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バイオテック

2018年のノーベル物理学賞はレーザー物理学の分野で革新的な発明をした3氏が受賞 27

ストーリー by hylom
素晴らしい成果 部門より
headless曰く、

2018年のノーベル物理学賞は、その半分を米国のアーサー・アシュキン氏が受賞し、あとの半分をフランスのジェラール・ムーロウ氏カナダのダナ・ストリックランド氏が共同受賞した(概要プレスリリースPDF詳細情報PDF)。

総合的な授賞理由はレーザー物理学の分野での革新的な発明。アシュキン氏への授賞理由は光ピンセットの発明、ムーロウ氏とストリックランド氏への授賞理由は2氏が開発したごく波長の短い高強度レーザーを発生させる方法となっている。ストリックランド氏は史上3人目の女性のノーベル物理学賞受賞者となる。

アシュキン氏は1970年、レーザー光による光学力で分子を動かすことが可能なことや、周囲よりも屈折率の高い分子が傾斜力でガウシアンビームの中央に引き寄せられることを示し、対向する2つのレーザービームによる分子の三次元トラップの可能性を示した。1986年に作成した単一のレーザービームによる光学力のみを使用する光学トラップは、すぐに「光ピンセット (optical tweezer)」として知られるようになる。1987年にアシュキン氏は光ピンセットで生体細胞を傷つけずに捉えられることを示し、生物学の分野で他の研究者による応用も進められている。

ムーロウ氏とストリックランド氏は、光学媒質を破壊することなく高強度レーザーを実現するチャープパルス増幅(CPA)と呼ばれる技法を開発した。この技法ではレーザーパルスを延伸してピークパワーを減少させてから増幅する。増幅後にパルスを圧縮することで、短波長かつ高強度なレーザー光を得ることが可能となった。2氏の研究成果はレーザーによる視力矯正手術などさまざまな分野で応用され、今後も新たな分野での応用が期待されている。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by Anonymous Coward on 2018年10月03日 18時57分 (#3491407)

    ノーベル賞ってほどではないような。

    • by Anonymous Coward

      物性の年のまわりは黒鉛をセロテープで剥がす奴とかが受賞してるし、なんも問題ないと思う。

      • by Anonymous Coward

        Qスイッチ増幅も再生増幅もレーザーで使われてるのにCPAだけ表彰ってねえ。
        工学系は素人なのでよくわかりませんが。

      • by Anonymous Coward

        STMでは大気中で原子像を観るのに普通にグラファイトをテープで剥がしていたんだよね。ノーベル財団はそこまで調査してなかったんでしょうね。

        • 剥がせるのはみんな知っていたけど,そう簡単に単層まで行けるとは思ってませんでした.
          あと,財団というか,その前段階の選定してる研究者コミュニティは人数多い&いろんな分野の古株も多いので,事前の審査というか意見交換というかではかなり細かい話まで出てきます.
          (いやまあ,私自身はそんなものには入れていないので,恩師の談話ではありますが)
          なので「そこまで深く調べていない」というようなことはそうそう起こらなくて,一見そう見えても理由はちゃんとあったり.

          実際,受賞の際のプレスリリース(一般向けの簡素なほうじゃなくて,Scientific Backgroundとなっているほう)には,なぜその研究が選ばれたのかということがそれまでの研究とその後の発展を踏まえて書かれており,参考になります.
          例えばグラフェンの例でいえば,スコッチテープ等での剥離による方法は以前にも提案されていたものの,単層にたどり着くことはできずもっと分厚いものしか得られていませんでした.それをきっちりと単層のものを作り,ちゃんとキャラクタリゼーションを行い,ShdHなどの測定も行って電子状態なども明らかにしたことが評価されたことがわかります.

          親コメント
          • by Anonymous Coward

            あかん本物っぽいの出てきたわ!
            勝てんから消えるで!ほな!

          • by Anonymous Coward

            確かグラフェンについては、Walter de HeerとかKim Phillipも同じ時期に
            似たような結果を得ていて、当時結構議論になったと思うんですが、GeimとNovoselov
            がスコッチテープ法で単層グラフェンを単離できることを示して、研究の裾野を
            拡げたということが大きかったのかなと思います。産業応用を目指すとか言わなければ
            試料自体をつくるのは簡単なので、誰でも参入できちゃう。一方で、当時de Heerが
            Scientific backgroundについて選考委員会に問題点を指摘した手紙もまだジョージア
            工科大のウェブサイトに残ってますがそれはそれで勉強になります。

            もっともグラフェンでノーベル賞が出て10年経ったけど、これといって実用的な結果は
            まだまだ出そうもない。透明電極ぐらいかな?ナノチューブと同じ運命をたどっている
            気がする今日このごろ。そういう意味では、実用化に向けてブレークスルーがあれば
            もう一回はノーベル賞のネタにはなるかもしれません。

            • by Anonymous Coward

              それいうならC60でしょ
              ナノチューブはまだもらってないし

              • by Anonymous Coward

                あーノーベル賞とったうえで...という意味では確かにフラーレンの方が
                例としては適当だったかもしれませんね。

                グラフェンよお前もか。

    • by Anonymous Coward

      新規の発見だけでなく、画期的な手法も意外とノーベル(物理/化学)賞モノだったりする。
      例えば2002年のノーベル化学賞は、「生体高分子の同定および構造解析のための手法の開発」(田中耕一ほか)

  • by Anonymous Coward on 2018年10月03日 19時09分 (#3491415)

    チャープパルス増幅ってまるでチャープ・レーダーの技術そのものじゃないか

    • by Anonymous Coward

      いや、全然違うでしょ……。

  • by Anonymous Coward on 2018年10月03日 19時10分 (#3491416)

    > 増幅後にパルスを圧縮することで、短波長かつ高強度なレーザー光を得る

    パルスが圧縮されると書いてあるように、あくまで圧縮されるのは
    パルス幅であって波長は変わらんのでは?

    • ざっくりみてて、この解説 [titech.ac.jp]がわかりやすいですねー

       パルス幅伸張器は,ある角度を持って向かい合った2枚の回折格子で構成されてます。発振器からのレーザーパルスは, その性質上大きな周波数帯域を持ちます。このようなパルスが回折格子に入射すると,回折により波長別にわけられた 状態となります。そこで,回折格子を傾けて向かい合わせ,ある距離を置いて設置すれば,2つの回折格子の距離に応じて 波長別に光路差(=光の通る距離が変わることです)ができ,その分だけパルス幅が広げることができます(以下略)

      広帯域のレーザを回析格子で周波数分解→周波数ごとの光が通る距離を操作することで、パルス幅を伸長→光学系を通して増幅→回析格子で再び周波数ごとに距離を操作して合成→パルス幅が圧縮され、時間あたりのパワーが高くても装置が壊れない。
      と言う原理みたいですね。

      親コメント
      • by Anonymous Coward

        いや、元コメの人はそんな単純な原理は分かったうえで「別に短波長にはなっていないよね?」と突っ込んでいるわけで。

        • by Anonymous Coward

          (装置内部での増幅の前にスペクトラム拡散をかけ、)増幅後にパルスを圧縮することで、短波長かつ(本来その装置の内部構造が耐えられるよりも)高強度なレーザー光を得る

          ということかな。解説がないとこの文だけじゃ分からんな。

          • by Anonymous Coward

            レーザー光の強さの波と光子の波がごっちゃになってるだけな気ぃする…
            インパルスレーザにすると光の波もインパルスになって白色光になるの?ならんやろ的違和感というか。

            光子の振動数自体は使うレーザ光のそれで、
            レーザ光の強度変化の波を波としてアレコレする話・・・じゃないの?専門外でよく分からんけど。

            • by nemui4 (20313) on 2018年10月04日 7時29分 (#3491614) 日記

              もしかしたら元のレーザー光自体が短波長で、結果的に「短波長極短パルス高エネルギーレーザー光」を得られます、ってことかな。
              #好意的解釈

              親コメント
            • by Anonymous Coward

              超短パルス光は白色になるよ。
              これは「非常に局在化した構造」(パルス形状)を作るにはいろいろな波長の正弦波を足し合わせないといけないことと同一。
              もっとも極端な例で言うと、デルタ関数的な形状を作るには無限種類の波を足し合わせないといけないようなもの。
              なので、波長の決まったレーザーのごく一部を切り出して超短パルスにすると自動的に周波数はばらつく(元の光源になかった波長が無数に含まれる)し、逆にパルスを圧縮して短パルスにするためには元の光が非常に幅広い波長を含んでいる必要がある。

              • by Anonymous Coward

                > 超短パルス光は白色になるよ。
                ・・・なるんだ・・・光子の波レベルでインパルスになっちゃうのね。
                でもそうすると、含まれる「光の波長」は広帯域に散らばってるから「短波長」では無くなってしまうのでは?

              • by Anonymous Coward

                そう。だからおおもとの文は変なのよ。

              • by Anonymous Coward

                インパルスってどういう意味?力積じゃないんだよね?

              • by Anonymous Coward

                力積(英: impulse)って事自体知らなかったというか、Wikipediaとかでインパルス引いてもわかりやすく出てこないのを知らなかった…
                ディラックのデルタ関数 [wikipedia.org]とかインパルス関数とかインパルス信号って言う奴で、チャープとの関係は

        • by Anonymous Coward

          「短波長になる」んじゃなくて、短波長だと元々エネルギーが大きくて装置を壊しやすいのに、うまく増幅させる事ができるよ。って意味で言及してるんじゃないだろうか
          短波長なのに、ほら!こんなに高強度に!って

    • by Anonymous Coward

      きっとパルス幅を波長って書いてしまったんだろう

    • by Anonymous Coward

      短パルスにするとピーク強度が上がって高次高調波(短い波長)出しやすくはなる

  • by Anonymous Coward on 2018年10月04日 10時08分 (#3491705)
    光ピンセットで捕捉・操作できるのはマイクロメートルからナノメートルオーダーサイズの
    誘電体からなる微粒子であって、分子という表現は誤解を招き不適切であると思います。
    任意の単一分子を直接、光ピンセットで操作可能であるかのように誤解を招きます。

    >レーザー光による光学力で分子を動かすことが可能なことや、周囲よりも屈折率の高い分子が傾斜力でガウシアンビームの中央に引き寄せられることを示し


    操作対象を工夫することで単分子操作は可能ですが、それはあくまで単一分子をビーズなどと
    結合させ操作ハンドルとして、そのビーズを操作することで単一分子操作が可能になります。
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私は悩みをリストアップし始めたが、そのあまりの長さにいやけがさし、何も考えないことにした。-- Robert C. Pike

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