デンマークの研究グループ、振った缶ビールを開ける前に軽く叩くと噴き出しを防ぐことができるかどうかを1,000本以上の缶ビールで実験 93
噴出 部門より
ビールの液体には高圧で二酸化炭素が溶解しているが、開ける前の缶が衝撃を受けると缶の内側に触れた部分で二酸化炭素の気泡が発生する。この状態で缶を開けると圧力が低下して二酸化炭素が過飽和状態になるので気泡が急速に成長し、噴き出してしまう。缶を軽く叩くと噴き出しにくくなるという仮説は、缶を軽く叩けば缶の内側に付着した気泡がはがれて缶上部の空間へ移動するため、缶を開けても噴き出しにくくなる、という理論的な根拠を持つが、厳密な評価が行われたことはないとのこと。缶ビールを開けた時に吹きこぼれてしまえば消費可能な量が減少して経済的な損失が発生するうえ、周囲が汚れて社会的にも損失が発生するため、吹きこぼれないようにする方法は非常に重要だという。
研究ではカールスバーグから提供された330ml入りの缶ビール1,031本をランダムに4つのグループ(振らない+叩かない、振る+叩かない。振らない+叩く、振る+叩く)に振り分け、4℃に設定した冷蔵庫で一晩冷やしたものを使用している。振る方の2グループは3~4缶ずつ、440rpmに設定した機械実験用シェーカーUnimax 2000に2分間かけている。これにより、自転車で10分間運ぶという、デンマークで一般的なビールの運搬法を再現できたとのこと。次に別のチームが缶を拭いて重量を測定後に(叩くグループの缶は叩いてから)開け、こぼれた後の重量を測定する。叩くかどうかを指定するラベルは缶の横に貼られているが、振るかどうかの指定は缶底に貼られており、缶を開ける人には振ったかどうかがわからないようになっている。