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サイエンス

「人種の違いによって経済的・社会的行動が異なる」と主張する書籍、猛抗議を受ける 69

ストーリー by hylom
勝手に使われたほうはたまったもんじゃない 部門より
eggy 曰く、

今年5月、米国で「異なる人種は生物学上も異なるもので、人種の違いは異なる進化を生み、人種が異なると経済的・社会的な振る舞いも異なる」という主張をする書籍「A Troublesome Inheritance(やっかいな遺産)」が出版された。この書籍内では著名な遺伝学者らの研究が引用されており、そのうえでたとえば「アフリカ系アメリカ人は白人よりも暴力的である」「中国人はビジネスに長けている」などといった主張がされているのだが、これに対し集団遺伝学者らが批判声明を出すという事態になっている(ScienceSlashdot)。

先月19日、HuffingtonPostにて「Five Critics Say You Shouldn't Read This “Dangerous Book”」(5人の評論家曰く、この『危険な本』を読んではならない)という批判記事が掲載されたが、これだけに留まらず、集団遺伝学者140名の署名を集めた批判記事がThe New York Times Book Reveiwに掲載されたとのこと。

書籍内で研究結果を引用された研究者らは、「イデオロギー的アジェンダを広めるために研究がハイジャックされた」と憤っている。発起人の一人であるハーバード大学David Reich氏によれば、「我々の研究成果は(書籍内で主張されている)あて推量を裏付けるものではなく、かすりもしない」とのこと。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • 文明の差は環境の違いによってうまれたと主張している銃・病原菌・鉄 [meblog.biz]という本を思い出しました(リンクはレビューしているブログ).
    • by poquitin (42421) on 2014年08月14日 13時32分 (#2656529)

      その本読んだけど「んなわけないじゃん」という感想しかでなかった
      昔いくつか黒人主体の国に行ったことがあるけど、明らかに環境とかじゃないレベルで違う生物種な感じがしたもんなあ(別に悪い意味ではなく)

      ところで、最近は特定の遺伝子によって〇〇になりやすいとかいう研究をよく見るけど、ああいう研究は叩かれないのだろうか?

      親コメント
      • by Anonymous Coward
        それは科学的な検証の結果なわけで
        「暴力的になる遺伝情報」とか「ビジネスに長ける遺伝情報」が人種に関わる部分の遺伝子で発見されたら別に叩かれないと思うよ。
      • by Anonymous Coward

        その本読んだけど「んなわけないじゃん」という感想しかでなかった
        昔いくつか黒人主体の国に行ったことがあるけど、明らかに環境とかじゃないレベルで違う生物種な感じがしたもんなあ(別に悪い意味ではなく)

        これのこと?w
        http://livedoor.4.blogimg.jp/ayacnews/_f/img/20140811000000.gif [blogimg.jp]

        それ以外に「銃・病原菌・鉄」に『「んなわけないじゃん」という感想』をどこで感じたのか、よければ教えていただきたい。

        • by poquitin (42421) on 2014年08月14日 15時26分 (#2656625)

          たしかにそういう身体能力的なことが一番大きいですね
          普通にそこらで遊んでる子供も体の動きが全然違う
          普通にひゃっほーって喜んだ子供がそのままぴょんぴょんバク転したりとか全然普通
          あと若い女性のスタイルとかも全然違う(これは黒人ならどこの地域でもというわけじゃないけど)日本だったら強制的にモデルにさせられてしまうような体型の女性がそこらじゅうにうろうろしてたり、男にしても、よくよく話してみればただのホームレスなのに、ムキムキの格闘家みたいな体してたり
          あと性格もやっぱ明るいですよね、なんらかの値の平均をとれば有意に差は出るレベルだと思う

          これらを全部後天的な環境に起因する違いとして説明できなくもないかもしれないけど「銃・病原菌・鉄」は、異様に人種的な違いを否定して環境によるんだってことを誇張しすぎているように感じた
          しかも、中身が冗長じゃないですか?あの本
          「人種的な違いも多少はあるけど、意外と環境によることが多いんですよ」程度の書き方だったら普通に共感できたと思うのだけど

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    • by Anonymous Coward on 2014年08月14日 8時19分 (#2656345)

      あれは、「人種が要因ではなく、環境こそが差の要因である」だから、まさに今回の主張の真逆ですねぇ。

      そういう環境の違いで培われた長年の「差」により、「中国人はビジネスに長けている」などと主張する余地はあるのかもしれませんが。

      親コメント
      • 自分で本を挙げておいて,こんなことを言うのも変なのですが,
        両者が完全には相反していないかもしれないと私は思っています.

        集団の一時的な性格や能力を決める要因としては遺伝的影響と環境的影響があるが,
        最終的に蓄積されて大きな文明の差を生み出すのは環境的影響なのかもしれません.
        たとえば現在のアメリカにおける黒人と白人の環境の差が「銃・病原菌・鉄」で言われているような環境の差ほど大きいかどうかは自明でなく,
        もしそこに大きな差がなければ遺伝的影響が見えてくる可能性もあるのではないでしょうか.

        #「銃・病原菌・鉄」も最後まで読んでいないので,誤解があるかもしれません
        親コメント
      • by Anonymous Coward on 2014年08月14日 8時32分 (#2656357)

        しかし、環境が人種を作っていくのではないか?

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        • by Anonymous Coward

          そういう部分はあるかもしれませんが、「遺伝子による差」という主張ではない・・・というのが言いたいことかなぁ

        • by Anonymous Coward

          具体的にどういう環境が、具体的にどういう文明の差となって現れる、それは具体的にどういう因果関係があるからだ、という議論を展開しないと、
          たんに影響があるかも知れない、というだけの話で終わってしまいます。

        • by Anonymous Coward
          その場合、遺伝子がらみの人種というより「民族」に近いんじゃないでしょうかね?
      • by Anonymous Coward

        そういう環境の違いで培われた長年の「差」により、「中国人はビジネスに長けている」などと主張する余地はあるのかもしれませんが。

        「中国人」は歴史的時代によって人種というか遺伝子が大幅に入れ替わっていると考えられるので、環境説に同意だなあ。

        • by capybara (27779) on 2014年08月14日 12時14分 (#2656478)
          現実的には、中国系コミュニティの中で育った中国人は、独特なビジネスにつながる価値観や世界に広がる華僑ネットワークの人脈等を引き継ぐことで他の人種(民族)よりビジネス上有利になる、ということはあるかもしれません。

          ただ、問題の本で言っているのは、それが遺伝子で決まっている、つまり、特に民族的なコミュニティ等に属さずにほぼ同じ環境で育ったアフリカ系アメリカ人と中国系アメリカ人とを比べた時でも、中国系アメリカ人はビジネスで成功するが、アフリカ系アメリカ人は成功しにくい、ということになります。

          これがもしも真実だとすると、例えば起業家に対してファンドが融資を判断する場合、起業のビジネスモデル等とは別に、起業家の人種によっても融資の可否を判断するのが合理的、と言うことになるかもしれませんし、企業が社員を採用する場合でも、職種によっては特定の人種を避けることが合理的かもしれません。(面接では一見大丈夫なように見えても、本質的に「怒りっぽい」ことが科学的に証明されている人種はあまりクレーム対応や高度な交渉を含む職種には付けない方が安全です。)

          ただ、そのような「真実」は「人種や信条に関係なく全ての人は同じように成功するチャンスを持っている」という現在のアメリカのイデオロギー(国是)に真っ向から対立しますので、そんな本がベストセラーになれば、社会的に良識ある(今のイデオロギーを支持する)人々が懸念の意を表明するのは当然です。
          また、遺伝子によって人の優劣が決まる、と言う考え方は、20世紀を通じて、ユダヤ人の虐殺等の民族浄化政策や人種差別政策、また障碍者への差別(結婚の制限等)等の正当化に使われており、アメリカでも20世紀前半には劣等人種(とされる人々)の移民制限や社会的差別、知的障害者や犯罪者の強制断種が一般的に行われていたものが、50〜60年代の公民権運動の結果として廃止された、という歴史がありますので、そういった社会として否定した過去の思想に再度根拠を与えうるような議論には慎重になる、ということも理解できます。

          人種を含む遺伝子がどこまで人の能力や性格に影響するか、という研究そのものは意義のあるものと思いますが、十分な学術的議論がなされないまま、今回のようにセンセーショナルな扱いでベストセラーになるようなことはあまり望ましくはないのかな、と思います。
          親コメント
          • by Anonymous Coward

            仮に人種的特徴によってある傾向が証明されたとしても、それを根拠に社会が差別的扱いをして良いかどうか、ってのは全く別の話ですね。
            差があるんだから区別しても良いだろう、これは差別じゃなく合理的な区別なんだよ、って言うのは典型的で歴史的にも否定され続けてる人種差別主義者の論法です。

            • by Anonymous Coward

              で、そういうところに付け込まれて体内に虫を飼うことになる、と。

            • by Anonymous Coward

              つまり、全く別の話である人種的特徴と社会的差別を結び付けて考えてこのような本に対する懸念を表明する人たちこそが、人種差別主義者だということですね

              • by Anonymous Coward

                この手の本に対して反対するのなら単に書かれていることが事実ではないことを述べればいいだけのことで、それ以上の主張はまったくもってイデオロギーの産物にすぎません
                この世にきれいなイデオロギーは存在しませんから、結局は人種差別主義者と同レベルまで堕ちてしまうことになります

        • by Anonymous Coward

          清朝末期にビジネスに長けている、と本に書けたかどうかも怪しいし。
          1980年代であれば「日本人はビジネスに長けている」になっていたのではないかなあ。

    • 全くだ。
      「人種が異なると経済的・社会的な振る舞いも異なる」という命題に対して、「環境要因をどうやって差っ引いたの?」と疑問がぶつけられるのは自明でしょう。その程度の洞察力もなく、それにちゃんと答えてない研究なら、その程度の内容で騒ぐ値打ちもない。単に人種間の偏見を煽っているだけ。
      仮に、そういう検証が曲りなりにも一応できてて、環境要因を取り除いても差は有意という主張なら、そこに「集団遺伝学者140名」がちゃんと突っ込めるの?とも思う。
      ところで、
      > 「Five Critics Say You Shouldn't Read This “Dangerous Book”」(5人の評論家曰く、この『危険な本』を読んではならない)
      ってちょっと違和感。

      親コメント
  • by nemui4 (20313) on 2014年08月14日 8時27分 (#2656352) 日記

    で性格や好みなんかを区分けしてしまう国を連想した。
    確か人種によって血液型の偏りも違うんじゃなかったっけ。
    ヘタリアに抗議する人達もいたね。

  • by manmos (29892) on 2014年08月14日 10時00分 (#2656401) 日記

    中国は少数民族に対する政策があるけど、遺伝的に純んんん粋(強調)な漢族がいたらそれこそ、少数民族じゃねぇかって話があるんだが。

  • by Anonymous Coward on 2014年08月14日 8時27分 (#2656354)

    それを抑圧するのはそれはそれでなんか違和感あるわあ

    • 「平等の国」アメリカ国内では、遺伝的要因で能力差が生まれるという研究をしている人はそれだけで要注意人物になってしまうので、
      「やっかいな遺産」が実は研究するに値する内容を含んでいたとしても、研究者が身を守るためにあえて抗議していたりするんじゃなかろうか。

      偏見というのはそれなりに統計的に意味があったりする。
      「平等」を守るためにはあえて個別の事象に統計的事実を適用しないことが必要で、
      そのためにはコストがかかることを認識しておくべきだ…ということをばっちゃが言ってた。
      …じゃなくてダニエル・カーネマンが「ファスト&スロー」で書いていたよ。

      --
      # mishimaは本田透先生を熱烈に応援しています
      親コメント
      • 「平等の国」アメリカ国内では、遺伝的要因で能力差が生まれるという研究をしている人はそれだけで要注意人物になってしまうので

        へー、アメリカで遺伝子疾患を研究すると要注意人物になるのかあ

        「平等の国」が何を意味してるのか知らないが、"All men are created equal" は皆の能力が同じなどという意味ではない

        --
        しきい値 1: ふつう匿名は読まない
        匿名補正 -1
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        • 「平等の国」アメリカ国内では、遺伝的要因で能力差が生まれるという研究をしている人はそれだけで要注意人物になってしまうので

          へー、アメリカで遺伝子疾患を研究すると要注意人物になるのかあ

          その話は結構難しいですよ。「リベラル優生主義と正義」の受け売りだけど、
          何が「疾患」なのかという判定には誰も決定権を持っていないのが現実。
          だから加齢に伴う様々な症状(遺伝的に組み込まれている)を疾患と定義すると、
          金持ちは遺伝子治療でいつまでも長生きできて、貧乏人は短命…というあまり嬉しくない状況が発生する。
          こういうことにこだわらずあまりに治療に積極的な研究者は、まぁ、要注意ではあるんじゃないですかね。

          上の例は極端だとしても、アメリカの左派は「教育(トレーニング)で人は変わる」
          という理念を否定するようなことに対してかなり強く批判していることが
          スティーブン・ピンカーなどの著作から読み取れたので、それを踏まえてのコメントでした。

          --
          # mishimaは本田透先生を熱烈に応援しています
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      • by Anonymous Coward

        STAP細胞が実は研究するに値する内容を含んでいたとしても、研究者は身を守るためにあえて抗議しなければならないのと同じですね。
        というくらいバカげてる。

        • by Anonymous Coward

          普通に研究するに値しないから 国費使うなってことじゃないの。よく議論追ってみたら?

    • by Anonymous Coward on 2014年08月14日 12時16分 (#2656480)

      とりあえず"批判"と"抑圧"、"抗議"と"抑圧"の区別ぐらいはつけましょうよ。
      どのような言論であろうと、一度公表したら批判されるものです。それが言論の自由ですから。
      正当性の有無に関わらず、自身の研究論文を捻じ曲げて引用されたら研究者は抗議しますよ。自分の成果をこけにされたんですから。
      アメリカ政府、もしくは州政府、出版社連合などがこの本を出版することを否定および拒否したらそこではじめて抑圧が成り立ちます。

      親コメント
    • by Anonymous Coward on 2014年08月14日 13時19分 (#2656518)

      いや、抑圧じゃないよ。

      おまえの議論は、おれが書いたこの論文を論拠にしている(とおまえの著書に書いてある)が、
      おれが書いたこの論文をねじまげて論拠にしているので、おまえの言ってることは間違ってる。

      と主張してるのです。

      親コメント
    • by Anonymous Coward

      抑圧というか、論文を引用された学者たちが、人種差別助長者のレッテルを避けるためにとりあえず批判声明を出しておいたという感じでは。

  • by Anonymous Coward on 2014年08月14日 8時44分 (#2656360)

    血液型占いレベルの結果論だよね。

  •  だからジューを殺してイイとかと同じ(走召糸色木亥火暴)

    --
    "castigat ridendo mores" "Saxum volutum non obducitur musco"
  • by KuroButa (37060) on 2014年08月14日 12時45分 (#2656494) 日記

    人種によって経済的・社会的な振る舞いも異なるというより、国家によってというのが正しいと思う。

  • でも実際のところ (スコア:0, フレームのもと)

    by Anonymous Coward on 2014年08月14日 9時25分 (#2656380)

    黒人アスリートなんか見てると、遺伝子レベルで差があるよなぁって思いますよねぇ

    • by nim (10479) on 2014年08月14日 11時16分 (#2656451)

      >黒人アスリートなんか見てると、遺伝子レベルで差があるよなぁって思いますよねぇ

      「黒人」扱いにされているグループは、実際には遺伝子の幅が「白人」や「黄色人種」扱いのグループに比べてかなり広いらしいので、
      身長や筋肉量がすごく大きい人種も小さい人種もいますね。
      多分、「黒人」とひとまとめにする考え方自体が不適当なのでしょう。

      「滋賀県民、奈良県民(白人や黄色人種)、関東人(黒人)」みたいなふうになってるのだと思います。

      親コメント
      • 「そもそも黒人や白人は表皮の色でしか表現情報を持っていない」という野暮ツッコミ。
        まあモンゴロイド・ネグロイドといい、人種間の差を有意に分けられる特徴がないからこうして問題が起きるんだろうが。

        してみると遺伝子というより伝統の方が問題なのかもしれない。
        人種でなく伝統だから湿地帯に住みたがる。人種でなく伝統だからコウモリを喰らう。人種でなく伝統だから向上心がない…。
        まあその伝統も結局人種と大差ない範囲の文化圏でまとまっているので結局人種禍は振り払えそうにないが。

        #そういう意味で考えると大航海時代以前以後で"人種"の語の意味が大きく違っていった気がする。人種=土地でなくなったという点において。

        親コメント
      • Re: (スコア:0, 荒らし)

        by Anonymous Coward
        >「滋賀県民、奈良県民(白人や黄色人種)、関東人(黒人)」

        それはいけません。
        「日本人」「名古屋県民」で分けるならいいと思います。
    • by Anonymous Coward

      そういう身体的特徴なら指摘しても文句言われないんじゃない?
      そもそも肌が黒いわけだし。

      • by Anonymous Coward

        「黒人の遺伝子を持った者を調査したところ、肌の色が黒い者が有意に多いことが分かった」とかですかー

        #ところで黒人のアルビノの肌って白いんですね。

        • by Anonymous Coward

          >黒人のアルビノ
          アルビノの肉体は富と幸運をもたらすとかで狩られる対象らしいっすよ

  • by Anonymous Coward on 2014年08月14日 11時06分 (#2656446)

    人種と民族を混同する論を述べるのは悪意なのか馬鹿なのか。
    こんなのと一緒にされてはかなわないから抗議するんだろうな。

  • by Anonymous Coward on 2014年08月14日 11時42分 (#2656466)

    現在、人種はホモ・サピエンス・サピエンスしか存在しない訳ですが。

  • by Anonymous Coward on 2014年08月14日 13時00分 (#2656502)

    生殖に異常が無ければ、生物学的には白いネコと黒いネコの違い程度しかなく、
    ネズミを捕るのがいいネコだ、となりそうなものだが。

    ネズミを捕らないネコにネコ権はない、となるとまた別の話になるな。

  • by Anonymous Coward on 2014年08月14日 13時49分 (#2656542)

    昔、男は地図が読めるだのといった本が流行ったよな
    他人の論文をてきとうに切り貼りして主張されちゃ困るってことだ

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目玉の数さえ十分あれば、どんなバグも深刻ではない -- Eric Raymond

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