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2017年10月5日のサイエンス記事一覧(全3件)
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バイオテック

マラリア対策のために遺伝子改変された蚊の拡散を認めるべきか? 16

ストーリー by hylom
ナウシカのような世界が近づくのか 部門より
あるAnonymous Coward曰く、

蚊帳や殺虫剤の普及で抑制されつつはあるものの、マラリアによる死者の数は未だに多い。調査によると2015年のマラリア感染者は約2億1,200万件、死者は42万9,000人だという。問題となっているのはこの病気が薬物に対して耐性を持ちつつあることだ。この疾病と戦うためScience誌に遺伝子改変ツールを使った二つの研究が掲載された。

一つは蚊を遺伝子改変し、蚊の腸に住むマラリア原虫への免疫を促進するというもの。通常の蚊よりフェロモンを強化しているため、遺伝子情報を次の世代に伝えやすくなっているという。ただし、そのほかの動物への意図しない影響起きないか懸念されている。もう一つの研究はバクテリアを遺伝子改変してマラリアと戦うもの。蚊の腸にマラリアを引き起こす寄生生物を殺す物質を分泌させる遺伝子改変を行ったという。特性は子孫世代にも自動的に引き継がれるとしている。問題は研究成果だけでなく、ザンビア政府にこうした方法を承認させる必要があるとしている(NEW HAVEN REGISTERthe New York PostSlashdot)。

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地震

熊本地震論文の地震計データに改ざんの疑い 24

ストーリー by hylom
どうしたんだ 部門より
masakun曰く、

去年4月に起きた熊本地震の論文「Preliminary Analysis of Strong Ground Motions in the Heavily Damaged Zone in Mashiki Town, Kumamoto, Japan, during the Mainshock of the 2016 Kumamoto Earthquake (Mw 7.0) Observed by a Dense Seismic Array」に掲載されたデータに改ざんの疑いがあることが分かり、共著者が論文を取り下げると発表するなど騒ぎになっている(MBS毎日放送)。

論文では益城町に臨時で設置された地震計3か所の記録が掲載されているが、このデータが改ざんされて使われた可能性があるようだ。

論文の共著者である京都大学防災研究所の後藤准教授による「益城町本震記録に関するお詫びによると、益城町にて観測されたとするデータに関する資料(PDF)が匿名で提供されたという。この資料では、論文に掲載されているデータと防災科研が設置した「KiK-net(基盤強震観測網)益城(KMMH16)」のデータを相関分析したところ、ほぼ一致したということが示されている。後藤准教授は「提供された資料に記載の事実に誤りがないこと、すなわちデータに重要な問題があることを確認いたしました」としている。

別の共著者である産総研の吉見研究員も「早い段階で、初期微動部分について、高周波数成分が少ないように感じていた等、根本的検討をする時間は十分にあったにも関わらず、疑問点を検証しないままとしてしまった」と陳謝、問題のデータの公開を中止した(「2016年熊本地震の益城町臨時観測点における本震記録について」)。主筆者である大阪大学の秦吉弥准教授については大学が事情を聴いているという。

この問題については一時土木学会地震工学委員会のWebサイトにも情報が掲載されていたが、その後内容が修正されている(土木学会地震工学委員会「熊本地震本震の臨時観測公開データの問題について」修正前記事のWebArchive)。京都大学の澤田純男教授によると、「公開データがその時点でも進行形で研究等に使われていることを鑑み、一刻も早く皆様にお知らせすることが重要であると考え、土木学会の了承を得ることなく、澤田だけの判断で地震工学委員会のホームページに掲載した(京都大学防災研究所地震災害研究部門Webサイトに掲載された澤田教授による報告)とのこと。

実際、このデータをもとに益城町でこれまででは考えられないような強い揺れが生じていたとして、揺れを増幅させる「表層地盤」のメカニズムが広く報じられていた(たとえばNHKによる「熊本地震が浮き彫りにした「表層地盤」というリスク | NスペPlus」など。すでに記事は削除済み)

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バイオテック

2017年のノーベル化学賞は低温電子顕微鏡法を開発した3氏が受賞 10

ストーリー by hylom
納得 部門より
headless曰く、

2017年のノーベル化学賞は、スイス・ローザンヌ大学のJacques Dubochet氏と米コロンビア大学のJoachim Frank氏、英ケンブリッジ大学のRichard Henderson氏が共同受賞した。授賞理由は溶液中の生体分子の構造を高解像度で解析する低温電子顕微鏡法の開発(プレスリリース)。

電子顕微鏡は1930年代に実用化されているが、真空の電子顕微鏡内では生体分子が乾燥して構造が変わってしまう。また、生体分子は強い電子ビームで焼かれてしまうため、観察は不可能と考えられていた。

Richard Henderson氏は1990年、グリッド上に配置したタンパク質と弱い電子ビームを用い、原子レベルの解像度でタンパク質の3次元イメージを生成することに成功する。

Joachim Frank氏は1975年から1986年にかけて、電子顕微鏡による不鮮明な2次元イメージを分析・結合して鮮明な3次元イメージを生成する方法を開発した。

乾燥の問題を解決するには生体分子の溶液を凍結させる方法が考えられていたが、結晶化した水は電子ビームを分散させてしまう。Jacques Dubochet氏はサンプルを含む水を急速に冷却してガラス化させる方法を開発し、真空中でも元の構造を維持したままで生体分子を観察することを可能にした。

3氏の発見に続いて電子顕微鏡も改良が進み、生体分子の3次元構造を容易に生成できるようになった。これにより生化学の分野は大きく発展し、将来が期待されているとのことだ。

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弘法筆を選ばず、アレゲはキーボードを選ぶ -- アレゲ研究家

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