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バイオテック

遺伝子組み換え作物の栽培を禁止する米ハワイ州 23

ストーリー by hylom
リゾートの裏で 部門より
あるAnonymous Coward 曰く、

米国のハワイでは、長らく遺伝子組み換え作物の栽培実験が行われていたそうだ(現代ビジネス)。しかし、遺伝子組み替え作物の安全性について懐疑的な人々も多く、昨年5月、ハワイ郡(ハワイ島を含む行政区)議会に遺伝子組み換え作物を禁止する法案が提出された。結局11月にこの法案は可決、ハワイ島での遺伝子組み換え作物の栽培は禁止されることとなった。(New York Timesslashdot)。

公聴会は、遺伝子組み換え作物に起因する病気などを理由に法案賛成派が優勢であった。9人の評議会議員の一人であるGreggor Ilagan氏は、遺伝子組み換え作物が本当に問題があるのか確信が持てなかったという。一方、禁止法案賛成派のMargaret Wille氏は「手遅れになる前に行動するべきだ」と主張。ラットが遺伝子組み換え作物を食べたことにより、腫瘍が発生した実験を根拠に11月の採決の前に遺伝子組み換え作物に関連する質問や調査を行うための特別対策本部を作ることも拒絶したという

Ilagan氏は(遺伝子組み換え作物反対のように)多くの市民から支持を集める方針が、必ずしも科学的根拠が実証されているとは限らないことに気がついたという。現在、地球温暖化や人口の増加が進んでおり、食糧危機は差し迫った問題だ。遺伝子組み換え作物の持つメリットも考慮すべきだと主張している。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by Anonymous Coward on 2014年01月08日 11時06分 (#2523669)

    難しい、科学的に正しい論点はたくさんあるけどそういうのじゃなくて
    ハワイの主要産業は観光業だからブランド戦略として正しいんじゃないかな。
    そういった自然崇拝というか、素朴な体勢で「いまどき遺伝子組み換えじゃない手間暇をかけた料理がたべられるなんて感激!」って未来を作り出すために今から手を打ったような。

    多くのものが経済的合理性を求め近代的になっていく過渡期では、不便で不合理なものは切り捨てられていく。
    ただしそこを耐えて、古いものを大事にとっておくと、ある時から希少価値が見直されて逆にブランドになる。残存者利益ってやつね。
    そんな話じゃないのかな。

  • そこらの野良遺伝子を交配で選り分ける従来の品種改良や化学物質による変異処理に加えて、放射線を照射して突然変異を起こさせる放射線育種が行われ市場に流通してるわけですよ。
    放射線育種場ホームページ [affrc.go.jp]、 ATOMICAの解説 [rist.or.jp]、 成果(1) [rist.or.jp]、 成果(2) [rist.or.jp])
    本邦だけでなく全世界でも 結構な数 [rist.or.jp] が利用されており、そんな状況で遺伝子組み換え作物だけを忌避するのは非科学的な或いは呪術的な考えだと思うんですよ。
    • by Anonymous Coward on 2014年01月08日 10時52分 (#2523665)

      遺伝子組み換え作物に対する反対論のすべてが非科学的なわけじゃないですよ。

      たとえば、現在の遺伝子組み換え作物は、以下のようなものが多いわけです。

      • 作物に除草剤耐性をつけ、成育中にも除草剤をまくことによって、雑草防除の手間を省き、また不耕起農法を実施する
      • 作物自身に、農薬(BT剤)を生成する能力をつける

      ところが、これらには、除草剤耐性を持つ雑草や、BT剤耐性を持つ害虫の蔓延を招くという懸念があり、実際にそれが観察されているわけです。

      除草剤耐性の話:
      http://www.nikkei-science.net/modules/flash/index.php?id=201108_078
      BT剤耐性の話:
      http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2823206/7694923

      保護区を設けるといった方法で、耐性獲得を防ぐことができるという主張も
      存在しますし、その出張に理論的な合理性はあります。
      しかし単一作物大規模栽培から成り立つ現在の世界食料システムの中で、
      耐性獲得を防ぐことが現実に可能かというのはだいぶ疑問が残ります。
      ニュースを見ても、遺伝子組み換え作物を原因とする、耐性獲得の広がりは、
      現実に起きているように見えます。
      遺伝子組み換え作物の利用により確かに短期的に手間は減るわけですが、
      それにより農薬に対する耐性獲得が加速されてしまっては、長期的には
      むしろ農産物の生産性を落す可能性があります。

      あと科学とはまたちょっと別の話ですが、現行の日本の農薬規制との整合性の
      問題もありますね。
      現在の日本の規制では、豆類栽培時、ラウンドアップの利用は、残留農薬を
      十分減らすため、播種より10日以上前と決まってます。これに対し、ラウンド
      アップ耐性を持つ遺伝子組み換え作物の場合、成育中もラウンドアップを利用
      しますから、農薬残留量的には、日本の規制値よりも大きいということになる
      かと思います。もちろん、それでも人体への影響は観測されていないわけで、
      問題ないはずですが、整合性はとれてません。

      親コメント
      • 現在の日本の規制では、豆類栽培時、ラウンドアップの利用は、残留農薬を 十分減らすため、播種より10日以上前と決まってます。

        え、散布後日数をおくのは、グリホサート(ラウンドアップ)耐性じゃない作物を散布直後に作付けすると枯れる恐れがあるからじゃなかったんですか?その「決まってます」のソースは何ですか?そこに理由や目的は書いてありますか?

        これに対し、ラウンド アップ耐性を持つ遺伝子組み換え作物の場合、成育中もラウンドアップを利用 しますから、農薬残留量的には、日本の規制値よりも大きいということになる かと思います。

        まあ…思うのは個人の自由ですが。残留基準は作物によって異なります。基準超えを万一出したらえらいことですよ。

        残留基準の決め方はもちろん知ってますよね。安全係数が100だとか。書きすぎてボロを出すと恥ずかしいのでこのへんで。

        # にしてもLD50とARfDの違いを知らない品質保証部長ってないわー。

        --
        Jubilee
        親コメント
        • by Anonymous Coward on 2014年01月09日 1時22分 (#2524143)

          > え、散布後日数をおくのは、グリホサート(ラウンドアップ)耐性じゃない作物を
          > 散布直後に作付けすると枯れる恐れがあるからじゃなかったんですか?

          いえ、ラウンドアップの場合、葉に付着しないと効果がありませんから、それは
          理由にならないはずです。
          以下にある通り、「土に撒いてもまったく効果はありません」とされています。
          http://www.roundupjp.com/maxroad/019.html#q27 [roundupjp.com]

          ラウンドアップが土壌に落ちたときに分解される過程での半減期間は3日〜21日
          程度とされていますから、10日程度だと、分解はまだ済んでいません。枯れる
          おそれがあるという理由だったとすると、10日という規定では不足しています。
          実際、(豆類ではなく)牧草の場合は、播種当日の利用も許されていますから、
          「枯れるおそれがあるから」という理由である筈がありません。

          > その「決まってます」のソースは何ですか?

          ソースは農薬取締法に基づく、農薬登録情報です。
          おそらくご存知かとは思いますが、
          http://www.maff.go.jp/j/nouyaku/n_kaisei/zenbun.html [maff.go.jp]
          から検索できるものです。

          > そこに理由や目的は書いてありますか?

          この登録情報にある用法に従わない場合、農薬取締法第十二条第三項に違反する
          ことを意味し、その場合、第十七条第一項にある通り、三年以下の懲役若しくは
          百万円以下の罰金という、重い罰則を課せられます。
          枯れるおそれだけが問題であれば、そもそも罰則自体が不要ですから、この罰則は、
          農薬の安全な使用と、国民の健康の保護を目的に定められていると理解しています。

          親コメント
    • 忌避される一番の原因は、変化の速度と想定される影響の規模でしょう、従来型の改良よりずっと大きな変異を短い期間で実現できる。
      既に指摘されている懸念に加えて「想定外」な問題が発生した時、手遅れになっている可能性がある。

      実際の処、大部分の忌避は理路整然と検討した結果ではなく、小さな子供が新規な物に対して好奇心を抱くか恐怖を抱くかを決めるのと同程度のレベルで、遺伝子組み換え技術という新規なものの影響力の大きさやその速度に反応した結果だと思われます。

      これは、いわゆる「科学的」な判断ではないかも知れませんが、しかし人間までの進化の中で獲得した生存確率を高める、最適化の結果のある意味「合理的」な判断ではないでしょうか。
      見たこともない大きくて美味しそうな果物???を発見した。迷わず喰いつくか、恐る恐る周囲を確認して臭いを確認してほんの少し味見して・・・といった行動を取るか。

      遺伝子組み換え作物の場合、一番美味しい思いをするのは種苗会社で、次が農家、最終消費者にはその美味さが殆んど伝わらず、危険な臭いばかり伝わっていますから、忌避は、なおさらだと思われます。

      親コメント
    • by Anonymous Coward on 2014年01月08日 13時00分 (#2523712)
      同じく、遺伝子組み換えのみを却下する、というのは、結果ではなく手段を問題にしているように見えるのが気持ち悪く思っています。

      組み換え技術と共に発展している遺伝子関連の技術で、放射線などによる突然変異促進での品種改良もパワーアップしてますし。
      以前は、放射線を当てて変異したかも知れない種を地道に育ててみないと結果が分からなかったところが、
      種の遺伝子をチェックすることで育てる手間を省いて好ましいものをさっさとピックアップするなど品種改良が加速しています。

      極端なところ、目標とする遺伝子組み換えパターンを定めてから、それに近づくように突然変異種を選んでいって、
      最終的に、遺伝子組み換えと同様の品種を作ると言うような怪しいこともやりやすくなっているように思えます。

      例えば10カ所が変異した場合に、好ましい能力を持つが9カ所だけでは何の効果も無いような遺伝子変異があったとして、
      従来では偶然その10カ所がまとめて変異するまで、遺伝子ガチャを回し続ける必要がありました。
      遺伝子解読を使えば、どれか1カ所が変異した株を選択的に増やして次の1カ所が変異するのを待つ、と、
      1カ所ずつ順に確定して行けば良いので、ずっと簡単になります。

      そこまでやっておいて突然変異で生まれた新種と呼べるのかどうかは疑問ですが、
      あんまり、「遺伝子組み換え」という手段だけに着目して規制すると、変な抜け道が作られそうに思います。
      親コメント
    • by Anonymous Coward

      遺伝子組み換え作物は遺伝子プールを別種の遺伝子で汚染するのが忌避される理由じゃないのかな。
      キメラ的なことしてるわけだし。

      放射線等の処理は自然変異を加速させてるだけだから、まだ摂理に沿っていると思えるんでしょうね。
      ま、呪術的ってのはあたっているかも。

      しかし呪術的な理由でなく忌避することもあります。
      個人的には政治的・経済的理由で忌避していますね。
      特定企業に依存する農法は安全保障的にも、経済的自立的にも危険だと思います。
      言い換えれば、作付け自由であり、特定農薬に極度に依存せず、在来種と交雑せず、目立った毒性もないなら拒否する理由はたいして無い…。

    • by Anonymous Coward

      論点がずれてるね。
      何が問題と思われているかを理解するために、まずはリンク先のNew York Timesの記事を読むといいと思うよ。

    • by Anonymous Coward

      あなたが何を考えて何を食べようと私には関係ありません。
      ただし、それらの物を識別できないようにして選択する自由を奪う事は賛成できません。

  • by naima (6903) on 2014年01月08日 11時33分 (#2523682)

    たれこみでは、ハワイ郡となってるが、タイトルはハワイ州なんだけど
    地方行政区分ハワイ郡の議会での可決でしょ
    タイトル間違ってるよね?

  • by Anonymous Coward on 2014年01月08日 8時29分 (#2523597)
    >多くの市民から支持を集める方針が、必ずしも科学的根拠が実証されているとは限らないことに気がついた

    と、非科学的だという理由で疑問を呈するのであれば、

    >食糧危機は差し迫った問題だ
    >メリットも考慮すべきだ

    といった主張も科学的に論証すべきじゃないのかな。

    政治的な理由や経済的なメリットを掲げて自論を正当化する一方で、対立する主張は非科学的だといって否定するから議論が噛み合わないんじゃないのかな。
    • by Anonymous Coward

      そもそもそれらのメリットを地元住民が享受できるかどうかというのも疑問なわけで。
      食糧危機に対しては作物を栽培する側は強者だから、食糧危機が差し迫っているというのは逆に利益となります。
      最悪自分の分だけは確保して売らないという選択肢もとれるので、食糧危機を解決してもらいたい側はそれに対するメリットというのを提示しなくては。
      特に人口増加による食糧危機は自分たちが問題を起こしているわけではないので、さらに解決する気にはならないですよね。

    • by Anonymous Coward

      モンサントが5年ほど種子の出荷を止めたときに何が起こるか、予想すると興味深い。

      • モンサントが5年ほど種子の出荷を止めたときに何が起こるか、予想すると興味深い。

        実に興味深い論点ですが、/.的には「インテルが1年ほどCPUの出荷を止めたときに」と置き換えてみるとまた別の味わいがあるかも知れません。

        ただの思考実験ですから「そんなことをしたらインテルが潰れる」とかいうツッコミはご勘弁を。

        --
        Jubilee
        親コメント
  • by Anonymous Coward on 2014年01月08日 12時01分 (#2523690)

    虫に食われないようにしたつもりが、花粉に毒ができるようになって、人間には無害なので気づかないでいたら、ある日限界を突破して蜂が集団死とか、ないですよね?ちゃんと検証してますよね?

    • by Anonymous Coward

      それって、ふつうの作物にもいえることだろ。
      ふつうに育ててたって突然変異することがあるから、おかしな作物ができるようになるかもしれない。

      つまり、昔ながらの自家採取した種を使うとどうなるかわからないから、1世代かぎりのF1を使うのが一番安全ってこと?

      • by Anonymous Coward

        > 1世代かぎりのF1を使うのが一番安全ってこと?

        今のF1品種って、ほとんどが雄性不稔に過ぎず、完全に不稔性なわけじゃないから、
        広まる可能性は、そらなりにあるんじゃないかな。雄性不稔の分、広まる速度は
        遅いんじゃないかとは思うけど。

        雄性不稔という形質が自然界に広まった場合、リスクはないかしら?
        (よくわからん)

    • by Anonymous Coward

      それむしろネオニコ系農薬の方がヤバイだろ。
      蜂全滅の原因だし。
      最近になって人体にも(やっぱり)害があることがわかってきたし。

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目玉の数さえ十分あれば、どんなバグも深刻ではない -- Eric Raymond

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