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テクノロジー

ダイキン、磁気熱量効果を利用した空調機が可能か2024年中に判断 29

ストーリー by nagazou
難易度高そう 部門より
産経新聞の記事によれば、ダイキン工業は環境負荷の低い冷暖房技術の開発を目的に、磁力によって温度を変化させる「磁気熱量効果」を活用した技術開発を進めているそうだ。この技術は磁石を近づけると発熱し、遠ざけると温度が下がる「磁性体」と呼ばれる物質の性質を活用するもの。温度変化によって生じた熱や冷気を水に伝えて運ぶことで冷蔵や冷凍、冷暖房に活用できるらしい。同社は2024年には、この技術をエアコンなどの空調機に利用できるかどうか判断するとしている。実用化が可能と判断されれば、2030年にも実用化したい考えだとしている(産経新聞
この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by Anonymous Coward on 2023年01月30日 15時25分 (#4402343)

    既存のヒートポンプはコンプレッサーの低周波騒音が問題になる場合がありますが、
    磁気ヒートポンプはコンプレッサー無いので、その点は期待したい。
    # 循環ポンプはあるし、磁気熱量材料を動かすので、別の音がするかもしれないが

    • by Anonymous Coward

      >磁気熱量材料を動かすので、別の音がするかもしれないが
      どっかの電車みたいに「ドレミファソラシド~」って音がするかも

      • by Anonymous Coward

        各家庭で奏でられる音が響き合う街…

    • by Anonymous Coward

      エアコンの騒音の大部分は、交換した熱量を外気に捨てるためのヒートシンクとファンの部分だよね。

      • by Anonymous Coward

        コンプレッサーの音も大分あると思う。
        低周波だから響いて五月蠅い。

  • by Anonymous Coward on 2023年01月30日 14時54分 (#4402327)

    磁気冷却、磁気ヒートポンプ

    • by ogino (1668) on 2023年01月30日 16時02分 (#4402368) 日記

      ちょっと検索してみましたが、 磁気熱量効果 AMR あたりの方が良い気がします。

      東芝:フロンレスを実現する 磁気冷凍技術 [www.global.toshiba]など。

      図 1.磁気熱量効果の模式図

      磁場がないときは,磁性を担う電子スピンはランダムな向きの状態をとることができるため,電子スピン系のエントロピーは大きく,磁場が印加されると,電子スピンは磁場の方向にそろった状態しかとれないため,エントロピーが小さくなります。このとき,エネルギーを格子系に与えるため,格子振動が激しくなって磁性体の温度は上昇します。

      電子スピンの状態変化は,規則正しく結晶化した氷が,周囲から熱を吸収して,ランダムな運動自由度のある水に変化することと,よく似た現象です。

      (改行は引用者が挿入)

      磁性体に磁場があるとき・無い時と、個体・液体が似ているというのは「へぇ」ボタンを押したくなりました。

      親コメント
    • by Anonymous Coward

      これって今は-250度以下の極低温状態で素材をさらに冷やすのに使ってるヤツだよね

      常温でもコストがペイするなら使ってたはずでは

      • Re:検索キー (スコア:5, 参考になる)

        by phason (22006) <mail@molecularscience.jp> on 2023年01月30日 17時16分 (#4402418) 日記
        >これって今は-250度以下の極低温状態で素材をさらに冷やすのに使ってるヤツだよね

        根本的な原理は同じですが,使う物質(というかスピン源というか)が違います.

        極低温での断熱消磁では,スピン間にほとんど相互作用の無い核スピンなどが使われます.
        極低温で使える自由度が少ないなか,極低温でも動くものということで核スピンが便利なのですが,個々のスピン源のもつ磁化が小さいためそろえるためには大きな磁場が必要になります.
        なので,
          極低温から,さらに極度に低い温度を目指せる
          装置は大掛かり(超伝導マグネット使用)
        という感じの冷却手段です.

        今回の例のようなものは,この断熱消磁(と同じような原理)を室温からの冷却に使おうというものですが,そのまま核スピンの磁化を使うわけにはいきません.
        というのも,温度が上がると熱によるスピンの揺らぎの影響が非常に大きくなるので,それに打ち勝ってスピンを揃えるためにはものすごく強い磁場が必要になるためです.
        ではどうするかというと,良く用いられるのが「強磁性転移温度近傍の強磁性体」(等)になります.

        この場合,使用するのは原子中の電子のスピンであり,もともとの磁化が核スピンに比べ桁違いに大きくなります.
        (スピンはまあ回転に関係した量なので,重いものほど回転がゆっくりになる関係で磁化の大きさはざっくり重さ分の一になります.陽子は電子の1840倍ぐらい重いので,その分だけ磁化が小さくなります)
        さらに希土類元素のf電子など,不対電子を多く持つ(&軌道角運動量も大きい)原子を用いることで,1原子当たりの磁化を格段に大きくします.

        ただこれだけではまだ室温&普通の強さの磁場で使うには弱いので,もう一つ「原子の持つ磁気モーメント間の相互作用」を利用します.
        強磁性体では,隣り合うスピン間に同じ向きを向けようとする相互作用が働きます.磁気転移温度よりも低い温度(=その物質が磁石になっている温度)だと何もしなくてもスピンが同じ向きに揃ってしまうわけですが,磁気冷凍ではあえて磁気転移温度よりも少しだけ上の温度で使用します.
        この状態では,「スピン同士を同じ向きに向けようとする相互作用よりも,熱による擾乱が微妙に勝っている状態」ですので,磁場が無ければスピンの向きはバラバラです.
        しかしここに少しの磁場が加わると,「磁場でスピンが同じ向きに向こうとする効果 + スピン同士を同じ向きにそろえようとする強磁性相互作用」が温度に拮抗(とか,温度に勝り始めたり)するため,ちょっとの磁場でスピンをドカッとそろえることが可能になります.
        これを使うと,室温付近でも十分な冷却が可能になることが知られています.

        ただし,この手法が最大の効果を発揮するのは「運転時の磁性体の温度が,強磁性転移温度より微妙に高い状態」に限られますので,広い温度範囲を一つの物質でカバーすることは難しくなります(温度が変わると,冷却効率がガクッと落ちる).
        このため,ちょっとずつ組成を変えて転移温度の違う物質を積層したり,多段の冷却サイクルにして各段=動作温度の違う部分ごとに最適化した転移温度の磁性体を配置する,などの工夫が必要になります.

        なのでこちらの装置は,
          超伝導マグネット不要でコンパクトなものも可能
          ただし冷却能力を上げるには,動作温度に合わせた磁性体等の開発が不可欠
        という感じになります.

        ここ2~30年ぐらいは結構各社いろいろ研究して,徐々に性能が上がってきているイメージ.
        (中部電力とか三菱とか東芝もここ数年でいろいろ発表していた覚えが)
        親コメント
        • by Anonymous Coward

          最近流行ってたネッククーラーの凝固点を圧力とかでコントロールすれば同じような事が出来たりするのかな

      • by Anonymous Coward

        逆に、極低温ではそれしかないから磁気冷却を使っていた。
        常温ではとりあえず冷媒方式が使われていたので、その方式が常温で使えるかどうか
        真剣には検討されていないので、検証中・・・・って感じなのかな。

  • by Anonymous Coward on 2023年01月30日 14時58分 (#4402328)

    次期冷却システムの導入時期をじきじきに判断するわけですね

    • by Anonymous Coward

      直に導入されることでしょう

  • by Anonymous Coward on 2023年01月30日 15時08分 (#4402333)

    新方式の冷凍庫用冷媒システムが開発される
    https://science.srad.jp/story/23/01/17/1415218/ [science.srad.jp]

    これも循環する水自体が吸熱/発熱するわけではないよな。

    • by Anonymous Coward

      そうですね、吸熱/発熱とするのは固体の磁性体なので
      デシカント方式の除湿器みたいに円盤状に配置して回転させて使うようです。

      同一筐体内で放熱する冷蔵庫やウインドウエアコンならそれでよいのですが、
      セパレート式のエアコンの場合は室内機-室外機間の熱の輸送に水を循環させるようです。

      結局、室内機-室外機間には電力線、冷却水の往復で2本のパイプ、ドレン排出用ホース、物によっては換気用のパイプを通すことになるので、見た目としては現在のエアコンと大差無さそうですね

  • by Anonymous Coward on 2023年01月30日 15時16分 (#4402336)

    いったい、どんな物質なんだろう。
    それとも、ただの磁性体?

  • by Anonymous Coward on 2023年01月30日 15時16分 (#4402337)

    「磁性体」と呼ばれる物質、って表現良いなぁ。
    聞いたことの無い不思議なワードだ! そこに何か特殊なすごい秘密が隠されているに違いない! とか思っちゃったんだろうなぁ。

    • by Anonymous Coward

      一般人なら聞いたことの無い不思議なワードでしょう。

      • by Anonymous Coward

        カセットテープの時代にはアピールポイントにもなってたのにね

        • by Anonymous Coward

          パーマロイとかFeCrとかアモルファスとか、
          カセットテープ、デッキで知ったなぁ

      • by Anonymous Coward

        電気を流すと磁気が発生するのはなんで(小並感)

      • by Anonymous Coward

        小中学校ぐらいで出てこないかな?
        次のあれこれを、磁石に付かないもの/付くもの/磁石になるものに分類しましょう、みたいな試験問題はあったような気がするけど、そういう表現で最後まで通すんだっけ?

        • by Anonymous Coward

          そういうご時世なんだろうね

    • by Anonymous Coward

      > 聞いたことの無い不思議なワード

      テープやフロッピー世代のおっさんにとっては普通の用語なので、「磁性体と呼ばれる物質」とか書かれても戸惑いしかない。
      「超磁性体」とかなら雰囲気を感じるんだけど...

  • by Anonymous Coward on 2023年01月30日 15時52分 (#4402357)
    なぜ太陽コロナが100万度にもなるのか…
  • by Anonymous Coward on 2023年01月30日 17時29分 (#4402431)

    > 磁力を活用すれば冷媒を使う必要がなく、ダイキンの担当者は「空調機に使えると判断した場合は、磁石の小型化や生産方法の確立を急ぐ」と意気込む

    > 磁性体の温度変化によって生じた熱や冷気を水に伝えて運ぶことで冷蔵や冷凍、冷暖房に活用

    記事を読む限り冷媒は水では?
    よくわからん。

    ・家庭用エアコンで水冷媒って工事が大変そう
    ・置き場所は制限されそう

    高出力が出るなら給湯器には良さそうだけど

    • by Anonymous Coward

      ここでの水は、普通のエアコンで言えば空気にあたり、熱を伝えるもの。普通のエアコンの冷媒は、フロンガスとか代替フロンガスのこと。

      • by Anonymous Coward

        普通のエアコンは冷媒自体の圧縮/膨張により熱を冷媒とやりとりします。
        磁気熱量効果では磁気を使って熱を冷媒とやりとりします。

        • by Anonymous Coward

          セントラル空調で冷媒が水の冷水やお湯なタイプがあるから、
          その大本の冷凍機や熱源が蒸気圧縮冷凍機(良く有るエアコン方式)とか吸収式冷凍機(ガスエアコン)に、磁気冷却冷凍機(今回のストーリーの)が追加になると考えれば良さそう。

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