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テクノロジー

カナダ・D-Waveの「量子コンピュータ」は本当に量子力学的効果を使っているとの論文が発表される 37

ストーリー by hylom
ベンチャーが秘密裏に開発したのは魔法の技術か、それとも詐術か 部門より
あるAnonymous Coward 曰く、

カナダのD-Wave社が開発・販売した「量子コンピュータ」について、これが本当の量子コンピュータなのかどうかが話題になっていたが、Nature Communications誌掲載の論文で、「量子力学的効果を使用している」ことが確認できたと述べられているそうだ(INTERNET Watch日経Tech-On)。

Tech-Onの記事によると、D-Wave社の128量子ビットの量子コンピュータについて、「少なくともチップの一部では量子力学的効果が想定通りに機能していること」が確認されたという。

D-Wave社の量子コンピュータは、「断熱モデル」というモデルを採用しているのに対し、量子コンピュータ界での主流は「ゲートモデル」を採用している。ゲートモデルでの量子コンピュータの実用化はまだまだ先と見られていたため、別のモデルで量子コンピュータを実現してしまったD-Wave社に対してはその真偽が疑われる自体になってしまっていた。このあたりの背景は現代ビジネスの記事が詳しい。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by s02222 (20350) on 2013年07月02日 16時54分 (#2413277)
    現代ビジネスの記事はとても分かりやすいけど、大昔に最適化問題をちょっと聞きかじった身としてはラストの、

    >批判的な立場の人たちに言わせると、今くらいのスピードであれば
    >「シミュレーティッド・アニーリング」という古典物理の理論でも説明できるのだという。

    ここがちょっと間違ってると思う。

    「シミュレーテッドアニーリング」というよく知られたアルゴリズムでも今くらいの性能は実現出来るのだという。

    とかそれぐらいじゃないかな。最適化問題というのは、なるべく経路を見つける、みたいな、色んな組み合わせのある中で、なるべく良い組み合わせを探す問題。 解く方法としてはざっくりと2種類合って、

    A. 全部の可能性を列挙した場合の一番良い解と同じ物を見つける方法
    B. そこそこ良い解をそこそこの時間で見つける方法

    に分けられる。シミュレーテッドアニーリングは、Bの代表格の1つで、金属を焼き鈍しすると綺麗な結晶構造になることに着想を得た、最初は大ざっぱに最適化して徐々に細部を詰めていく、みたいなやりかた。ある程度詰められたらと判断できたらそこで計算を打ち切る。 いっぽう、宇宙の終わりまで計算しても終わらない、みたいな話は大抵A。 数学的なある種の応用をしようとするとAでないと使い物にならない場合があるのでAも重要なんだけど、 世の中のかなり多くの問題は、そこそこ性能の良いBでも十分。

    より短い経路を求めるとか、より小さい回路面積になるような設計を求めるとか。そんな事に1年も2年も計算時間をかけるより、 もしかしたらもっと良い設計があるかも知れないけど、というまま、適当なところで切り上げてチップを作って出荷した方が良い。

    よく出てくる、シャボンの膜は最短経路になる、スーパーコンピュータでも解けない問題が、シャボン玉で一瞬で解ける、すげー、という話も、B。 そこそこ短い経路にはなるけど、それが、真のベスト解かどうかは分からない。 「最初に変な所に膜が出来てしまって、全体として最短の膜にはならない意地悪問題」みたいなものも、多分、作れる。

    量子力学はよく分からないけど、D-Waveの計算機は、このシャボンの膜の部分が「量子効果を使った何か」になってるようなイメージだと思う。 計算尺とか、チューリングが関わった暗号解読装置とか、今のデジタルコンピュータとは根本的に違う計算原理のものはこれまでも色々あって、 その新しい種類と考えたらいいんじゃないかな。

    なんであれ、D-Waveの機械で「そこそこ良い解が異様な速さで出てくる」のは確かだけど、 シミュレーテッドアニーリングアルゴリズムを使っても、そのぐらいの性能は達成できるので、 もしかしたら、D-Wave社の計算機のブラックボックス内には「ただのコンピュータ+シミュレーテッドアニーリングアルゴリズムで計算するただの性能の良いプログラム」が入ってるだけかも知れない、と言うところが争点。

    インターネットwatchの記事を見ると、

    > 量子アニーリングとは一致するが、古典的アニーリングの予測とは
    > 矛盾する手順で最適化計算を実行することを確認した

    と有るのは、何かしらの「意地悪問題」を突っ込んだら、良く知れた普通のコンピュータ上の普通の最適化アルゴリズムだと引っかかる部分に引っかからなかった、なんか違うぞこいつ、みたいなチェックがされたんだと思う・・・けどそれが何かは門外漢なので分からない。

    そういうテストが行われることは想定済み、とばかりに、テストを通るような仕込みがされていた可能性はあるのか、 量子計算の原理上、そういう回避法はあり得ないのか、辺りから分からないけど、なんだか盛り上がってきてて楽しそう。
  • 量子アニーリングの解説記事(www-adsys.sys.i.kyoto-u.ac.jp/mohzeki/QA.pdf)を読んで
    思ったのですが、
    これって、つまりは、古典力学における、【シャボン膜による最短経路導出方法】
    (http://blogs.yahoo.co.jp/crazy_tombo/46289635.html)を、
    量子力学の範疇にて、量子ゆらぎを用いて実行したってことでしょうか?

    で、理由はよくわかんないけど、シャボン膜作成時間なんかに比べて、
    量子ゆらぎを利用したほうが、最適解にまでたどり着く時間が格段に早いということなのかな?

    だれか教えて、偉い人_(_^_)_

    #phason先生の降臨をネガイマス
  • by Anonymous Coward on 2013年07月02日 15時48分 (#2413220)
    量子力学的効果使ってるんじゃねぇの?
    • by Anonymous Coward on 2013年07月02日 15時59分 (#2413227)

      リンク先記事から抜粋。

       予め断わっておくと、現在、私たちが使っているパソコンのような普通のコンピュータにも、ある意味で量子力学は活用されている。たとえばCPUや記憶装置など各種半導体製品は、量子力学をベースとする固体物理学に基づいて作られている。が、それはあくまでコンピュータの素子、つまり部品レベルの話である。

       これに対し、今、話題になっている量子コンピュータとは、コンピュータが行う計算の方法に量子力学の原理を導入するものだ。

      というわけで屁理屈はおしまい。
      トンネルダイオードは量子力学で動いていても、その効果はただのスイッチだからね。量子コンピュータではない。

      親コメント
    • by Anonymous Coward

      最近のCPUは量子力学的効果(トンネル電流)を使わないように頑張ってますよ。
      Flashメモリはトンネル効果使いまくりだけど。

  • by Anonymous Coward on 2013年07月02日 16時10分 (#2413239)

    私は最適化問題は重要だと思うので、
    「汎用じゃなくても最適化問題は高速に解けます」
    という方針は「有り」だと思うな。

    使ってみたい人はそれなりにいると思うけど、
    お高いんでしょうなー。
    簡単にググったくらいだと価格が出てこないっすね。

    • by Anonymous Coward on 2013年07月02日 17時06分 (#2413285)

      意外とshorのアルゴリズムから20年なので、本物が出てきてもアリかもね。

      わかっているコメントとわかっていないコメントが混在すること必至なので、自分なりに簡単に説明してみる。
      今の普通のコンピュータ:チューリングマシンがモデルで、クロックに合わせて状態遷移とテープ書き換えで計算する。
      状態は有限状態機械、テープは1マス1文字、とどれもはっきりしている。ワだか7だか区別のつかない書き方は許されない。

      量子コンピュータ:量子力学的考え方を拝借(これ重要)して構成素子(キュービット)を使って計算をやらせる。
      量子力学が一つの粒子についてある位置の存在確率しか定まらないように、ビットも0と1が確率的に混在できると考える。
      このとき、確率を制御する簡単な仕組みを定めてやると、その組み合わせ+繰り返しで最適化問題の解が浮き出るように
      高確率で存在させることができる(shorのアルゴリズム)

      量子コンピュータが作れるかどうかは、考え方を拝借したキュービットが実現できるかどうかにかかっている。
      別に素粒子や量子力学の素子を使っているわけではない。(使ってもべつにいいけど)

      親コメント
      • by Anonymous Coward on 2013年07月02日 18時24分 (#2413327)

        補足:
        キュービットそのものを単独で実現できると文句ないのだが、難しい。そこで現在知られている量子計算アルゴリズム
        (ショア、グローバーなど)を実現できるキュービットとその確率を操作する基本操作の組合せが量子ゲートと呼ばれるもので、
        この量子ゲートを実現させるのが主流の方式。

        このタレこみの量子アニーリングは、キュービットを使ってシミュレーティットアニーリングを行うアルゴリズムをひとまとめにしたもの。
        理論としては、キュービットの定義は明確だし、アニーリングアルゴリズムのキュービット版も正確に矛盾なく書けている。
        量子ゲートでは、今の普通のコンピュータをシミュレートできるが、量子アニーリングだとキュービットとアニーリングアルゴリズムが
        セットで記述されているので、今のコンピュータをシミュレートできるかどうかはまだ未知。
        計算スピードは、どちらの方式でもNP完全問題が多項式時間でできる?(ここは自信なし)

        で、今回の問題はそれをどうやって現実の物質で実現したか。

        親コメント
        • by Anonymous Coward

          > 計算スピードは、どちらの方式でもNP完全問題が多項式時間でできる?(ここは自信なし)

          NPとの関係はわかっていないらし
          http://ja.wikipedia.org/wiki/BQP [wikipedia.org]

      • 纏めてしまうと、「量子力学的な確率論に基づくアナログコンピュータ」って事でいいのでしょうか?
        アナログコンピュータの大半が、物理的な配線のつなぎ変えでデジタルコンピュータよりも高速かつ高精度な演算をやってた時代への先祖帰りに見えたんですけど。

        # まぁ、確率操作をデジタル的な意味でプログラマブルにやれるような仕組みを用意して
        # あるんでしょうけど。

        --
        --暮らしの中に修行あり。
        新しいblogはじめました。 [hateblo.jp]
        親コメント
        • by Anonymous Coward

          「シャボン膜最短経路をキュービットで確率的にやった」は割とイメージが近いと思う。
          アナログコンピュータって言うと歯車計算機思い浮かべて、あれは完全にチューリングマシン(古典計算機)だと思う。

          • タイガー計算機などの歯車コンピュータはどちらかと言うとデジタルコンピュータです。
            アナログコンピュータはオペアンプで作られた加算器や積分器を基本部品としています。
            乗算は自乗特性の非線形素子で((x+y)^2-(x-y)^2)/4 などとして電圧値で計算します。
            結果は電圧計やオシロスコープで読み取ります。
            そして電圧を平衡するような回路をつくることで、方程式や常微分方程式を解くことができます。
            有限時間で連続な電圧値を積分器で積分できるので解釈によっては有限時間に無限回の計算をしていることになります。
            実際にはS/Nと帯域を考えると取り出せるデータ数は有限なのでデジタルコンピュータに性能が劣ることがほとんどです。
            えっ?プログラムできるかって? プログラムとはジャックにプラグコードを差し込んだ回路パターンそのものを「プログラム」といいます。
            想像つかないひとは最近復刻されてるアナログ・シンセサイザーの KORG MS-20 mini みたいな感じとおもってください。

            • by Anonymous Coward

              なるほど。
              だとすると、「アナログコンピュータに確率的な要素を付け加えた」というのはシャボン膜と同じくイメージ近いかも。

      • by Anonymous Coward

        D-Waveのやつは、系に初期値を設定してしばらくしてから観測すると、エネルギー準位に応じた結果になる
        (ので繰り返すとどれが最低かが確率的にわかる)
        というカンジ?

        • by Anonymous Coward

          D-Waveのは二次元イジング模型を直接シミュレートする、らし

    • by Anonymous Coward on 2013年07月02日 17時35分 (#2413302)

      1台10億円らしいです。

      親コメント
    • by Anonymous Coward

      問題を解くのはハードでなくソフトです。
      最適化問題を解くのに有利なハードができたとしても、それを活用するソフトも開発しなきゃならない。
      Windowsアプリを移植すればオッケーって訳にはいかないでしょう。
      既存のハードでは時間が掛かる問題を、高速で解きたいんだから。

      • by Anonymous Coward

        アルゴリズムは「量子アニーリング」に固定で、
        入力が初期値のデータセットと幾つかのパラメータ
        という感じなんじゃないのかな。

        最適化問題って解き方自体はそんなにバリエーション
        ないでしょう。

        • by Anonymous Coward

          その「入力が初期値のデータセットと幾つかのパラメータ」に既存データを変換しなきゃいけない。
          しかし「量子アニーリング」なんてのはこれまで使ってなかったので変換アルゴリズムが確立されていない。
          当然逆変換アルゴリズムも必要でそれも確立しなきゃいけない。
          つまりアルゴリズムレイヤからデバッグしなきゃいけない。デバッグするにはテストしなきゃいけない。
          対象、つまり量子アニーリングに精通していなければ有効なテストができない。
          汎用化するまではそんな感じ、というかそれを経て汎用化するんですよ。

          まさかテスト無しで盲信するつもりじゃないでしょ?

          • by s02222 (20350) on 2013年07月03日 12時08分 (#2413747)
            ただ使うだけならアルゴリズムと言うほどややこしいものではないですよ。

            大ざっぱには「n変数の関数f(a1, a2,...,an)を与えたとき、fの値がなるべく小さくなるような(a1, a2,...,an)の値を求めてくれるブラックボックス」が有るだけなので。

            ブラックボックスにも種類があって、特定の構造のfの場合しか解けないとか、aiが実数でしか使えない、整数でも使えるとか色々ありますし、 解きたい問題を関数fに落とし込むのにも多少のテクニックは要りますし、やり方次第で性能も変わるので、精通しておいた方がより良いのは確かですが。

            まあ、既存のよく知られているアルゴリズムで同じ問題を解かせてみて、性能が良さそうだったらそっちを採用、ぐらいの感じでも良いんじゃないかと。 内部構造が分からない以上、とんでもない解が出てくる可能性もあって信用できない、例えば最短経路を求めるfのはずが最長経路が出てくる可能性もある、と言う懸念はありますけど。その場合でも、既存のアルゴリズムも別途走らせておいて良い方を採用する、ぐらいにしておけば、ほとんどの場合は性能が大幅に上がって、最悪、未知の原因で想定外のことが起こっても今よりは悪くならない、というのは保証できますし。
            親コメント
          • by Anonymous Coward

            言ってることが判らない。

            入力データ(+諸々パラメータ)の用意とか、
            通常の計算機でシミュレーテッド・アニーリングを行うのと
            大して変わらないでしょ。
            今でもやってる人はけっこういるぞ。

            自分の問題を最適化問題に落とし込む段階で苦労する場合もあるけど、
            それはプログラミングとはまったく別の話。通常の計算機も量子計算機も関係ない。

  • by Anonymous Coward on 2013年07月02日 16時32分 (#2413259)

    × 自体
    ○ 事態

  • by Anonymous Coward on 2013年07月02日 16時52分 (#2413275)

    速ければいいんじゃないの?

    • 今のところは普通のコンピュータでも達成できる程度の速さなので、値段次第。

      でも、D-Waveの計算機が主張通りの物なら、ここから途方もない性能アップが始まって、 特定の問題に対する専用機だとは言え、普通のコンピュータでは全く太刀打ちできなくなる。 もしそうなら、今の内にD-Waveを買っちゃうなり、資金に物を言わせて同じ原理の計算機を作って勝つなりでボロ儲けできる。

      ので、詐欺だと思ってたら本物でした、だと、お金を持ってる人にとっては儲けのチャンスを逃すことになる。 一般の自称科学オタクレベルとしてはただの興味。
      親コメント
      • by Anonymous Coward on 2013年07月03日 2時29分 (#2413519)

        詐欺師の常套句すぎる

        親コメント
        • うん。なんで、「画期的な新しい計算方法を改良していって、ついに普通のコンピュータと同じぐらいの物を実現出来たので発売します」なんだよ怪しすぎるだろ、普通のコンピュータを凌駕してから売れば疑う余地がないのに、とは思う。

          一方で、それを指摘すると、「普通のコンピュータより遅いけど画期的な新方式です」というのは製品として成り立たないから、 画期的なやり方を順々に改良してきて、売り物になる最初のラインがそこなんだからしょうがないか、早く売りたいんだよ、とでも反論されそうとも思う。
          親コメント
  • by Anonymous Coward on 2013年07月02日 18時41分 (#2413337)

    擁護論文が出たから信用できるなんてことはないぞ
    金掴まされてる可能性もあるのに

  • by Anonymous Coward on 2013年07月02日 22時20分 (#2413445)

    スピードは早くなるのはわかるけど、記憶媒体への量子利用ってどうなってるんでしょう?

    • by Anonymous Coward

      ただでさえデコヒーレンスで消えやすいから、保存って意味での記憶媒体には向かないかなあ……
      量子計算中のqubitの値を(重ね合わせの状態のまま)保持しておく、という用途では研究が進んでいるけど。
      #CPUのレジスタみたいなもん。

      • by Anonymous Coward

        コヒーレントな状態のまま維持できるとして、開けたときどうすんの

  • by Anonymous Coward on 2013年07月03日 0時10分 (#2413490)

    基底状態うんぬんってとこで日経サイエンスのこの記事を思い出しました(http://www.nikkei-science.com/page/magazine/1103/201103_032.html)

  • by Anonymous Coward on 2013年07月03日 1時55分 (#2413515)

    >>D-Wave社の量子コンピュータは、「断熱モデル」というモデルを採用しているのに対し、量子コンピュータ界での主流は「ゲートモデル」を採用している。ゲートモデルでの量子コンピュータの実用化はまだまだ先と見られていたため、別のモデルで量子コンピュータを実現してしまったD-Wave社に対してはその真偽が疑われる自体になってしまっていた

    なんか変だと思う。

    • by Anonymous Coward

      フラインシュマンとポンズの核融合はパラジウムと白金を採用しているのに対し、核融合界での主流は熱核融合(以下略

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ナニゲにアレゲなのは、ナニゲなアレゲ -- アレゲ研究家

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