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2020年11月23日のサイエンス記事一覧(全3件)
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月

NASA監察総監室曰く、2024年中に人類を再び月へ送るというアルテミス計画のスケジュールは非現実的 35

ストーリー by headless
現実 部門より
2024年に人類を再び月に送るという、NASAが掲げるアルテミス計画の目標に対し、NASA監察総監室(OIG)が現実的ではないとの見方を示している(報告書: PDFSlashGearの記事)。

アルテミス計画は、現在NASAが抱える困難な問題をまとめたOIGの報告書「2020 Report on NASA's Top Management and Performance Challenges」の1番目に挙げられている。報告書によれば、月や火星に到達するための有人探査能力の開発は現在NASAが進める最も野心的かつ費用のかかる活動だという。NASAはSLSロケットやOrion宇宙船などの開発を進めているが、計画は遅れている。

COVID-19パンデミックの影響で施設が閉鎖されるなどさらに計画は遅れ、費用はかさんでいるが、議会はNASAが要求した予算の半分以下しか認めていない。OIGでは2024年中に宇宙飛行士を月に着陸させることは困難だと考えているが、大幅な遅れを防ぎ、2030年代に火星へ到達するためには、安定した適時の資金調達に加え、大統領および議会、NASAの強く一貫した継続的なリーダーシップが必要だという。

NASAはその一環として、有人探査計画の長期的な実際の費用を判断すること、現実的なスケジュールを設定すること、システム要件とミッション計画を定義すること、国際的なパートナーシップを構築または強化すること、民間の宇宙技術を活用することが必要となる。OIGではこれらの問題でNASAが苦労するのを過去10年にわたって見てきたが、加速したアルテミス計画のタイムテーブルが難題をさらに悪化させるとみられるとのことだ。
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バイオテック

人間の採取が選択圧となり、目立ちにくい色に変わった植物 68

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迷彩 部門より
中国・横断山脈に自生するユリ科バイモ属のFritillaria delavayi(梭砂貝母)は人間の採取が選択圧となり、目立ちにくい色に変わっていったと考えられるそうだ(論文エクセター大学のニュース記事The Guardianの記事)。

バイモ属の植物は、鱗茎にアルカロイドを含むことから生薬として利用されるものも多い。日本薬局方ではアミガサユリ(Fritillaria verticillata)の鱗茎が「バイモ(貝母)」として収載されている。F. delavayiの鱗茎から作られる生薬「炉貝」は近年価格が上昇しており、採取圧が強まっているという。

中国科学院昆明植物研究所と英エクセター大学の研究チームが8地域で調査したところ、F. delavayiの葉の色は地域によって灰色~茶色~緑色と幅があり、採取が広く行われて採取圧が高い地域では背景となる現地の岩石の色に溶け込むような色になっていたそうだ。目立つ緑色の葉は採取圧の低い地域で見られ、土壌に大きな岩石が多いなど採取が困難な地域でも見られたとのこと。

草食動物に対する防御戦略として、数多くの植物が背景に溶け込むカモフラージュを行っていることは最近10年の間に確認されているが、調査を行った8地域に生息する草食動物は非常に少なく、アルカロイドを豊富に含むF. delavayiを草食動物が食べる可能性も低い。ただし、採取圧が選択圧となって色の変化を生んだことを確認するためには、草食動物の影響を確実に排除する必要がある。採取圧の低い環境による実験も長期的に価値のあるデータが得られる可能性があるとのことだ。
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火星

NASA、火星に向かうPerseverance搭載のマイクで録音した音声を公開 20

ストーリー by headless
録音 部門より
火星探査車Perseverance火星に向かう途中で録音した音声をNASAが公開している(JPL Newsの記事音声ファイル)。

NASAはこれまでに火星着陸機InSightが記録した火星の風音地震の音を公開しているが、これらはセンサーが捉えた振動を可聴周波数帯域に変換したものだった。これに対し、Perseveranceは音声用のマイクを2本搭載している。1本はDPA Microphones製のマイクで、火星の大気圏突入・降下・着陸(EDL)を記録するため、カメラとともに搭載されている。もう1本はレーザーで微量の岩石を昇華させて成分を分析するSuperCamに搭載されているマイクで、こちらはレーザーが岩石に当たった時の音を聞くことができるようにするためのものだ。

今回公開されたのは10月19日に機内でカメラ・マイクシステムのテストを行った際にEDLマイクが収音した60秒間の音声で、真空中であることから固体中を伝わる機械的な振動を記録したそうだ。音色的には振動し続けるシンバルのような感じだが、これは熱交換用の液体を循環させるポンプの音だという。DPAの解説によれば、EDLマイクは無指向性コンデンサーマイクDPA 4006で、プリアンプを内蔵するモジュラーアクティブケーブルMMP-GとデジタルオーディオインターフェイスMMA-Aを介してPerseveranceのコンピューターにUSB接続されているとのこと。

DPA 4006はプロ向けの製品ではあるが、楽器録音用であり、宇宙探査用に作られたものではない。そのため、実際の着陸時に録音が成功するのかどうかわからないそうだ。ただし、着陸時の音声はどうしても必要なものではなく、録音できなくてもジェゼロクレーターでの探査ミッションの成果を一切損なうことはない。それでも着陸シーケンスの一部だけでも録音でれば素晴らしい成果になるとのことだ。Perseveranceは2021年2月18日に火星の大気圏へ突入する予定だ。
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アレゲは一日にしてならず -- アレゲ研究家

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