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国際宇宙ステーション

ロシアの多目的実験モジュール ナウカ、国際宇宙ステーションにドッキング 12

ストーリー by headless
噴射 部門より
ロシアの国際宇宙ステーション (ISS) 多目的実験モジュール (MLM) ナウカが 7 月 29 日、ISS にドッキングした(NASA のニュース記事 [1][2]ロスコスモスのニュース記事 英語版 [1][2]ロシア語版)。

ナウカ が ISS ロシア側のサービスモジュール ズヴェズダにドッキングしたのは日本時間 7 月 29 日 22 時 29 分。空気漏れチェックの完了後、31 日 2 時 47 分にロスコスモスのオレグ・ノビツキー宇宙飛行士とピョートル・ドゥブロフ宇宙飛行士がハッチを開き、中に入った。

なお、地上の管制チームは 30 日 1 時 45 分、ナウカが予定外のスラスター噴射を行って ISS の向きが変わったことに気付く。ロスコスモスによれば、短時間のソフトウェア不具合により誤った噴射コマンドが送信されたといい、すぐにズヴェズダの推進システムで修正が行われた。管制は既に高度制御を取り戻しており、ISS の動きは安定しているという。これによりクルーが危険にさらされたことは一切ないとのこと。

一方、31 日打ち上げ予定だった Boeing CST-100 Starliner の Orbital Flight Test-2 (OFT-2)ミッションは延期された。これにより、ISS クルーはナウカの確認作業をさらに進めることができ、Starliner を確実に迎えることが可能になる。

Starliner は ISS クルー輸送に向けて開発中の宇宙船で、OFT-2 は 2 回目の無人テストフライトとなる。現時点で打ち上げは 4 日 2 時 20 分、ドッキングは 5 日 2 時 37 分が予定されている。1 回目の無人テストフライトでは予定軌道に到達しなかったが、今回は成功するだろうか。
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  • そうでもないような。

    Naukaは80年代末に建造が始まったZaryaの予備機で、現在はZaryaの後ろにつくZvezdaに下から刺さることになっています。当日はISS全体を後転させてドッキング予定地が軌道の前後方向に向くようにし、Naukaがそこに1アプローチする手順でした。ドッキングはソ連驚異のKurs自動ドッキングシステム2で実施されています。実況ではTORU手動遠隔制御システムに切り替えているという発言がありましたが、その後の情報によればTORUは使用されていません3。接近中に一度おかしな機動をしたこと以外は不気味なほど予定通りドッキングまでは成功しているのですが、各種報道によれば、キャプチャが完了した後に地上から既存システムとのインテグレーション作業を行っていたところ、突然Naukaが姿勢変更を試み、一時は主にX軸とY軸周りと多少のZ軸周りに最大0.5度/秒の回転が発生したようです。

    これに対して、初めはZaryaのスラスターで抑える操作が行われましたが、ちょうどZvezdaのNaukaと逆側に使い捨てのProgress貨物船がドッキングしていることから、こちらで相殺する運用に切り替わったようです。最終的にロシア側から米側への連絡の又聞きとして「誤噴射が発生しないよう遠隔で対策を施した」とか「燃料を投棄する運用を行った」という話が出ていますがどうもしばらく格闘してNaukaの燃料が空になってくれたことをそう言っているようだという話も出ています。

    ISSは運用として人が滞在する時は必ず帰還用の宇宙船と全員分以上の座席を確保することになっていて、今はそれぞれのDragonかSoyuzに駆け込めばとりあえずどこかには落ちられるようになっています。また、今回は全員が帰還用の簡易宇宙服を着て、宇宙船は飛行可能な状態で待機させたままドッキングを行ったと報じられています。最低限生きて帰ることはできる状態ではあったと言え、そういう意味ではNASAの表向き言っている「乗員の安全にはいささかの支障もなかった」的な表現は嘘ではないのですが、少し塩気を加えて食べてみてもよい気がしないでもありません。

    1: 前側から?
    2: どのバージョンか不明だが明らかにKurs-NAではない
    3: 恐らくKursが暴走した時に剥がす準備をしていた

    • by Anonymous Coward

      ISSが「ひとみ [wikipedia.org]」みたいになったら洒落にならない

      • by Anonymous Coward

        このニュース聞いて真っ先に思い出すのはその事故だよなぁ……

        ISS全体の制御じゃなくて一部分の制御がおかしいだけで、
        ISS自体も大きいから吸収できる異常はかなり違うのだけど、
        かなり怖い事故である事に変わりはない。
        このモジュールの打ち上げ、エンジン付かなかったり勝手に吹いたりと
        めっちゃ危なっかしいんだけどなんでこうなったんだろう。

        • 原設計は80年代の軍用宇宙ステーション補給機に遡り、7割がた完成したところで90年代末に放棄、2004年に科学実験室として再利用が決定、昨年ごろから一部パーツの保守契約が切れることから準備作業が早まり、新型コロナウイルスで延期、なんとかドッキング(…して瑕疵担保期間延長に漕ぎ付けた?)というちょっぴり呪われた機体なのです。

          # 本来はステーションではなく貨物補給機というあたりソ連はスケールがでかい

          親コメント
  • by Anonymous Coward on 2021年07月31日 18時46分 (#4081729)

    ナウカ内蔵のスラスター燃料を全部使い切るほどの噴射をし(しかもリークチェックとかやってる最中に)
    ズベズダのスラスターだけでは相殺しきれず
    ISSの姿勢維持用ジャイロを止めてISSが空中分解しないように制御(フリードリフト状態へ移行)し
    その間に2度ほど地上との通信断が発生して
    最終的には丁度結合してたプログレスを使ってISSの回転と傾斜を修正した
    ちなみに結合してたクルードラゴンは緊急脱出に備えて電源が入れられたしNASA側は緊急事態を宣言した

    こんだけの事やらかしたのに「ズベズダでどうにかした」とか「クルーに危険はなかった」とか言われてもねぇ

    • by Anonymous Coward

      >>ISSの姿勢維持用ジャイロを止めてISSが空中分解しないように制御(フリードリフト状態へ移行)し~

      いや、まあ、これは大事故じゃないですか
      X線天文衛星「ひとみ」みたいにならなくて良かったと言わねば

  • by Anonymous Coward on 2021年07月31日 16時35分 (#4081644)

    胆を冷やす出来事だったには違いない
    リカバリできてよかった
    # 最悪の場合、グルングルン回転している本体から脱出できるのだろうか

    • by Anonymous Coward

      制御ソフトの設定ミスで高速スピンした結果あっという間に分解しちゃった人工衛星があるので、
      ミスの内容次第では対処する間もなくバラバラになってしまいそう。

    • by Anonymous Coward

      まあ打ち上げ時にトラブってたんだから、ドッキングした時点で一度電源落として完全にチェックした方が良かったんじゃ?とか思うけどな。
      あの高度のISSでこのキャパは勿体なくて使うしかないだろうけども。

  • by Anonymous Coward on 2021年08月01日 9時17分 (#4082027)

    とどこかで読んだが、違ったのかな

    • by Anonymous Coward

      Naukaは打ち上げは昔に決まったから約束通りやるものも、脱退後は切り離してロシア独自宇宙ステーションで再利用する、とかいう話だったんですけど、今回のいろいろドタバタで再利用の目は無くなったかも。というかメインエンジンちゃんと動くかも怪しいし、このままただの箱として使わないと危なそうだわ。

    • by Anonymous Coward

      事故を装ったアレの可能性が・・・!?おそロシア

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