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20933 story
交通

渋滞の数理モデルを実証 177

ストーリー by nabeshin
緊張の糸の上に 部門より

eruchan 曰く、

asahi.com:渋滞、車多いと自然発生 阪大などのチームが実証 — 関西という記事によると、渋滞というのは車の密度により発生するものであるという数理モデルを立てて、それを実際に実験して実証できたとのこと。

(つづく)

菊池教授は「車の密度が一定値を超えると、ちょっとした速度変化が後の車に次々に伝搬し、渋滞を起こす。ある温度以下になると水が一斉に氷に変わる現象と同じだ」と説明している。
この話の面白いところは、外的な要因ではなく、車の密度 (車間距離の短さ、車の台数) によって渋滞が発生したことと、それを数理モデル化できたことだろうか。車の密度を計測することにより、正確性の高い渋滞予測を行うことも出来るようになるかもしれないし、このモデルは他の分野への応用も出来るのではないだろうか。
各所でミスリーディングが発生したようで、実験自体は過去にもあることなど、菊池教授のブログで掲載内容の補足などが追記されている。この渋滞論文は、New Journal of Physicsに掲載され、実験のムービーもMultimediaのリンクから閲覧できる。
この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • さて問題です (スコア:5, おもしろおかしい)

    by Anonymous Coward on 2008年03月12日 17時41分 (#1311835)
    渋滞の先頭にいる車両の運転手は、どんなことを考えているでしょうか?

     :
     :
     :
     :
     :

    答え: 「やっと渋滞から抜けたぞ!」
  • by Anonymous Coward on 2008年03月12日 18時10分 (#1311860)
    この研究成果の要点は「渋滞は車の密度によって起こる相転移現象だ」
    ということを明らかにした点です。

    このことは、同じ相転移現象である水の凍結に置き換えてみると
    理解しやすくなります。

    純粋な水を注意深く冷却していくと、0度よりも低くなっても
    氷にならないという現象が起こります(過冷却)。しかし、
    このような状態では、何かのきっかけがあれば一気に全体が
    氷に変化します。

    しかし、水が氷になるのは
    「氷になるきっかけ」があることが本質的な原因ではなく、
    「温度が低い」ことによる相転移が原因です。

    なので、水を氷にしたくなければ、氷になるきっかけを取り除く
    ことを考えるより、温度を高くすることの方が効果的です。

    これと同じことが渋滞にもいえるのですが、今までの渋滞対策は
    「渋滞が起こるきっかけ」を取り除くことばかりに注力し、
    本質的な「通行する車の密度を下げる」部分に注目されることは
    ほとんどありませんでした。
    • Re:渋滞は相転移 (スコア:2, おもしろおかしい)

      by Takahiro_Chou (21972) on 2008年03月12日 18時56分 (#1311886) 日記

      このことは、同じ相転移現象である水の凍結に置き換えてみると理解しやすくなります。

      そんな事言ってると、【まん延する渋滞の原因】大阪大が究明─「ありがとう」不足 [bogusne.ws]なんてネタにされたり、はてなブックマーク [hatena.ne.jp]で、

      きくまこ先生…水と氷の例えなんか出すから…w

      なんてコメントが付いたりするので、いかがなものかと。

      親コメント
    • by akiraani (24305) on 2008年03月12日 19時36分 (#1311913) 日記
       例えば料金所なんかはきっかけと思われがちですが、一台が通過するのにかかる平均時間と時間あたりの車の台数から密度が計算できるわけで、料金所手前の減速エリアとその車線数をどれくらい取ればよいかなんて計算ができるモデルなんじゃないですかね。

       過冷却で言うきっかけはこのモデルではランダムな車の加減速であって、一定の規則にしたがって車を足止めしたりする信号などのボトルネックはモデルに組み込める気がします。

      #だとすると、画期的だというのもわかります。
      --
      しもべは投稿を求める →スッポン放送局がくいつく →バンブラの新作が発売される
      親コメント
    • をれは「相転移」という表現は何も説明してないと思うけどなー。というか見たまんま、つまり観測しただけで仮説も推論も検証も入ってない。

      個人的に「(減速ゲインは加速ゲインよりずっと大きいし加速遅れは減速遅れよりずっと大きく、また減速ゲインや遅れの他にブレーキランプの存在もあるが)前車の加減速に反応するゲインと遅れは車間距離に反比例」し「その減速側ゲインが1を超えるのが渋滞が発生する条件」だという仮説を持ってる。相転移的に見えるのは系が正帰還になったからだという所まで言わないと。

      もう一つ言えば「渋滞が起こるきっかけ」はもともと道路にあるというよりは車あるいはドライバーの方にある。車間距離が限界に近い状態である車の速度が揺らぎ、部分的に系が正帰還になる。これが一般化した原因。道路が原因とされるのは速度の揺らぎを誘発するからであって車の挙動が直接的な原因。

      >本質的な「通行する車の密度を下げる」部分に注目されることは
      >ほとんどありませんでした。

      そんな事を言うから「あたりまえじゃーんw」って言われるんだ。だからこそ本質でもあるんだけどそれでは対策に結び付かないからね。

      渋滞を起こさないためには各々が「上り坂で減速しないように気をつける」「下り坂で加速しないように気をつける(平地になったときに上り坂と同じ現象になる)」とか「無闇にブレーキランプを点けない」とか「減速しさえすれば安全だなんていうバカな感覚は捨てる」だとか、「そこ!見物しない!」とかいう感覚が必要だし、渋滞を早期に解消するには各々が「渋滞を抜けたらとっとと加速する」しか方法はない。

      でもそれでも限界はあるし、それは結局マージンが均一になるよう削ることでマージンの最小値を削らずにマージンを削る行為でしかないが。
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      • by phason (22006) <mail@molecularscience.jp> on 2008年03月12日 20時13分 (#1311934) 日記
        >相転移的に見えるのは

        相転移的に見えるのではなく,相転移です.
        #相転移っぽい現象と相転移との間には(少なくとも統計物理的には)天と地ほどの差があります.

        >個人的に(中略)だという仮説を持ってる。

        という部分ですが,論文で引用されている過去の研究(およびそれらの関連研究)を見ていただければわかるとおり,

        >(減速ゲインは加速ゲインよりずっと大きいし加速遅れは減速遅れよりずっと大きく、
        >前車の加減速に反応するゲインと遅れは車間距離に反比例

        これらの前提条件は一切なくとも転移します.
        #ドライバーはどんなに車間距離が離れようが近かろうが瞬時に加減速の判断ができ,かつ車間距離に応じた既定の
        #加減速(離れていればその距離に応じた加速を,近すぎればそれに応じた減速)を行え,かつ車のレスポンスに
        #遅れはなく,加減速においてどっちが行いやすいなどがない,という系でも渋滞状態に転移します.
        また,これらモデルにおける計算結果とと現実の系との定量的な一致が良いことを合わせて考えると,「渋滞という
        ものの発生」においてこれらの条件は本質ではなく,付加的なもの(起こりやすさを変えるかもしれないが,そういう
        現象が存在するかどうかを決定する本質的要請ではない)ということが推定されます.

        >道路が原因とされるのは速度の揺らぎを誘発するからであって車の挙動が直接的な原因。

        これは今回の論文でも書いてありますし,元々の統計力学における研究でかなり以前に発見されたものです.
        (平坦で均一,どこまで行っても全く同じ道が続いている直線道路の場合においても,臨界密度以上に自動車の数が
         増えると無限小の揺らぎが拡大され相転移を引き起こし渋滞を生じる)

        親コメント
  • 経験則から (スコア:5, おもしろおかしい)

    by Tatenon (20311) on 2008年03月12日 18時12分 (#1311863) 日記
    走行車線が複数ある道路の場合、
    1:低速車は横に並んで道を塞ぐ
    2:大型車は斜めに並んで道を塞ぐ
    3:追い越し車線は右折車が塞ぐ
    4:軽自動車はわざわざ上り坂で追い越しをかけて道を塞ぐ
    5:低速車を追い越そうと車線を変更すると相手も車線を変更する
    6:とにかく塞がってる

    # 特に1が謎。
    • Re:経験則から (スコア:4, すばらしい洞察)

      by taotao (13793) on 2008年03月12日 18時44分 (#1311876)
      7:ようやく追い抜いてからミラーを見ると、抜いた車は右(左)折していなくなる。
      親コメント
  • by Deasuke (34806) on 2008年03月12日 22時24分 (#1312025) 日記
    クルマの渋滞 アリの行列 -渋滞学が教える「混雑」の真相
    西成 活裕 (著) ISBN:4774131245

    この本を昔読みましたが、同様の結論になっています。数値実験の結果も紹介されています。縦書きの本で軽く読めて面白いのでオススメ。

    本実験はモデルとしては最も単順なパターンの一つですね。「輪」を使ったモデルはよく使うようです。以下は内容の一部の紹介です。

    縦軸を車の流量、横軸を車の平均密度とすると、グラフは「人」の字型になります。(人の天辺の部分は右側(密度の高い側にずれます)
    # さらに簡単にしたモデルであれば数学的に解けて綺麗な二本の線分になります
    車の密度を増して行くと、「人」の一画目を逆順にかくように流量も増えますが、天辺をすぎると二画目に落ちます。その後、密度を減らして行っても二画目を逆順にかくようにしか、流量は増えません。また、一画目の二画目との交点より右上の部分の状態は不安定で、少しのきっかけで二画目(渋滞)部分に陥りやすくなります。
    --
    Best regards, でぃーすけ
  • by tach (3) <tach@debian.org> on 2008年03月12日 17時56分 (#1311847) ホームページ 日記
    論文の著者の一人(だと思う)の西成さんが クルマの渋滞 アリの行列 -渋滞学が教える「混雑」の真相 [amazon.co.jp] という本を出しています。立ち読みでざっくりと読んだのですが、この件がわかりやすく書かれていた…気がします。
  • by shoji12 (14093) on 2008年03月12日 19時20分 (#1311905)
    自分の車の周辺の密度が判らない時に渋滞だと感じたら、
    1.渋滞ではないと感じるまで、その場で止まったままにする。
    2.発進したら、後ろの車に追いつかれないように走る。
    3.前の車に追い付いたら、1と2を繰り返す。
    余計に疲れそう。
  • by eruchan (2221) on 2008年03月12日 19時26分 (#1311909)
    タレコミ人です。

    これを読んだときに頭に浮かんだのが、最近読んでるエリヤフ・ゴールドラット著のザ・ゴール [google.co.jp]シリーズ。小説という形態を取った思考プロセスにまつわる啓蒙書なのだが、このモデルと同様の問題が題材として複数取り上げられている。例えば工場の生産ではある工程の作業力をキチキチにすると全体のスループットが落ちる、安易なレイオフは人的に余裕がなくなりそれが全体的な競争力の低下につながるなど、十分なバッファ (車の事例で言えば車間距離や一台あたりの車の出せる速度の余裕) が無ければいけないとしている。本の中では頻繁に「誤った部分最適化 (例えば車間距離を縮めて少しでも多くの車を走らせる) は、全体最適化 (全体のスループット) の障害になる」と書かれている。

    今回のモデルと実験は渋滞という問題に限らずありとあらゆる分野に応用が可能な話なのではないかと思う。TOC とか、部分最適化と全体最適化といわれてもピンとこなくても、こういう渋滞の実験があって車の密度高くなる (バッファが小さくなる) と問題が起こることが証明されてますと言えば、説得しやすいし。世の中には、同種の問題がいろいろあるんじゃないだろうか。決済とかお役所仕事とか。そういう応用例に興味がある。

    という感じのことを考えながら、asahi.com の記事を読んでました。
    • by tarosuke (2403) <webmaster@tarosuke.net> on 2008年03月13日 0時08分 (#1312106) 日記
      その本を持ち出すなら「やりすぎない事」とさらっと流されたエピソードが現象に一致すると思う。すなわち、全体最適化を進めていって全てがうまくいってる、で、余力が30%あったので30%の仕事を取ってきて負荷を100%にしたらボトルネックがランダムに発生して酷い目にあった(あのフランス人めー。と八つ当たり)。って奴。
      親コメント
    • by Anonymous Coward on 2008年03月12日 21時06分 (#1311959)
      このシミュレーションを応用すると、8:2の法則、もしくはパレートの法則と言われているものも
      現状では経験則でしかありませんが、もっと詳しく理由が分かるようになるのではないかと期待しています。

      均一で効率の高い集団はちょっとしたことで危機に陥るものです。
      多様性のある集団は無駄が存在しますが、トラブルには強かったりします。

      ー独立愚連隊に憧れるACー
      親コメント
  • by Anonymous Coward on 2008年03月12日 20時17分 (#1311936)
    「なんで混んでんだよ!」
    「マジかよ!なんで渋滞してんだよ!クソッ!」
    「誰のせいだよ!」


    なんで渋滞するか?って?
    決まってるじゃないですか、前の車が動かないからですよ。
  • by Anonymous Coward on 2008年03月12日 20時39分 (#1311945)
    日本流体力学会の学会誌の22巻2号より。
    http://www.nagare.or.jp/nagare/22-2/22-2-t02.pdf [nagare.or.jp]
  • by SNT (23129) on 2008年03月12日 17時31分 (#1311824)
    おんなじ実験をやってるのを10年くらい前にテレビで見た覚えがあるんですが。
    今回のものは、過去のモデルや実験などと比べてどこが新しいんだろう。
    • by Anonymous Coward on 2008年03月12日 18時01分 (#1311852)
      リンク先のkikulogにありますが。というコメントがありますが、読まない人もいるでしょうから書いておきます。

      「そんな実験ならテレビでやってた」というあなた、それは我々の実験です。それがようやく論文になったというわけ。
      そしてこの実験の新しい所は、特にありません。強いて言えば数理モデルが実験によって実証されたことです。 で、すごく乱暴にまとめると「渋滞と非渋滞は、程度問題ではなく別の状態」「渋滞は密度によって発生する(ボトルネックによらない)」「臨界密度になると渋滞に相転移する」あたりがポイントです。
      親コメント
      • Re:何年も前から・・・ (スコア:2, おもしろおかしい)

        by Anonymous Coward on 2008年03月12日 20時01分 (#1311930)
        さらに身近な例に置き換えてみた。

        > すごく乱暴にまとめると

        「デスマと非デスマは、程度問題ではなく別の状態」
        「デスマはスケジュール密度によって発生する(ボトルネックによらない)」
        「臨界スケジュール密度になるとデスマに相転移する」。

        なんか納得してしまった。
        親コメント
      • Re:何年も前から・・・ (スコア:2, おもしろおかしい)

        by Anonymous Coward on 2008年03月12日 21時13分 (#1311964)
        そのテレビ番組みました。
        かなり経ってるのに、それがようやく論文になったということですが、
        なんでまたそんなに時間がかかったんでしょうね。

        実は、発表したい論文が渋滞してたんじゃないですかね。

        # いってみたかっただけ
        親コメント
        • by tectaro (28890) on 2008年03月12日 22時03分 (#1312003)
          菊池先生が遅筆と言うのもありますが、雑誌に投稿してRejectを食らい続けていたそうです。
          今回やっと載せてくれる雑誌があったと言うだけで、数理モデルとしては数年前にできていたみたいですね。
          親コメント
      • by hado (21151) on 2008年03月12日 20時42分 (#1311948)
        蛇足ですが

        >「渋滞と非渋滞は、程度問題ではなく別の状態」「渋滞は密度によって発生する(ボトルネックによらない)」「臨界密度になると渋滞に相転移する」

        「場合がある」ですよね。全て。

        #なんとなく誤解されそうな気がしたのでホントに蛇足
        親コメント
        • by Anonymous Coward on 2008年03月12日 22時20分 (#1312020)
          >「場合がある」ですよね。全て。
          >
          >#なんとなく誤解されそうな気がしたのでホントに蛇足

          自信満々ですが、ソースは?
          どれも、「場合がある」では当たり前すぎて、数理モデルとして意味がないと思います。
          「今回の実験ではそうなったが、実際の渋滞には応用できない」では研究の意味がないですよね。

          とりあえず、菊池教授のブログ [osaka-u.ac.jp]では「密度を臨界以上にすれば渋滞は不可避である」とはっきり書いてあるので、
          (彼の主張では)二つ目と三つ目は「場合がある」ではないようです。

          一個目も定義の問題なので、「場合がある」ものだとは思えません。
          (ブログ曰く「やっぱり「渋滞」という言葉しか思いつかない。論文や解説記事ではどういう状況を指すつもりかをきちんと言って、
          曖昧さをなくしているはずです」)
          親コメント
  • >この渋滞論文は、IOPに掲載され

    IOPは出版元.
    掲載されたのはIOPの発行するNew Journal of Physics.
  • by UZU (35852) on 2008年03月12日 17時59分 (#1311850) 日記
    100台の信号待ちだとして、
    全車が同じタイミングで同じ加速度で同じ速度まで加速。
    減速も同じ。
    とか?

    #わき道から車が進入できません!
    ##信号曲がるときはドリフトですか!
    • by SteppingWind (2654) on 2008年03月12日 21時49分 (#1311993)

      そうなるとボース・アインシュタイン凝縮 [wikipedia.org]や超流動と同じで, 個々の車を識別することができず, 列車と同じ扱いになります.

      親コメント
  • >他の分野への応用も出来るのではないだろうか。
    ・・・ですが,あるかも。

    渋滞と行列のプロといえば,コミケの行列ですが。コミケットカタログで,そのコミケのローリングスタートの話を読んで。これは,会場前のコンコースで入場者に立ち止まらせずにグルグル歩かせる方法なんですが。

    これを渋滞学っぽく考えると,行列が立ち止まることで前が詰まって(密度が上がって)渋滞が発生する現象を抑える効果があるなとか,思いました。

    この方式って,同論文の著者の一人が書いた渋滞学 [shinchosha.co.jp]の出版とほぼ同時期な気がするのでマジで「応用」してるのかも。
    --
    斜点是不是先進的先端的鉄道部長的…有信心
  • 俺のウンコが渋滞しているのも密度が高いからか。
    密度が高い
    →渋滞する
    →もっと密度が高くなる
    →渋滞する
    →(以後ループ)

    いったいどうすれば・・・
    そうか、腸を拡張すればOKなんだ。

    #そんなわけないのでAC
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「毎々お世話になっております。仕様書を頂きたく。」「拝承」 -- ある会社の日常

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