当て方が軽いと掘り進めません。

       ビットに荷重を掛けるには掘り管の自重を使います。
つまり、掘り管の下のほうは肉厚で重いパイプを用い、それ以外は若干薄手の軽い管を使用して総重量を調整。
掘り管は船のやぐらからワイヤロープで吊ってあるだけなので、掘り管のつり下げ方(吊り上げ方?)を絶妙に調整して、ビットに掛ける荷重を調整します。
       
ビットは消耗品なので、ある程度掘れば交換します。また掘削目的(ただの掘進、ボーリングコア採取など)によって付け替えます。

       掘り管は一本約9m。
       一端が雄ネジ、反対側が雌ネジに切ってあり、これをひたすら繋いで数1000mにしていきます。
       
ビット交換時など、掘り管を抜き出す際はこれを三本一セットとして外していき、やぐらに立てかけていきます。
ビットを交換したら、ビットに掛ける荷重を考えてドリルパイプの構成を変更。適切な重さの組み合わせになるよう、パイプを繋いでは30mほどロープで降ろし、また繋いではロープを降ろし、、を繰り返します。

       今は機械化が進みかなりの部分自動化されてますが、昔は人力でやってました。

       パイプ同士のネジ留めもきつく締め過ぎると外れなくなるのでトルクが決まっています。締めが緩くてそこから下が落下すると最悪。。。
これを回収するのにはかなり手間がかかります。
       最近のビットの先端には各種センサーがついていて、そのデータも泥水を通じて音波?(振動?)で船まで送られてきます。掘進先端の温度、圧力、位置、方向などが送られてくるのでかなり貴重な情報。

       このビットをどうやって回すか?

       それはもう単純に、船上の動力機関で、鋼管の後端を力技で回します。
       トップドライブ(掘り管の上端に付いてるドライブと言う意味ね)システムの場合は、トップドライブという装置に直結された掘り管後端をエンジンやモータで回転させます。
       トップドライブ自体はガイドレールに沿って上下動できるようになっていて、ワイヤロープにつり下げられた状態で掘り管に回転力を伝えます。
      
 いくら丈夫で堅くぶっ太い鋼鉄管といえど、数1000mもの長さに比べれば掘り管全体など糸みたいなものです。それでもビットまで回転力が伝わる不思議。(高価なパイプのなせる技か??)
       
ドリルの先端は内視鏡のように方向を微妙に変えることが出来るので、昔と違って今は掘る方向を精密に制御できるようになっています。
真下に掘るとは限りません。
北米のシェールガスなどでも、ガス層を水平に掘削してますよね。

       そうそう、素掘のままだとボーリング壁がだんだん崩れてきます。
       この崩壊を防ぐためにケーシングパイプという鉄管を入れます。
       ただ入れただけだと壁面とケーシングパイプの隙間から各種流体が上がってきてしまうので、そこは適宜セメントを封入して塞ぎます。
       このケーシングパイプを入れるためにはドリルパイプが邪魔なので、一旦掘り管を引っこ抜いて、ケーシングパイプとなる鋼管(意外に肉薄)を一つ一つ吊り下げます。
       ケーシングパイプを設置するまでは、泥水で凌ぐしかありません。
       最悪危険な流体が上がってくることだけは避けたいので、比重は若干重めにし、泥水が地層の隙間から抜けてしまう場合は、泥水におがくずや鳥の羽根などいろんなものを混ぜて止水します。(福島原発の漏水を止めたのと同じ方法)

       ドリルで掘って、ビットが摩耗したらその都度引き出してビット交換。時々ケーシング入れて、セメント注入して、またドリルパイプで掘って、、目標地点に達するまで延々繰り返します。

       水深と掘りやすさはいろんな要素の兼ね合いなので一概にはいえません。
       
海流が強ければライザー管に横からかかる力も考慮しなければならないが、浅くて流れの速いところもあれば、深くても流れの穏やかなところもある。横から受ける力が強ければ、それに見合う頑丈なライザー管を設けるまでのこと。
       ライザー管の設置は、掘るのが難しいという以前に、掘削コストに関わる問題なので、お金の面で苦労するでしょう。そういう意味では浅い方が何かと気が楽です。
        しかし、掘進深さが深いほど掘進作業量が多くなり、ビットの交換も増えコストがかさむ、、これは地層、岩盤の堅さ次第ですね。

      
 ライザー管は海底に設置されたBOPと船で繋がっているので、船が大きく流されなければ大丈夫。
でも冬の日本海は台風並みの暴風が吹くので、船上作業も大変だし、場合によっては船ごと退避しなくちゃならない場合もあります。
もちろん台風やハリケーンといった暴風も同じ。
      
 季節によって暴風が吹くならその季節を外して掘ればよいが、掘削船はいろんな用途に使われるのと、船舶としての検査を定期的に受ける義務があるので
スケジュールは数年先まで決まっていたりします。
       計画どおり掘進できず工期が遅れることもあれば、事故があって救援に向かうような突発的な出来事もあります。
       なので理想的な時期に掘削できるとは限らない。
あるいは掘削に一年近くかかることもあるので一度は暴風の洗礼を受けることもある。。なのでそれを踏まえてライザー管の規格構成を選択します。

      
まあこんな感じです。
      力尽きたのであとはこちらにお任せ。↓
      http://chikyu-to-umi.com/RISER_YOUGO.HTM [chikyu-to-umi.com]

      親コメント
    • by Anonymous Coward on 2012年04月30日 4時00分 (#2144980)

      海底の天然ガスは石油のように海上に固定基地作って採掘するんじゃなくて、
      巨大な採掘船作ってそれで掘って、5年くらい掘って枯れたら次、という方法になるみたいです。
      なので、これに近いことを商業レベルでやる日も近いようです。 実際ブラジル沖のガス田をターゲットにあげてました。
      以上、4/22の海洋研究所の一般公開でそれに関連する研究の展示がありました。

      親コメント
    • by Anonymous Coward

      地球深部探査船『ちきゅう』ドリルパイプなど落下事故 [scienceportal.jp]
      とかやらかしているから、まだまだ研究中なのでしょう。宇宙開発と同じで、金がかかるからやめろと言い出す人がきっと発生すしている

      • by Anonymous Coward

        俺も落下事故させたい

        • by Anonymous Coward

          恥丘でもバイブでも羞恥でもありませんが屋外プレイではありますね

      • by Anonymous Coward

        >>金がかかるからやめろと言い出す人がきっと発生すしている

        自分もその一人ですね。
        意味わからないものに金を出しまくって、深く掘ったから何?っていう話。
        将来原油でも掘るならまだしも、何の目標もない物に金をかける必要はないね。

        • by Anonymous Coward on 2012年04月30日 0時35分 (#2144946)

           一方で、過去に「金がかかるから止めろ」「何に使えるのかわからん」と
          おそらく言われつづけたであろう中から成功に辿り着いたものたちの成果を
          享受してるのも本当なんだけどね。
           逆に、もし「少なくとも過去に成功例があったのだから、どんなテーマでも
          自由にやらせろよ」的なことがまかり通ってるというならムカつくと思うが、
          結局、個々に判断していくしかないんじゃないかね。
           何が当たりそうで何が外れそうなのか、俺にはまったく判らんよ。

          というか今回のお題の本筋は「深く掘った」ということではないようだけど…

          親コメント
        • by Anonymous Coward

          なぜこれが無駄と思えるのかが分からない
          地震予知の実現のためには必須の情報があると思うのだが・・
          仮定の説を実証する機会だし仮定を実証や否定をしていけば地震予知に繋がるだろう

          • by Anonymous Coward on 2012年04月30日 21時15分 (#2145208)

            >地震予知の実現のためには必須の情報があると思うのだが・・

            それが、、逆に地震を誘発させると言う人もいる訳で、、。
            http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20120218/dms120218144600... [zakzak.co.jp]

            この記事はまだ科学的に書いてあってマシなのですが、
            この手の文章を読み下せないtwitter民やmixi民をみてると、
            「ちきゅう」自体が東日本大震災を引き起こしたとか、
            人工地震発生装置であると信じて疑わない人も結構いる。

            親コメント
          • by Anonymous Coward

            地震予知は不可能って専門家からも結論出てたんじゃないの?

            • by Anonymous Coward

              「現在の知見の範囲では」って保留条件を付けない専門家はいないだろ。

            • by Anonymous Coward

              地震は核兵器で作れるから、
              公知して地震起すだけでいいなら予知は可能だけど。

    • by Anonymous Coward

      >さらには力を海面上から力を伝達するのでしょうか?

      普通のボーリングでは、数百メートル以上の掘削する場合ドリルパイプやドリルカラーの自重だけでも先端のビットの適正な荷重を軽く超えますので吊り上げながら掘削していきます。積極的に伝達する力というと回転トルクぐらいなのでこの点だけはそれほど苦労しないと思います。

      ここからは想像ですが地上でのボーリングと比べると海流などでドリルパイプがかなりたわみや潮の満ち引きがあるのでビットをきちんと孔底に設置させておくことだけでも困難だと思います。

typodupeerror

目玉の数さえ十分あれば、どんなバグも深刻ではない -- Eric Raymond

読み込み中...