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2022年6月30日のサイエンス記事一覧(全3件)
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月

NASA の小型人工衛星 CAPSTONE、月へ向かう 5

ストーリー by nagazou
月へ 部門より
headless 曰く、

Rocket Lab は 6 月 28 日、Electron ロケットによる NASA の CAPSTONE 打ち上げミッションを実施した (NASA のブログ記事Rocket Lab のミッション情報The Verge の記事The Register の記事)。

CAPSTONE (Cislunar Autonomous Positioning System Technology Operations and Navigation Experiment) は電子レンジほどの大きさの小型人工衛星 (CubeSat) で、月の近直線ハロー軌道 (NRHO) の安定性が NASA の計算通りかを確認するのが主目的だ。NRHO は人類を再び月に送るアルテミス計画で Gateway 宇宙ステーションの投入を計画している軌道で、CAPSTONE はそのパスファインダーミッションとなる。CAPSTONE は 4 か月かけて NRHO へ向かい、少なくとも 6 か月はミッションを継続する。

ニュージーランド・マヒア半島の Rocket Lab 打ち上げ施設で Electron ロケットが打ち上げられたのは日本時間 28 日 18 時 55 分。CAPSTONE を積んだ Lunar Photon 宇宙機は地球低軌道から今後 6 日間かけて断続的な噴射で加速していき、月に向けて CAPSTONE を分離する。高さ 59 フィート (約 18 m) の Electron ロケットは、月を目指して打ち上げられた史上最小のロケットになるとのことだ。

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テクノロジー

理研など4機関のチーム、4個の中性子だけでできた原子核を観測 64

ストーリー by nagazou
絵本的 部門より
あるAnonymous Coward 曰く、

理化学研究所、ダルムシュタット工科大学、東京大学大学院理学系研究科、東京工業大学の共同研究チームが4つの中性子からなる原子核「テトラ中性子核」の観測に成功し、陽子を含まない複数個の中性子が原子核(いわば原子番号ゼロの原子核)を構成して存在できる新たな証拠を得た。
なお、本研究は、科学雑誌『Nature』オンライン版(6月22日付:日本時間6月23日)に掲載されている。
(プレスリリース)

今回はヘリウム8を生成し、それからヘリウム4を瞬間的に抜き取る手法がとられた。プレスリリースではこれをテーブルクロス(ヘリウム4)の上に乗った4個のワイングラス(今回観測されたテトラ中性子)を壊すことなく、テーブルクロスを引き抜く様子に例えている。(とても分かりやすい図)

中性子は単独では15分で崩壊し、2個の中性子も単独では存在できないことが分かっており、3個以上の中性子だけでできた原子核が存在できるのかと問は物理学上の問題となっていた。
一方で宇宙には中性子を主成分とするとされる中性子星が存在するが、その構造の理解には複数の中性子間の力や相互作用を知ることが重要と考えられている。
今回の観測により、ここ20年余り重要性が指摘されている三体核力、そして中性子星の内部構造や形成過程の研究が発展するものと期待される。

どうでもいいが、プレスリリースに使われている他の絵は普通の論文に使われるような図であるが、なぜテーブルクロスを引き抜く概念の図だけ雰囲気が大きく違うのを掲載したのはなぜ?
味があっていいんですが。

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サイエンス

東北大学などの研究グループ、独自の開発指針による反強磁性的ハーフメタルの合成に成功 16

ストーリー by nagazou
合成成功 部門より
headless 曰く、

東北大学などの研究グループが独自の物質開発指針を基に、ハーフメタルの完全補償型フェリ磁性体 (HM-FCFM) を合成することに成功したそうだ (東北大学のプレスリリースJAMSTEC のプレスリリース論文)。

同じ大きさの磁気モーメントが交互かつ反平行に配列し、全体として磁化の生じない磁性体が反強磁性体だ。ただし、文字通りの反強磁性体は金属と絶縁体 (半導体) の両方の電子状態を併せ持つ磁性体であるハーフメタルとはスピン状態が異なる。一方、HM-FCFM は十分な低温下で反強磁性的な特徴を示しつつ、温度が上昇すると小さな磁化を示すようになる。HM-FCFM は長年探索が行われてきたが、これまでに確認されたのは 2 例のみだった。

今回、研究グループでは「遷移金属元素の荷電子数を合計で 10 にする」という独自の開発指針を基に、鉄・クロム・硫黄からなる化合物を合成した。この物質は低温で完全に磁化を消失する一方、250~325 K では強磁性的な特徴を示すようになり、300 K で保磁力は最大の 3.8T に達する。優れた特性を示す反強磁性的ハーフメタル物質の合成に成功したことで、これを利用した超高機能な電子デバイスの実現が期待されるほか、開発指針の信ぴょう性が実証されたことで、今後の物質探索・開発が高効率化することが期待されるとのことだ。

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