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パテント

最高裁がプロダクト・バイ・プロセス・クレーム特許について初判断 30

ストーリー by headless
判断 部門より
semialt 曰く、

製造方法によって発明の対象となる物を特定した、いわゆるプロダクト・バイ・プロセス・クレーム特許(PBPクレーム特許)について、その効力が請求項で開示されていない新規の方法で製造された同じ「物」にも及ぶとする初の判断を最高裁が示した。この裁判はPBPクレーム特許を持つハンガリーの製薬会社が、別の製造方法を利用する協和発酵キリン株式会社を訴えていたもの(NHKニュースの記事裁判例情報: 控訴審裁判例情報: 上告審)。

薬剤を「物の発明」として特許申請する場合は、化学式などでその構造又は特性を特定するのが通常であるが、特許の申請時にはその構造又は特性が明らかになっておらず、「○○して○○することでできる○○なプラバスタチンナトリウム」のように、薬剤を生産する方法を請求項(クレーム)に記載することで薬剤を特定して特許を取得することがある。これがPBPクレーム特許だ。PBPクレームで特定された「物」について、特定された製造方法とは別の方法で製造された場合、PBPクレーム特許の効力が及ぶのかは、議論が分かれていた。

(続く...)

本件で原審の知財高裁は

物の発明についての特許に係る特許請求の範囲にその物の製造方法の記載がある場合における当該発明の技術的範囲は,当該物をその構造又は特性により直接特定することが出願時において不可能又は困難であるとの事情が存在するときでない限り,特許請求の範囲に記載された製造方法により製造される物に限定して確定される

とし、特許の効力の範囲外と判断していた。

一方、最高裁では

物の発明についての特許に係る特許請求の範囲にその物の製造方法が記載されている場合であっても,その特許発明の技術的範囲は,当該製造方法により製造された物と構造,特性等が同一である物として確定される

と判示。PBP特許の効力が請求項で特定された方法以外で製造された物にも及ぶと判断して、事件を知財高裁に差し戻した。

最高裁ではPBPクレーム特許が認められる条件として「出願時において当該物をその構造又は特性により直接特定することが不可能であるか,又はおよそ実際的でないという事情が存在するときに限られる」としているが、既に知財高裁ではそのような事情が認められないと判断している。一見、最高裁の判断は特許権者に有利な判断のようだが、知財高裁で改めて審理した結果、特許が無効とされる可能性もありそうだ。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by Anonymous Coward on 2015年06月07日 17時38分 (#2826891)

    特許法とかは素人なもので、最初見た時は「どんなクレームを付けるんだろう?」と読んだ覚えが。

    英語で「claim」ってのは日本語のクレームと違って、
    「文句を言う」じゃなくて「主張する」「請求する」の意味だと知ったのは後の話。

    #「プロダクト・バイ・プロセス・クレーム特許」も
    #「製品を『その製法で定義する』形で請求した特許」みたいな意。
    #同じ製品でも、その請求方法で権利範囲や特許の有効/無効判決が変わったりする。

  • まあ、あの青色の小粒のときに仕入れた知識だけど。
    インドでは製法に特許があるとされ、化合物そのものの特許ではないと解釈されていますので、製法が異なれば同一の構造を持つ化合物を作っても特許には触れないとされている、と知りました。
    あ、わたしにゃ必要ない。もう。

  • by Anonymous Coward on 2015年06月07日 15時00分 (#2826839)

    裁判例を読む限り「(前略)プラバスタチンナトリウム」は、「その構造又は特性により直接特定することが出願時において不可能又は困難であるとの事情が存在するとはいえない」らしい。
    ならば、そもそもどういう事情で「PBPクレーム」という形で出願したのか不思議。

    //付け焼き刃で読み取った限り、心情的には最高裁、論理的には知財高裁かなあ。

    • by cyceo (37981) on 2015年06月07日 19時22分 (#2826930)

      知財高裁の判決文にも経緯について記載がありますが東京地裁の判決文 [courts.go.jp]には拒絶された当初の請求項も併せて記載があります。以下に当該部分を引用します。請求項に関しては判決文をご参照ください。

      本件特許の出願過程において,拒絶査定を受けた後に,製造方法の記載がない,当時の請求項3及び6を削除したのは,拒絶理由が示されていない請求項について,早期に権利化を図るためであるから,製造方法の記載がない請求項を削除したからといって,現存する請求項の権利範囲が限定解釈される理由はない。

      親コメント
      • by Anonymous Coward

        もともと書かれていた請求項を申請者が削除したなら、それは申請者がその項目では特許権を主張するのをあきらめ
        たってことじゃないのか?

        そのときの申請者の事情や心情も慮って、彼自身が自分の判断で削除した明文化されていない範囲まで認めてやるべきというのは
        裁判官がすごく一方に贔屓して、勝手に(申請時に認められなかった範囲まで)請求範囲を膨らませているように感じるが。

        判決内容を読むと、プラバスタチンナトリウムは既に良く知られた化学物質で、件の特許はプラバスタチンナトリウムを不純物を少なく
        製造する方法に関するものだった

  • by Anonymous Coward on 2015年06月07日 15時43分 (#2826854)

    同じ論理・法解釈の裏返した表現であって、違いは今回審議の対象になっている物質が出願時に物性や化学式等を特定可能だったか否か
    (高裁は是、最高裁は否)ということで解釈あってるでしょうか。

    ところで物性が明らかでないものを、特許申請って出来るの?利点も解決する問題点も述べられないのでは?

    • by Anonymous Coward

      医薬品は治験で効果が証明できればそのメカニズムが解明できていなくても承認される。

      • by Anonymous Coward

        そうか。

        しかし、普段飲んでいる薬の中には、どんな物質かも分からない、何で効くのかも分からない、
        ただ作り方と効く(そして副作用が許容範囲)ということだけが分かっている、という物もあるわけか。

        やっぱ錬金術の流れを汲む分野じゃのおw

        • by Anonymous Coward

          「効いているのがどんな物質かも分からない」という薬は少なくなりつつありますが、
          「なんで効くのかも分からない」という薬は未だに大多数を占めているような気がします。
          (メカニズムが分かっているのなんて、せいぜいここ15年ぐらいに作られた新しい薬だけではあるまいか。)

          • by Anonymous Coward

            それこそ天然由来の薬のほうがその傾向は強そうだ(あ、これは隣のストーリーか)。

        • by Anonymous Coward

          漢方薬はなんできくかわからないのでは

          • by Anonymous Coward
            多くの漢方薬の作用機序は陰陽なり五行説なりでそれなりに説明されていると思います
            • それで裁判沙汰になったら陰陽の証明からしないといけないんですかね。
              「臨兵闘者皆陣列在前!」

              親コメント
            • by Anonymous Coward

              説明が有れば良い、のではなく、再現性が確認でき、プラセボ効果以上を発揮しないとね。
              ・・・んで、漢方薬や古い民間薬で一度医薬品になったものは、色々あって
              「二重盲検だと明確な効果があるとまでは言えないけどまあ毒性は低いし現状維持とするよ」的なことになってるので
              改めて今の基準で治験を行うと医薬品として承認されないものがゴロゴロしている(のではないか)、という話もあったり…。

              #確か2~3品目じゃなかったかな、○○治療薬として治験をクリアできるの。
              #治験をクリアできない=効果が無い、ではないのがまた難しい話なのだけれど。

              • by Anonymous Coward
                それは「効くかどうかが分かればよい」という話であって「なんで効くかわからない」という話には無関係ですよね
              • by Anonymous Coward

                むしろ「再現性が確認でき、プラセボ効果以上を発揮する」ならば、説明などいりません。もちろんわかっているに越したことはないでしょうけど。

          • by Anonymous Coward

            いいえ。漢方薬でも西洋医学的に作用機序が明らかになっているものもありますよ。
            ただ、作用機序が極めて回りくどかったり複雑なので研究を進めづらいだけです。

        • by Anonymous Coward

          医学の方が錬金術より古いけどな。

      • by Anonymous Coward

        一応この枝を読む方が勘違いしないように補足。

        「特許になるか」と「医薬品として承認されるか」は別の話。
        特許がとれなくても医薬品になるものもあれば、特許がとれても医薬品の承認がとれないものもある。
        流れに関係ある点のみで言えば、
        医薬品は「実際作って使ってみて効果が認められたもの”のみ”が承認される」
        特許は「そのモノについて特異な効果・物性さえあれば、医薬品として使えるレベルか否かは問わない」(とはいえ「産業上利用可能かどうか」は重要なのだが)。
        ヤな例を挙げれば「飲んだら風邪が治るけど90%の

    • by Anonymous Coward

      違います。
      知財高裁はクレーム解釈で何とかしようとしましたが、最高裁はそれを否定して特許要件で何とかしようってことです。
      今後はPBPクレームはほとんど特許にならない方向に向かうでしょうね。

      • by Anonymous Coward

        ん~、つまり最高裁は「この特許自体無効ということで裁きなおせ」と高裁に差し戻したって事?

        この裁判の焦点になっているプラバスタチンナトリウムという物質は、特許申請時点で既に広く知られている化学物質だっ
        と言うことだから、最高裁が述べたPBPクレーム特許要件であるところの

        出願時において当該物をその構造又は特性により直接特定することが不可能であるか,
        又はおよそ実際的でないという事情が存在するときに限られる

        というのは明らかに当てはまらないと思うんだけど。

        でもPBPクレーム特許ではないとしても、製法特許ではある(だろう)わけで、特許自体を無効にするのは暴力的かとも思う。

        • 今回のものを含め、PBPクレームは「~~~な【物】」という形で書かれており、物質特許なのは明確です。もちろん、特許庁も物質特許として審査した上で特許として認めたものです。

          親コメント
          • by Anonymous Coward

            ではやはり最高裁が示した要件をこの特許が満たすかが争点として高裁で審議され、特許無効か否かの判決で決着をつける言うことなのか。

            欲かきすぎて元も子も失う危機だな >テバ ジョジセルジャール ザートケルエン ムケド レースベニュタールシャシャーグ(舌噛みそうw)

        • by Anonymous Coward

          ん~、つまり最高裁は「この特許自体無効ということで裁きなおせ」と高裁に差し戻したって事?

          最高裁としては、特許の内容を読んでもわからないので、こういう観点で特許の内容を読み直せと高裁に差し戻したということです。

          • by Anonymous Coward

            どっかのやな上司みたいだなw > 「読んでもわからないので、こういう観点で特許の内容を読み直せと高裁に差し戻し」

  • by Anonymous Coward on 2015年06月07日 21時50分 (#2826990)

    知財がらみで、過去に似たような判例が無い場合、

    地裁が穏当な結論出したときは知財高裁が暴走して、
    知財高裁が穏当な結論出したときは最高裁が暴走する感。

    • by Anonymous Coward
      コードレビューしてもらうと下っだらないイチャモンついて結局書き直すハメになるの同じで何か指摘しないと仕事してない気になる病にかかってんじゃね
  • by Anonymous Coward on 2015年06月08日 0時37分 (#2827049)

    現実的なコストで製造できない物質(電子顕微鏡で原子操作とか、ランダムに合成して電子顕微鏡で一分子ずつ選別して集めるとか)で申請されてると、画期的な発明で安価に量産できるようにしても邪魔されるんでしょ?
    製法に掛かる特許を利用法にまで拡大適用とか意味がわからない。
    製法及び利用法の特許だったり利用法の特許であれば、後発の製法特許と競合するのも分かるんだけど、異なる製法同士が競合扱いされたら溜まったもんじゃない。

    自分がこの記事読み間違えてるんならそれはそれで良いんだけど、この判決は不味すぎない?

    • by Anonymous Coward

      特許って物、製造方法、方法でそれぞれ権利範囲が異なるんです。
      で、製法xで作られた薬yってのが特許になっている場合(PBPクレームと呼ばれている)、
      製法xの権利範囲なのか薬yの権利範囲のどっちで解釈するのってのが問題だったわけです。
      今回の判決はその解釈を決めたってことです。

      製法と方法の関係とか製法同士の関係とかは今回の判決は関係ないです。

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