水を燃料として使用して月軌道を目指す小型衛星 43
ストーリー by hylom
太陽パワーで水から推力 部門より
太陽パワーで水から推力 部門より
あるAnonymous Coward曰く、
コーネル大学が水を電気分解して燃料として使用する人工衛星を開発しているそうだ(コーネル大学の発表、ScienceDaily、The Cornell Daily Sun)。
この衛星はL字型をしたブロックを2つ組み合わせた形状が特徴。上側には衛星本体、下側には水が貯蔵されているという。太陽電池で得られた電力を使って水を水素と酸素に分解し、これを燃料として利用する。打ち上げ後、生成された燃料を使い30分間隔で短時間の噴射をすることで、2つのL字ブロックは分離して距離を置いて回転を始める。この回転によってスピン角運動量が発生、長距離の移動が可能になるという。
2018年にNASAのSLSによって月と地球の間に打ち上げられる予定で、打ち上げ後は自力で月軌道に入る計画だという。
開発はNASAの元チーフを筆頭とした研究チーム「Cislunar Explorers」によって行われている。このチームはNASAが開催した小型衛星DEVTチャレンジで上位にランキング入りし、3万ドルの賞金を得ることに成功している。
訂正と補足 (スコア:5, 参考になる)
生成された燃料を使い30分間隔で短時間の噴射をすることで、2つのL字ブロックは分離して距離を置いて回転を始める。この回転によってスピン角運動量が発生、長距離の移動が可能になるという。
正しくは、
「生成された燃料を使い30分間隔で短時間の燃焼をすることで推進力を得る。2つのL字ブロックは打ち上げ後分離して距離を置いて回転を始める。この回転によってスピン角運動量が発生、軌道から外れるのを防ぐ。」
ですね。このスピンは、電気分解によって得られたガスを水から分離するためにも利用するようです。
念のため補足ですが、
上側には衛星本体、下側には水が貯蔵されているという。
最初、2個あるL字の一方(上側)が衛星本体、もう一方(下側)が水貯蔵で、見た目は同一でも中身は違うように読んでしまいましたが、
L字それぞれについて、上部が本体、下部が水貯蔵なんですね。
Re:訂正と補足 (スコア:3)
てっきり「両足を激しく動かすことにより真空が発生し、その結果滞空時間が伸びる」という沢村忠の真空飛び膝蹴りと同じ理屈かと思ってました。
Re: (スコア:0)
L字型なので、ダウジングパワーを利用している可能性も否定できません。
# あれは持っている人間の力だって
Re:訂正と補足 (スコア:2)
運動量を生成するのが目的なら、電気を運動エネルギー直接変換し、水自体を吐き出すのではダメだったんでしょうか?
#ペットボトルロケット電気エネルギー版。
Re: (スコア:0)
電気分解で得た水素と酸素を爆発させるなら
爆発で生まれる水をちーとでも回収して貯蔵足しにできんかな
# その分推進力が目減りしちゃうかな
Re:訂正と補足 (スコア:1)
水素と酸素を燃焼して生じた燃焼ガス=水蒸気を噴射した反作用で推進力を得るのですから、
水を回収しちゃったら目減りどころかその水の分の推進力が一切無駄になりますな。
おまけに、回収した水の運動エネルギーが熱になるから、
ただでさえ大変な人工衛星の冷却システムの荷物になるというおまけ付き。
Re: (スコア:0)
すみません「軌道から外れるのを防ぐ」の「軌道」って何なんでしょう? 地球周回軌道? 地球-月遷移軌道? 月周回軌道?
衛星が大きな角運動量を持っていたら防がれる「軌道からの外れ」って何なんでしょう?
Re:訂正と補足 (スコア:1)
軌道のブレ ふらつきを抑えるということだろ 軌道の方はどの軌道かは特定できない
Re: (スコア:0)
ガンダムのAMBAC(Active Mass Balance Auto Control 能動的質量移動による自動姿勢制御)は、大気圏外で姿勢は疎か、飛行方向や速度まで操作出来るのか!
Re: (スコア:0)
これはサイコフレーム(逆襲のシャア)に似てる!
水を燃料? (スコア:1)
水を使うために太陽電池で得られた電力を使っているので水が燃料かは疑問。
Re:水を燃料? (スコア:2)
水素と酸素を使った燃料電池というのを頑張って言い換えれば水を燃料として使用となる
Re:水を燃料? (スコア:1)
すみません。頭が悪いので教えてください。
打ち上げ後に、(a)通常の燃料を使ったエンジンで月軌道に入るのと、(b)水を燃料(燃料の原料)にして月軌道に入るのと、打ち上げに必要な燃料も含めるとどっちが効率的なんでしょうか?
将来は、火星とか彗星で水を補給できると想定した長時間・長距離飛行を実現するための実験なのだろうか? その時は水分解エネルギーはどうやって補給するのだろうか? 経路の途中にある恒星の周りを周回してエネルギー充填するのかな?
Re:水を燃料? (スコア:5, 興味深い)
CubeSatに積める推進器を、ということじゃないかなあ。
10x10x11.35cm/1.33kgを1UとしたCubeSat規格の超小型衛星というのがあって、定期的に若手育成とかの名目でISSから放出されたり、大きな人工衛星に
相乗りして打ち上げられたりしている。これらは主ミッションペイロードではないので、そっちに迷惑をかけないように厳しい安全基準があって、反応性
の物質とかガスを放出するような素材、圧力のかかったタンクなどは基本的に搭載できない。化学的なものは精々が二次電池まで。なので、CubeSatには
コンピュータや無線機は積めるけど、事実上一切の推進器を積むことができない。電磁石と地磁気で姿勢を安定させるくらいが関の山で、普通の化学
ロケットはもちろん、コールドガススラスタもイオンエンジンもガスを放出するのでダメ。数百kmの低軌道に放出された後、軌道を上げることができない
ために、数ヶ月から数年以内に再突入して燃え尽きてしまう。
おそらく、これを回避するための水なんだと思う。水ならISSには常備されているし、ISS内の安全基準に適合する。難なら放出前に宇宙飛行士に入れて
もらうこともできるだろう。衛星が放出されて電源が入り、発電が安定して初めてガスが発生するはずだから、不意に起動する事故は起こりにくいだろう。
でも水なら放出していいという前例があるわけでもないし、ISSから放出した後で動くとなると、戻ってきてぶつかるんじゃないかとNASAが文句を
言いそうだけど。その辺を水ならいいでしょう、放出から何日後なら構わないでしょうと政治力で回避できるというのが前提なのかもしれない。
Re:水を燃料? (スコア:1)
ピギーバック衛星の宿命ですね。
AMSAT系の大型衛星にはちゃんとした推進器を積んだものがありましたが、あれは打ち上げ費用を払って正式なペイロードにしてもらったものです(ディスカウントされてるけど)。しかし毎回トラブルがあって計画通りの軌道には乗せられなかったという...。やっぱ難しいものでやすやすと使いこなせるようなものではないみたいですね。
Re:水を燃料? (スコア:2)
この方式が優位になるのは、燃料や酸化剤の蒸発量が燃料製造装置の重量を越える場合のみです。
月までなら、素直に普通の燃料を使った方が楽でしょう。
# 衛星軌道上に上がってから水を入手できるなら話は違ってきますが、その場合は素直に液酸液水を使いそう。
効率はイオンエンジンよりも落ちるけど、そこそこの推力が得られる電気推進機関、ですね。
電気推進の実験を安価に行うのが目的なんでしょう。
電源について:
火星軌道あたりまでなら太陽電池で、それより遠くなら原子力(アイソトープ電池か原子炉)になるでしょう。
SFなら反物質を動力にしますけど、現状、長期的に信頼できるエネルギ源はヒドラジンと原子力だけですから。
notice : I ignore an anonymous contribution.
Re:水を燃料? (スコア:1)
まずは「通常の燃料ってなに?」って問題が。地上の常識は宇宙の非常識。
地上だったらガソリンとかジェット燃料とかがメジャーだけど、ロケットで使う場合は外気を取り入れる
わけじゃないから、燃料と同じくらい酸化剤(酸素)をどうやって持っていくかが重要になる。
ロケット打ち上げ時なんかは液化水素と液化酸素をタンクにいれて使ってるけど、これって
魔法瓶にいれてても冷やし続けない限りはどんどん気化しちゃうから長期保存に向かないってことでは。
でっかい魔法瓶を運ぶのもコストだし、冷やすエネルギーもコストになる。
#宇宙用燃料としてはヒドラジンも有名だけど、ほとんど知らんのでパス。
そういった保管用のタンクや発電用太陽電池なんかも含めたトータルのコストで考えると、
今回のシステムの方が優位性があるから発表したんだろうとしか。
Re: (スコア:0)
うん。そこがすごく気になる。
普通に燃料を持って行くというのは、燃料、兼、推進材を持って行ってると言うことで。燃やしてエネルギーを取り出して、燃やした後のガスを推進材にして後ろに放り投げていることになる。
これを、推進材だけ持って行って、使えるエネルギーは無限、なんだから何であれ得するのかな?
推進材にどれだけのエネルギーを載せて放出できるか次第かな?化学ロケットだと、そこに制限があるとか。
電気分解せずに、沸かせて高圧蒸気にして放出する蒸気ロケットなんかも可能?加圧用のボイラーが重すぎてだめか、
Re: (スコア:0)
オフトピ気味ですが,
高圧蒸気的な発想のものは液体窒素+温水で
大阪府立大とか兵庫県立大学とかがやっているみたいですね.
まあイマイチ用途がわからないのですが…
Re: (スコア:0)
私もよくわからんなぁ。
化学燃焼エンジンのプロペラントはエネルギーと反作用を得るための質量を兼ねてる。
このエンジンはエネルギーは自家発電、プロペラントは燃やすけどエネルギー収支上は消費しないという理解をしたんだけど。
Re: (スコア:0)
その理解でわかっていると思いますよ.
どのあたりがひっかかっているのかはわかりませんが,
エネルギーは太陽から得ると書いてあるので太陽光発電でしょう.
投げる質量は水の形で持っていくわけです.
最終的に得られる運動エネルギーの出所は全て太陽で,
水からはエネルギーを得ません.
(温度が上がるのでむしろ水はエネルギーを奪っていくことになるでしょう.)
つまり質量だけを地上から持って行って,エネルギーは太陽光からということで,
そこだけ見ると発想ははやぶさのイオンエンジンと同じです.
ここまで質量とエネルギーの出所がわかりました.
次はこれらを速度に変換しないといけません.
Re: (スコア:0)
>水素と酸素を使った燃料電池というのを頑張って言い換えれば水を燃料として使用となる
それならいいんだけど、水を分解するために電力を使っているだけなので。
水を燃料?いいえ、違います (スコア:1)
原文読んだら、「水を推進剤」と書かれていますね。
これはこれで、誤解を招く気はしますがw
Re:水を燃料?いいえ、違います (スコア:1)
ペットボトルロケットの推進剤は水。
なんかおかしい?
Re: (スコア:0)
ペットボトルロケットの場合水をそのまま噴出するからおかしくないよ。それならまさに、「水を推進剤」だからOK。
でも、本件の場合は水を酸素と水素に電気分解して貯蔵後、それを燃焼させているからねえ。
「水を推進剤」という表現だと、これがまったく伝わらず、まさに「ペットボトルロケットと同じか。」と誤解してしまう。
搭載しているのは水だし、たしかに燃焼でできるのは水なので「水を推進剤」でいいとは思うんだけどね。
#でも、液酸液水ロケットに対し「水を推進剤」なんて言わないよなあ。
Re: (スコア:0)
ペットボトルロケットの推進剤は水。
なんかおかしい?
↑これ誤解を生んだ結果でしょうね。
Re: (スコア:0)
ペットボトルロケットの燃料は圧縮空気。
燃えないので燃料とは呼ぶべきでないとするならエネルギー源、イオンロケットの太陽電池と同じ扱い。
Re:水を燃料?いいえ、違います (スコア:1)
つまり「ペットボトルロケットの推進剤は水」は「おかしい」ということだな。
ニホンゴむずかしいね
Re:水を燃料?いいえ、違います (スコア:1)
ペットボトルロケットはエネルギーソースとしては圧搾空気だけど、強制推進剤としては水では。
#反動推進系 by A. B. Chandler
燃焼というか形質変化によるエネルギー放出を伴わないから燃料とも言わないのでは。
ゼンマイとかゴムは動力とは言うけど燃料とはイワン
Re: (スコア:0)
ペットボトルロケットの反動推進剤は水ですよ。
燃料に該当するエネルギーソースが圧縮空気。
今回の「水燃料」についてなら、反動推進剤は水蒸気、エネルギーソースは太陽光。
ただし太陽光は太陽電池により一旦水を電気分解して水素と酸素にして保持することに使っており、直接の燃料は水素と酸素、つまり普通の化学推進ロケット。
燃料製造プラント付き宇宙船、って感じですかね。
電力で加熱して高温の水蒸気を反動推進させるのとどっちが効率良いですかね…。
高温蒸気作るなら電気分解してから燃やした方が有利な気もするので、なんとも言えませんが。
Re: (スコア:0)
揚水発電だって発電なんだから水を燃料でいいだろ
Re:水を燃料? (スコア:1)
多分30分間太陽電池で発電した電気で分解して貯めた酸素と水素を、一瞬で燃焼させて推進するのだろうけど、そのまま水他を推進剤にイオンロケットで推進した方が素直じゃないかな?←この場合水は推進剤であって燃料ではない。
揚水発電だって発電なんだから水を燃料でいいだろ
水蒸気外燃機関の水=蒸気を燃料と言うが如し。
Re: (スコア:0)
ディーゼル・エレクトリック機関が電気で動いているのと同程度に水を燃料としていると言える
あと電気はテザー等によらなければ推進力を生み出すことができないが水なら容易
Re: (スコア:0)
推進剤というのが正しいかも
Re: (スコア:0)
どう考えても、そうとしか・・・
手頃なんだけど、水だって大量にばらまかれちゃったら、そのうちデブリ化するよなぁ。
地球にも土星みたいな氷のリングができちゃうよ。
あとISSとかの窓が結露とか氷結とか笑えない。
# モップでレーザー砲身磨きの罰
Re:水を燃料? (スコア:4, 参考になる)
地球ぐらいの軌道だと, 太陽の熱と光で蒸発・分解するので問題にはならないはずです.
この氷などが安定して存在できる境界を凍結線あるいは雪境界線 [wikipedia.org]と言います. 太陽系ではこの距離がおおよそ2.7AUで小惑星帯あたりですから, 木星以遠であれば逆に構造材としても氷が使えることになります.
# シドニアとか藤子・F・不二雄の「あれ」とかが有名ですね
Re: (スコア:0)
制約がなければ、化学燃料をつかいでしょ
名前を作っちゃおう (スコア:0)
燃料の原料だから燃料々でどうでしょうか
温度域問題 (スコア:0)
直射日光で加熱されて沸騰とか
日陰で冷却されて凍結とか
対策面倒くさそうですね
Re: (スコア:0)
原文読むと、そこもドヤ顔でアピールしていますね。
電子機器からの熱で水を加熱することで、電子機器の冷却と水の凍結防止を同時に行うそうです。
燃料タンク (スコア:0)
Re:燃料タンク (スコア:3)
あと水素だと浸透による漏れと脆化が問題になるからその点でも有利になりうるでしょう
温度管理はヒドラジン融かすのとあまり変らないかも
Re: (スコア:0)
あと、人工衛星ですから、打ち上げ用のロケットが必要で、
そのロケットに乗せるための審査が緩いのかもしれません。
打ち上げる側も、ペイロード由来の事故は避けたいですから。
特に、最近は人工衛星の相乗りが多く、一つのせいでほかのペイロードまで失うのは非常に困るはず。