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バイオテック

健康的な生活で遺伝子発現が変化する 31

ストーリー by hayakawa
一番の問題はどうやって健康的な生活をキープするかかな 部門より

insiderman 曰く、

ロイターの記事によると、良い食生活や運動を増やすなどにより生活スタイルを大幅に変えることで、体の変化だけでなく遺伝子レベルでの大きな変化が即座に引き起こされるという研究結果が発表されたようだ。

同記事によると、良性の前立腺がんを患う30人の男性に対して、
  • 3か月の間果物や野菜、穀物、豆製品などを中心とした食生活を送る
  • 一日30分のウォーキングなどの軽い運動を行う
  • 一日1時間の瞑想などの「ストレスマネージメント」を行う
などといった大幅な生活の変化を経験してもらったようだ。その結果、減量や血圧の低下といった健康状態の改善に加え、病気を進める遺伝子の数より病気を防ぐ遺伝子の活動が活性化するなど、前立腺の組織の遺伝子に変化が見られたとのことである。

この研究を行ったDr. Dean Ornish氏は、次のように述べている。

これは非常に興奮すべき発見だ。しばしば人々は「すべては遺伝子のせいだ」などというからだ。しかし、たった3ヶ月間食べるものや生活を変えるだけで、人間は数百の遺伝子を変えることができる。これは、前立腺患者に限ったことではない。

体の不調を「遺伝子のせいだ」とあきらめていた方も、思い直して生活改善にトライしてみてはいかがだろうか。

論文も公開されています。なお、「遺伝子自体」が変化するのではなく、「遺伝子発現」が変化するということのようです。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • リンク先の記事には確かに、"low-risk prostate cancer"ってあるけど、国立がんセンターのWebにあるQ&A [ncc.go.jp]には

    Q  私の知り合いで前立腺がんで亡くなった方がおりますが、その人は初期の良性の前立腺がんだから心配ないといわれていた。このことはどう思われますか。また、良性か悪性かの診断の区分けの方法がありますか。
     
    A  良性か悪性かを見分ける方法はあります。しかし「良性の前立腺がん」というのはあり得ません。前立腺がんは悪性の病気です。
     
    しかし、その患者さんのがんを構成する細胞が、比較的おとなしいものか非常にたちの悪いものかによって、まるで別の病気と思うぐらいの違いがあります。このことはどのがんについてもいえるわけですが、とりわけ前立腺がんについては、このことが顕著にあらわれます。実際がんを抱えたまま10~20年とほとんど問題なく過ごされる方もありますし、1~2年のうちにぐあいの悪くなる方もあります
    と書いてあるのだが。
    どう訳すべきか、医学の知識に詳しい人からの意見を希望。
    --
    I'm out of my mind, but feel free to leave a comment.
    • by Anonymous Coward on 2008年06月19日 5時12分 (#1366405)
      本文に特に断りがないのでlow-risk prostate cancerは、
      限局性前立腺癌に対して放射線療法を行う際によく用いる分類でのlow-risk protate cancerの事だと思います。
      もし合っているならば、

      PSA10ng/mlかつグリソンスコア≦6かつT≦2a がow riskに相当します。
      "限局性"前立腺癌の低リスク群と訳すのが良いのではないでしょうか?

      誤解を恐れずに簡単に説明すると
      #PSA :採血で計る前立腺癌の腫瘍マーカーで癌の総量が多いと高値 前立腺癌が沢山産生している蛋白質(正常前立腺組織も産生している)
      #限局性 :前立腺に出来た癌が前立腺内に留まっている。外に飛び出たり、他所に飛んだりしていない
      #グリソンスコア 針生検/摘出標本での顕微鏡検査で組織学的な悪性度の点数 1-5点で悪い所2個所なので2-10点 10が最も悪性度が高い
      #T2a 前立腺に出来た癌が何処まで伸びてるかの評価(転移部位ではなく原発腫瘍) T2aは此の場合は前立腺の片葉の1/2以内に留まっている場合
      #腫瘍:組織が増殖している現象で悪性と良性がある。悪性腫瘍の内 上皮から出来るものを癌と言います。
      親コメント
    • 低リスク前立腺癌、みたいですね。場所とか大きさとか血液検査で決めるみたいで、良性の訳は間違い、と。 http://web.sapmed.ac.jp/radiol/guideline/prostate.html [sapmed.ac.jp]
      親コメント
  • by poundcake (11852) on 2008年06月19日 2時33分 (#1366378) 日記
    ステロイドホルモンの作用機序 [wikipedia.org]みたく、遺伝子の発現を調節することはホメオスタシスの重要な機構でありますが、この記事にいう遺伝子発現の変化ってそういうのとは違うんですか?
    • by Anonymous Coward on 2008年06月19日 5時45分 (#1366408)
      前立腺癌のリスクとして明らかな証拠があるものの1つに高脂肪食というのがあり、ヒト前立腺癌を植えた同じマウスでも
      片方に高脂肪食の食事を与えることで、癌の増殖速度が異なることが分かっています。
      また、脂肪の代謝に関わる遺伝子多型がヒトにおける前立腺癌の増殖伸展に差があるという論文があります。
      よって、ヒトにおいても食事無い様が変化する事で、癌の伸展増殖は恐らく変化すると考えられ、それは遺伝子レベルで引き起こされているといえるでしょう。

      ステロイドホルモンが前立腺癌の抑制に効果があるのは、ホメオスタシス云々ではなく、前立腺癌のアンドロゲン受容体等々が関連してます。
      前立腺癌の増殖、伸展のターゲットは数多くあります(アンドロゲン受容体、脂肪代謝...etc)が、その全容がわかることで前立腺癌を抑制する新しい治療薬の開発に繋がるのではないでしょうか?
      これ単体では辛いと思いますが...

      親コメント
      • by poundcake (11852) on 2008年06月19日 9時26分 (#1366468) 日記
        要するに、遺伝子発現の調節機構としては同じだということでしょうか? 時間的な性質が違えば、別の現象だと考えるのは妥当ですから、これは3ヶ月かかって起こる特別な現象なのか、もっと急性に起こる普通の調節(の積み重ね?)を見ているだけなのか、が疑問だったのですが。後者だとすると、

        これは非常に興奮すべき発見だ。しばしば人々は「すべては遺伝子のせいだ」などというからだ。しかし、たった3ヶ月間食べるものや生活を変えるだけで、人間は数百の遺伝子を変えることができる。これは、前立腺患者に限ったことではない。
        というコメントは的はずれじゃないですか?

        >ステロイドホルモンが前立腺癌の抑制に効果があるのは

        それは知りませんでした…私が知っていたのは、ステロイド系の概論でして。
        親コメント
        • by Anonymous Coward on 2008年06月19日 9時53分 (#1366488)
          今回の研究が全く正しいんだと、丸呑みするのは軽薄であまり擁護する立場には立ちたくないのですが、
          人の癌で、特に薬に利用されるような抗癌作用のある食べ物でもないのに、食事内容だけで、
          mRNAレベルで短期間にダイナミックに制癌作用が証明されたってのが熱い所なのだと思いますが、
          (ニュースに載ったは、アメリカ社会で万病のリスクである肥満が保険のコストを押し上げている背景もあり?)
          前立腺癌の研究レベルの話しに特に精通しているわけではないので、どの辺がスゴいのかについては、ご勘弁を。

          >「すべては遺伝子のせいだ」
          は、恐らく遺伝子の話し的に太古の昔、全ては最初の設計図で決まっている。生まれた時にもう寿命もなにも全て決まってるのだ!的な"全ては遺伝子のせいだ"を指しているのではないかと思います。

          ミクロな話しをすれば体の多くの変化は、刻一刻とDNAから読み込まれた蛋白がダイナミックにアレコレしている訳で、上に上げたような事もしてるんだーと言う発見以外には、ごく日常的な話しです。

          親コメント
  • by ken-1 (4041) on 2008年06月19日 6時28分 (#1366416)
    「健康的な生活で遺伝子発現が変化する」は
    「非健康的な生活で遺伝子発現が変化する」と
    読み替えられないのか。

    健康的な生活 →遺伝子発現が良いほうに変化
    非健康的な生活→遺伝子発現が悪いほうに変化

    という関係が常に成立するのだろうか。
    # この実験でも、病気を進める遺伝子と防ぐ遺伝子の両方が
    # 活性化したんですよね。

    そしてその場合、「良い」とか「悪い」の定義は
    どうなるのだろう。
    • by Anonymous Coward
      そうそう
      性的なトレーニングを欠かしてないのにパートナーに恵まれないのは
      俺にとって「良い」という事なのかな
  • 何故誰も書かない?! (スコア:1, すばらしい洞察)

    by Anonymous Coward on 2008年06月19日 9時44分 (#1366483)
    頭髪の変化について!!!!!

    # 俺はいまのところ禿げそうにないのでAC
  • by the.ACount (31144) on 2008年06月24日 15時15分 (#1369404)
    「すべては遺伝子のせいだ」と分かったんじゃないの。
    --
    the.ACount
  • by Anonymous Coward on 2008年06月19日 2時25分 (#1366373)
    なんとなく手相が変わるトカ言う系列の話と同じような臭いがする。

    #そういえば最終戦争前夜の手相占い師の話があったようななかったような?
    • by Anonymous Coward on 2008年06月19日 4時56分 (#1366401)
      日本の分子生物学者で村上 和雄 [wikipedia.org]という人がいまして、この人が生命のバカ力 [amazon.co.jp]という本を書いてます。
      この本では、遺伝子のON/OFFは外的要因による変化を「糖尿病の人の食後血糖値の上昇が「笑い」によって著しく抑えられる」といった実験データを用いて説明しています。

      問題なのは、こういったまじめな科学と、擬似科学の違いが研究者以外には分かりにくいことでしょうね。
      親コメント
      • by Mochimasa (31796) on 2008年06月19日 9時56分 (#1366491) ホームページ
        すべてはサムシンググレイト [seesaa.net]の御技ですね、分かります。
        親コメント
      • by Anonymous Coward
        そして悪貨(疑似科学)は良貨(科学)を駆逐すると。
        • そうだね (スコア:0, 荒らし)

          by Anonymous Coward
          馬鹿な新興宗教のせいで、昔からある宗教まで信じなくなる、見る目がない人や
          神など存在しないという、世界的に見て愚かな人達が
          増えちゃいますものね
          • Re:そうだね (スコア:3, すばらしい洞察)

            by blackdrug (13208) on 2008年06月19日 11時55分 (#1366561) 日記
            科学的に証明されてないこと=非科学的とする声が多すぎて、
            困ってしまいますね

            科学とは、ある結果に対して原因を探っていく学問です。
            そして科学は完璧ではありません。また、完璧であってはいけません。
            「そんな事は常識的に考えられない。」と切り捨ててしまう態度は、非科学的です。

            天動説が間違いであり、現在は地動説が正しい、とされています。
            しかし、「動く」ということは相対的な物と物との距離の変化ですから、
            もしかするとこれから、絶対的な基準となる場所が見つかったりすれば
            地動説の次を行く、もっと新しい「○動説」が産まれるかもしれません。

            現在、宇宙空間はほとんど真空であることは知っています。
            しかしこれも、アインシュタインが「エーテルなんてもので詰まっているわけではない」
            と言い切らなければ、いまだに「宇宙空間はエーテルで満たされている」
            という説が科学的とされていたでしょう。

            このように、「科学的」なんて物は日々移り変わるものです。
            「毎朝、主の祈りをロザリオを使って10回唱えれば生活態度が向上する傾向にある」として、
            「毎日祈れば、人は絶対に幸せになる!」というのは、非科学的です。
            「祈るなんて事で、幸せになるなんて訳無い」というのも、非科学的です。
            なぜそういう事がいえるのか、どういった原因でそうなるのか、またそれを実証できるのか、
            を考える態度が「科学的」だと言えるでしょう。
            場合によっては、似非科学が科学にのし上がる事もあるでしょう。

            昔から続いてきた宗教というものには、それなりに続いてきただけの意味というのが
            あるはずです。しかし時代は移り変わり、時代にそぐわない内容の風習が、昔の宗教に
            残っているのも事実です。
            もともと宗教活動が希薄で、さらに不便なものは便利にしてしまおうという日本人の気質から
            多くの新興宗教が生まれるのは、ある意味当然です。
            しかし、それに飛びついて、この宗教は絶対だ、としてしまうのは良策ではありません。
            1000年経ってもその宗教は生き続けるものなのか、また、今までの宗教と同じ
            過ちを犯さないものなのかを、じっくり吟味することが大事だと思います。
            親コメント
          • by Anonymous Coward
            馬鹿か馬鹿でないかなんて相対的なもんでしょう。
            私からすれば宗教なんて全部馬鹿だし。
            #宗教は全部馬鹿教の信者より
          • by Anonymous Coward
            たどり着いたところがアキバのホコ天の交差点だったということですか
  • by Anonymous Coward on 2008年06月19日 4時46分 (#1366399)
    外部環境(生活習慣含む)に応じて遺伝子発現が変化することの何がすごいの?
    むしろ変わらないほうがおかしい。
    • 「変化する」ことそのものは当たり前ですね.
      今回の論文で報告されているのは変化があったかなかったかではなく,生検でとったガン細胞の遺伝子発現を生活習慣改善の
      前後で観測したときに,変化した遺伝子がどのようなものであったか,ということです.
      論文のTable 2に列挙されていますが,3ヶ月の生活改善後に発現量が変化した遺伝子の多くがガン化のメカニズムに関わる
      と考えられる遺伝子であったことが重要です.
      遺伝子をグループ分けして評価すると,タンパク質の代謝や修飾に関わる遺伝子の発現が低下した(Table 3)となっており,
      (個人的にはそれほど強い証拠とは思いませんが)ガンの増殖や悪性化への関与も考えられます.

      「ガンになった後に生活を変えても付け焼き刃だ,どうせガン細胞は変わらないのだし」という悲観的な考えをする患者さんも
      いると思うのですが,そうではないと言いたいのがこの論文です.
      生活習慣の改善というのは経験的なものでガン化メカニズムの遺伝子発現と直接結びつかないのですが,ガン細胞の振る舞いに
      (よい)影響を与える,となれば努力して悪化を防ぐことに積極的になる契機になるかもしれません.
      --
      kaho
      親コメント
    • Re:当たり前じゃん (スコア:2, おもしろおかしい)

      by dameneco (33758) on 2008年06月19日 10時58分 (#1366522) 日記
      良性の細胞になる薬を作ってくれ‥
      それを従業員に無料配布して、月200時間残業だ!
      親コメント
      • Re:当たり前じゃん (スコア:2, おもしろおかしい)

        by uippi (9904) on 2008年06月19日 12時59分 (#1366604) 日記
        病は気からと言う位なので、体(ハードウェア)が幾ら壊れにくくても心(ソフトウェア)
        がハングしやすい状況になったら、結果として稼働率は下がると思うのですが(笑)。

        #そこで疲労がポンと無くなるクスリを・・・。
        親コメント
        • by Anonymous Coward
          メタンフェタミンの事ですね。
          研究者でも使ってる人が案外いるとか、いないとか。

          #その昔、忍者は戦闘中に自分の死を悟ると、特殊な丸薬で驚異的なパワー....
          • by Anonymous Coward
            某数学者の集中力を維持するのに使われていたのは有名。

            今でも戦争になると軍で激務が続く戦闘機パイロットとかには医師から処方されてる。
            戦闘に入ったらメシも睡眠もマトモにありつけないってのが現実。最近は夜間攻撃多いし。
            先頭車両や戦闘機を居眠り運転して死ぬよりはいいだろう。
            パイロットの場合、覚醒しすぎて味方に爆弾落としたりもするらしいけどさ。

            激務が続く人には解禁すべきじゃないのかな。使い方さえ間違えなければ有用だし。

            >#その昔、忍者は戦闘中に自分の死を悟ると、特殊な丸薬で驚異的なパワー....

            それ何てエンジェルダストですか?
    • by Anonymous Coward
      「3ヶ月で」って所が「すごい」のだと思う。
      ただし、体質改善等いわゆる東洋医学の思想がある我々にとっては、大きなインパクトが感じられないのかもしれませんね。
      私も第一印象で「やっぱりな」と思いましたから。

      #研究して結果をだしたことはすばらしいと思います
      • by Anonymous Coward
        「人間の遺伝子は環境によって発言したりしなかったりします。
        つまり、あなたの体にも、まだ未知の力が秘められているのです。
        その力を呼び覚ます手助けをするのが、我々の超能力育成プログラムです。

        サービス開始キャンペーン中の今なら、通常の半額、たったのXX万円です。
        さあ、お電話はいますぐ!」
      • by Anonymous Coward
        >「3ヶ月で」って所が「すごい」のだと思う。
        たしか3ヶ月から半年でほとんど入れ替わるだろ?
        3ヶ月なら常識的に普通のスパンだと思うが…。

        逆に言うとヘンテコな生活習慣でも3ヶ月以内ならある程度取り返しがつく。
        1年やっちゃうと不可逆的なダメージを受けるように思う。(実感として)
        • by Anonymous Coward
          >たしか3ヶ月から半年でほとんど入れ替わるだろ?
          それ細胞の話じゃなかったっけ

          #若い頃、2ヶ月ほど足先が開かないように意識していたら、骨格としてそれに順応して感動したことがあった(筋肉による矯正ではないと思う)
          #今なら・・・半年かなorz
  • by Anonymous Coward on 2008年06月19日 12時30分 (#1366581)
    変化は日常に発生しているが、修復されていく。

    修復機能が低下するという話?
  • by Anonymous Coward on 2008年06月20日 9時08分 (#1367132)
    遺伝子の「発現」が変化すると言っているだけで、遺伝子が変化するとは言ってない。

    だから、すでにあるコメントの通り、そんなのあたりまえじゃん、と思う。

    必要なときに必要なタンパク質を作る。細胞の基本的な機能の一つだと思いますが、
    それは必要なときに必要な遺伝子が発現しているということに他ならないのでは。
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アレゲは一日にしてならず -- アレゲ研究家

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