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テクノロジー

リチウムイオンバッテリーをより安全かつ長寿命にできる新しい固体電解質をMITとSamsungが開発 34

ストーリー by hylom
まだまだ進化する 部門より
minet 曰く、

米マサチューセッツ工科大学、韓国Samaung、およびカリフォルニア州とメリーランド州の研究者チームは、リチウムイオンバッテリーに使用可能な新しい固体電解質を開発した。(MITニュースリリースPC Watch

現在二次電池として広く利用されているリチウムイオンバッテリーは液体の電解質を利用しているが、発熱・発火の問題があり、過去にはボーイング787の発煙など、しばしば事故が発生しており、より安全な電解質が求められていた。

従来の固体電解質には、リチウムイオンの移動速度が遅い欠点があったが、研究チームはその問題を解決した。さらに研究チームによれば、新しい固体電解質は、「寿命・安全性・コストの問題をほぼ全て解決する、まさにゲームチェンジャー」だという。

リリースには、

  • 壁に投げつけたり、爪で引っ掻いたり、焼いたりしても問題ない。
  • 電解質が分解せず、数十万回の充放電サイクルを行える。
  • 低温の、-20℉(約-30℃)付近でも動作する。
  • (現在のバッテリーと比較し)出力密度を20〜30%増大させられる。

など、多くのメリットが挙げられている。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • 満充電で放置すると劣化するという性質は、ここで紹介されている技術では解消されるのでしょうか?

    この性質のおかげで電池の扱いがめんどくさすぎます。

    • by Anonymous Coward

      満充電で放置すると云々というのは、実は対処は簡単で、満充電しないように保護回路の設定値をいじればいいだけです。
      つまり、満充電になるちょい手前で充電を停止させてやればいい。それで使用できる容量は少し損をすることになりますが。

      ずいぶん昔、何かの記事にAppleのiPhoneは簡単に電池交換ができないので、そういう手法を使って寿命を延ばしている
      というようなことが書かれているのを読んだ覚えがあります。

      また、自分が持っているLenovoのThinkPadに付いてくる管理ツールにも、バッテリーの寿命を延ばすため、
      フル充電一歩手前で充電を止めるというオプションがありますね。

      ただ、使える容量が減る分、頻繁に充放電を繰り返すことになるだろうから、却って寿命を短くする効果もあると思えるので、
      ほんとに意味のあることなのか少し疑問ではありますが。

  • by Anonymous Coward on 2015年08月21日 8時09分 (#2867945)

    電極の劣化だと聞いたことがあるが(だから関連リンクなどにもあるように、
    これまでのリチウムイオン電池の長寿命化の試みは、みな電極の改良によるものだった)、
    電解質側の改良でそれを防止できるのだろうか。

    まあ、毎年この手の話は何回か聞くが(最近ではこんなの [nikkei.com]も)、
    研究室から外にはなかなか出ていかないな。

    • by Anonymous Coward on 2015年08月21日 10時17分 (#2868021)

      リチウムイオン電池において、固体電解質の主なメリットは可燃性かつデンドライトの成長を許してしまう液体電解質を使わなくなることによる安全性の向上で、オマケとして体積あたりエネルギー密度の向上があると言われています。デメリットは内部抵抗の増大による低温特性や電圧の低下で、今回の発表はそれを克服したと主張するもの。いずれにしろ、寿命自体はあんまり関係ありません。

      今回の発表については、科学的にどうこうというのは分からないのでおいといて、ゲルマニウムの原料コストの問題から商業的には失敗する可能性があります。今後の研究開発でもっと安いもの(同族元素のシリコンとか)に置き換えられるかというのが鍵になるかと。また、こういう電解質が理論的に可能というのと商業化レベルで安定した品質のものを量産出来るというのはまた別の話です。そこまでたどりつくのにはよくて10年はかかると思われます。

      要するに、リチウムイオン電池の開発者や部材・原料生産者でない人は最低でも5年くらいは忘れてもいい話かと。

      親コメント
      • by Anonymous Coward

        ん~、では

        • 電解質が分解せず、数十万回の充放電サイクルを行える。

        というのは、
        「電解質」は数十万回の充放電に耐えられるようになるけど、
        電極の方は(今まで通りの作りなら)今まで通りに劣化するので、
        結局二次電池全体としては充放電数百回程度で寿命が来ますよ、という話だろうか。

        なんつーか、とんだミスリードだな。

        • by Anonymous Coward

          チウム、ゲルマニウム、リン、硫黄の化合物からなる固体電解質は東工大が何年も前に開発済み。
          大学がからんでるのに論文書いてない。
          電池で重要な発明があれば反応するはずの専門メディアがとりあげてない。

          以上から、あんまり大きな進展があったとはおもえない。成果をアピールするために盛りまくって
          だしたプレスリリースを電池に詳しくないメディアがたまたま見つけてこれはすごいと勘違いしただけでは?

        • by Anonymous Coward

          固体電解質で電極をガッチリサポートし、充放電による体積変化で電極が崩れるのを防ぐという研究は日本でもあったと思います。
          これがどういうものか解かりませんが。

          • by Anonymous Coward

            それマジですか?どこの研究?

            • by Anonymous Coward

              検索してもそのものの記事が見つからないので、
              こんなもので申し訳ないのですが。
              http://www.logsoku.com/r/2ch.net/bizplus/1265168952/ [logsoku.com]

              固体電解質となるプラスチックシートの表面から原料を浸み込ませ
              シート内部に「樹枝状」に金属スズを析出させて電極とする。
              スズには多くのリチウムが出入りできるので電極として潜在的には
              有望であるが、リチウムの出入りですぐに崩れた。
              しかしこの技術だと、プラスチックの中のスズの形状は崩れない。

              高分子シートの中に金属の析出物を育てるのがこの会社の売りの
              技術なので電池屋さんから見たらおかしな理屈かも知れませんし
              2010年の話で続報を聞かないので、巧く行っていないのかも知れません。

    • by Anonymous Coward

      > 研究室から外にはなかなか出ていかないな。

      固体電解質って、多くの研究者が研究してるので、それなりに成果は出てくるけど、
      研究室レベルの成果と実用化の間には、まだまだ多くの障壁があるからね。

      • by Anonymous Coward

        工業的に生産できます

        歩留まり良くなりました

        既存品と遜色ない値段です

        ここまでどれくらいかかるかな?

        • by Anonymous Coward

          どんな物でも新規な技術ならまともなラインにのせるのに最低10年かかりますね。

  • by Anonymous Coward on 2015年08月21日 12時15分 (#2868105)

    これって燃やしても有害物質がでないってこと?
    だとしたら素材が気になる

    #さすがに口に入れても問題ないは期待しすぎだったか

    • リンクのMITのプレスリリースでは
      [With a solid electrolyte] there’s no safety problem — you could throw it against the wall, drive a nail through it — there’s nothing there to burn.
      で、「(固体電解質を採用すれば)壁に投げつけようと、釘で打ち抜こうとも電池から発火してしまうことはない」となっています。
      燃やしても問題ないというのは、たぶん最後の burn の訳を誤ってしまわれたと存じます。

      もとの英文 there's nothing there to burn も英語のブルーバックスレベルの啓蒙書とかではイマイチ見かけない表現だなあ。

      親コメント
  • by Anonymous Coward on 2015年08月21日 13時48分 (#2868186)

    具体的な利点として挙がっていないけど、実用化去れば、サブバッテリーをトランクに入れたままで飛行機に乗れるようになりそうなのがありがたいと思う。いつも手荷物として持ち込むように指摘されてしまうので。

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アレゲはアレゲ以上のなにものでもなさげ -- アレゲ研究家

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