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残ってる燃料で軌道を下げたら大気圏に落とせないのかなと思った
「高度約36000kmの静止軌道」での衛星の速度約3km/sに対して、「遠地点高度そのまま、近地点高度0」の楕円軌道の、遠地点での速度は約1.5km/s。つまり、地球に落とすためには速度半減、1.5km/sだけの減速が必要です。
墓場軌道(高度が300km上の円軌道)までならわずか11m/s程度の加速でいいので、必要な燃料が二桁違います。
今回の問題の衛星の燃料残量でどれぐらいの加速ができるのかの正確な情報はなかったのですが、衛星に残された燃料は軌道維持5年分だそうです。一方、だいたい「墓場軌道への移動は、静止軌道維持3ヶ月分ぐらいの燃料が必要」だそうですので、衛星に残された燃料は墓場軌道移動の20倍分ぐらいってことに。地球に落とすにはまだ一桁足りない。
でも墓場軌道だろうと元の軌道だろうと、デブリ出した時の衛星軌道に対する悪影響なんて誤差の範囲でしか変わらないと思うんだが。それでも静止移動でもご近所さん付き合いは大事なんだろうか?
静止軌道で爆発したら、飛び散ったほぼ全ての破片が静止軌道を通る(爆発地点で元の静止軌道と交差するような楕円軌道に遷移する)し、その周回時間のずれで、爆発地点だけなく静止軌道上の全衛星に影響しかねないですけど、
墓場軌道での爆発なら、「静止軌道と交差する楕円軌道」に遷移した破片だけが問題になるので、影響は大幅に違うと思います。
スペースデブリと聞くと「とんでもない速度差があるので、ほんの埃みたいな欠片でも当たったら大惨事」と想像しかけましたが、そこまでではないですよね。ぐるっと回って静止軌道に戻ってきたときは、爆発で加速された時点と同じ速さに戻ってるはず。
でも、その速さが保存されてるから、「数年前に起こった、遙か、遙か彼方の爆発の破片」であっても、「その爆発の瞬間に直近で受ける」のと同じダメージになるから、それはそれでヤバいか。埃の欠片ぐらいならともかく、ネジぐらいの大きさが当たり所が悪ければ十分なトラブルの元。
あんまり理解されてないけど
静止軌道というのは普通の軌道に比べて異常に高度が高い
なので一旦静止軌道に上げたら落とすだけの燃料は無いそして場所も国際会議で方位何度ごとに一個と決まっているので必ず墓場軌道に退かす
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/b/b4/Comparison_satelli... [wikimedia.org]
svgですが、墓場軌道のWikipedia(en)より。放棄された宇宙ステーションが落ちてくる、なんてのは ISSの軌道あたりからだったんでしょうね。
> 慣性と重力で引っ張って行かれるんじゃないかと思う。
そういう間違ったイメージをしている人が多いですが、そんなことにはなりません。単に「燃料を噴射して」、「燃料がなくなった」場合には、「燃料噴射開始地点を通る楕円軌道」に遷移します。一周したらまた元の高さに戻ってくる。噴射終了後も「衛星は地球にどんどん近づいていき、そのうち地球に落ちる」なんてことにはなりません。
その状況を物理学的な数式を使わずわかりやすく説明すると、
まず、人工衛星というのは何か。普通に地上で横にモノを飛ばした場合、そのうち下に落ちて地球にぶつかります。でも、「ものすごく速いスピードで横にモノを飛ばすと、地球に向かって落ちていくカーブと、地球の丸みが一致」します。空気抵抗のない(減速しない)宇宙で、そんなスピードで飛ばすと、いつまで経っても地球に落ちてこなくなる。それが人工衛星です。
では、ある程度の高さで回っている人口衛星を、ちょっとだけ減速させた場合、どうなるのか。減速すれば、その分「地球に向かって落ちていくカーブ」が、地球の丸みより地球寄りになります。地球にどんどん近づいて(地球にどんどん落ちて)行きます。でも、地球に向かっていく、ということは、重力でどんどん加速する、ということです。
でも、地球に向かっていくからといって、そのまま地球に落ちるなんてことにはなりません。地球に近づくにつれてスピードは増えて行き、スピードが増えれば「地球に向かって落ちていくカーブ」がなだらかになります。中途半端に「ちょっとだ減速させた」だけだと、そのうち地球の丸みに打ち勝って、逆に地球から離れるようになるのです。で、今度は重力に逆らって地球から離れていくるについれて、減速していき、そのうち「ちょっとだけ減速させた」高さまで戻ってきます。(でも、元の速度に比べれば遅いので、また、最初に「ちょっとだけ減速させた」のと同じ軌道を描いていきます)そうして、「遠地点(地球から一番離れたところ)は元の高さのまま」で「近地点(地球に一番近づいたところ)は元より低い」ような「楕円軌道」に移るのです。
だから、地球に落とすためには、「近地点が地上高度0まで降りるような楕円軌道」に移るだけの減速が必要、ということになるのです。(そのあたり数値で示したのが、大元の #3754059)
墓場軌道に上げても爆発で破片を11m/s減速する方向に射出してしまえば元の高度に戻ってしまうので、爆発しないようにその後も残燃料を放出するかさらに上空へ上げるんじゃないかな?
単発の加減速ではその加減速を行った点を通る楕円軌道にしか遷移しません。
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アレゲはアレゲ以上のなにものでもなさげ -- アレゲ研究家
そう都合良くはいかないんだろうな (スコア:0)
残ってる燃料で軌道を下げたら大気圏に落とせないのかなと思った
Re:そう都合良くはいかないんだろうな (スコア:5, 参考になる)
「高度約36000kmの静止軌道」での衛星の速度約3km/sに対して、
「遠地点高度そのまま、近地点高度0」の楕円軌道の、遠地点での速度は約1.5km/s。
つまり、地球に落とすためには速度半減、1.5km/sだけの減速が必要です。
墓場軌道(高度が300km上の円軌道)までならわずか11m/s程度の加速でいいので、必要な燃料が二桁違います。
今回の問題の衛星の燃料残量でどれぐらいの加速ができるのかの正確な情報はなかったのですが、衛星に残された燃料は軌道維持5年分だそうです。一方、だいたい「墓場軌道への移動は、静止軌道維持3ヶ月分ぐらいの燃料が必要」だそうですので、衛星に残された燃料は墓場軌道移動の20倍分ぐらいってことに。地球に落とすにはまだ一桁足りない。
Re: (スコア:0)
でも墓場軌道だろうと元の軌道だろうと、デブリ出した時の衛星軌道に対する悪影響なんて誤差の範囲でしか変わらないと思うんだが。
それでも静止移動でもご近所さん付き合いは大事なんだろうか?
Re:そう都合良くはいかないんだろうな (スコア:2)
静止軌道で爆発したら、飛び散ったほぼ全ての破片が静止軌道を通る(爆発地点で元の静止軌道と交差するような楕円軌道に遷移する)し、
その周回時間のずれで、爆発地点だけなく静止軌道上の全衛星に影響しかねないですけど、
墓場軌道での爆発なら、「静止軌道と交差する楕円軌道」に遷移した破片だけが問題になるので、影響は大幅に違うと思います。
Re: (スコア:0)
スペースデブリと聞くと「とんでもない速度差があるので、ほんの埃みたいな欠片でも当たったら大惨事」と想像しかけましたが、そこまでではないですよね。ぐるっと回って静止軌道に戻ってきたときは、爆発で加速された時点と同じ速さに戻ってるはず。
でも、その速さが保存されてるから、「数年前に起こった、遙か、遙か彼方の爆発の破片」であっても、「その爆発の瞬間に直近で受ける」のと同じダメージになるから、それはそれでヤバいか。埃の欠片ぐらいならともかく、ネジぐらいの大きさが当たり所が悪ければ十分なトラブルの元。
Re:そう都合良くはいかないんだろうな (スコア:1)
あんまり理解されてないけど
静止軌道というのは普通の軌道に比べて異常に高度が高い
なので一旦静止軌道に上げたら落とすだけの燃料は無い
そして場所も国際会議で方位何度ごとに一個と決まっているので
必ず墓場軌道に退かす
Re:そう都合良くはいかないんだろうな (スコア:1)
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/b/b4/Comparison_satelli... [wikimedia.org]
svgですが、墓場軌道のWikipedia(en)より。
放棄された宇宙ステーションが落ちてくる、なんてのは ISSの軌道あたりからだったんでしょうね。
Re:そう都合良くはいかないんだろうな (スコア:1)
Re:そう都合良くはいかないんだろうな (スコア:1)
> 慣性と重力で引っ張って行かれるんじゃないかと思う。
そういう間違ったイメージをしている人が多いですが、そんなことにはなりません。
単に「燃料を噴射して」、「燃料がなくなった」場合には、「燃料噴射開始地点を通る楕円軌道」に遷移します。一周したらまた元の高さに戻ってくる。
噴射終了後も「衛星は地球にどんどん近づいていき、そのうち地球に落ちる」なんてことにはなりません。
その状況を物理学的な数式を使わずわかりやすく説明すると、
まず、人工衛星というのは何か。普通に地上で横にモノを飛ばした場合、そのうち下に落ちて地球にぶつかります。
でも、「ものすごく速いスピードで横にモノを飛ばすと、地球に向かって落ちていくカーブと、地球の丸みが一致」します。
空気抵抗のない(減速しない)宇宙で、そんなスピードで飛ばすと、いつまで経っても地球に落ちてこなくなる。それが人工衛星です。
では、ある程度の高さで回っている人口衛星を、ちょっとだけ減速させた場合、どうなるのか。
減速すれば、その分「地球に向かって落ちていくカーブ」が、地球の丸みより地球寄りになります。地球にどんどん近づいて(地球にどんどん落ちて)行きます。
でも、地球に向かっていく、ということは、重力でどんどん加速する、ということです。
でも、地球に向かっていくからといって、そのまま地球に落ちるなんてことにはなりません。
地球に近づくにつれてスピードは増えて行き、スピードが増えれば「地球に向かって落ちていくカーブ」がなだらかになります。
中途半端に「ちょっとだ減速させた」だけだと、そのうち地球の丸みに打ち勝って、逆に地球から離れるようになるのです。
で、今度は重力に逆らって地球から離れていくるについれて、減速していき、そのうち「ちょっとだけ減速させた」高さまで戻ってきます。
(でも、元の速度に比べれば遅いので、また、最初に「ちょっとだけ減速させた」のと同じ軌道を描いていきます)
そうして、「遠地点(地球から一番離れたところ)は元の高さのまま」で「近地点(地球に一番近づいたところ)は元より低い」ような「楕円軌道」に移るのです。
だから、地球に落とすためには、「近地点が地上高度0まで降りるような楕円軌道」に移るだけの減速が必要、ということになるのです。
(そのあたり数値で示したのが、大元の #3754059)
Re:そう都合良くはいかないんだろうな (スコア:1)
Re: (スコア:0)
墓場軌道に上げても爆発で破片を11m/s減速する方向に射出してしまえば元の高度に戻ってしまうので、
爆発しないようにその後も残燃料を放出するかさらに上空へ上げるんじゃないかな?
Re: (スコア:0)
単発の加減速ではその加減速を行った点を通る楕円軌道にしか遷移しません。