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テクノロジー

東京大学木曽観測所の新観測システム「トモエゴゼン」、本格稼働を開始 22

ストーリー by hylom
キヤノンの技術を投入 部門より

Anonymous Coward曰く、

東京大学大学院理学系研究科附属天文学教育研究センター木曽観測所が中心となって開発を進めてきた、105cmシュミット望遠鏡用の新観測装置「トモエゴゼン」が完成した。2019年10月より本格稼働を開始する(トモエゴゼンプロジェクトキヤノンの発表)。

84台のイメージセンサが並んでいるのはすごいですね。他の望遠鏡もこんな感じなのでしょうか。イメージセンサの間隔が広いように思えますが、縦横に視野をずらしながら6枚撮影して合成することで間を補完するようです(アストロアーツ)。

CCDのセンサでは隙間なく並べているものもあるようですが、CMOSのセンサに移行して高速撮影ができるようになったので技術的に無理の無いこの様な構造にしたのでしょうかね(天文月報の解説記事)。

本格稼動前に超新星の新発見に成功しているようで、今後が楽しみです。

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  • 10月25日、26日に三鷹・星と宇宙の日2019 [nao.ac.jp]があります。
    東大天文学教育研究センターの公開は例年通り土曜日だけだと思いますが
    トモエゴゼンのブースは毎年あるので研究者をつかまえて直接質問できます
    若手研究者による講演会もあるのでそこでも取り上げられるかも

  • by Anonymous Coward on 2019年10月03日 15時11分 (#3695694)

    2fpsの動画撮影が基本だそうですが、つまり露出時間は1/2秒以下…。
    長時間露光の方がいいんじゃないの? と思ったのだけど。

    流星やデブリといった高速移動天体は各画素上には数秒から数ミリ秒しか滞在しません.画素を通過後にも露光を続けると背景光によるフォトンノイズに埋もれていくため,微かな信号は消滅してしまいます.
    しかし,短時間で露光を切り上げて信号を読み出せばフォトンノイズへの埋没を防げます.
    もし,中性子星合体のようなコンパクトで高エネルギーの現象が数秒以下の時間スケールの閃光(フラッシュ)を生成していたとしても,これまでのCCDによる低速な探査では,信号が背景フォトンの海に沈むため捉えることはできません.

    露光時間が短いことが、何より重要なことらしい。
    技術の進歩で見える世界がガラッと変わる、っていうのは面白いね。
    木曽やパロマーなどのロートル(失礼)望遠鏡が復活してきてるのも興味深い。

    • Re:動画! (スコア:5, 興味深い)

      by Anonymous Coward on 2019年10月03日 15時47分 (#3695710)

      天文月報の記事がせっかく色々と書いているのに前提知識がないとわからない部分があるのでちょっとだけ補足します。

      重力波望遠鏡(KAGRAやLIGOなど)は指向性が皆無という問題があり、せっかく重力波を検知してもソースの位置を単独では特定出来ません。同時刻に観測していた可視光や電波望遠鏡の記録を取り寄せて、重力波を生んでもおかしくない大きな現象が見えたかどうか探すしかないのです。もちろん、他の望遠鏡は重力波の為だけに全天を睨んでいるほど暇ではなく、それぞれ別の研究で使われているので、重力波のソースがたまたま誰かに見られていることを祈るしかありません。

      この望遠鏡は、広域で高速に観測を行いデータを蓄積することで、重力波望遠鏡が照合を掛けられる記録の数を飛躍的に増やそうというものです。2015年まで実在が直接証明すら出来ていなかった重力波が、今や実用的な天文学のツールとして使われようとしているわけです。ワクワクします。

      親コメント
      • by Anonymous Coward on 2019年10月03日 15時56分 (#3695717)

        重力波望遠鏡は指向性は有るだろ?
        ほとんど盲点方向ではないって感じで複数の望遠鏡を組み合わせて判断しているって感じだと思ったが。
        構造が2次元だからだろうから根性居れて3次元構造にすればもっと方向がつかみやすくなるかも。
        まあ地表が90度違う方向の所のと組み合わせれば良いのだろうけど。

        親コメント
        • by Anonymous Coward

          重力波望遠鏡では1機だけでは指向性はありません。LIGOのように2機設置すると、検知の時間差を調べることで両機を結ぶ直線に対してどれくらいの角度で伝わってきたのかは辛うじて分かるようになります。3機(LIGOの2機とKAGRA)を組み合わせると、ようやく具体的な座標が分かってきます。しかしそれでも電磁波天文学の結果と比較しないとソースの特定は困難でしょう。

        • by Anonymous Coward

          つまり要約すると、指向性はない、ってことやろが。

    • by simon (1336) on 2019年10月03日 16時37分 (#3695742)

      ハワイのパンスターズ
      https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%... [wikipedia.org]
      みたいなもんかな?と思ったけどあっちは露光時間が30~60秒なので瞬間的な天文イベントには対応できないのか。これは利点ですね。

      パンスターズの稼働で小惑星や彗星の新発見者の何割かがパンスターズになってしまったそうなのですが、トモエゴゼンもソレに食い込めるかな?

      親コメント
  • by Anonymous Coward on 2019年10月03日 15時51分 (#3695715)

    うちのファイルサーバ30TBもないけど、フルバックアップしたら一晩どころか一週間かかるんですが…。

    • by Anonymous Coward

      1夜30Tバイトだから6TバイトHDD5台、1年で1825台かw
      政府が金出せ

      • by simon (1336) on 2019年10月03日 16時45分 (#3695751)

        1夜30Tバイトだから6TバイトHDD5台、1年で1825台かw

        撮影データ自体は一週間で捨てちゃうみたいだよ。

        トモエゴゼンカメラにより取得される30テラバイト/夜のデータは膨大なため全てを長期に保存できません。そのため取得から7日後に順次消去されます。トモエゴゼンの解析ソフトウエアは観測データが消される前に「魅力的な情報」のみを長期保存用のストレージへ退避させます。各研究者がオンサイトに持ち込む計算機は、この長期保存用ストレージ内のデータに対して再度、魅力的な情報をマイニングします。その中に目的の天文現象を得た場合は、追観測に繋げるために外部へアラートを出します。

        膨大な撮影データの中からソフトウェアで「位置が変わった・明るさが変わった天体」だけを抽出して新規天体のデータをマイニングするデータマイニング天文学ですね

        親コメント
        • 天文学の観測データで mining という用語が使われると、ちょっとクスっとしますね。
          データマイニングの流れなのでもちろん誤用ではないですが、もともとガイア側の用語で、ウラノス側とは対極なので…。

          # 「先生、天ばかり見てるから穴に落ちるダよ」
          # タレス「うっせーな、マイニングしてんだよ!」

          親コメント
          • by Anonymous Coward

            サイズや軌道が手頃でニッケルやイリジウムが期待できる小惑星をデータマイニングしてから、地球の砂漠にでも落として本当にマイニングする時代の幕開けですよ。

          • by Anonymous Coward

            つまりコスモス対カオスの最終戦争が起きると。
            いよいよ俺のギャラクティカ・マグナムの出番のようだ。

            # 聖闘士星矢とリングにかけろが分別できてません

            • by Anonymous Coward

              というか星矢と風小次の区別すらついてませんね?

      • by Anonymous Coward on 2019年10月03日 16時50分 (#3695756)

        ストレージは1PBで、選別前データは1週間で消去って書いてあるな。
        ていうかデータ処理のフローにある「3%のトキメキ」ってなんやねんw

        親コメント
        • by Anonymous Coward on 2019年10月03日 17時00分 (#3695761)

          東京大学木曽観測所トモエゴゼンの観測運用の開始について [u-tokyo.ac.jp]より

          観測システム
           トモエゴゼンカメラに搭載された高感度大画素CMOSセンサは常温下であっても低い暗電流と読み出しノイズを達成するため、トモエゴゼンカメラは一般的な天文用装置と異なり筐体とセンサを冷却する必要がありません。これによりトモエゴゼンカメラを大型化することが可能になりました(図11)。84個のセンサはシュミット望遠鏡の球面形状の焦点面に沿って高精度に配置されています(図12)。トモエゴゼンカメラは木曽観測所内に設置されたオンサイト計算機群に直結されており、機械学習モデルと最適化アルゴリズムを搭載したソフトウエアにより制御およびデータ解析されます(図13)。トモエゴゼンカメラにより取得される30テラバイト/夜のデータは膨大なため全てを長期に保存できません。そのため取得から7日後に順次消去されます。トモエゴゼンの解析ソフトウエアは観測データが消される前に「魅力的な情報」のみを長期保存用のストレージへ退避させます。各研究者がオンサイトに持ち込む計算機は、この長期保存用ストレージ内のデータに対して再度、魅力的な情報をマイニングします。その中に目的の天文現象を得た場合は、追観測に繋げるために外部へアラートを出します。東京大学柏キャンパスに建設が予定されているデータセンターと木曽広域情報センターの情報網を高速ネットワークで結ぶことで、迅速かつ円滑な情報発信を実現する計画です(図14)。トモエゴゼンは研究者の科学的ニーズを元に自動で観測手順を立案し実行するとともに、刻一刻と変化する気象状況や他望遠鏡による重力波などの突発現象の発見情報を考慮して、観測手順を自動で再最適化します(図15)。

          長期保存用のストレージへ退避させる「魅力的な情報」が「3%のトキメキ」なんでしょう。この情報で何が発見できるか、研究者はときめいているんでしょう。

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        • by Anonymous Coward on 2019年10月03日 19時48分 (#3695862)

          カグラ重力波望遠鏡→トモエゴゼン→3.8mせいめい望遠鏡、っていう流れも気になる。
          いつのまにこんな和だらけのネーミングになってたんだろう…。
          巴御前に安倍晴明ね。

          天文学者はロマンチストだからかもな…。

          親コメント
  • by Anonymous Coward on 2019年10月03日 16時09分 (#3695721)

    木曽超広視野高速CMOSカメラTomoe Gozenの開発の進捗報告 [u-tokyo.ac.jp]
    素人なので内容はよく理解できないが、これを見ただけでもなんかすごそう。
    # センサって接着シートで固定するんだね。でも、ちゃんと耐久試験して評価しているので問題ないのか。

  • by Anonymous Coward on 2019年10月04日 12時43分 (#3696180)

    自衛隊宇宙作戦隊がその技術を使うぞ。

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UNIXはシンプルである。必要なのはそのシンプルさを理解する素質だけである -- Dennis Ritchie

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