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2023年3月のサイエンス人気記事トップ10
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JAXA

H3ロケット試験機1号機、第2段エンジンに点火せず打ち上げ失敗 194

ストーリー by nagazou
残念 部門より
AC0x01 曰く、

先日の打ち上げ中止を経て、改めて3月7日午前10時37分に打ち上げられたH3ロケット試験機1号機だが、第1段は順調に飛行を続けたものの、第2段分離後にエンジンが点火せず、打ち上げに失敗した(NHK)。

JAXAの打ち上げ実況では、第2段分離後に第2段エンジン点火のお知らせがなく、速度も上がらなくなったことから、困惑のコメントが溢れていたが、点火しなかった模様である。その後に指令破壊の信号が送られ、ロケットは破壊されたとのこと。新開発のLE-9エンジンを搭載した第1段ではなく、第2段のトラブルというのは意外ではある。

今回の機体は試験機であったが、コスト削減のためにダミーペイロードではなく、280億円をかけて開発した地球観測衛星「だいち3号」を搭載してしまったため、試験機だから仕方ないとも言えない事態である。HII-Aの生産が終わっていることもあり、日本の宇宙開発に大きな影響を与えそうである。

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EU

35年ICE車販売禁止に暗雲。独伊などが反対方針 129

ストーリー by nagazou
電動ゴールポスト 部門より
欧州連合(EU)では2035年までに域内で販売される乗用車および小型商用車の新車を全てゼロエミッション車(ZEV)とする法案を進めている(過去記事)。これに対してドイツとイタリアが2月28日、現行案のままでは支持しない意向を明らかにした。これ以外にもポーランドとブルガリアも反対姿勢を示しており、法案成立が難しくなってきているという(NNA EUROPEWSJ)。

ドイツ政府は完全な電気自動車(EV)に加えて、ガソリンやディーゼルのように燃焼しながらも環境に影響を及ぼす排出が少ない、いわゆる合成燃料も認められなければ計画に反対するとしている。EU域内の製造業就業者の12%に相当する340万人を雇用する自動車業界の一部では、合成燃料も計画に含めることで内燃エンジンからの移行を数十年にわたって引き延ばすことができるという考えが出ているようだ。

イタリア環境省もこうした環境保護に向けた目標について、雇用や製造に影響しない形で追求すべきと主張している模様。
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JAXA

H3 ロケット 1 号機、エンジン不着火の原因は搭載機器の過電流か 75

ストーリー by headless
電流 部門より
AC0x01 曰く、

JAXA は 16 日、2 段目エンジンが着火せず打ち上げ失敗に終わった H3 ロケット試験機 1 号機について、これまでの調査結果を宇宙開発利用に係る調査・安全有識者会合で報告した (NHK ニュースの記事朝日新聞デジタルの記事 科学ライター大貫剛氏による会合の文字起こしツイート)。

報告によれば搭載機器の過電流検知により電気系統が遮断されて着火しなかった可能性が高いという。確認された事象としては「V-CON2 (飛行制御コンピューター)からECB(エンジン制御コンピューター)に点火指示が送られた直後、A系B系ともに自己診断プログラムが電源の電圧・電柱異常を検知。その後、エンジンバルブが作動せず、着火に失敗」というものだという。ただし、実際に過電流が流れたのか、それとも誤検知かといった点については現時点では分かっていない。

今回問題が起きた ECB 以下の電気機器は H-IIA ロケットと同等であり、H-IIA に問題が波及する可能性が懸念されている。一方で自己診断機能が搭載されたのは H3 ロケットからということで、科学ライターの大貫剛氏は、今までも起きていた過渡的な現象を自己診断プログラムが異常と判断した可能性を指摘し、冗長系の両方を同時に切ってしまう仕組みに疑問を呈している。

V-CON2A/2B が 2 段推進系コントローラ (PSC2) 経由で 2 段エンジンのコントロールボックス (ECB) へ着火信号 (SEIG) を出力し、ECB が SEIG を受信するまでは正常だったが、直後に A 系・B 系ともにエンジン駆動電源の異常を検知したため、下流機器への電源供給を遮断。同時にニューマティックパッケージ (PNP) へ供給する駆動電圧が A 系・B 系ともに下降したという。

両系統のエンジン駆動電源でほぼ同時に異常を検知するケースとしては、PSC2 による過電流の誤検知や、下流機器の正常動作範囲での過大な消費電流、下流機器の短絡等による過電流といった可能性があり、確認するための試験を実施中とのことだ (有識者会合資料1: PDF)。

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医療

時間当たりのブルーライト照射量、7割以上がスマホ・パソコンのほうが太陽光が強いと誤解 89

ストーリー by nagazou
そういうイメージ付いてる 部門より
第一三共ヘルスケアが実施したブルーライトによる肌への影響に関する意識調査によると、7割以上が「スマホ・パソコンのブルーライト照射量が太陽光よりも強い」と誤解していることが判明したという(第一三共ヘルスケアリリース調査の詳細[PDF])。

調査によると、ブルーライトから連想するものは「スマホ・パソコンなどのデジタル機器」が89.3%と大多数を占めた。その一方で「太陽光」を連想した人はわずか3.8%しかいなかったという。ブルーライトの影響が最も大きいものとしては「太陽光」と回答をした人はわずか2.8%しかおらず約9割が「スマホ・パソコン」と回答したとしている。

ブルーライトによる影響としては「視力」が73.3%を示した。肌への影響を連想する人は1割程度しかいなかったという。同社はブルーライトの影響を正しく理解して、ブルーライトによる肌への影響へも配慮するよう警告している。
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バイオテック

ベートーベン鉛中毒説の根拠となっていた遺髪、女性の髪の毛だった 37

ストーリー by headless
遺髪 部門より
英ケンブリッジ大学やドイツ・テュービンゲン大学などの研究グループがベートーベンの遺髪に対する全ゲノムシーケンシングを実行し、彼の作曲家・演奏家としての活動に大きな影響を与えた健康問題について遺伝性・感染性の原因を分析している (論文Ars Technica の記事)。

音楽史上最も重要な作曲家の一人であるベートーベンは進行性の難聴や慢性の胃腸炎に苦しみ、最後は肝硬変で亡くなった。死の翌日 1827 年 3 月 27 日に発見された 2 人の弟あての手紙 (ハイリゲンシュタットの遺書) では病状を記録して公表するよう要望しており、指名された医師はベートーベンよりも 18 年早く亡くなっていたが、病因を調べる研究は長年にわたり行われている。

今回の研究ではベートーベンのものとされる 8 つの毛束から採取した毛髪のサンプルを調査。まず 8 サンプルに対し浅いショットガンシーケンシングを実行した結果、5 サンプルが欧州系男性の同一人物 (または一卵性双生児) のものであることが確認された。研究グループではこれら 5 サンプルを本物と仮定し、最も状態の良いサンプルで全ゲノムシーケンシングを実施した。

難聴や胃腸の問題について遺伝学的説明はできなかったものの、少なくとも死の数か月前には B 型肝炎ウイルスに感染していたことが判明した。これは記録されているベートーベンの酒量と合わせ、深刻な肝臓病になったことの説明になるという。また、現代に生きるベートーベンの甥の子孫のゲノムシーケンシングも実施しており、Y 染色体の分析結果からベートーベンの直接の父系で夫妻とは別の父親が存在したことが判明している。

あとの 3 サンプルのうち 2 サンプルは一致した 5 サンプルに近い DNA 損傷レベルだったが、1 つは女性のものだったという。もう 1 つは欧州男性のものだが 2012 年以前の来歴が不明なため本物ではないと結論付けられ、最後の 1 つはDNA保存状態が悪く評価対象外となった。

なお、女性の髪の毛であることが判明した毛束のサンプルたびたび研究対象となっている。過去の研究では高濃度の鉛が検出されており、ベートーベンが鉛の溶け込んだ甘いワインを好んだことで鉛中毒になり、難聴の原因になったという説の根拠となっていた。また、梅毒治療に用いられた水銀が検出されなかったことから、梅毒が難聴の原因となったという説を否定する根拠にもなったほか、死の直前に苦しみを和らげるためにアヘン剤が処方されたという説を否定する根拠にもなっていた。毛束を巡る物語映像化もされているが、ベートーベンとは無関係だったことになる。
16522603 story
バイオテック

警視庁、東京工業大学から違法に流出した遺伝子組み換えメダカの大規模流通を摘発 65

ストーリー by nagazou
摘発 部門より
あるAnonymous Coward 曰く、

朝日新聞の記事によると、警視庁は、遺伝子組み換えした赤いメダカを違法に飼育する等の容疑で、メダカ販売店経営者の男(67)と、観賞魚愛好家の男4人(61〜72)を遺伝子組み換え生物使用規制法違反で逮捕したそうだ。同法違反容疑での逮捕者は初めてだそうだ。

これらのメダカは、東京工業大学の研究所で飼育していた遺伝子組み換えメダカの卵を、2009年に当時の男子学生が違法に持ち出し、繁殖させたものらしい。その後、個人間の取り引きや展示会を通じて約50人に流通したようだ。この男子学生や流通に関与した男女3人も書類送検され、文部科学省は東工大を厳重注意したそうだ。

別のタレコミと合体 あるAnonymous Coward 曰く、

書類送検された男性が、2009年に東京工業大に保管されていた卵を持ち出し→知人に譲って拡散→逮捕された5名が育成して販売、という経緯だという。なお、容疑者のうち一人は、警視庁の捜査が迫ったことを察知して、遺伝子組み換えメダカを用水路に廃棄したという。この手の事件としてトップクラスにヤバい話に見える(産経新聞毎日新聞FNNプライムオンライン)。

16529388 story
医療

永久凍土に眠るウイルス蘇生に成功。次のパンデミックは永久凍土から始まるかも 56

ストーリー by nagazou
マンモスだー 部門より
フランス・ロシア・ドイツの研究チームは、北極圏にある4万8500年前の永久凍土からウイルスを分離し、蘇生することに成功したという。永久凍土は地球温暖化の影響で急速に減少している。この結果、氷の中に眠っていたこうしたゾンビウイルスや細菌が復活することなどが危惧されている。永久凍土における生きたウイルスの研究では、2014年のピソウイルスと2015年のモリウイルスに関するもの以降は報告されていなかったという。そんな中、今年の2月にフランスの研究者ジャン=ミシェル・クラヴェリー氏らのチームは、永久凍土に眠るマンモスの毛皮の中からいくつかの古代のウイルスを分離して復活させることに成功したと発表した(MDPIEuronewsCNNGIGAZINE)。

今回見つかった13種の新しいウイルスのうち7種はパンドラウイルス属だった。この中で最古のものは永久凍土の深部で4万8500年もの間眠っていたパンドラウイルス・イェドマで、このウイルスは永久凍土から復活した後も感染力を保っていたとされる。今回の調査では、研究チームは安全のために単細胞生物のアメーバに感染するウイルスだけを選んで復活させたとしている。アメーバウイルスが生存しているのであれば、他のウイルスも感染能力を保持しているだろうとの推論からこうした調査方法を取ったとしている。
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JAXA

JAXA、H3 ロケット試験機 1 号機の打ち上げスケジュールを 7 日に再設定 48

ストーリー by headless
対策 部門より
JAXA は 4 日、H3 ロケット試験機 1 号機の打ち上げスケジュールを 7 日に再設定したと発表した (プレスリリース)。

2 月 17 日に予定されていた打ち上げはロケットの自動カウントダウンシーケンス中に異常が検知されて中止となった。JAXA は 3 日、「機体と地上設備の電気的離脱時に発生する通信・電源ラインの過渡的な電位変動の影響により1段機体制御コントローラが誤動作したものと考えられる」との調査結果を発表し、必要な対策処置を完了する見通しが得られたとして打ち上げスケジュールを 6 日に再設定していたが、当日の気象条件が整わないことが予想されるため 7 日に再設定したとのこと。

現時点での打ち上げ時間帯は日本時間 3 月 7 日 10 時 37 分 55 秒 ~ 10 時 44 分 15 秒、3 月 8 日 ~ 10 日に予備期間が設定されている。7 日の打ち上げ可否については今後の気候状況を踏まえて再度判断するとのこと。

これについて あるAnonymous Coward 曰く、

電気的離脱 (電源ラインの遮断?) 時に発生した過渡的な電位変動により半導体スイッチが誤作動したということで、電位変動が小さくなるように電気的離脱のタイミングを 10 ms 単位でずらすよう対策したとのこと (記者説明会動画)。

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医療

米ワシントン州、1 年以上結核の治療を拒否し続けた女性に逮捕状 38

ストーリー by headless
拒否 部門より
米ワシントン州ピアース郡上位裁判所が 2 日、度重なる裁判所命令にかかわらず 1 年以上にわたって結核の治療を拒否し続けていたタコマの女性の逮捕と強制治療を認める令状を発布したそうだ (タコマ-ピアース郡保健局のブログ記事Ars Technica の記事The News Tribune の記事The Seattle Times の記事)。

女性は結核を発症しており、タコマ-ピアース郡保健局では強制的な隔離と結核症治療を義務付ける裁判所命令を 2022 年 1 月からたびたび取得していたが、女性は不明な理由で拒否し続けていた。しかし、今年 1 月には乗客として乗っていた車が衝突事故を起こし、翌日に胸の痛みを訴えて病院の救急科を受診。結核症であることを知らされなかった病院では X 線写真を見て肺がんを疑うほど病状が悪化していたという。さらに当時女性は COVID-19 検査で陽性になっており、自主隔離も行わずに車の運転手や病院スタッフを結核感染の危険にさらしただけでなく、この日以外でも他人と接触していたことが明らかになった。

そのため、保健局では感染拡大を防ぐためには逮捕と強制治療を裁判所が命ずる必要があると判断したようだ。女性の名前と年齢は公表されていないが、母国語は英語ではないようだ。女性の弁護士は女性が自身の病状を理解していない可能性があると述べている。保健局では 3 月 3 日までに女性が治療に合意しなければ令状を執行する意思を示しているが、現在のところ新たな動きは発表されていない。保健局によると、多くの患者は治療に協力的であり、ここまで拒否されるには珍しいとのことだ。
16528447 story
交通

三菱自動車、2035年度に全て電動車へ 72

ストーリー by nagazou
転換 部門より
三菱自動車は10日、2035年度までに動車の割合を100%にすることをめざす方針を発表した。朝日新聞の記事によると、21年度段階の三菱の電動車の割合は7%ほどしかないが、今後は電動車の割合を30年度に50%、35年度に100%にするという。提携する日産自動車や仏ルノーから車両の供給を受けることも検討、27年度までに世界で電動車9車種を投入する考えだとしている。30年度までにEVなどの研究開発費に最大約1.8兆円を投じるとしている(朝日新聞)。
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犯人はmoriwaka -- Anonymous Coward

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