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サイエンス

ジャイロイド構造のグラフェン、鉄の4.6%の密度で強度は10倍 77

ストーリー by headless
軽量 部門より
あるAnonymous Coward 曰く、

MITの研究チームがグラフェンを用い、軟鋼の4.6%の密度で10倍の強度を持つ多孔質の立体素材を設計したそうだ(論文MIT Newsの記事)。

この素材は熱と圧力を加えてグラフェン片同士を結合し、多孔質のジャイロイド構造にしたものだ。現在知られている中で最も軽く、強い素材の一つだという。強度は3Dプリンターで作成したプラスチック製のモデルによるシミュレーションで測定しており、密度や壁(グラフェン片の部分)の厚みを変えたテストも行っている。その結果、密度を下げたときの強度低下は、ポリマーのフォーム素材よりも大きかったという。一方、薄い壁の素材は柔軟性があり、圧力をかけると徐々に変形するのに対し、厚い壁の素材は一気に壊れてしまう。

最近の研究ではグラフェンを使用した多孔質構造で空気よりも軽い素材を作成できると考えられており、飛行船などのヘリウムとの置き換え用途が期待されている。しかし、空気よりも軽くなるまで密度を下げると強度が不足し、真空のバルーン内に入れた場合は大気圧で潰れてしまう。そのため、こういった用途で実用化するには低圧のガスで満たすか、支持素材を追加する必要があるとのこと。

グラフェンを使用した立体素材はヘリウムの置き換え以外にも、さまざまな用途での利用が期待される。また、この構造はグラフェン以外にも応用可能だとみられている。

なお、空気より軽い強固な素材という事でSF作品の「ふわふわの泉」をイメージする人も多いらしく、作者の野尻抱介氏も「また一歩ふわふわの泉に近づいた」とツイートしている。


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  • by Anonymous Coward on 2017年01月08日 18時14分 (#3140872)

    >MITの研究チームがグラフェンを用い、軟鋼の4.6%の密度で10倍の強度を持つ多孔質の立体素材を作成したそうだ
    なんかごっちゃになってるな

    1)
    今回作られたのは新しいグラフェンの原子計算モデル
    実際に素材を作ったわけではない
    強度については上記のモデルでシミュレーションした結果

    2)
    その分子構造を数千倍に拡大したプラスチック製のテストモデルを作成して
    シミュレーションと同様な結果が出るのを確認した

  • ジャイロイド (スコア:3, 参考になる)

    by Anonymous Coward on 2017年01月08日 17時03分 (#3140840)

    ジャイロイドってなんじゃらほい。メジャーな単語とは思わなかったんだが。
    #最初はアンドロイドから派生した何かかと思った。バトロイドとかボーカロイドとかネンドロイドとかそんな感じの。

    https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%82%A4%E3%83%AD%E3%... [wikipedia.org]
    「ジャイロイド(英:gyroid)は3方向に無限に連結した3次元の周期極小曲面である。1970年にアラン・シェーンによって発見された[1]。
    ジャイロイドはIa3dの空間群に属し(100)と(111)の方向に連結部(足)をもっており、3本の足は互いに70.53°の角度を成している。この足が回旋している(gyrating)ようにみえることから"gyroid"(ジャイロイド)という名前がついた。ジャイロイドの近似式は三角関数を用いて、
            sin ⁡ x cos ⁡ y + sin ⁡ y cos ⁡ z + sin ⁡ z cos ⁡ x = 0 {\displaystyle \sin x\cos y+\sin y\cos z+\sin z\cos x=0} {\displaystyle \sin x\cos y+\sin y\cos z+\sin z\cos x=0}のように表すことができる。
    ジャイロイド構造は、砂田によりダイヤモンドの結晶構造の双子(diamond twin)であることが証明された仮想的結晶構造「K4格子」(Laves' graph of girth ten)に密接に関係している[2]。」

    • by Anonymous Coward

      オマエのものはオレのもの、なアンドロイド。

    • by Anonymous Coward

      英語版のページのアニメーションがわかりやすいね

  • by wolf03 (39616) on 2017年01月08日 15時16分 (#3140808) 日記
    軽いなら建築素材に使えそうなんだがどうだろう
    • by Anonymous Coward on 2017年01月08日 15時32分 (#3140813)

      まだ現物が出来たわけではないんですよね?
      でもこれが低コストで量産できるようになれば、建築素材にしろ船にしろ飛行機にしろ、まさに世界が変わる発明ですね。

      とはいえ、カーボンナノチューブとかのナノテク系の素材って、生産はできてもまとまったサイズのものを作ることが出来てないイメージ。
      でもそこまでいかなくても、ヘリウムの置き換えみたいな用途だったら強度も必要なさそうだし、割と実用化が期待できるのではなかろうか?

      親コメント
      • by Anonymous Coward

        ビデオくらい見れば?

        • by Anonymous Coward

          ??? ビデオのプラスチック製のモデルは、構造を再現しただけでグラフェンを使った現物じゃないですよね?って話じゃなくて?

          • by qem_morioka (30932) on 2017年01月09日 12時05分 (#3141049) 日記

            まずはこの「構造」がどんな特性もってるか実際に樹脂でモデルを作ってみたら

            一方、薄い壁の素材は柔軟性があり、圧力をかけると徐々に変形するのに対し、厚い壁の素材は一気に壊れてしまう。

            ってことがワカッタよ(゚∀゚)! ってことだと思うorz

            んで、それに基づいてグラフェンで実際に作ったら空気より軽くなるんで、
            そらもうグラーフ・ツェッペリンをこの空に埋め尽くさんとできるって寸法よ!(テヤンデェ

            # 日本に来ていたツェッペリンNTが解体されていたとはなぁ

            親コメント
        • by Anonymous Coward

          ビデオ見てもそれが何を意味するのかまったく理解できてない奴www

      • by Anonymous Coward

        ヘリウムの風船が、膨らます(空気を抜く?)前からあの体積のままで、
        しぼんでしまっても(空気が入ってしまっても?)小さくなることがないなんて、
        かさばってじゃまになってしょうがないじゃないか!

    • by Anonymous Coward on 2017年01月08日 15時44分 (#3140816)

      「ふわふわの泉」を読むとわかるらしいよ。空中に浮かぶ家が集まって無国籍コミュニティが生まれるそうです。風に流されやすいのが欠点とか。
      実際できたら、ドローンとかうるさくなくていいかも。足腰弱って階段の登り降りが辛い人は浮力リュックを背負って生活すれば介護も助かるよ。さらに進んで体重0が可能な世界になったら、タケコプター実現かな?推力がないから通勤には使えないか。

      親コメント
    • by Anonymous Coward on 2017年01月08日 16時44分 (#3140827)

      軽いなら建築素材に使えそうなんだがどうだろう

      実によく燃えそう。

      親コメント
    • by Anonymous Coward on 2017年01月08日 17時02分 (#3140839)

      軽すぎると風で飛ばされる
      土台にしっかり固定しないと
      アメリカの田舎で家がまるごと盗まれる事件もあったし
      やたら軽すぎるのも考えもの

      親コメント
    • by Anonymous Coward

      軽量で振り回しやすい丸太とか作れそうだな

      • Re:建築素材 (スコア:3, おもしろおかしい)

        by Anonymous Coward on 2017年01月08日 16時53分 (#3140833)

        それでは乗せられる運動量も少ないので、吸血鬼を倒すのには使えない。

        親コメント
        • by Anonymous Coward

          EMドライブで運動量を無から生み出そう

          • by Anonymous Coward

            量が問題なのであって、無から生み出すかどうかは関係ない。

    • by Anonymous Coward

      軌道エレベーターとか出来んかな

  • by Anonymous Coward on 2017年01月08日 16時35分 (#3140825)

    >軟鋼の4.6%の密度
    なら質量も軟鉄の4.6%ということ?

  • by Anonymous Coward on 2017年01月08日 17時28分 (#3140846)

    MITの動画を見ると当たり前のように中国系と思われる研究者が出てくる。

    中国グラフェン産業技術革新連盟は先ほど発表した報告書の中で、相当数の研究開発プロジェクトが順調に完了し、実用化に向けた準備期間に入っているとした。グラフェン産業は高度発展期を迎えることになりそうだ。世界のグラフェン年間生産量は100トンクラスに達している。同連盟は、グラフェン年間生産量が2020年に1000トンクラスに達し、世界のグラフェン市場規模が1000億元を超えると予想。うち中国が5−8割を占め、世界グラフェン産業で中心的・核心的な力を発揮することになる。
    グラフェンの開発、中国が主導権を握る - 中国 - 日中新聞 [infochina.jp]

    中国のグラフェン科学論文数は2011−15年で首位をキープし続けており、その他の国に大きな差をつけている。論文数の年平均成長率も首位で、中国の科学研究者が2011年1月から2015年12月の間に発表したグラフェン関連論文数は世界の41.65%を占めており、2位の米国と3位の韓国はそれぞれ18.86%と8.75%だった。
    中国のグラフェンの産業、総合実力で世界一に--人民網日本語版--人民日報 [people.com.cn]

    中国はグラフェン研究に随分と力を入れているようですね。

    • by Anonymous Coward

      そらグラフェンに限ったことではないと思うが。

    • by Anonymous Coward

      MITの学生か研究者でしょ。日系かもしれないし韓国系か台湾系かもしれないし。それに中国人ないし中国系アメリカ人の研究者がたまたま動画に出てきたから中国がグラフェン研究に力を入れているとは言えないような。
      少なくとも北朝鮮人ではないだろうが。

  • by Anonymous Coward on 2017年01月08日 17時30分 (#3140849)

    そんなにいいものなら早いとこ実用化してくれよ。
    え?資金提供元がいない?
    それって、実用化に問題あるってことにならない?

    • この手の技術系のニュースってホント飛ばしが多いから
      ホント、だったら早く実用化しろよって思うよね。

      でも実用化に問題がなくたって、実用化してもそれほど市場性がナイかもしれないし
      あまりにも巨大な投資が必要ってんで二の足を踏んでるかもしれないし
      実は言うほどすごくなくて、それに金かけるぐらいならサプライヤー叩いて
      現状のを安く買ったほうがいいしとか、そんなところなんですかね…

      親コメント
    • by Anonymous Coward

      お前は金さえあればインスタントラーメンを1秒で作れると思っているのか?

      • by Anonymous Coward

        お金が無制限に使用できるという前提であれば、
        注文から1秒でインスタントラーメンを提供することは可能。

        注文前からひたすら1秒間隔で並行してラーメンを作っておき、注文がなかった場合のラーメンは破棄。

        結論: たとえがよろしくない

        • by Anonymous Coward

          「1秒で作る」と言う話なのに「1秒で提供する」にすり替えているだけ。

          結論:頭がよろしくない

          • by Anonymous Coward

            インスタントラーメンにおける「作る」に価値があるのであれば、「すり替え」で意味が変わってきますから、おっしゃる通り。

        • by Anonymous Coward

          実用化のたとえをリードタイムとして解釈してるのが間違いでは?

    • by Anonymous Coward

      いずれにせよ、他人に神の如き視点を強いている時点で

      結論:頭がよろしくない

    • by Anonymous Coward

      野次馬が偉そうにドヤ顔で煽ったって、
      あなたに合わせて世界が急ぐことなんてありえませんよ。

  • by Anonymous Coward on 2017年01月08日 17時50分 (#3140860)

    構造の機械的な強さのことに注目を集めているようだが、
    グラフェンは熱伝導性が非常に大きい物質でもある。

    平面構造で、重ねても平面間の熱伝導率は低く、放熱用の素材としてはいまいち使いにくかった
    (細切れをグリースに混ぜる程度)が、こうやって立体構造にできるなら優秀なヒートシンクを作れるかも。

    まあ、こんな複雑な構造のグラフェンシートを実際につくれるとしたら、の話だけどw

    • by Anonymous Coward

      空気が通り抜ける構造でないと、折角伝導した熱を運び出すことができないですね。
      でもカーボンナノチューブを束にするよりは実現が楽かなあ。

      ジャイロイドブロックの端にピエゾ振動子をつけて進行波で空気を流すポンプとか作れるかな。
      LSI上にそんなのを形成した研究事例がありましたよね。

      • by Anonymous Coward

        ジャイロイドは中の空隙はつながっているので(膜の表側の空間と裏側の空間はつながってないけど)、
        空気が通り抜けられる構造ですよ。

        • by Anonymous Coward

          「通り抜けられる」からと言って、「効率良く素通りする/熱交換できる」とは限らんし。

          スポンジや紙みたいなのでも水や空気は通り抜けられるけど、どちらかというと
          ゴミを漉しとるフィルターの用途でしか使わんでしょ。

          • by Anonymous Coward

            そら紙やスポンジは熱伝導性が悪いからなw
            ヒートシンクに使うバカはいない。

            ビデオを見れば、向こう側を見通せる穴があるくらいに通気性がいいのがわかるだろうに。

            • by Anonymous Coward on 2017年01月09日 0時09分 (#3140957)

              分子サイズの隙間だと、空気が通るかどうかは微妙です。
              ファンデルワールス力で捕捉されちゃうかもしれないし、そもそもグラフェンなんだから表面にπ電子がうねうねしてます。

              ただ、空気を抜くとかいう議論ができている時点で、空気の分子は通れることが確実視されているのかもしれません。
              が、細い管というのは抵抗が大きいので、空気を流そうとすると相当圧力をかけないといけなそうな気がします。

              親コメント
          • by Anonymous Coward

            http://gigazine.net/news/20140731-silentpower/ [gigazine.net]
            銅製のスポンジたわし型ヒートシンク

            問題はコスパだけで作りさえすれば効率良く熱交換できるみたいですね
            Core i7 4785T+GTX 760をファンレスで冷やせたみたいですし

            • by Anonymous Coward

              多孔質金属は次のヒートシンクとして注目されてはいますが、こんな結果も出てます。
              http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/yajiuma/1036941.html [impress.co.jp] (グロ注意)
              >具体的な実験手法などについては論文を参照されたいが、結論から言うと、多孔質金属フィンの性能は芳しいものではなかった。

              多孔質金属は穴が不規則で微細な形状であるがゆえに圧損が高いので、タワシみたいな形状で大気との熱交換がちゃんと行われるそのヒートシンクはビックリなのですが。

              • その写真を見る限りヒートシンクに使われてるものは、多孔質(ポーラス)構造の金属
                というよりもっと目が粗いスポンジ状のものですね。

                言うなれば無印良品で販売している、石鹸が溶けない"石鹸置き"みたいなものです(ドヤァ

                ポーラスなものといえばもう少し目が詰まっているというか、穴のほうが小さいという
                感じですね。この枝の下につけてるロータス金属ってのはその穴の方向をうまく制御して
                風通しが良くなるようにしたものみたいですね。

                # 無印の石鹸置きはマジお勧めだから、騙されたと思って買ってみよう

                親コメント
              • by Anonymous Coward

                その記事でも

                ロータスアロイ株式会社のホームページでは、水冷システムにおいて
                マイクロチャンネルのヒートシンクに代わってロータス金属を採用することで
                2倍の熱伝達率を実現していることが紹介されている。

                と書いてあるけど。

  • >> 真空のバルーン内に入れた場合は大気圧で潰れてしまう。
    潰れてしまう支持材の隙間に外膜と同じ材質で作った大気圧ボールを挟んどけば解決
    ネタで言ってるわけじゃないよ

    • 大気圧に耐えるのに何倍足りないか、によりますが、これも「ふわふわの泉」からの引用になりますが、気圧の低い高空に工場を作って製造、というやりかたもありうるかと。

      親コメント
    • by Anonymous Coward

      それだと浮力を得る目的には不適当な物になるでしょう。
      ヘリウムの置き換えに使えたらな~ってのも期待されてるんだから。

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普通のやつらの下を行け -- バッドノウハウ専門家

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