理研のバイオリソースセンターで本来のものとは異なる由来の細胞が提供されていたことが発覚 23
ストーリー by hylom
見ただけじゃ分からないからなぁ 部門より
見ただけじゃ分からないからなぁ 部門より
あるAnonymous Coward 曰く、
さまざまな実験動植物や細胞といったバイオリソースの収集・提供やそれに関連する研究開発を行っている理化学研究所のバイオリソースセンターで、「胃がんの細胞として研究用に提供していた細胞が、実は十二指腸がんの細胞だった」という問題が発覚した(東京新聞、理研バイオリソースセンター細胞材料開発室の「AZ521細胞について緊急のお知らせ」)。
問題となっているのは、「AZ521細胞」。今まで、この細胞を「胃がん由来細胞株」として提供していたが、実際には胃がん由来では無いことが発覚したという。検査により、十二指腸ガン由来の細胞株との取り違いが起きていたという結論に達したという(詳細PDF)。
この細胞はもともとは東北大学の細胞バンクから移管されたものだそうで、理研の管理下になった時点ですでにこの取違いは起きていたようだ。
寄託された時点 (スコア:2, 参考になる)
東京新聞の記事とタレコミ文からだと,東北大細胞バンクで取り違えがあった可能性が考えられそうですが,
理研のアナウンスによると,そもそも東北大細胞バンクに寄託された時点で取り違えられていたという見解の
ようです。
今回明らかになったのは,
・東北大 細胞バンクに寄託 → 理研細胞バンクに移管された AZ521
・JCRB 細胞バンクに寄託された AZ521
・米国微生物・細胞バンク(ATCC) に寄託された HuTu80(十二指腸がん由来)
が同一の細胞に由来するものだ,ということです。
東北大と JCRB に寄託されたもの双方が一致するので,取り違えられたとすれば細胞株の樹立から
細胞バンクに寄託されるまでの間で起こった,ということでしょう。
ATCC で提供されている HuTu80 が実は AZ521 だったという可能性もあるのでしょうが,
HuTu80 の方が「歴史がある」ので,AZ521 が間違いというのが合理的な解釈なんだろうな。
Re:寄託された時点 (スコア:2, 興味深い)
類似の案件として、別の細胞(MOLT-17)で誤認細胞を提供していたというアナウンス [riken.jp]がありました。こちらも東北大学の細胞バンクから移管されたもので、理研に移管された時点ではすでに取り違えが生じていた。東北大学に寄託された時点で取り違えが生じていたかは不明。
理研よりも、東北大学からの説明がほしい状況ですね。
Re: (スコア:0)
私は専門の研究者ではないですが,そのアナウンスによると,
> かつては、細胞株が研究者間で自由に譲渡されており、特定の細胞株が
> 世界中のどこに届いているのか分からない状況にあります。
だそうで,すでに細胞バンク事業を終了している東北大学では,これ以上の追跡は困難でしょうね…
細胞株の品質調査については,各細胞バンクが自分の持っているデータベースと照合することは
以前からやっていたようですが,バンク間での協力は最近行われるようになってきたとのことで,
今後しばらくはこうしたニュースが出てくるかもしれませんね。しかし,信頼性を向上させるには
必要なことだと思います。
# (STAP細胞の問題とは独立して)
理研の管理下になった時点ですでにこの取違いは起きていた (スコア:1)
「理研の管理下になった時点では正しかったけど何度か棚卸ししていたらラベル間違えちゃった」…経緯ではない事を示唆したかったんでしょうか?棚卸しミスじゃないから他の細胞は大丈夫という影響範囲を気にするセンターのサービスを享受していた関係者、研究者向けの視点でしょうかね?
非関係者、非研究者にしてみれば「理研の管理下になった時点から取り違えた状態になった」というだけの話に思いますし、前述の関係者、研究者向けの影響範囲の限定だとしたらハッキリそう書いたほうが良いのではないかと思います。
Re:理研の管理下になった時点ですでにこの取違いは起きていた (スコア:5, 参考になる)
どうやら違うようですよ、理研のお知らせにリンクがあるPDF [riken.jp]によれば
AZ521 細胞は、東北大細胞バンク(後に理研細胞バンクに移管)のみでなく、医薬基盤研究所JCRB細胞バンクにも寄託されています(登録記号JCRB0061)。そして、東北大細胞バンク(理研細胞バンク)とJCRB 細胞バンクのAZ521 細胞は両者ともATCC が提供しているHuTu 80 細胞のSTR 多型解析結果と完全に一致していました。従いまして、東北大細胞バンク及びJCRB 細胞バンクのAZ521 細胞は、寄託された時点で既に取り違えが存在していたものと考えられます。
理研側は正しく管理してたけれど、そもそも、東北大細胞バンク並びに医薬基板研究所JCRB細胞バンクに間違った細胞が提供されていた、という話。
研究コミュニティで利用されている細胞株の中には、他の細胞株との取り違えや他の細胞の混入等の問題があることが古くから指摘されていました。
という問題があって、2004年4月からSTR多型解析を応用して細胞株の取り違え、混入がないかをチェックしていて、今回の発見に至った模様。
Re:理研の管理下になった時点ですでにこの取違いは起きていた (スコア:1)
食品偽装とかと同じでさ、トレーサビリティみたいな機能が実装されてないんだよ、きっと。
お互いに仕事に誇りを持って高い精度が維持できていた時代はそれでも良かったんだろうけどね。
論文コピペして「それに問題があるという認識はなかった」なんて時代なんだし、業務の仕組みとして精度が維持されるようにしなきゃだめだろ。
Re: (スコア:0)
つっても、「コレが何の細胞か」なんてその細胞に書いてあるわけでなし、DNA鑑定して「オリジナルと一緒」と言うことまでしか
すぐにわからんでしょ。比較元のオリジナルが間違ってたらすぐに判明するものでもないし、そもそも今回のも2004年からやって
た調査の結果な訳で「お互いの信頼だけ」に頼ってたわけじゃないから判明したんじゃないの?
Re: (スコア:0)
細胞だのカビだのなんて誇りを持ってても混ざる時はホコリと一緒に混ざるだろ
だから「業務の仕組みとして精度が維持されるようにしなきゃだめだろ」って2004年から調査を始めたんじゃないの
Re: (スコア:0)
#2572679がうまいこと書いたつもりみたいだから、みんな注目してあげて!
Re: (スコア:0)
単に、「うちのせいじゃないっす(東北大学のほうをチラチラ見ながら)」って言いたいだけじゃないでしょうか。
#よく知りませんが、受入検査とかしないもんなんでしょうか。
Re: (スコア:0)
もうどこのせいかもわからないからそっとしといてくれって感じじゃないの
扱い方が確立されてまともに検査できるようになったのが2004年なわけだろ
Re: (スコア:0)
ん?
理研は間違った状態で受け取ってるから、その太字で強調した、から、は間違いだよね?
Re: (スコア:0)
詳細を読むと分かりますが、医薬基盤研究所細胞バンク(JCRB)にも寄託されていて、そちらも同じ細胞株だったということです。
またこの取り違え株はBRCでは扱っていないので内部でのコンタミの可能性も低いと思われます。
受け入れ時に細胞株のチェックはしているはずですが、その時点でデータベースになかった細胞は分からないでしょうね。
なぜこれだけ報道? (スコア:1)
詳細な情報を読むと一割ほどの細胞株に誤りがあったとある。古い株でまともに管理されてなかったのがまた見つかったてことじゃないの?
細胞株が変えられてた事件がなければ、取り上げられることもなかっただろう
なぜ (スコア:0)
毒見役がいなかったんだ?
Re:なぜ (スコア:1)
「ぺろ… この味は十二指腸ガン!」
# んなわけあるかー
Re: (スコア:0)
なぜいなかったと言い切れるんだ? いても役に立たなかっただけかも知れないじゃないか。
それにしても、間が悪いというか何というか、泣き面に蜂?
でも、こういう状況だから見つかったのかも。
Re: (スコア:0)
# ぐぐたら琉球バイオリンソースとか引っ掛かったけど
# 正しくはやっぱりバイオリソースでした。
Re: (スコア:0)
中学生「走れよ,全力で」
http://www.rimse.or.jp/research/past/pdf/work03.pdf [rimse.or.jp]
NGワード (スコア:0)
STAPネタ
Re: (スコア:0)
チッ
by おぼちゃん
それほどメジャーな細胞株ではない (スコア:0)
医学系の論文検索サイトPubMedによるとAZ521で40件。
日本で配布されていた細胞株なので論文著者はほとんど日本人。
そのうち10件の論文が同一グループ。日本大学理工学部の研究室らしい。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=AZ521+akihisa [nih.gov]
この研究室が最大の被害者かも。
Re: (スコア:0)
再実験することで、胃がん論文40件、十二指腸ガン論文40件、比較論文が40件となるわけですね!