世界で「最も丸い」シリコン球体を作って1kgを定義する試み 70
ストーリー by hylom
capra 曰く、
普遍的な1キログラムの定義を確立するため、シリコンを材料とした限りなく完全に近い球体が作られました(NewScientist.com、製造過程動画、本家記事)。
現在1キログラムは1870年代に作られた直径・高さが共に39mmの合金の円柱(国際キログラム原器)の質量によって定義されています。このように実際の物質によって定義されているのはキログラムのみで、普遍的な定義確立のために今までも様々な方法が提案されてきました。今回の試みはシリコン原子の数で1キログラムを定義としようというものです。
この球体を作るために、まず旧ソビエトで核兵器製造のために使用されていた遠心分離機で原材料が精製され、その後ドイツの法定計量の国立研究機関であるPTBにて結晶化され(この結晶化は7回目の試みで成功)、2つの塊に分けられてオーストラリア精密光学研究所(Australian Center for Precision Optics)に送られ球体に削りだされました(質量は国際キログラム原器のオーストラリア版複製と同等)。この研究所で塊を球体に仕上げたのは一度は引退していた熟練の光学技師Achim Leistner氏で、氏曰く削り出した2つの球体は彼の最高傑作とのことです。
今後イタリア・ベルギー・アメリカ・日本各国の研究チームによってこれらの球体を構成している原子の数を割り出し、1キログラムの普遍的な定義を確立したいとのことです。
その想像力はどこから来るんだ>本家 (スコア:4, おもしろおかしい)
_ ∩
( ゜∀゜)彡 すごすぎない? すごすぎない?
⊂彡
Re:その想像力はどこから来るんだ>本家 (スコア:3, おもしろおかしい)
Re:その想像力はどこから来るんだ>本家 (スコア:1, おもしろおかしい)
Re:その想像力はどこから来るんだ>本家 (スコア:1)
参考になる(+1)
マクロの基本は検索置換(by y.mikome)
Re:その想像力はどこから来るんだ>本家 (スコア:1)
Re:その想像力はどこから来るんだ>本家 (スコア:1)
# 古い。
Re:その想像力はどこから来るんだ>本家 (スコア:1)
Re:その想像力はどこから来るんだ>本家 (スコア:1)
けど, 出来たものはツルですよ.
Re: (スコア:0)
ですか。
Re: (スコア:0)
goo辞書 [goo.ne.jp]
音叉式電子はかり (スコア:2, 参考になる)
例えば無重力で質量を測るときは、ばね+振動で計測するしね
Re:音叉式電子はかり (スコア:3, おもしろおかしい)
うーむ (スコア:1)
#いや、いやいや・・・
妖精哲学の三信
「だらしねぇ」という戒めの心、「歪みねぇ」という賛美の心、「仕方ない」という許容の心
Re:うーむ (スコア:1, すばらしい洞察)
定理を証明するのならわかるけど。
アボガドロ定数 (スコア:1)
真球度が今までよりあがったって事なのかな?
Re:アボガドロ定数 (スコア:5, おもしろおかしい)
アボガドロプロジェクトでは、シリコンの結晶をこんな感じの球状の塊 [wikimedia.org]に磨き上げるわけですが、従来は天然シリコン(3種類のSi同位体の混合物)を使っていたはず。それを、28Siのみを使うようにしたみたいですね。
28Si分離はロシアで行ったようですが、核燃料のウラン濃縮に使う遠心分離機にシランガスを通した、というところなのだと想像してます。ロシアあたりはノウハウありそうですし。
Re:アボガドロ定数 (スコア:3, 参考になる)
Re:アボガドロ定数 (スコア:1)
Re:アボガドロ定数 (スコア:2, おもしろおかしい)
なんか上司がこっち向かってくるwwwけどとまらないwww助けてwwww
openDoe-Ming Ver.0.72.9beta
Re:アボガドロ定数 (スコア:1)
Re:アボガドロ定数 (スコア:1)
会社で読んでて吹くの堪えるので大変でした。
アボカド型に削られたシリコンの塊がごろごろしてる状況を想像してしまったので更に。
Re:アボガドロ定数 (スコア:1)
コメントみてたから、さすがに吹かなかったけど
笑いをこらえるのがby職場
Minder
Re:アボガドロ定数 (スコア:1)
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Re:アボガドロ定数 (スコア:1, おもしろおかしい)
もう数分間笑いが止まらん。涙出てきた。仕事場の周囲の人間に怪しまれ始めた。
…もうだめだwwwww
削り出しつつ質量をあわせる? (スコア:1, 興味深い)
とりあえず適当な大きさで良いので出来る限り真球に削り出しておいてから、体積から原子数を求め、キログラム原器との質量比からアボガドロ数を定義する、とかやったほうが何倍か楽そうな気がするんですが、どうなんでしょう?
Re:削り出しつつ質量をあわせる? (スコア:3, 参考になる)
実際にその通りで,厳密に同じではなく,ほぼ同じにします.
#今までの実験例ですと,例えば999.61195(10)gとかで、400mg程度のずれはあります.
その後,きっちり較正された秤で質量を測定します.このとき,水分子の吸着だのまあ
色々ありますのでその分も考えていろいろ工夫はしますが.
質量はわりときっちり測定できますので,ちゃんとした原器で構成してあれば,
較正点周辺ではかなり正確に測定できます.
#10-8の桁の精度があります.そのため,アボガドロ定数の決定精度が
#この桁に入ってくれば,現状の定義との差は誤差以下になりますので,定義を変更
#することが可能になります・
#また,一般に較正点から大きく外れた点での測定は誤差が大きくなりますので,
#「だいたい1kg」,まではそろえた方が無難なんだと思います.
Re:削り出しつつ質量をあわせる? (スコア:2, 興味深い)
#いや研磨に限らないけど凄すぎる技術者がたくさん…いるのだけど後継者不足。
Re:削り出しつつ質量をあわせる? (スコア:3, 興味深い)
Re:削り出しつつ質量をあわせる? (スコア:1)
これは原子間の距離を使って求められる.
> キログラム原器との質量比
比を取るってどうやって?
天秤にのせて平衡になるかを見れば楽でしょ.
天秤の正確さは載せる前の平衡を確認すればよい.
天秤の支点をずらして長さの比を取る方法だと,
完全にバランスの取れた天秤棒を作らなきゃいけない.
それって球を削りだすより難しくない?
Re:削り出しつつ質量をあわせる? (スコア:1)
>完全にバランスの取れた天秤棒を作らなきゃいけない.
>それって球を削りだすより難しくない?
いえいえ、質量、形状の2パラメータを同時に満たす球の方が難しいですって。なんでもいいから真っ直ぐな棒よりも。
まだちょっと重いな→きっちり球形をたもったままほんのちょっとだけ削る、とか、 あ、軽くなりすぎた→どうすればいいんだろう?最初からやり直し?、とか、 ここの出っ張りがなければ完璧な球なんだけど→削ると重さ変わるよなぁ、とか。
Re:削り出しつつ質量をあわせる? (スコア:1, すばらしい洞察)
必要なのは、正確な半径だけ。
Re:削り出しつつ質量をあわせる? (スコア:1)
the.ACount
Re:削り出しつつ質量をあわせる? (スコア:1)
# コメントが増えると昇格するのかな。 昔は、まさにそういう定義だったわけです。キログラム定義の変遷 [wikipedia.org]
Re:削り出しつつ質量をあわせる? (スコア:1)
the.ACount
シリコンの球体といえば(オフトピ) (スコア:1)
--- Lcs(http://lcs.myminicity.com/ [myminicity.com])
こういうのこそ (スコア:1)
以下禁止 (スコア:0)
Re:何で球体なの? (スコア:3, 参考になる)
Re:何で球体なの? (スコア:3, 参考になる)
・体積が正確に求められる
・欠けない
が求められるためです.
体積を正確に算出するために,単純な幾何的構造である必要があります.
この条件だけなら直方体や円柱でもよいのですが,それらの場合はエッジがあることから
何かの拍子に(勝手に欠けたり,研摩中に欠けたりで)エッジが欠ける可能性が高い
(特に今回の目的だと10-数十nm程度の精度が必要とされますので,そのオーダーの
微細な欠落でも問題になります)ため,そういった弱い場所のない球体が選ばれています.
アボガドロ数の決定に関しての関連論文として
P. Becker, History and progress in the accurate determination of the Avogadro constant,
Rep. Prog. Phys., 64 (2001) 1945-2008
がありますので,興味のある方はどうぞ.上記の条件などに関しても記述があります.
Re:何で球体なの? (スコア:1)
--- Toshiboumi bugbird Ohta
Re:何で球体なの? (スコア:1)
球形っていうとどちらかというと軸が無限にある物体ってイメージがあるんですがどうなんでしょう?
直方体だと3軸と各面の直線を検証すればよいけど、球だと球の面積分のポイントの軸の長さを検証しないといけないようなイメージが…。
どうなんだろう?
Re:何で球体なの? (スコア:1, 興味深い)
レーザ干渉計を使えば球面はかなりの精度で計測できるけど、垂直を測るのは大変なんじゃないのかなぁ。
Re:何で球体なの? (スコア:1)
直方体だと三軸の寸法と平面をきちんと出すのが大変なのに対して、真球なら寸法と球面の精度に集中するだけで良いことになりますからね。あと、方向性が無くなることで、重力下の影響を無視できる(そういう意味では重力下では決して『真球』とはなれないのだ!)ということもあるでしょうね。
--- Toshiboumi bugbird Ohta
Re:何で球体なの? (スコア:1)
いわゆる多面体には稜線というものがあるわけで、こいつは摩耗を含む変形に弱い。で、球体ならそういう稜線が無いというのもありますね。
--- Toshiboumi bugbird Ohta
これまた想像ですが。 (スコア:1)
Re:何で球体なの? (スコア:1)
転がっちゃったりして。
んで、転がるの防止する為に台座か何か作るとしてもそれも厳密に質量測定しないと…。
(…以下無限ループ)
# 「秤に乗せる」という発想をする時点で己の無知を晒し出している気もするが
それと、完全に1kgのシリコンの玉ができたとしても、保管しておく為にはやっぱりどこかに置いておく必要があるわけで、
うっかりどこかに置いてあったのを誰かが当たってしまって、コロコロガリガリ…。
質量が変わっちゃいました!
…とかならないのだろうか?
いや、同一体積の物体の中で一番表面積が少ないのが球体だから空気とか(液体の中に保管するなら液体とか)と化合して変化する
危険が一番少ないのかな?
# きっと科学者な人々は私なんかよりもずっとずっと賢くて用意周到なんだ……と祈る。
---- ばくさん!@一応IT土方
Re:何で球体なの? (スコア:3, 参考になる)
一度使ってきっちりアボガドロ定数が決定できれば以降は用済みですので,
今の原器のように長いこと保管する必要はなくなり,長期的な変化を気に
しなくて良くなります.(それが利点)
原理的に,アボガドロ定数が精密に決まれば質量を定義できます.
#12Cをアボガドロ定数個集めると12g(定義)なため.
そこで現在,原子数をいかに精密に決定できるかが焦点となっています.
#原子の相対質量は既知,炭素原子の質量は(アボガドロ定数さえわかれば)定義より
#自明です.そこである物体の正確な原子数と,その物体の(キログラム原器を基準
#にした)質量がわかればアボガドロ数が決定でき,そこから逆に1kgを定義できる
#ようになるためです.
>化合して変化
球体を作った後,Si以外の原子の量なども内部,表面それぞれで分析して求めて
いるようです.
#典型的なSi単結晶の作成法だと,内部の不純物の原子数はC,N,Oで0.00001%以下,
#他の元素で0.00000001%以下だそうで.
わりと存在量の多い原子に関してはその量を定量するとともに,その原子が1つ入る
ことによりどの程度Siの結晶格子が歪むか(これにより格子定数が微妙に変化する
ため,原子一つ当たりの質量を出す際に補正する必要がある)も調べられているとか.
またガス等の表面吸着の影響とその除去/補正の仕方とか,結構いろいろやられてる
ようです.
#まあ,1kgの再定義には原子を数える派以外にワット天秤派もいるんですけどね.
Re:何で球体なの? (スコア:2, 参考になる)
しかし、国際キログラム原器は円柱状になっています。なぜこの形状にされたかというと、やはり扱いにくさがあるからのようです。球だと、おっしゃるようにコロコロ転がってしまいますからね。
Why is it a cylinder? [bipm.org]
作りやすさ・扱いやすさ、表面積の妥協点を探った結果、円柱状になったようです。
Re:何で球体なの? (スコア:2)
休を載せられる秤台を作れば良いだけでは?
Re:最後の検定試験 (スコア:1)
シリコ玉は河童が抜くものです。