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キログラムの定義に参入してきたり・・・それはないな
人工ダイヤ中に含まれる炭素の同位体比を精密に測定できれば、それもありうるのでは?(実際にはSiに対するメリットはあまりないのでしょうけど)
いやいや.
原子量の定義は「1molの12Cの質量が12g」と決められているので,本当はあの球は12Cでつくりたい.技術的な問題でシリコンをつかっているけれど.
もし,シリコン球が1kgの定義になったらアボガドロ数が定義値になるけれど,この場合12Cの原子量との整合をどう付けるのだろうか.
>12Cの原子量との整合をどう付けるのだろうか.
原子一個の相対質量に関しては,分析の精度が高いため9-10桁程度の精度で求まっています.この精度は現在アボガドロ数の精密決定が目指している精度より1-2桁高いため,こちらがネックになることはありません.#12Cと28Siの質量比が高い精度で求まっているため,どちらを測定しても換算が可能.
Siを使ってアボガドロ数を正確に求めますが,その計算の際に用いる28Siの原子量は12Cがアボガドロ数個あった場合は12g,という定義と一致する値となります.
その点については仰るとおりなのですが,ある物理量を「定義値」にする,というのは,それは無限の精度でその値である,とすることです.
例えば真空の光速度は299 792 458 m/sですが,これは,小数点以下無限にゼロが続きます.
すると,同時に真空の誘電率が定義値になるわけなんですが,これを真空の光速度以外の定義を使って決定する方法はないので,真空の誘電率は一意に決まるわけです.
一方,アボガドロ数を6.02....x10^23と決めてしまうと,それは(例えば)9桁め以降はゼロが続く,と見なされます.それが「定義」なので.
その定義を使うと,12Cの質量は12の下に無限にゼロが続く数値にならず,どこかでゼロで無い数値が現れます.上のお話ですと10桁めでしょうか.
つまり,12Cの質量に二つの値が存在することになってしまう,と.最初から12Cの個数を数える方法なら,この心配は無いわけです.
>その定義を使うと,12Cの質量は12の下に無限にゼロが続く数値にならず
そこの理解が違うんですよ.
まず,今行っている測定で,「アボガドロ定数」を28Siを用いて決定します.一度アボガドロ定数が決定されると,これはもはや別にSi原子とは関係のない定数になります.
次に,キログラムの定義を,「12C原子がアボガドロ定数(=定義済みの単なる定数)の12分の1個集まった時1kgとする」とすることになっています.
つまり,新定義を用いても,12C原子をアボガドロ数個集めれば「厳密に」12kgとなります.
補足です.
質量には,バルクの質量を表すkgという定規があります.もう一つ,原子スケールでの質量を表す相対原子質量(u)が存在します.後者では,定義より,12Cの原子の質量が厳密に12uとなります.
この二つの異なる定規を結びつける比例定数がアボガドロ定数です.12C原子を1アボガドロ数個集めると厳密に12kg,という定義によって二つの独立な定規を結びつけています.
この二つの定規は独立であるため,アボガドロ数をどのような値に決定したとしても矛盾は生じません.例えば極端な話,アボガドロ数を「1」と決めたとします.そうすると,炭素原子1個は厳密に12kgになり,1kgの定義は炭素原子の1/12の重さになります.アボガドロ数を「100」と決めると,炭素原子1個の質量は厳密に12/100kgになります.
つまり,どんな手法でどのようにバルクのkgを定義したとしても,炭素原子を1アボガドロ数個集めると必ず12kgになります.アボガドロ定数以外の手法でkgを定義すればそこから
「12Cをアボガドロ定数個集めた際に12kg」
という関係式からアボガドロ定数が決定され,逆にアボガドロ定数を決定する手法でkgが定義されれば
「12Cの質量は12kgをアボガドロ定数で割ったもの」
という関係式から原子の重さが定義されます(kgのスケールとuのスケールの変換定数が決まる).
どうでもいいけど、アボガドロ数が3桁大きくなっているような。
ぐぉ……確かにkgとgを間違えてますね.飲みながらとは言えなんと馬鹿な間違いを.ご指摘感謝.
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アレゲはアレゲ以上のなにものでもなさげ -- アレゲ研究家
突然 (スコア:0)
キログラムの定義に参入してきたり・・・それはないな
Re: (スコア:0)
人工ダイヤ中に含まれる炭素の同位体比を精密に測定できれば、それもありうるのでは?
(実際にはSiに対するメリットはあまりないのでしょうけど)
Re: (スコア:3)
いやいや.
原子量の定義は「1molの12Cの質量が12g」と決められているので,
本当はあの球は12Cでつくりたい.技術的な問題でシリコンを
つかっているけれど.
もし,シリコン球が1kgの定義になったらアボガドロ数が定義値に
なるけれど,この場合12Cの原子量との整合をどう付けるのだろうか.
Re:突然 (スコア:2)
>12Cの原子量との整合をどう付けるのだろうか.
原子一個の相対質量に関しては,分析の精度が高いため9-10桁程度の精度で求まっています.この精度は現在アボガドロ数の精密決定が目指している精度より1-2桁高いため,こちらがネックになることはありません.
#12Cと28Siの質量比が高い精度で求まっているため,どちらを測定しても換算が可能.
Siを使ってアボガドロ数を正確に求めますが,その計算の際に用いる28Siの原子量は12Cがアボガドロ数個あった場合は12g,という定義と一致する値となります.
物理量の「定義値」について (スコア:2)
その点については仰るとおりなのですが,ある物理量を「定義値」にする,
というのは,それは無限の精度でその値である,とすることです.
例えば真空の光速度は299 792 458 m/sですが,これは,小数点以下
無限にゼロが続きます.
すると,同時に真空の誘電率が定義値になるわけなんですが,これを
真空の光速度以外の定義を使って決定する方法はないので,真空の
誘電率は一意に決まるわけです.
一方,アボガドロ数を6.02....x10^23と決めてしまうと,それは(例えば)
9桁め以降はゼロが続く,と見なされます.それが「定義」なので.
その定義を使うと,12Cの質量は12の下に無限にゼロが続く数値に
ならず,どこかでゼロで無い数値が現れます.上のお話ですと10桁
めでしょうか.
つまり,12Cの質量に二つの値が存在することになってしまう,と.
最初から12Cの個数を数える方法なら,この心配は無いわけです.
Re:物理量の「定義値」について (スコア:2)
>その定義を使うと,12Cの質量は12の下に無限にゼロが続く数値にならず
そこの理解が違うんですよ.
まず,今行っている測定で,「アボガドロ定数」を28Siを用いて決定します.一度アボガドロ定数が決定されると,これはもはや別にSi原子とは関係のない定数になります.
次に,キログラムの定義を,「12C原子がアボガドロ定数(=定義済みの単なる定数)の12分の1個集まった時1kgとする」とすることになっています.
つまり,新定義を用いても,12C原子をアボガドロ数個集めれば「厳密に」12kgとなります.
補足 (スコア:2)
補足です.
質量には,バルクの質量を表すkgという定規があります.
もう一つ,原子スケールでの質量を表す相対原子質量(u)が存在します.
後者では,定義より,12Cの原子の質量が厳密に12uとなります.
この二つの異なる定規を結びつける比例定数がアボガドロ定数です.12C原子を1アボガドロ数個集めると厳密に12kg,という定義によって二つの独立な定規を結びつけています.
この二つの定規は独立であるため,アボガドロ数をどのような値に決定したとしても矛盾は生じません.
例えば極端な話,アボガドロ数を「1」と決めたとします.そうすると,炭素原子1個は厳密に12kgになり,1kgの定義は炭素原子の1/12の重さになります.
アボガドロ数を「100」と決めると,炭素原子1個の質量は厳密に12/100kgになります.
つまり,どんな手法でどのようにバルクのkgを定義したとしても,炭素原子を1アボガドロ数個集めると必ず12kgになります.
アボガドロ定数以外の手法でkgを定義すればそこから
「12Cをアボガドロ定数個集めた際に12kg」
という関係式からアボガドロ定数が決定され,逆にアボガドロ定数を決定する手法でkgが定義されれば
「12Cの質量は12kgをアボガドロ定数で割ったもの」
という関係式から原子の重さが定義されます(kgのスケールとuのスケールの変換定数が決まる).
Re: (スコア:0)
どうでもいいけど、アボガドロ数が3桁大きくなっているような。
Re:補足 (スコア:1)
ぐぉ……
確かにkgとgを間違えてますね.飲みながらとは言えなんと馬鹿な間違いを.
ご指摘感謝.