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日々是ハック也 -- あるハードコアバイナリアン
女性初とな (スコア:3, 興味深い)
http://srad.jp/science/article.pl?sid=08/05/27/2242239 [srad.jp]
Re: (スコア:1)
去年の報告は全ゲノムではなかった様ですね.こっちはグループも違いますし,先を越されてしまったのでしょうか.
女性の方は初めてというわけではないと思います.というか,どこにそう書かれているか見つけられなかったのですが.
kaho
Re:女性初とな (スコア:4, 参考になる)
それだけではあんまりなので今回の研究について私の解釈を述べてお茶を濁そうかと.
この研究でAMLのゲノムを対象としたのは,多くの場合生検で取得した腫瘍細胞では染色体同士が
結合したり多核化したりとゲノム解読が難しい状態にあります.特に短い配列を解読して既知の
ゲノム配列と比較することで全ゲノム解読を行うre-sequencing(今回の報告も含む)では
解読ができていないのかその部分の染色体が存在しないのか,また読めていても同じ配列が細胞に
何カ所あるのか,ということが分かりません.
更に困ることに,この場合,何らかの原因で核や染色体に異常が起きたことがガン化の原因であって
DNAの変異は従属した現象なのではないかという疑問も湧いてしまいます.
AMLはガン化の比較的早い段階で細胞を取得することが可能で,この研究においてもまず細胞の
様子を顕微鏡で観察して染色体に目立った異常がないことを確認しています.
この性質からAMLが今回のテーマに最適なサンプルであったと言えます.
次に結果については,10の遺伝子でアミノ酸配列が変化する変異をみつけ,そのうち2つが既知の
ガン化プロセスに関わる遺伝子,他の8つは新規の遺伝子でした.
これらが本当にAMLの原因となる遺伝子かどうかはこれからの実験によりますが,遺伝学的な方法で
感受性遺伝子を探す方法と比較すると,8つもの明らかな変異を探したという結果に対しては時間も
コストも従来よりもかからずにすんだということが大きなトピックになります.
また,この結果を見ての私の個人的な感想では,10個の変異があれば,そのうち数個は2本ある
染色体でガン細胞特有の同じ配列になっている(ヘテロ接合が失われる)のではないかと予想して
いましたが,全て1本の染色体だけで変異が観測されています.
これらの結果は,染色体の状態異常ではなく,DNA配列の変異がガン化の原因であるという立場を
強めるものだと考えられます.
もし今回発見された変異を通常の白血球に導入して実際にガン化するという結果が得られれば,
ガン化のメカニズムや治療法についても様々な知見をもたらすでしょうし,re-sequencingが疾患解析に
強力なツールであることの証明になると思います.
kaho
Re:女性初とな (スコア:1)
the.ACount